Posted on 12.13.20

gap press MENの2021 S/S号が届きました!

 

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今シーズンは、コロナの影響で、多くのブランドが無観客でのコレクション配信やデジタル形式での発表を余儀なくされていたので、gap pressの発売もどうなるかと心配しておりましたが、無事手元に届きました。

 

今は、SNSやアプリなどでもコレクション情報は手軽に見れる時代ですが、やはり大判サイズのgapで見るルックの写真は服の詳細がデジタルに比べてわかりやすいと感じるところもありますし、こんな時代でも表紙に不必要なキャッチコピーを踊らせることもなく、淡々とコレクションを伝えてくれるgapの姿勢を応援したい気持ちもあって、僕は買い続けています。

 

今回も、パリとミラノのコレクションから少しずつブランドをピックアップして、ご紹介させていただきます。

 

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パリコレクションより

Raf Simons

 

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またウィメンズのプレタポルテの方でも書こうと思ってますが、ラフは2021 S/SのウィメンズコレクションからPRADAでミウッチャ・プラダと共同でのデザイナーに就任しました。

そして、本コレクションでラフ・シモンズとして初めてとなるウィメンズコレクションも発表しました。

(メンズとの共同コレクションの為、本誌で扱われています)

 

世界はコロナで規模を縮小する企業の方が断然多い中、ラフは攻めてます!

そして、こういう時にこそ強気に動く人(あくまでビジネスにおいて。マリオのスター状態みたいに自分が無敵かのように感染防止策せずに動き回る人のことではない)が、アフター・コロナの時代においてビッグチャンスをものにするのだと思います。

オシャレ女子達は、これを着ると、そんなラフのパワーをお裾分けしてもらえると思うので、ぜひチェックしてみてください!

たまにエミリオ・プッチみたいな柄も出てきますが、それ以外はオシャレでカワイイ洋服が盛りだくさんです。

 

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CELINE

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2012年にSAINT LAURENTのデザイナーに電撃復帰したエディ・スリマンは、3シーズンくらいスキニーシルエットのコレクションを続けたくらいの時、ファッションメディアはそのブレなさすぎる姿勢を揶揄して、記事に『Hedi “Slim”man(エディ・スリムマン)』と見出しをつけたこともありました。

そんなことを言われようが、モード界全体に「オーバーサイズ」のトレンドが押し寄せようが、エディはエディらしく一貫してスキニー・スタイルを追求してきました。

 

フランス南部にあるポール・リカール・サーキットを舞台にした本コレクションでは、エディらしさを出しながらもガラリと変えてきました。

“THE DANCING KID”と題されたコレクションは、TikTokでクリエイティビティを発揮する若者達にフォーカスしています。

僕がWWDの編集長なら、リスペクトの意味を込めて『TikTokディグリマン』と揶揄したいところです。

コレクションは刺激的で面白かったですが、お年を召してきたDior Homme時代からのエディ信者のオッサン達(自分も含めて)は、流石にこれ全身は無理だと諦めるのではないでしょうか。

40オーバーで全身これを着てる人のイメージは、前澤友作氏しか出てこないです。

 

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SAINT LAURENT

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SAINT LAURENTにおいてエディの後継者に任命されたアンソニー・ヴァカレロは、もしかしたらエディ以上に“SAINT LAURENT”のロゴに相応しいデザイナーかも知れません。

 

デザイナーとしての知名度も(エディなどと比べると)高いほうではないですし、大きなトレンドを産み出すようなタイプでもないですが、サンローラン就任以来ヴァカレロは真摯にブランドと向き合い、そのブランドの歴史を正しい方向に進めているように思います。

アンソニー・ヴァカレロは、生前のカール・ラガーフェルドの目に留まったデザイナーでもあります。

そのあたりにもエディとの共通点が垣間見れます。

 

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Maison Margiela

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今、マルジェラのタビブーツやバッグを持っている人のうちの何%が、マルジェラのデザイナーの名前を答えられるでしょうか?

今の“メゾン・マルジェラ”は、かつての“メゾン・マルタン・マルジェラ”とは全く違うブランドになってしまいましたが、それでもガリアーノはやはり素晴らしいデザイナーだと思わされます。

 

ガリアーノが旅先で魅了されたタンゴのステップに着想を得たという本コレクション。

もう、そのタンゴの光景を見てそれを着想源にしてコレクションを創ろうと考えたガリアーノに、それだけでため息が出るくらい感動します。

そして、それを具現化させたコレクションも素晴らしい。

ガリアーノほどファンタジー性に優れたデザイナーはいないと思います。

 

もしかしたら、マルタンが手がけていた頃のマルジェラより、今のガリアーノのマルジェラのほうが、あの“四つ打ちステッチ”はより必要ないのかも知れません。

 

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ミラノコレクションより

PRADA

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最初にこのコレクションを見た時、「今期からラフが加わったのかな」と思いました。

このコレクションを発表する前に、プラダにラフが加わることは発表されてましたが、ウィメンズから共同名義で発表とのアナウンスだったのでメンズはA/Wからだと思ってましたが、予定を早めたのかと思うくらいラフっぽさを感じました。

(実際にはミウッチャの単独名義のコレクションでした)

 

多分、ラフとの協業の話を進める中で、お互い意気投合して盛り上がったのだと思います。

もう協業前に気持ちが先走ってラフ感出てしまってます(笑)。

でも、その刺激が良い方向に出たのは明らかです。

これならラフと定期的にお話するくらいでも、ミウッチャのハートに火は付きそうな感じです。

 

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Ermenegildo Zegna XXX

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今の時代は、たとえ歴史あるモード界の誇り高きブランドと言えど、SNS受けの良いキャッチーさをどこかに取り入れなければなかなかに厳しい戦いを強いられてしまいます。

2018年にボッテガ・ヴェネタのデザイナーが、トーマス・マイヤーからダニエル・リーに変わりましたが、新旧デザイナーそれぞれの特徴はまさに時代の変化を反映するものだったと思います。

トーマス・マイヤーは、GUCCIやJil Sanderといったミラノの主要ブランドが大幅にブランド色を変えて成功する中で、トレンドに左右され過ぎないミラノコレクションらしい“大人の”メンズスタイルを提案し続けていました。

今、その路線に辛うじて乗っかってるかなと思うのが、アレッサンドロ・サルトリによる『エルメネジルド・ゼニア XXX』です。

(そこをターゲットにするなら、XXXは必要ないと思いますが)

クリストフ・ルメールをより“コレクション寄り”にして、たまにちょっと「いらんこと」してる感じ(笑)。

ただ、その「いらんこと」が今の時代においては、ビジネスを大きくする為には必要不可欠なのかな、とも思います。

 

以上、2021 S/S メンズコレクションの雑感でした。

次は、ウィメンズVer.もまたご紹介させていただきます。

 

gapはお店に置いてますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ!