gap PRESS MEN vol.78

2025.03.22.

Posted on 03.22.25

gap PRESSの最新号は、2025-26 Autumn & Winter PARIS メンズコレクション特集号です。

 

 

表紙は、スパイク・ジョーンズが手掛けた映画『かいじゅうたちのいるところ』からイメージしたというsacaiのコレクションのものです。

 

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sacai

 

 

阿部千登勢さんがデザイナーを務めるsacaiは、生粋の日本のブランドです。

もともとはニットが得意なブランドで、僕もsacaiがまだコレクションとかしてなかった駆け出しの時代にニットを購入したことがありますが、とても面白い素材の使い方をしてて当時愛用していました。

その頃は、まだkolorなどを手掛けていた旦那さんの阿部潤一さんの方が断然有名で、商業的にもkolorとsacaiでは格差があったと思います。

ですが、ヨーロッパで広く受け入れられたのは結果的にsacaiの方でした。

 

コレクションを見ると日本人からすれば、sacaiはヨーロッパ的なデザインに思う方の方が多いかも知れませんが、ヨーロッパの人達からみればsacaiのクリエイションは“ジャポニズム”だと見られるわけです。

西洋のルーツでは出せない独特の感覚がsacaiにはあって、それがパリでも面白いと評価されている大きな要因です。

僕、個人的には折衷主義でもドリス・ヴァン・ノッテンのようなよりクセの強いブランドに魅了されていたので、sacaiの洋服はそれ以降買わなくなりましたが(今の方が当初より良くも悪くもコンテンポラリーになったというのもあります)、今ではsacaiはパリでも世界のバイヤーが注目する日本を代表するブランドのひとつに成長しました。

 

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LOUIS VUITTON

 

 

sacaiもそうでしたが、ここでファレルのヴィトンを取り上げるのも初めてです。

今シーズンは、KENZOやHUMAN MADEでデザイナーも務めるNIGOとコラボレーションしてのコレクションを発表。

ファレル・ウィリアムスもNIGOも、完全にアメリカンカルチャーをバックボーンとするクリエーターで、ヨーロッパのファッション史の長い歴史を継承しながらさらに新天地を開拓していくパリコレクションの舞台では、少し前の時代までは彼らのようなタイプの人物はパリコレのトップブランドにはいませんでした。

彼らが今、パリの主要メゾンのデザイナーに起用されているのは、ルイ・ヴィトン メンズデザイナーの前任である故ヴァージル・アブローの功績が大きく影響していると思います。

特にファッションにおいては強い自信とプライドを持っているヨーロッパの文化を中心とするモード界において、アメリカンカルチャーをパリに本格的に持ち込んだヴァージル(その少し前にGIVENCHYでアメリカンカルチャーを取り入れたコレクションを発表したリカルド・ティッシの存在も大きかったです)はあまりにも偉大だったと思います。

 

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DIOR

 

 

上でファレルやNIGOの話をした時により先駆者のキム・ジョーンズがおるやんけ、と思われた方もいらっしゃるかも知れません。

キム・ジョーンズは、NIGOなどが牽引していた90’s当時の日本の裏原ブームにもバックボーンのあるデザイナーですが、キムの提案するストリートスタイルは気品があって口の中でとろける高級チョコレートのようにラグジュアリーブランドでも浸潤するものでした。

キムは今シーズンでDIORを退任することが既に発表されました。

モード界はきっと彼を無職で放っておかないと思うので、近いうちにまた別のブランドに就任するニュースがあるかも知れません。

DIORでのキムのキャリアも本当に素晴らしいものでした。

 

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という感じのパリコレ雑感でした。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.892

2025.01.30.

Posted on 01.30.25

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

リカルド・ティッシのGIVENCHY時代を彷彿とするくらいマッチョな表紙です。

一瞬UOMO(VOGUEのメンズ版)が届いたのかと思いましたが、この表紙で間違いなくイタリアンヴォーグでした。

なんてことだ。

 

中の写真も少しご紹介いたします。

 

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この鏡を駆使したポートフォリオが面白かったです。

 

 

 

鏡を使うこと自体はあるあるなんでしょうけど、その手法で一目見て違いのわかる作品を作れるところが本当に凄いです。

 

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このちょっとだけサスペリア風の写真も構図がお見事です。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

 

 

VOGUE ITALIA N.891

2025.01.07.

