WWD TREND BOOK

2025.11.12.

Posted on 11.12.25

今週のWWD JAPANは、2026 SPRING/SUMMERのトレンドブックとなっています。

 

 

表紙は、ジュリアン・クロスナーによるドリス・ヴァン・ノッテンのものです。

 

ジュリアンは2018年にドリス ヴァン ノッテンに入社し、ドリスと共にウィメンズコレクションのデザインと開発に関わってきました。

 

今シーズンは、ミラノでは“グッチ” “ヴェルサーチ” “ボッテガ・ヴェネタ” “ジルサンダー”が、パリでは“シャネル” “バレンシアガ” “ロエベ” “セリーヌ”などのメジャーブランドが新たなデザイナーによるデビューコレクションを発表しましたが、近年ではメジャーブランドのデザイナー交代劇が頻繁におこなわれています。

 

昔はメゾンのアイデンティティを継承しつつ前に進めるような人選が主流でしたが、近年はメゾンよりデザイナー個人のアイデンティティが全面に出たコレクションが発表されることが多いので、デザイナーが変わるとブランドが発表するコレクションもガラッと変わります。良くも悪くも。

 

今はSNSなどでもブランドの最新情報が誰でもいち早くキャッチできる時代になったので、ブランド側も少しでも多く新鮮な話題を出していかないとトレンドから置いていかれて売り上げにも影響が出るということなのだと思いますが、何事でもやりすぎは良くないような気がします…

 

ドリスは、他からデザイナーを招いてくるのではなく、創業デザイナーであるドリス本人のもとで共に服作りをしてきた人物をデザイナーに起用しました。

デザイナーの名前に今は“バリュー”はなくともメゾンのアイデンティティが継承されていく起用で、ドリスらしい考えだなと感じました。

 

この表紙のルックも素晴らしいですが、このドリスのコレクションを表紙に起用したWWD編集部の方も、僕と同じようなそういった受け止め方を持って、ドリス・ヴァン・ノッテンの新デザイナーとなったジュリアン・クロスナーにエールを送る気持ちで表紙に起用した意味もあるんじゃないかな、とかちょっと思ったりしました。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

 

Posted on 11.09.25

フランス人アーティスト,Stéphan Crasneanscki(ステファン・クラスニアンスキー)による作品集『WHAT WE LEAVE BEHIND/私たちがあとに残すもの』を購入しました。

 

 

 

本当は本作に序文を寄稿しているパティ・スミスのサインが入ってるサイン本のほうを死ぬほど欲しかったのですが、情報を得た時には既に売り切れてて、今回はノー・サイン本の通常版のほうを購入しました。

 

いつかパティ・スミスと街で偶然すれ違うようなことがあれば、この本にサインしてもらおうと思ってるので、普段から肌身離さず携帯しておこうと思います。

でも、本当にそんな奇跡が起こるなら、もっと欲をかいてパティ・スミスの詩集とか他の本にサインしてほしいです。神様、どうかお願いします。アーメン…

 

本書は、ジャン=リュック・ゴダールのアーカイブを題材に制作した作品『What We Leave Behind』を見つめ直し、1冊の本にまとめたものです。

 

箱、静物、コラージュ、ノートの4部構成から成っており、映画界の巨匠,ゴダールのアーカイブを探求するにあたり、作者はゴダールが個人的に収集していた短編映画,オープンリール,歴史的なエフェメラを撮影しました。

 

買いたてホヤホヤの状態なので、あまり折り目をつけたくなかったので、真ん中あたりに掲載されていたコラージュのページからいくつかご紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の“箱”と“静物”と“ノート”の写真は、ゴダールに興味ある人じゃないとあまり面白くない内容ではないかと感じましたが、この“コラージュ”のパートは多少なりとも芸術に興味のある方なら魅了されるような作品群ではないかと思います。

 

僕なんてここらへん見てる時に、見る用と保存用と布教用の3冊分追加で買おうかしらと血迷った考えが脳裏によぎったほどです。

 

もちろん、他のシークエンスも僕も含めゴダールが好きな方には大変興味深い内容となっておりますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧になってみてください。

 

 

東京で開催されている展覧会には行けなさそうなので、ネットで『ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ』展の公式図録を注文しました。

 

 

ペドロ・コスタ監督の映画は、どれも映像が芸術的で素晴らしいので、どこを切り取っても絵になります。

 

 

 

 

 

秋の読書に楽しみな一冊が増えました。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。

そして、ペドロ・コスタの素晴らしい映画作品も、ぜひご覧になってみてください!

