gap press 2021 S/S prêt-à-porter
2020.12.17.
Posted on 12.17.20
今回はgap press の 2021 S/S ウィメンズコレクションをご紹介いたします。
今回もパリとミラノに絞ってご紹介させていただきます。
今回は、最も話題となっていたラフ・シモンズが加入したプラダが発表したミラノコレクションから書かせていただきます。
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PRADA
ラフ・シモンズとミウッチャ・プラダ協業体制による初のコレクションとなった今シーズン。
どんな感じで来るのかと楽しみにしていましたが、これこそラフが手掛けたのだなと一目でわかるし、その中でもきちんとプラダらしさも残したさすがのコレクションでした。
ラフは少し前までデザイナー職についていたカルバン・クラインとも経営陣とモメて退任したり、デザイナーの中でも気難しい性格なのだと思いますが、クリエイティヴ面においては柔軟さも兼ねそろえているなとつくづく思います。
ラフのようにコアなファッション好きが好むようなシグネチャーブランドをやってるデザイナーの多くは、進む方向性も求められるものも全く違うラグジュアリーブランドのデザイナー職には不向きなタイプが多いですが、ラフはJil Sander然り、Christian Dior然り、Calvin Klein然り、そして今回のPRADA然り、本当に器用にやってのけるなと毎回思わされます。
アウターはボタンのついたコートばかりではなく、ケープのような仕様でモデルがその両端を落ちないように掴んでウォーキングしていました。
あえてモデルにそうさせたのには、現在のコロナ禍において、ラフなりのメッセージが込められてるのだと思います。
パーカーにスカートを合わせるスタイルは、ミウッチャ自身が最近好んで着ているコーディネートです。
ミウッチャへのリスペクトの気持ちを、こんなにチャーミングな形で表現するのも、ラフの洋服が未だに若者達にも人気の理由だと思います。芸人の有吉が他の芸能人につけるあだ名の構図にも似ている気がします。
ミウッチャもきっと満更でもなかったと思います。
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VALENTINO
一番最初の写真の一番左に掲載されてるのが、本コレクションのファーストルックです。
オートクチュールさながらの技術を要するVALENTINOの洋服としては、非常にシンプルなものです。
U.A.の栗野さんは、「人々の服装はその時代を反映する」と言っていました。
未曾有の大災害や今回のコロナなど、世の中が大変な時には自然と人々の服装も慎ましいものになっていくということです。
ショーに登場する洋服は次第に華やかさを増していき、そして一番下の写真の一番右側に大きく掲載されたルックがショーの最後を飾ったドレスです。
美しい“ヴァレンティノ・レッド”のドレスは、繊細な中にも力強さを感じます。
現在のコロナ禍においても人々の服装は慎ましくなっていくのだと思いますが、そんな時だからこそデザイナーの感性と職人の技が極限まで発揮された最後のドレスのような服にはより一層深い感動を憶えるという面もあります。
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ここからはパリコレです。
Raf Simons
メンズでも少しご紹介したラフ・シモンズでは初となるウィメンズコレクション。
本誌ではウィメンズだけ抜粋して掲載されています。
“TEENAGE DREAMS”と題された本コレクションは、モデルがまるでNetflixのドラマ「ストレンジャーシングス」に出てくるような別世界から現れたような演出で始まりました。
ラフらしいストリートテイスト溢れるスタイリングもあれば、ちょっとプッチっぽい曲線のグラフィックを用いたエレガンスな服も多用していました。こういうグラフィックでもラフがやるとプッチのようにコンサバティブというよりはフューチャリスティックな印象を受けます。
本コレクションは架空の映画をテーマにしているらしいです。
カルチャー好きなラフらしいウィメンズコレクションだったと思います。
カルチャーぞっこんなオシャレナード女子は、ぜひチェックしてみてください!
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MIU MIU
ミウッチャ・プラダの手掛けるPRADAに続くセカンドライン、と言うよりはもはやツートップに近い立ち位置のMIU MIU。
PRADAがラフとの協業体制になって、ラフは自身のシグネチャーでウィメンズ始めるくらい俄然やる気が漲ってきましたが、僕が推測するにミウッチャの方はPRADAにおいてそんな俄然やる気のラフに横から意見をすることもあまりできず、結局ラフ8:ミウッチャ2くらいの割合でコレクションが完成し、そのPRADAで使えず溜まりに溜まったインスピレーションとフラストレーションを一気にMIU MIUで爆発させたのではないかと思います。
結果として、今季のMIU MIUはここ最近と比べると見違えるくらい良かったと思いました(笑)
PRADAでの協業体制はそう長く続かなさそうな気がしますし、仮にラフと決別するくらいに関係が悪化してしまったとしたら、その時のMIU MIUのコレクションには特に注目したいです。その時はカール・ラガーフェルド超えもありうるかも知れません。
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LOUIS VUITTON
バレンシアガ時代には圧倒的な存在感を放っていたニコラ・ジェスキエールは、LOUIS VUITTONでは現状その輝きが最大限には出せていないように思います。
プレタポルテ・コレクションのみを発表していたバレンシアガにおいてオートクチュールさながらのコレクションを発表していたニコラにとって、そもそもトラッド・スタイルが信条のルイヴィトンは得意なフィールドではないのかも知れません。
ヴァレンティノやディオールであれば、また違ったストーリーを作り上げてたのかなとも思いますが、ブランドの格はルイ・ヴィトンの方が上で、当時提示されたポストとしてはおそらく最高のものだったのだろうと思います。
今年大改修が終わり来春から再オープン予定のパリの老舗百貨店,ラ・サマリテーヌの最上階を会場とした本コレクションでは、冒頭でヴィム・ヴェンダースの代表作『ベルリン・天使の詩』の映像が使われていました。
それが今季のインスピレーション源のひとつなのかなと思いました。
『ベルリン・天使の詩』は、僕も大好きな映画で、モノクロ中心の映像ですが、劇中、天使が人間に恋をしたシーンで一瞬、映像が“カラー”に変わります。
どうせなら、本コレクションでもそれに合わせてルイヴィトンの新作を作り、ショーで同じような色の演出をしてほしかったです。
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今回のレビューはこれくらいにさせていただこうと思います。
最後までお読みいただいて、ありがとうございました!
No Fashion, No, Life!!!