Posted on 01.07.25

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

コロナもひと段落したので、オンラインではなくフィジカルを楽しみましょうと言っています。

 

確かに、最近はおしゃれして出かけようと思うようなイベントや場所がかなり少なくなってきているように思います。

昔は、百貨店やファッション施設なども頑張っておしゃれしてないと入りづらかったです。

高校生になって間もない時、モードなファッションに対する興味が強くなって色んなブランドのオンリーショップやセレクトショップに行きたかったのですが、そこに着ていく服を持っていなくて詰んだ記憶があります。

昔はメルカリはおろかインターネットさえロクに使えない時代でしたから…

 

でどうしたかと言うと、まずブランド古着のお店をいくつか回って全身一式を揃えて、その服を着てY’sとかアニエス・ベーとかに行って新品の服を買って、その服を着てようやく百貨店やセレクトショップに引け目なく行けるようになりました。

今は百貨店もそんな敷居の高い場所ではなくなりました。

 

それから長い歳月が流れた現在、例に漏れることなくおっさんとなった今の僕が一番おしゃれして出かけようと思う場所が美術館です。

もちろん日々のファッションも好きな服を着て楽しんでいますが、美術館や博物館に行くときは特にお気に入りのファッションに身を包んで出かけたいなという気分になります。

 

前置きが長くなりましたが、誌面の写真をいくつかご紹介いたします。

 

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2025年もファッションを楽しみましょう!

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

gap PRESS vol.181

2024.12.15.

Posted on 12.15.24

gap PRESSの最新号は、2025 Spring&Summer PARIS/LONDON コレクション特集号です。

 

 

表紙は、GUCCIから移籍したアレッサンドロ・ミケーレによるファーストコレクションとなるVALENTINOのものです。

 

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VALENTINO

 

 

前任のピエールパオロ・ピッチョーリは、現在DIORのクリエイティブ・ディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリと共に低迷していたかつての名門,ヴァレンティノを見事に復興させました。

当時から既に素晴らしい才能を持った2人が手を組んでクリエイションを指揮したのですから、それは当時のヴァレンティノのコレクションというのは圧倒的なものがありました。

デザイナーの片方,マリア・グラツィア・キウリが抜けた後も、ピエールパオロ・ピッチョーリは自身の持ち味である端麗で格調高いコレクションを発表し続け、ヴァレンティノの価値を維持していました。

 

そして、その時代を経てのアレッサンドロ・ミケーレ就任。

ピエールパオロ時代の厳格さとは打って変わってミケーレらしい装飾主義的なコレクションでしたが、こちらもヴァレンティノのレガシーをちゃんと感じられるもので、やはりミケーレの才能は素晴らしいなと改めて感じるものでした。

 

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MIU MIU

 

 

MIU MIUは快進撃を続けています。

ここ日本でもアパレルが売れていると聞きます。

バッグや小物ではなくアパレルが売れるブランドというのは、それだけファッショニスタの人達にコレクションが支持されているということです。

先日、fashionsnap.comの記事で、現在MIU MIUのスタイリングやキャンペーンを担当しているスタイリストのLotta Volkova(ロッタ・ヴォルコヴァ)が取り上げられているのを見ましたが、今のMIU MIUの成功の影にはロシア人スタイリストのロッタの存在があります。

 

セントラル・セント・マーチンズでアートとデザインを学んだ彼女は、デムナ時代のVETEMENTS(ヴェトモン)でスタイリストだけでなくモデルのキャスティングやコレクションのコンサルティングも行い、ブランドの躍進に大きく貢献しました。

今のモード界においてもキーマンとなっている人物だと思います。

ミウッチャとロッタの黄金のコンビネーションが続く限り、MIU MIUは魅力的なコレクションを発信し続けてくれるでしょう。

 

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SAINT LURENT

 

 

最後にもうひとつくらい取り上げて終わりにしようと思って、どれにしようかと考えたのですがヴァカレロのサンローランについて少し書くことにしました。

 

アンソニー・ヴァカレロがサンローランのデザイナーに就任したのは、前任エディ・スリマンの後任としてでした。

エディはその後、CELINEのクリエイティヴ・ディレクター(正確にはアーティスティック、クリエイティブ&イメージディレクター)に就任し、メンズを立ち上げ、セリーヌの飛躍にも大きく貢献しました。