VOGUE ITALIA N.900

2025.10.11.

Posted on 10.11.25

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

表紙は、アメリカ人の女優, マイキー・マディソンです。

 

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は観ましたが、『ANORA アノーラ』は観ていないので、個人的にはまだよく知らない俳優さんです。

 

でも、表紙のデザインが良いですね。

日本のメディアでちょくちょく見かけことがある、質問を投げかけられた相手が気の毒になるほど大の大人がとんでもない感覚のオファーをする感じで「“エモい”表紙にしてください」と、ほぼほぼ炭酸の抜けた生ぬるくてしかも体に悪いドリンクを何の悪気もなく勧めてこられた時みたいな無茶振りというか相手のクリエイティヴィティをまる潰しにするようなオーダーをされたとしても、イタリアン・ヴォーグならこれくらい圧倒的なクオリティで納品するだろう、というような仕上がりです。

 

長々とわかりにくくて、しかも不快な例を出して失礼いたしました。

石破首相の出した戦後80年所感を3回読み直して勉強してきます。

 

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その前に中身も少しご紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

表紙も素晴らしいですが、中身も素晴らしいです。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひ待ち時間などにご覧くださいませ。

KUNSTKAMERA

2025.09.09.

Posted on 09.09.25

現在、ヤン・シュヴァンクマイエルの新作映画公開に合わせて東京のGalerie LIBRAIRIE6で『エヴァ&ヤン・シュヴァンクマイエル博物誌』展が開催されているのですが、展覧会が月火休みということもあって行きたいけど観られそうにないなと思ってたところ、LIBRAIRIE6さんが展覧会の開催を記念して写真集『KUNSTKAMERA』を刊行してくださると聞いたのでこれだけは絶対に手に入れておきたいと思って、オンラインショップの発売開始時間にネットにかじりついて無事購入することができました。

 

 

先日、同名映画の『KUNSTKAMERA』を観た時、「これの写真集を出してほしい」と内心思っていたのですが、LIBRAIRIE6さんが実現してくださいました。

(欲をいえば、大迫力の大型写真集で作品全部を網羅したものを出してほしいと思っていますので、もしヤン・シュヴァンクマイエル本人と話す機会があれば、ぜひ本人をその気にさせていただきたいです)

 

 

カバーワークもいいし、本当に素敵な写真集を作ってくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

表紙に書かれているシュヴァンクマイエルの言葉をここでも紹介させていただきます。

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想像力は人類に与えられた

最大の贈り物である。

人間を人間らしくしたのは想像力であり、

仕事ではない。

すべての権力を想像力に!

想像力、

想像力、

想像力。

 

ヤン・シュヴァンクマイエル

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とても力強い言葉です。

そして、それがひとつの本質だと思います。

 

自分が好きな作家さんや芸術家,音楽家なども、作る作品にその人の“生き方”や“考え方”が現れています。

そういった個性の多くは、わかりやすい大胆なものではなく、内面には圧倒的な知識と溢れんばかりの情熱があったとしても表面に出てくるのはそこからこぼれ落ちたごく僅かなエキスから成っているものです。

それらには共感できるものも(ブッ飛んでて)できないものもありますが、そういった類のものこそが人間らしさだと思います。

 

今の世の中にインターネットがなければ、人の個性というのはもっと多様性があったでしょう。

今は、インターネットやSNSから入ってくる情報の影響で選択しているのだろうな、と思ってしまうような外見や身に付けるものの選択をしている人がたくさんいる時代です。

(とか言いつつ、僕自身が選んでいるものも好むのは少数派ではありますが、結局インターネットの情報の影響によるものと言わればその通りだと思います)

それはそれで尊重されるべき選択肢だと思いますが、その中にひとりの人間らしさを感じるかというとなかなか強くは感じにくいです。

 

情報を収集するのは良いことだし僕も好きですが、それをそのまま鵜呑みにするのではなく、自分のフィルターを通して自分の色をつけて吸収することで人間らしさや想像力の向上に繋がるのだと思います。

 

 

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写真集はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

 

ちなみに、本書は現時点ではオンラインショップでもまだ売り切れていないので(888部限定)、絶対欲しいという方はすぐに公式オンラインショップをチェックしてみてください。

http://librairie6.shop-pro.jp/?pid=188206996

 

 

VOGUE ITALIA N.899

2025.08.31.

