Posted on 11.10.20

ヴァレンティノの現デザイナーであるピエールパオロ・ピッチョーリをキュレーションしたA Magazineを手に入れました。

 

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ピエールパオロ・ピッチョーリは、現クリスチャン・ディオール, デザイナーのマリア・グラツィア・キウリと共にヴァレンティノのデザイナーに就任し、当時、ファッション関係者からの注目度がお世辞にも高いと言えなかった老舗ブランドValentinoを見事にトレンドセッターの座に蘇らせました。

 

特にメゾンのクチュリエの持つ素晴らしい技術を活かしたオートクチュールは、ファッション評論家の評価も非常に高く、当時同じく評論家からの評価が高かったBALENCIAGAデザイナー, ニコラ・ジェスキエール(現Louis Vuitton デザイナー)と双璧を成すほど、コレクションを重ねるごとにその評価を高めていきました。

 

ビジネス的にも飛躍を成し遂げ、その高評価が安定したものになった2016年、8年間共に共同デザイナーとして歩んできたマリア・グラツィア・キウリはヴァレンティノを離れ、クリスチャン・ディオールのデザイナーに就任しました。

その後もピエールパオロ・ピッチョーリはヴァレンティノに残り、単独でデザイナーを務め続けています。

 

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マリア・グラツィア・キウリもピエールパオロ・ピッチョーリも、それぞれに素晴らしい才能を持ってるデザイナーだと思いますが、それぞれの特徴は少し異なります。

 

それぞれにディオールとヴァレンティノと袂を分かち合ってからのクリエイションを見てると、ヴァレンティノで共同デザイナーをしていた頃は、どちらかというとマリアの方が叙情的で表現力豊かなエレガンス、ピエールパオロの方が厳格で格調高いクラシックさを齎してたのかなと思います。

 

本誌にピエールパオロのインスピレーション源が羅列で掲載されていたのですが、カルチャー面で精通してたのもピエールパオロなのだなとわかりました。

 

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ヒエロニムス・ボスの絵画の写真もありました。

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この右側の作品は、ボスの『快楽の園』という作品の中心部分で、本来は三面鏡のような構造になっており、この右側と左側にそれぞれ天国と地獄をモチーフにした絵が描かれています。

本誌に掲載されている部分は、自分たち人間が生きている世界(現世)ということになります。

 

現在、Oneohtrix Point Neverとして世界から注目を集めているエレクトロニック・アーティストのダニエル・ロパティンも、同様にボスの作品の特にこの人間の愚かさや煩悩を具現化させた掲載部分に大きく共感し、この絵をインスピレーションとした作品(Garden of Delete)まで作っています。

ロパティンは、知性のある音楽家の一人です。

 

 

ディオールでのクリエイションを見ていても、マリアの方が「着たい」と思うようなトレンドを掌握するセンスに長けてると感じますが、同業のデザイナーとかはピエールパオロのクリエイションの動向の方がより気になるのではないかと思います。

 

 

 

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“ヴァレンティノ・レッド”と呼ばれる、象徴的な赤一色のドレスの写真が美しいです。

 

インスピレーションを受けた絵画と、自身の作品という構図のページ構成も面白かったです。

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本誌はお店においてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

 

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