先日、エディがセリーヌの同職を退任するというニュースがありました。

その任期は7年間に及ぶものでした。

 

その間もアンソニーはサンローランで素晴らしいキャリアを築いてきました。

エディのようなカリスマ性まではないし、話題性もそんなに大きなものではないのかもしれませんが、アンソニーはデザイナーとしてとても優秀な人物に映ります。

就任当初は、エディ・イズムを受け継ぐようなスタイルにブランドを導くのかな、とも思ったりしましたが、長く見続けるほどにヴァカレロの色やスタイルというものがエディとは明確に違っているのだということを理解できるようになりました。

ヴァカレロがサンローランで立ち上げたアートやカルチャーのプロジェクトでも、エディともまた少し違った趣味趣向のアーティストやデザイナーを取り上げており、カルチャーにも精通していたエディの後でも臆することなく自身の審美眼に基づいた人選をしていることが凄いなと思いました。

アンソニーのサンローランでのキャリアは、この先、延べ10年に到達しても何ら不思議ではありません。

それだけ素晴らしいクリエイションを続けていると思います。

 

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という感じのパリ・コレクション雑感でした。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひごご覧くださいませ!

gap PRESS vol.180

2024.12.03.

Posted on 12.03.24

gap PRESSの最新号は、MILAN/NEW YORK 2025 Spring & Summer コレクション特集号です。

 

 

表紙は、マチュー・ブレイジーによるボッテガ・ヴェネタです。

 

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BOTTEGA VENETA

 

 

今期のテーマは“WOW!”

子供時代の自由な感覚と、思春期を経て変容し何者かになった自分自身をリンクさせ、過去と現実が夢の中で入り混じるような遊び心溢れるコレクションを披露しました。

秋頃に帰国してカットしに来てくださったアントワープ王立アカデミーを卒業したお客様が、エディがセリーヌを辞めるならマチューのいるボッテガ・ヴェネタに行きたいと言っていましたが、それだけマチューは面白い服作りをしているのだと思います。

ボッテガ・ヴェネタは、前任のダニエル・リーの時に一躍トレンドセッターのポジションへとブランドを導きましたが、その後を引き継いだマチューも素晴らしいクリエイションを続けており、ボッテガとしてはダニエルが去った危機を見事に乗り越えさらにブランドの価値を高め続けることに成功しています。

マチューも素晴らしいですが、経営陣の手腕も素晴らしいのでしょう。

 

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PRADA

 

プラダもラフ・シモンズの電撃的な加入以来、現在のモード界において常に注目を集める存在であり続けています。

「無限の現在」を意味する“INFINITE PRESENT”が今期のテーマ。

“有限のプログラムで構成された情報社会の構造と対をなす、人々の持つ無限の選択肢にフォーカス”しているらしいです。

近年のテクノロジーの進化や、なんだかちょっと量子学っぽさも入ってそうな考察ですね。

粒子のようにも波のようにも振る舞う不思議な性質を持つ素粒子やニュートリノなどを扱う量子学の世界では、“人々の持つ無限の選択肢”から選択した答えさえも遥か昔にその行動を起こすことが決まっているとも言われています。

2002年の映画『マイノリティ・リポート』では、犯罪を起こす人物を3人の予知能力者たちに事前に割り出させ、犯行前に拘束する犯罪予防局という仮想未来が描かれていました。

これは2054年を舞台にした作品ですが、もしかしたら現実には2054年に未来の犯罪者を割り出す役目をしているのは予知能力者ではなく最先端の量子コンピュータを搭載したAIかも知れません。

 

話が逸れてますが、このコレクションでラフが訴えたかったのはそんな未来の難しい話ではなく、SNSなどインターネットのアルゴリズムによってコントロールされた今の”有限”(マジョリティ)の領域から抜け出して、もっとみんな恐れずに自分の個性や感性を出すことでファッションに多様性や意外性を出して楽しんでほしいというような率直な思いなんだと感じます。

それは僕も共感するところがあります。

 

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Jil Sander

 

 

ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻がJil Sanderのクリエイティヴ・ディレクターに就任した2017年は、長年セリーヌで唯一無二の素晴らしいクリエイションを続けていたフィービー・ファイロがブランドを去った年でもありました。