Posted on 08.31.25

久々にイタリアンヴォーグが当店に届きました。

 

 

イタリアンヴォーグが届いた時は、いつもこちらでも紹介していたし、お客様のテーブルにもお出ししていたので、中には「もうイタリアンヴォーグの購読は辞めたのかな?」と思われていた方もいらっしゃったかもしれませんが、そうじゃなくて少し事情があったのです。

 

そのことについてこちらでも少し書かせていただきます。

当店がイタリアンヴォーグを定期購読するようになったのは今から15年くらい前で、その頃はまだフランカ・ソッツァーニが編集長を務めていました。

ヴォーグの編集長といえば映画『プラダを着た悪魔』でもモチーフとなったアメリカ版VOGUE編集長のアナ・ウィンターが最も有名だと思いますが、僕はイタリア版VOGUEを手掛けているフランカ・ソッツァーニの感性の方が余程素晴らしいと思っていましたし、業界に詳しい人達の認識も「世界最高峰のモード誌はイタリアンヴォーグ」というものだったと思います。

 

V:oltaをオープンして最初の頃は、海外の雑誌も取り扱ってる書店などで気に入ったモード誌を買っていたのですが、ファッションデザイナーをされているお客様にファッションやインテリア系の洋書籍に精通している代理店を紹介していただき、そこからイタリアンヴォーグやフランス版Numeroなどを定期購読させていただくようになりました。

うちに洋雑誌の案内を持ってきてくださってた担当の方も知識とセンスのある良い方で、僕の知らない雑誌も色々教えていただきました。

たまに余ったgap COLLECTIONS(一般販売されているgap PRESSではなく、業界人向けの2万円くらいするやつ)をくださったりして、本当に良くしていただきました。

 

ですが好きだった書店が無くなったり、雑誌や書籍も苦境の時代になっていく中で、こちらの代理店の関西支部がなくなることになり、お世話になった担当さんも会社を辞めることになりました。

とても残念な知らせでしたが定期購読は本社で引き継ぐとのことだったので、イタリアンヴォーグなどもそのまま続けて取らせていただくことにしました。

そこから年に1回、更新時期が近くなった時だけ会ったこともない本社の担当の方からお電話があり、こちらも継続の意思であることを伝えるということを何年か続けていました。

 

しかし去年の頭くらいから、世界情勢などの影響で配送が遅れているとの理由で到着が遅延したり2ヶ月分が纏めて届くというようなことも出てきました。

それは色んな事情があるだろうし仕方ないと思って、去年も定期購読の継続をさせていただいたのですが、今年に入ってついに雑誌が届かなくなりました。

それでもまあ、色々事情があるのだろうと気長に待っていたのですが、3ヶ月くらい届かないし連絡もないのはさすがにおかしいと思って電話したら、既にその会社は音信不通の状態になってしまっていました…

 

何があったんだと思ってネットで検索してみたら、その代理店に書籍を取り扱ってもらっていた出版社のホームページに「(その)代理店から納品が途絶えた方はこちらに直接連絡ください」とあって、僕の取っていたものとは違うかったのですが、何か事情を知ってるかもと思って連絡させていただきました。

そちらの出版社も代理店と急に連絡が取れなくなったらしく、詳しいことはわからないが書籍が届かなくなったお客様が困っていると思ってホームページで告知したとのことで、代理店はどうやら夜逃げのような感じで無くなったらしいと教えてくださいました。

僕が悲しく思ったのは、定期購読で前払いしていた分を損したということではなく、長年お世話になっていた代理店さんが突然何の連絡もなくいなくなってしまったということです。

 

海外のトレンドは今の時代アプリやSNSとかでチェックできるし、わざわざ高いお金払ってまで海外のフィジカルの雑誌を毎月買うなんて人は、センスのいいお金持ちか僕みたいに世間から見たらだいぶ拗らせている風に映っている人くらいしかいないのだろうから、海外の(それが世界最高峰のモードであったとしても)ニッチなカルチャーで生計を立てるということがどれほど難しいことかは理解できるし、それをわかっているからこそ応援していたところもあるので、最後に連絡くださったら労いの言葉と共に今までの感謝をお伝えしたかったというのが本心です。

 

 

そういうことがあって、慌てて海外モード誌を扱っている別の業者さんを探して契約したのですが、輸送や手続きなどの関係で購読が開始されるのがそこから3~4ヶ月後の今になったという流れです。

 

