Posted on 04.03.20

gap PRESS MENの最新号は、パリとNYの2020-2021 AUTUMN&WINTER コレクション特集です!

 

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今回はパリコレに絞って数ブランドのコレクション雑感を書かせていただこうと思います。

 

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DRIES VAN NOTTEN

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本誌のトップで紹介されていたブランドは、ドリス・ヴァン・ノッテンでした。

ドリスの素晴らしいところは、一見ジジババ臭くも思えるような柄やシルエットをモダンに再構築し、さらにアヴァンギャルドなスタイリングで打ち出すことで最新のモードに昇華させているところだと思います。

ドリスの服の組み合わせは本当に斬新で、悪趣味ギリギリ、もしくは、もはやセンスの良い悪趣味と言ってもいいくらいです。

今、大人気のグッチのアレッサンドロ・ミケーレも見事な悪趣味路線ですが、デザイナーとしての完成度はドリスの方がまだまだ断然上だと思っています。

 

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VALENTINO

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ピエールパオロ・ピッチョーリのクリエイションは、“VLTN”のロゴ以外は本当に素晴らしいです。

それ故にロゴの残念さがより一層際立って見えてしまいます。

ピエールパオロは、もともとヴァレンティノにアクセサリー・デザイナーとして招聘されたくらいA.C.C.のデザインは得意とするところです。

今はロゴがあるのと無いのとでは、その商品がヒットするかが大きく変わってくるところもあるのだと思いますが、特にA.C.C.デザインに関しては初心に帰ってほしいなと個人的には思っています。

 

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LOUIS VUITTON

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モード界にストリート旋風が吹き荒れた要因は、カニエ・ウエスト等のアメリカ系のセレブ・ミュージシャン達にも最新のモードを着たいと思わせたところにあります。そのカニエが着たことで火がついた最初のブランドが、リカルド・ティッシによるジバンシィでした。 それに留まらず、モード界におけるストリートブームの火があれほどまでに大きくなったのは、リカルド の後に、ヴェトモンを立ち上げたデムナ・ヴァザリアとオフ・ホワイトを立ち上げたヴァージル・アブローの二人の存在が大きかったのだと思います。

二人の功績はそれぞれに違い、デムナは主にもともとモードが好きだった人の心を掴み、ヴァージルは今までモードのコレクションをあまり興味深く見てなかったような人達をモード界の新たな顧客にしました。

そのヴァージルがデザインするのが、メンズのルイヴィトンです。

ヴァージルのクリエイションにもストリート以降を感じます。もともと建築学を勉強してきたみたいですが、このコレクションを見てるとなるほど、そういった背景が感じられます。

ヴァージル自身、これからがデザイナーとしての真価が問われていくと思いますが、そのクリエイションがどのようなものなのか興味深いです。

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VETEMENTS

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そのデムナが立ち上げたヴェトモンには、既にデムナは存在しません。アドバイスくらいはしてるのかも知れませんが、デムナ自身もデザイナーとして一流と認められてからのキャリアの中で、やりたいことはバレンシアガの方が実現できると感じたのでしょう。

デムナ自身も、もともとマルタン・マルジェラという偉大なデザイナーが抜けた後のデザインチームの一員としてメゾン・マルタン・マルジェラで働いていました。デムナだけでなく現アン・ドゥムルメステール デザイナーのセバスチャン・ムニエなど当時のマルジェラのデザインチームには優れたデザイナーがキラ星のように沢山存在していましたが、ジョンガリアーノ体制以降の現在のメゾン・マルジェラにはマルタンの精神は失われてしまいました。

ヴェトモンには、デムナと共にマルジェラを去って一緒にブランドを立ち上げた当時のマルタンデザインチームのメンバーもまだ残ってると思いますし、まだまだ面白い服作りを続けてほしいです。

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DIOR MEN

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ファーストルックのニットは、僕がロッキングチェアに揺られるだけの何の生産性も産み出さないオジイになってしまった時に着ていたいニットランキング暫定1位であることをここに証明します。

キム・ジョーンズはルイヴィトンの頃のクリエイションも素晴らしかったですが、同じキム調の遊び心でも、ディオールに移ったらディオールらしく仕上げているところが見事だと思います。

こういうデザイナーがラグジュアリーブランドのデザイナーに相応しいんだなと改めて認識させられます。

 

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GIVENCHY

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ルイヴィトンのところで少し書いたリカルドが去った後のデザイナーに抜擢されたのが、現デザイナー, クレア・ワイト・ケラーです。

クレアはもともとクロエのデザイナーでした。

今リカルドはバーバリーのデザインを手掛けていますが、素人目にもリカルド とクレアの立ち位置を変えたらいいのにと思ってしまいます。リカルドがバーバリーに引き抜かれたのは自身がジバンシィのデザイナー時代にジバンシィの経営部門のトップだったマルコ・ゴベッティがバーバリーのCEOに就任していたからです。また一緒にやろうぜ!というところだと思いますが、ビジネス面のノウハウはブランドが変わっても比較的同じ才能が発揮できると思いますが、ブランドの世界観をコレクションを通じて可視的に体現させるデザイナーにはやはりブランドとの相性もあると思います。ゴシックなムードのジバンシィにリカルドは生涯デザイナーでいいくらいの相性の良さがありました。逆にフォークロアでフェミニンなムードが得意なクレアにはバーバリーはいかにも合いそうです。クレアはイギリス人でもあるのでロンドンコレクションを長年牽引するバーバリーにとっても相応しいと思います。

 

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コロナの影響で今週はとてもゆっくりしてるので、長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでくださった方はありがとうございました。

そして、このブログを最後まで読むくらいヒマな人は、感染対策万全でお迎えするので、ぜひカットしにいらしてください!