当時のセリーヌは、世界だけでなく日本のアパレルブランドの中にもセリーヌのパターン(型紙)を真似るところが多くありました。

今の時代だと、ザ・ロウやこのジル・サンダーなどがそういう参考にされやすいブランドだと思います。

日本のファストファッションブランドのユニクロも近年、クリストフ・ルメールやクロエなどで活躍したクレア・ワイト・ケラーなどと契約を結び、それぞれのラインからコレクションを展開しています。

 

これらのデザイナーに共通するところは、そのクリエイションの根底が“ベーシック”であるということです。

モードの世界には、一部のファッション上級者にしか好まれなかったり着こなせないような洋服も毎シーズンたくさん発表されます。

その一方で、一般的な日常のベーシックファッションをアップデートさせたような洋服を作り続けているデザイナーもたくさんいます。その“ニュー・ベーシック”な服作りのトップにいるのが上に挙げたようなデザイナーたちです。

彼(彼女or LGBTQ+)らの作る洋服は、細部までこだわって作り込まれていますが、一般人の多くは(値段が高くなる代償として)そこまで望んでいなくて「もう少し手の届きやすい価格帯で同じようなデザインの服」を求めているわけです。

だから、それらのブランドのパターンを参考にしたようなブランドの洋服というのは多くの需要を見込めるので、それを真似したような服を作るブランドも多いんです。

 

フィービー・ファイロがセリーヌを離れた時、その顧客のうち少なくない人数がルーシー&ルークがデザイナーに就任したジル・サンダーに流れたと聞きました。

それだけ目の肥えたファッション愛好者たちを惹きつけるクリエイションだったのだと思います。

ルーシー&ルークのジル・サンダーでの仕事は、ストリートやクチュールライクな要素を積極的に取り入れるなど、これまでの“ニュー・ベーシック”の考え方にさらに多様性を持たせアップデートさせたもので、就任から7年が経過した現在においても新鮮さを失うことなく素晴らしいコレクションを発表し続けています。

 

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コレクション自体の説明というよりは側面的なお話が多くなってしまいましたが、今回はこれくらいで終わりにさせていただきます。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

VOGUE ITALIA N.890

2024.11.30.

Posted on 11.30.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

表紙はアメリカのシンガーソングライター, ラナ・デル・レイです。

何か新作が出るのかなと思って調べてみましたが、ちょっと前にコラボシングルが出てるくらいでした。

ってことは、ラナ・デル・レイはただ単に黒ずきんを被って笑っているってことですね。

表紙も素敵な笑顔を披露していますが、中のポートフォリオの表情の方が個人的にはより素晴らしいと思いました。

 

他の写真も少しご紹介いたします。

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この80年代のアメリカみたいな雰囲気の都市の質感も良いです。

 

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路上と船の構図の写真も面白かったです。

 

 

他にも素晴らしい写真がたくさん掲載されていました。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

Posted on 11.08.24

オランダ人写真家, Ed Van Der Elskenによる1956年に発表された写真集『Love on the Left Bank』の復刻版を手に入れました。

 

 

タイトルの『Love on the Left Bank』の邦題は、「セーヌ左岸の恋」です。

写真の雰囲気もタイトルも、まるでヌーヴェルヴァーグの映画のようです。

 

 

サン・ジェルマン・デ・プレでアンという女性と出会い、彼女とその周辺の若者たちの群像を撮影した傑作写真集。

 

 

 

 

 

 

 

 

現代と違って“洗練され過ぎていない時代”だからこそ滲み出る時代の空気感や生活感がそこにはあります。

写真集ですが、映画や小説をみた時のようなストーリー性を感じます。

 

とても素晴らしい写真集ですので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧になってみてください!

VOGUE ITALIA N.889

2024.10.22.

Posted on 10.22.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

表紙はイタリア出身の女優, モニカ・ベルッチです。

今や大女優ですが、彼女はもともとファッションモデルからキャリアをスタートしました。

ロケーションも彼女のファッションや雰囲気にも合ってて、とてもカッコイイです。

 

『モデル』、『ファッション(及びヘア&メイク)』、『ロケーション』

 

この3つの要素をハイブリットさせてどういう世界観を創り出すかというのが、ポートフォリオの醍醐味だと思います。

イタリアンヴォーグは、人類が創り出し得るファッション性において最高峰のものを創り続けているチームです。

 

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アメイジング…

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この各年代をイメージした作品もとても面白かったです。

 

 

個人的には、やっぱり2000s(特に左の3体)だけはだいぶチャラく見えてしまって、ちょっとアレルギーを起こしそうになってしまいます。。

 

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イタリアンヴォーグの編集もそれを見越してか、この後のページにはバチバチに格好良いティルダ・スウィントンの写真を持ってきていました。

 

 

「お口直しにどうぞ」ってこのページからメッセージが聞こえてくるようでした。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.888

2024.10.05.