少し前に梅田の蔦屋書店を久々に訪れた際、洋雑誌のコーナーをのぞいてみたら海外のモード誌は韓国版のものがその一角を覆い尽くしていて、以前はそこに書店のクリエイティヴな姿勢をアピールするように数多く置かれていたフランスやイタリア,イギリスのカッティングエッジなモード誌はほぼ無くなっていました。

 

韓国版はK-POPのアイドルや人気俳優が表紙になっているので、その多くをファンが買うという需要で賄っているのだと思いますが、誌面の芸術性などのクオリティはこのイタリアンヴォーグやフランス版Numero,イギリスのアナザーマガジンなどの方が優に勝ることは言うまでもありません。

今、もしアセンスやスタンダードブックストアというような書店がまだ大阪に存在していたら、韓国版のモード誌だけを並べるなんてことは意地でもしなかったかも知れません。

(それをしないスタイルのお店が無くなってしまう世の中というのは、とても哀しいです)

 

LOEWEやDIORのバッグなんかでもアイコニックなものが日本でも人気を博しましたが、デザイナーが見てほしい評価してほしいと思うような商品は全く別のところにある訳です。

でも、そんな難しいことまでほとんどの人は興味を示さなくなっているし、もっと簡単で伝わりやすいものを好む世の中になってしまいました。

 

僕が生業にしている美容室、まして都心部のヘアサロンなんてものは、そういった世間のトレンドというものがもしかしたら書店以上に影響してしまう業種だと思うのですが、そんな時代にまたこんな世間と逆行するようなことを長々と書いても未だに潰れずに頑張れているのは、そんなスタイルの当店を支持して通ってくださっている顧客様をはじめとする多くの方が応援して支えてくださっているからに他なりません。

いつも感謝しております。ありがとうございます!

 

 

久々に届いたイタリアンヴォーグを開いて、やはり素晴らしいなと思いました。

(厚さはより一層ペラペラになってるように感じましたけれども…)

 

 

 

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ!

Posted on 08.22.25

パリのファッション博物館、パリ市立ガリエラ宮で現在開催中のリック・オウエンスの回顧展『Rick Owens, Temple Of Love』に合わせて作られた同名書籍。

 

 

表紙のミシェル・ラミーが美しいです。

リック・オウエンスの妻であり、公私に渡ってリックを支えてきたパートナーです。

 

 

本書には、リックのルーツ~最近のコレクションまで、その歴史が網羅されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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イギー・ポップ、クラウス・ノミ、デヴィッド・ボウイの3つのアルバムジャケットが並んだページもありました。

(クラウス・ノミが1万円札折り曲げた時の福沢諭吉みたいになってしまいました…)

 

この3つのジャケットに共通するのは、どれもドイツ表現主義であるということです。

僕も舞踏家のピナ・バウシュや映画監督のF・W・ムルナウなど、ドイツ表現主義に基づいたアーティストや作品は大好きなのですが、同様にリック・オウエンスにおいてもドイツ表現主義の影響を受けているクリエイションの部分に惹かれているのかも知れません。

 

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

gap PRESS vol.184

2025.05.23.

Posted on 05.23.25

gap PRESSの最新号は、2025-26 Autumn & Winter PARIS/LONDON特集号です。

 

 

今号の表紙は、“but beautiful 4…”をテーマにブランド設立35周年を記念するコレクションを行なったアンダーカバーのものです。

このジャケットは、2004年秋冬コレクションで発表されたものだそうです。

このコレクションは、フランス人のぬいぐるみ作家アン=ヴァレリー・デュポンの作品やパティ・スミスのスタイルからインスパイアされたものでした。

(パティのスタイルに関しては全然違うやんけと思う気持ちも少しありますが)

 

アン=ヴァレリー・デュポンのぬいぐるみは、子供が保育園に通い出した時に保育園のカバンに付けられるようにとキーホルダーになったタイプのものを購入させていただいたことがあるのですが、こんなの付けて言ったら保育園の先生たちに気持ち悪がられるとのことで一回も付けて行ってもらえませんでした。

 

今回もいくつかのブランドをピックアップさせていただきます。

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MIU MIU

 

まずは全盛期の中畑清ばりに相変わらず絶好調なMIU MIUから。

ミラノコレクション号をご紹介させていただいた時にも書かせていただきましたが、今のMIU MIUの快進撃の影にはダリオ・ヴィターレという人物がいました。

日本では最近不祥事を起こした芸能人たちが次々と表舞台から姿を消していますが、ファッションブランドにおいてもブランドイメージというのはマーケットを大きく左右します。

特に日本を含むアジアでは、“このブランドがオシャレ”(アホみたいな表現ですが)と世間に認知されていくと、不思議とそれだけでそのブランドのアイテムを欲しがる人が増えていきます。

 

まだスウェーデンのブランド,ACNE STUDIOSがファクトリーブランドだった頃(コレクションとかも発表してなかった時代)、ACNEのCEOの弟さんが当時本当にオシャレな人しか買ってなかったメゾン・マルタン・マルジェラのプレスをしている人(マルタン・マルジェラの去った当時のメゾン・マルタン・マルジェラがブランドイメージをほとんど落としていなかったのは彼女の存在が大きかったそうです)とつき合いだして、そのやり手の彼女がアクネを手伝いだしたことで一気に人気が出て、パリのファッションウィーク(パリコレと言わないようにしてます)にまで参加するようになりました。

 

今のMIU MIUの人気の出方は、当時のアクネ(ブランドの格や規模は全然違いますが)と少し似ているところがあるように思います。

デザイナーが変わったわけではないのに、ブランドに新鮮な息吹が感じられます。

これがデザイン・ディレクターを務めていたダリオによる力が大きかったのだとしたら、ダリオがデザイナーに就任したヴェルサーチェはどうなっていくのか、今から楽しみです。

 

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GIVENCHY

 

 

前任のマシュー・M・ウィリアムズ退任後、新しくアーティスティック・ディレクターに就任したサラ・バートンによるジバンシィでの初のコレクション。

 

前任のマシューはファッションを専門的に履修していないストリートカルチャー畑で育った人物で、モード界がストリートブームだった頃にジバンシィのデザイナーに就任しましたが、やはり知識や経験不足からくるスタイルの乏しさがストリートブームの終焉と共にわかりやすく露呈してきた感じでした。

どれだけセンスが良くとも、技術や知識が不足していれば長く活躍できないのは僕たち美容師の世界でも同じです。

その点で、アレキサンダー・マックイーンの右腕として彼を支え、マックイーンの死後はデザイナーとしてブランドを牽引したサラ・バートンはデザイナーとしての格が違います。

一気に服のクオリティが上がったように思います。

マシューもラグジュアリーではなく、自身の得意とする分野なら突出した才能を発揮できる人物なのだと思うので、この経験を糧に更なる活躍を期待しています。

 

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BALENCIAGA

 

 

2015年にバレンシアガのデザイナーに就任したデムナこそ、モード界にストリート旋風を吹き荒らした中心人物です。

デムナの直後、ヴァージル・アブローというもう一人のストリートファッションの天才がモードの中心に登場しますが、どちらが長い歴史のあるヨーロッパのモードの系譜の本質に近いかと言われたら、自分ならデムナを推したいです。

 

テクノロジー、サイエンス、カルチャー、ビジネス、デザインなど、現代社会をかたちづくる最先端のトピックを扱う雑誌,WIREDが去年ファッション特集号を出した時、同じコンデナスト社に所属するVOGUE編集長のアナ・ウィンターにWIREDでファッション特集を組む企画があると話したら、アナから「今のファッションのことならデムナに聞きなさい」と言われたとのWIRED編集長のコメントが書いてありました。

そのエピソードが今のモード界におけるデムナの影響力を表しています。

そのデムナも7月に発表されるオートクチュール・コレクションを最後にバレンシアガを去り、ケリング・グループの頂点に君臨するグッチのデザイナーに移籍することが発表されました。

売り上げの低迷が深刻なグッチの立て直しに、同グループのエース的存在であるデムナに白羽の矢を立てたのだと思いますが、デムナのディストピアな世界観はバレンシアガというメゾンと相性抜群に感じていたので、華やかなイメージのグッチでどんなディレクションをするのか、そしてそのクリエイションが本当にグッチのブランドイメージと上手くマッチするのか、楽しみ半分不安半分な気持ちでいます。(本当は不安2/3くらいです)

あかんかったら4シーズンくらいでバレンシアガ戻せばいいと思います。

 

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ANN DEMEULEMEESTER

 

2022年にアンがルドヴィック・ド・サン・セルナンをデザイナーに起用した時は、これまでのアンの世界観とは違ったものになっていきそうで(音楽で言うとアンはオルタナティヴな世界観だったのに、ヴィジュアル系に好かれるブランドにしたいのかと思いました)、アンに対する興味が一気に失せそうになったのですが、ルドヴィックを1シーズンで電撃解任した後デザイナーに起用したステファノ・ガリーチはアンのDNAであるオルタナティヴとアヴァンギャルドの精神を持った人物で、アン・ドゥムルメステール本人もブランドも大好きな僕は個人的にとても嬉しく思っています。