Posted on 10.05.24

8月号と一緒に届いたイタリアンヴォーグ9月号をご紹介することをすっかり忘れておりました。

 

 

表紙はイタリア出身のモデル, Mariacarla Boscono、現在44歳です。

年齢を重ねても、全然変わらない個性と魅力がありますね。

 

 

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今号のテーマは、『ANNI DI STILE』(往年のスタイル)ということで、古いカメラで撮影されたような風合いの(本物思考のイタリアンヴォーグのことだから実際に古いカメラで撮影しているのかも知れません)クラシカルなポートフォリオが並んでいました。

 

 

 

 

 

 

どれも本当に素晴らしいです。

 

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もちろんモダンな写真もパーフェクトです。

 

 

 

 

 

この一冊でクラシカルもモダンも楽しめるなんて、テレビショッピングにでも出した方が良いんではないでしょうか。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.887

2024.09.15.

Posted on 09.15.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

しかも2冊同時に。

 

 

どういうことかと思ったら、輸送の遅延で2ヶ月分同時の納品になってしまったことをお詫びする紙が入っていました。

そこまで言われたらしゃーないです。

船で輸送しているとしても1ヶ月遅れるってどない言うこっちゃ、ヴァスコ・ダ・ガマの時代やないんやからと色々ツッコミどころもありますが、真実を知りたい気持ちをググッと我慢して本誌のご紹介をいたします。

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まず今回は遅れて届いた8月号から。

 

もう9月やないか。

 

でも良い表紙ですね。

被写体は、ジャック・ホワイトの元奥さんでもあるイギリス人モデルのKaren Elson(カレン・エルソン)です。

ロケーションは、イギリスのピカデリーサーカスですね。

モデルの個性やファッションのスタイリングも相まって素晴らしい構図。

 

アメ村の三角公園バックにパロッたろかしら。

でもやっぱりあの辺怖いしやめとこう。

 

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誌面の特集では、ロンドンを舞台に中国人モデルのYilan Huaとマッチアップしていました。

 

 

 

 

 

どれもロンドンの街を活かした見事な写真です。

ちなみに特集タイトルの『London Calling』はクラッシュのアルバムタイトルから引用していますね。

僕もスナップブログのタイトルとかで何度か使ったことがあります。

歴史的なアルバムは、タイトルも抜群にかっこいいものが多いです。

内容が良いから、そのタイトルも余計かっこよく感じるんだと思いますが。

 

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他の写真も少しご紹介いたします。

 

 

 

一番最初の右側の写真なんて、映画のタイトルクレジットが出てきた時の映像のようです。

シネマティックな写真で素敵ですね。

 

9月号は、また近々ご紹介いたします。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ。

 

gap PRESS MEN vol.77

2024.09.05.

Posted on 09.05.24

gap PRESS MENの最新号は、2025 Spring&Summer PARIS MEN’S COLLECTION特集号です。

 

 

表紙は、38年のデザイナー人生から引退することを発表したドリス・ヴァン・ノッテンによるラストコレクションのフィナーレ。

左の白髪の男性モデルは、38年前にドリスのデビューコレクションでファーストルックを務めた方だそうです。

今回のドリス自身が手がける最後のコレクションでも、ドリスは彼にファーストルックのモデルを任せました。

ドリスらしく、粋な演出です。

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DRIS VAN NOTTEN

 

ドリスは、今回の引退コレクションを迎えるにあたって、最後のコレクションを発表した後に引退を伝えるのではなく、先に引退を発表した後でコレクションを行いたかったそうです。

だからと言ってコレクションはこれまでの集大成的なものにするのではなく、あくまでいつも通り、クラシックを感じさせつつも時代の一歩先をゆくようなモダンで革新的なエレガンスの提案。