(先日、東京に行った時に表参道で偶然すれ違ったお客様でカメラマンのイム君は、少し前に仕事で来日していたガリーチを撮ったらしく「ルー・リードみたいな雰囲気だった」と言っていました。それを聞いて余計にガリーチを応援したくなりました)

まだ弱冠28才。

創業デザイナーが去った今のアンを正しい方向に導きつつ、ガリーチ自身もブランドと共にデザイナーとして大きく成長していってほしいです。

 

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という感じのコレクション雑感でした。

いつも好き勝手書いてるので、好みの違う方は気分を害される方もいらっしゃるかと思いますが、そういう方はすみませんがなるべく見ないようにしてください…

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

gap PRESS vol.183

2025.05.03.

Posted on 05.03.25

gap PRESSの最新号は、2025-26 Autumn & Winter MILAN/NY 特集号です。

 

 

表紙は、LVMHやケリングの二大グループが失速する中、MIU MIUと共にグループで絶好調のPRADAのコレクションのものです。

 

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PRADA

 

 

上記のモード界の二大グループが大きく売り上げを伸ばして成長していた頃(数年前)、PRADAグループは苦戦を強いられていました。

その頃は、コロナもあってモード界はベーシック回帰の大人っぽい服作りがトレンドでした。

ミウッチャ・プラダは長年、PRADAとMIU MIUというふたつのブランドを手掛けていましたが、そのふたつのブランドでもPRADAは大人女性の為のトラッドで本質的な服作り、対してMIU MIUは若い世代を意識したフレッシュでキャッチーな服作りと棲み分けがされていました。

ですが、大人びたスタイリングが主流となる時期が長くなると、MIU MIUも戸惑いながら大人びたデザインのコレクションを発表していくようになり、次第にPRADAとの距離が近くなってしまうことで、それぞれのブランドの魅力が伝わりにくい悪循環に陥っていきました。

そんな窮地のプラダグループに救世主となったのがラフ・シモンズの加入です。

PRADAにラフが加入したことで、今度は上品で大人なPRADAにデザイナーズブランド仕込みのカッティングエッジなデザイン性とユースカルチャーなアプローチが入って、とても新鮮な風が吹き込みました。

大人びたエレガンスとストリートの感性がハイブリットされ、PRADA自体も若返り、一気にトレンドセッターのポジションを奪います。

そしてラフに大いに刺激を受けたであろうミウッチャの手掛けるもうひとつのブランドMIU MIUも、その頃から一時の迷いから解き放たれたようにデザインに革新性が戻り、スマッシュヒットを連発していきました。

 

なぜ今回、PRADAの近況を改めて振り返るようなことを書いたかというと、MIU MIUとプラダグループの快進撃にはもう一人の重要人物がいたからです。

その人物のことは次のVERSACEのところに書きます。

 

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VERSACE

 

ブランドの創設者ジャンニ・ヴェルサーチェの妹で、ジャンニの死後20年にわたりVERSACEをデザイナーとして牽引してきたドナテラ・ヴェルサーチェの退任が先日発表されました。

その水面下では、いくつかの戦略的な動きがありました。

まず、ドナテラ・ヴェルサーチェの退任が発表され、それとほぼ同時に後任デザイナーにダリオ・ヴィターレという人物が就任することが発表されました。

このダリオ・ヴィターレは、直前までMIU MIUのデザイン・ディレクターを務めていました。

当店には、ヨーロッパのモードの最前線で仕事されているお客様も何人かいらっしゃって、その方達からMIU MIUの快進撃の陰にはこのダリオがいるということを聞いていました。

以前こちらで、MIU MIUの躍進には天才スタイリストのロッタ・ヴォルコヴァの存在が大きいと書きましたが、このダリオはMIU MIUにとってロッタ以上の存在なのかも知れません。

そしてその後、プラダグループによるVERSACE買収のニュースが発表されました。

つまりプラダグループは、新しく傘下に入るヴェルサーチェに(ミウッチャとラフ以外で)一番信頼のおける人物であるダリオを送り込んだということになります。

ヴェルサーチェが来シーズンどんなコレクションを見せてくれるのか、今から非常に楽しみです。

 

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JIL SANDER

 

 

 

2017年4月から8年に渡ってジル・サンダーのクリエイティヴ・ディレクターを務めたルーシー&ルーク・メイヤー夫妻も、このコレクションを最後に退任することが発表されました。