特別感も演出しつつ最後まで自身のスタイルを崩さない姿勢に、「だからドリスが好きなんだ」という気持ちを改めて噛み締めました。

 

僕が最初にドリスを買ったのは、まだ高校生の時でした。

当時買ってたコレクション誌(確かファッションニュース)でドリスを知って、このブランドの服が着たいと思いました。

当時は月に1回、バイトで稼いだお金を全部財布に詰め込んで田舎の淡路島から大阪まで買い物に出かけていました。

いきなりドリスの新品には手が出なくて、ブランド古着屋さんで見つけたシンプルなシャツを買いました。

今思えば僕には少しオーバーサイズだったし、特別そのデザインが気に入ったわけでもなかったのかも知れないですが、それでも雑誌でコレクションを見て憧れていたドリスの洋服に初めて袖を通した時の気持ちは、緊張と高揚感が入り混じった感覚で、自分にとってそれは今でも忘れない特別な瞬間でした。

 

美容師になって仕事を頑張って、今ではドリスの服も家のクローゼットにたくさんありますが、その全てが僕にとってはお気に入りで大切な洋服です。

長い間、素晴らしいコレクションと洋服をありがとうございました。

 

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RICK OWENS

 

 

リックも大好きなデザイナーの一人です。

商業性と効率性が重要視される今の時代、こんなにスペクタルなコレクションを行えるブランドがリック以外に存在するでしょうか?

 

前にも少し書かせていただきましたが、このショーには僕が担当させていただいていたお客様がモデルとしてランウェイを歩いています。

この春にフランスに行く直前にカットしに来てくれて、その3ヶ月後にリックのランウェイを歩いているなんて、本当にビックリしました。

 

僕自身はショーで使用されるような強烈なインパクトの洋服はあまり買いませんが、それでも比較的ベーシック寄りなリックの服を買い続けているのは、モードの世界の中で高い芸術性を追求しているリックの姿勢に感銘を受け一票を投じたいという気持ちもあるからです。

今は円安や物価の高騰もあって、リックの洋服はかなり頑張らないと買えないくらいの金額になってしまっていますが、今所有している洋服を大切に着倒しつつ(リックの服は本当に丈夫で長持ちします)、これからも良いなと思ったものは少しずつでも買えるように仕事頑張ります。

 

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ZIGGY CHEN

 

最近は中国からも面白いデザイナーがたくさん出てきています。

gapの誌面でZIGGY CHENが紹介されているのも嬉しく思いました。

ジギー・チェンは、アルチザン寄りのブランドです。

アルチザンブランドとは、多くのコレクションブランドのようにエレガンスを極めようとするのではなく、職人の手仕事によるトレンドに捉われない究極の服作りを目指しているブランドのことを指します。

コロナ禍で存続を断念したハイダー・アッカーマンというブランドがあったのですが、ハイダーはアルチザンとモードの境界線にいるような折衷主義の服作りが得意で、個人的にもとても好きなブランドでした。

このジギー・チェンの服作りは、少しハイダーを彷彿とするところもあります。

 

僕は、中国のブランドでは、UMA WANG(ユマ・ワン)というデザイナーの洋服が好きでたまに買います。

 

ユマ・ワンも、ジギー・チェンのもとで働いていたことのあるデザイナーですが、男性的な力強さを感じるジギー・チェンに対してユマ・ワンの服作りはより中性的です。

中国人デザイナーらしい独自性のあるデザインやテキスタイルと、その毒っ気を抗毒血清のように中和させる柔らかさを感じるディティール。そのバランス感覚が素晴らしいです。

 

これら二人の中国人デザイナーのように、自身が生まれ育った環境の土着性を持った服作りをするデザイナーが世界中から出てくるのは、とても面白いことです。

 

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今回、紹介した3つのブランドは、ラグジュアリーというよりデザイナーズブランドの毛色が強いです。

今の時代は大勢にとって共感されやすいものを選びたいというマインドの人のほうが圧倒的に多いと思います。

ですが、その潮流が強ければ強いほど、その傍らでカウンターカルチャーを生み出している人達の存在は貴重で魅力的に思えます。

 

少し前に心斎橋のシネマートが無くなると発表された時、とても悲しい気持ちになりました。

マジョリティではない文化に興味を持つ人の絶対数がそれだけ減ってきているのだと思います。

 

SNSで情報収集することが当たり前の時代に育った若い世代の人達も、SNSが普及したことで自身が興味を持つものも大衆的な流行に流されやすくなったと感じている大人世代の方達も、もっと多くの方々に誰もが知っているものだけではなく、決して目立たないけど文化的で他では出せない魅力や価値のあるものの存在をもっと知って興味を持っていただけたらと思っています!