二人のクリエイションは相変わらず素晴らしいですが、他のメゾンのデザイナー交代劇の多くと同じく売り上げの低迷も今回の退任の背景にあったと噂されています。

JIL SANDERは、創業者のジル・サンダー自身もブランドから追放された歴史があります。

柳井社長、もしくはその側近の方々、もし万が一このブログを目にされたら、ぜひルーシー&ルークにユニクロコラボのオファーを出してみてください。

ルメール、クレアに加えてルーシー&ルークまで手駒にできれば、ベーシックファッションにおいては(それでもモード界には敵わないと思いますが)ユニクロが最強になる時代が本当に来るかも知れません。

 

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という感じのコレクション雑感でした。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 04.16.25

昨日のお休みは、久々に京都へ。

ちょうどKYOTOGRAPHIEも開催されている時期でしたが、今回のお目当ては二条城の二の丸御殿台所と御清所を舞台に開催されているアンゼルム・キーファー展を目掛けて行ってきました。

 

 

アンゼルム・キーファーは、ドイツを代表する現代アーティスト。

特にナチス・ドイツの過去やその後のドイツ人の集団的記憶と罪の意識を主題にすることが多く、戦後ドイツ美術において極めて重要な人物です。

 

 

本展のタイトルにもなっている『SOLARIS』は、ラテン語で“太陽”に関する言葉。

太陽はその光で地球にエネルギーを注ぎ込む存在であり、キーファーはこれまでもモチーフにしてきました。 太陽から自然の移り変わりのサイクルが生まれ、また宗教や哲学の出発点でもある。という意味が込められているそうです。

 

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僕が観に行った日は、小雨の降る曇り空の天気でしたが、キーファーの作品にはそれくらい湿った天気の方が合ってるのかなと思ったりしました。

 

 

庭園にそびえる高さ約9mの巨大な彫刻“ラー”

ラーは、エジプトの太陽神の名前です。

小雨の降る曇り空をバックに、「その気になれば、大地を全て沈めるほどの大雨だっていつでも降らすこともできるんだぞ」と言わんばかりの威圧感と迫力がありました。

 

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建物内に入っても最初に待ち受けている《オクタビオ・パスのために》に圧倒されます。

 

 

歴史ある二条城の空間とも合いなって、その場の空気さえもなにか独特なものに感じました。

 

近くで見ても凄い質感を出しているのがわかります。

 

 

内覧会でパフォーマンスを行った田中泯さんによる音声ガイドを聴きながら、素晴らしいロケーションと作品を堪能しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

展示されている作品は、一部を除いて自然光のみでの展示なので、人によっては天気の悪い日に行くと見辛いと感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、アンダーグラウンドな雰囲気の方が好きな僕にはこれくらいの曇り空での鑑賞の方がちょうど良い明るさに感じました。

 

図録は当日持ち帰ると実に重たいというのがこれまでの経験上わかってきたので、事前にオフィシャルサイトで購入しておきました。

 

 

図録を見るのは、実際に作品を見てからにしたかったので、今日から少しずつ復習してキーファーについて理解を深めていきたいと思います。

 

この後、映画館とKYOTOGRAPHIEの展示会にもひとつだけ行ってきたのですが、そのことも時間があれば後日少し書こうと思います。

キーファー展は、まだまだ開催されていますので、ご興味のある方はぜひ京都まで足を運んでみてください!

gap PRESS MEN vol.79

2025.04.04.

Posted on 04.04.25

gap PRESSの最新号は、2025-26 Autumn & Winter MILAN/LONDON/NEW YORK メンズコレクション特集号です。

 

 

表紙は、イラストレーター出身というキャリアを持つファッションデザイナー,Pierre-Louis Mascia(ピエール=ルイ・マシア)のコレクションのものです。

スカーフから始まったコレクションはライフスタイルブランドへと成長、そして24年ピッティ・ウオモの招待デザイナーとして初のランウェイショーを行ったことをきっかけにミラノの舞台でコレクションを発表するようになりました。

 

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Pierre-Louis Mascia

 

 