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ。

Posted on 08.25.24

gap PRESS MENの最新号は、2025 Spring & Summer、ミラノ,ロンドンコレクション特集号です。

 

 

 

表紙のエレガントと軽やかさがミックスされた、シャツジャケットとショートパンツの華麗なスタイリングはサバノ・デ・サルノによるGUCCIのものです。

 

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GUCCI

 

新体制でのGUCCIもすっかり板についてきた感じですが、やはりアジアではもっとアイコニックだったミケーレ時代のGUCCIの方が売れたのでしょうか。

南国とエレガンスという相反する要素のハイブリットが素晴らしいです。

 

今の時代、モードって言ってもこういうコレクションとかまで見てる人はほんの一部で、SNSで流れてくるそれっぽいブランドの画像や動画なんかのイメージからなんとなく「こういうのがモードなんだろう」と思う人の方が多いだろうし、着想源に対するデザイナーの深い研究や素材に対する認識なんかはあまり重要視されなくなっているんだろうと思います。

だからこそ、常に新鮮なアプローチをしていたり、細部にまでこだわりが表れているようなデザイナーや作り手の仕事には賞賛と尊敬の思いで一杯になります。

 

 

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PRADA

 

ラフ・シモンズのシグネチャーブランドは終了してしまいましたが、こうしてPRADAでラフのクリエイションが見れることに対してミウッチャにも感謝しなければなりません。

 

1990年代後半~2015年くらいまでは、唯一無二の魅力を放つデザイナーズブランドも強い時代でした。

マルタン・マルジェラやアン・ドゥムルメステール,そしてドリス・ヴァン・ノッテンなどのアントワープ系デザイナーはモード界の第一線から身を引き、ハイダー・アッカーマンやクリス・ヴァン・アッシュを起用するメゾンも存在しません。

それどころかフィービー・ファイロやルカ・オッセンドライバー, クレア・ワイト・ケラーなど、もともとラグジュアリーメゾンでクリエイティヴな仕事をしていたようなデザイナーさえ、今は主要メゾンの仕事には就いていません。

モード界は、玄人好みされるようなニッチな服作りが評価される時代から、アイコニックでわかりやすくキャッチーな服作りが求められる時代へと変化しました。

 

僕は今もニッチな服作りをするデザイナーの方がやはり好きなので、今も第一線で活躍しているラフやリックのことは応援しています。

 

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【Pitti Uomo】PIERRE-LOUIS MASCIA

 

今季のピッティ・ウオモは、ゲストデザイナーにフランス出身のピエール・ルイ・マシアを選出しました。

先シーズン、CHLOEの新デザイナーに就任したシェミナ・カマリは、新時代の“ボヘミアン”スタイルをコレクションで発表し、現在のモード界に新しいトレンドを生み出しました。

今回のピッティがピエール・ルイ・マシアを選出したのも、その新しいトレンドをいち早くキャッチした上でのことだと思います。

クロエの提案したボヘミアンとはまた一味も二味も違いますが、こちらも全く新しい形でボヘミアンを取り入れたコレクションを発表しています。

ピッティもマシアも、ちゃんとモードしています。

 

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【SHANGHAI】BALENCIAGA

 

デムナ率いるバレンシアガは、スプリングコレクションの発表の場に中国,上海を選びました。

画像編集で写真を上下に引き伸ばしたような縦長のシルエット構成や厚さ18cmという巨大プラットフォームブーツは、上海,浦東の高層ビル群から着想を得たものらしいです。

なんてこった。

デムナの故郷であるジョージアのストリートのエッセンスと、どこか乾いた大都会のイメージ漂う上海のムードが見事に融合したコレクションです。

 

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という感じで今回のコレクション雑感は、これくらいで終わりにさせていただきます。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はカラーの放置時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 08.18.24

写真家,長島有里枝さんの名作『SWISS』が復刊されたということで、このタイミングで手に入れることができました。

 

 

なんと表紙のカラーは22色存在します。

鉄色と迷いましたが、やはりダークな色が自分の好みみたいで結局濡羽色を選びました。

濡羽色とは、なんだかアン・ドゥムルメステールを連想します。

 

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本書は、2007年にスイスのエスタバイエ・ル・ラックにあったVillage Nomadeのレジデンシープログラムに参加した際に撮影した写真と日記によって構成されています。

 

 

 

 

 

途中、チケットのようなものが挟んであったり、

 

 

日記の部分は、裏面の文字が透けるような紙質のものが使用されており、それが表の行間にうっすらと現れます。

 

とても素敵なアイデアと構成です。

 

花の写真もとても美しい。

 

 

 

これらの写真は、長島さんの亡くなった祖父の家から見つかった、25年ほど前に祖母が撮影し、箱に大切にしまっておいた花の写真にインスパイアされて撮られたものらしいです。

 

スマホを見ることに多くの時間を取られ、日々移り変わる景色さえもゆっくり観察する時間も取れる人が少ない現代にこそ、ゆっくり鑑賞していただきたい一冊です。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.886

2024.08.10.

Posted on 08.10.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

誰ww !!!

なぜイタリアンヴォーグの表紙に男性モデルが、、

右下にしれっとUOMOと書いていますが、メンズ版ヴォーグであるVOGUE UOMOとのコラボということでしょうか。

 

で、この表紙の人は僕は全く存じ上げなかったのですが、Bad Bunnyというプエルトリコ出身の著名なラッパーらしいです。

googleで検索した時出てきた画像がちょっと僕の真逆くらいのタイプそうだったのですが(耳のついた黒のニット帽に黄色いサングラスのやつだけは面白かったです)、一応利用中のサブスクサービスで検索して曲を聴いてみましたが、やはり僕の好みとはちょっと違って3曲目くらいで堪らず停止ボタンを押してしまいました。

好きな人いたらごめんなさい。

でも、曲はそこまで大っ嫌いな訳じゃなかったんですよ、キーボード打ちながらも3曲目まで持ったわけだし。

 

 

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Bad Bunny関係ないですが、この写真はとても好みでした。

 

ミヒャエル・ハネケやシャンタル・アケルマンを彷彿とする寂しげな退廃性をちょっとだけ感じます。

 

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今号には、オリンピックに関連したポートフォリオもありました。

 

 

 

 

ブロンドのモデルの写真が面白いですね。

今ちょうどオリンピックやってますが、真剣に準備している選手達の真隣でこんなふうに貴族階級の戯れのようにポーズ取ってる人がいたら爆笑してしまうと思います。

あの開会式のプランを決行したフランスなら決してできぬ訳ではない筈です。

取り急ぎ空いてるスペースでエキシビジョン競技を行うことについて会議していただきたいです。

 

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いつものイタリアンヴォーグらしい、まともな写真も少し載せておきます。

 

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 07.28.24

2020年にオランダの〈Eye Film Museum〉で開催されたシャンタル・アケルマンの大規模回顧展の図録『Passages』を手に入れることができました。

 

 

 

カバーワークからして構図も色彩も美し過ぎます!

この回顧展図録ではシャンタル・アケルマン自身によるテキストに加え、シリル・ベギン、ダナ・リンセン、ルース・ファン・デル・リントによるエッセイと、豊富な写真図版が収録されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンなら見てすぐにシーンを思い出す写真もたくさん掲載されていました。

やはりアケルマンのショットは絵になります。

 

個人的には、アケルマンの映画では『一晩中』という映画のショットが一番美しく感じました。

アケルマンの作品は、これまでなかなか観ることができませんでしたが最近になって作品のBlu-rayが発売されたり、一部のサブスクサービスで配信されたりと、多くの代表作は観ようと思えば観れる環境が整いました。

オススメ作品をいくつか挙げると、『ジャンヌ・ディエルマン』『一晩中』『アンナの出会い』『オルメイヤーの阿房宮』『囚われの女』『私、あなた、彼、彼女』などです。

 

最近は暑い日が続いて外出するのも億劫に感じる方も多いかと思いますが、ぜひ涼しい部屋でアケルマン映画も鑑賞してみてください!

 

本書はお店に置いていますので、ご覧になりたい方はぜひスタッフに一声おかけくださいませ。