モード界からは最近、ドリス・ヴァン・ノッテンという巨星が表舞台から去りました。

ドリスは折衷主義なクリエイションを得意とするデザイナーでしたが、このピエール=ルイ・マシアの折衷主義のデザイン性とバランス感覚にも目を見張るものがあります。

東洋と西洋、そして時にエスニックな要素も感じさせつつ、世界観の異なるアイテム同士を上手くスタイリングしています。

テキスタイルのハイセンスな組み合わせのバランス感覚は、ドリスにも負けていないかも知れません。

生地感とかも実際に見てみたいですが、今こういうブランドを取り扱ってくれるセレクトショップが日本にどれだけ存在するのか…

コレクションのスタイリングは、古着好きの方にも参考になるものだと思いますので、ご興味のある方はぜひ全てのルックをチェックしてみてください。

 

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GUCCI

 

 

当時低迷していたGUCCIを一躍トレンドセッターの座に復興させたアレッサンドロ・ミケーレが退任した後、“GUCCI Ancora”の合言葉のもとサバト・デ・サルノが就任したGUCCIは装飾主義だったミケーレ時代から一気に削ぎ落とされ、俗に言う「クワイエット・ラグジュアリー」(なんじゃそれ)というモード界の新トレンドを生み出しました。

個人的にサバトのGUCCIは、洗練されたデザインでとても素晴らしいなと思って見ていましたが、今はそういうベーシックの革新性が売れる時代じゃないんですね…

サバト就任から売上はガクッと下がっていき、GUCCI経営陣は2年と経たない任期でサバトの解任を決断しました。

 

ここから少し余談になるし長くなってしまいますが、先日メゾン・マルジェラのデザイナーを退任したジョン・ガリアーノのドキュメンタリー映画を観ました。

ガリアーノは若い頃、その抜群のセンスと独創的な服作りでロンドンコレクションに登場すると瞬く間にモード界から大きな注目を集めました。

彼のコレクションを見たいという業界人は多くいましたが、“普段着”として着用するには難しそうなガリアーノの服の売れ行きは業界の評価とは対照的に芳しくないものでした。

ガリアーノは資金難の為、コレクションを発表することを諦めたシーズンがありましたが、アナ・ウィンターなどモード界きっての有志達が彼のコレクションをバックアップすることを表明し、ガリアーノはそのお陰でなんとか服作りができたという状態でした。

そんな「売れる服」を作ることや「お金儲け」に興味のないガリアーノをジバンシィのデザイナーに抜擢したのは現LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン グループ)会長兼CEOのベルナール・アルノー氏でした。

LVMHも今は「お金儲け」のイメージが強いですが、当時はこういった人選もしてきたんです。

ガリアーノはジバンシィのデザイナーに就任した1年後、矢継ぎ早にディオールのクリエイティヴ・ディレクターに昇格しました。

ガリアーノが本格的にモード界で名声を確率させたのはこの頃です。

 

今のモード界には、今一度、売り上げを最重要視してデザイナーの進退を判断するのではなく、高い力量や創造性を持ったデザイナーを重要視した人選をしていただきたいです。

でも、実績のあるデザイナーの代わりにまだ一般的には無名に若いデザイナーが起用されている交代劇も一方ではあるので、グループの中でもある程度バランスを取っているのかも知れませんね。

 

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Jil Sander

 

ジル・サンダーにおいてルーシー&ルーク・メイヤー夫妻が成し遂げた功績も素晴らしいものだったと思います。

二人が現職に就任した2017年は、モード界ではストリート旋風が吹き荒れている時期でした。

ヴェトモンやオフホワイトなど、ストリート直系のスタイルでモード界に殴り込みをかけてくるブランドが大きな注目を集める中で、ジル・サンダーはDiorなどラグジュアリー畑出身のルーシーとSupremeでキャリアを積んだストリート畑のルークという、両輪を持ったデザイナー夫婦に白羽の矢を立てました。

二人によるジル・サンダーは、ほぼ同時期にセリーヌのデザイナーを退任したフィービー・ファイロから、モードにおいて行き場を失った“ニュー・ベーシック”愛好者層の受け皿のような役割も果たしていました。

今回のジル・サンダー退任は、フィービー期のセリーヌの最後のように売り上げの伸び代に見切りをつけられてのものなのかどうなのかは分かりませんが、他のメゾンでまだまだ彼らのクリエイションを見たいです。

 

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という感じで今回のコレクション雑感とさせていただきます。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

gap PRESS MEN vol.78

2025.03.22.

Posted on 03.22.25

gap PRESSの最新号は、2025-26 Autumn & Winter PARIS メンズコレクション特集号です。

 

 

表紙は、スパイク・ジョーンズが手掛けた映画『かいじゅうたちのいるところ』からイメージしたというsacaiのコレクションのものです。

 

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sacai

 

 

阿部千登勢さんがデザイナーを務めるsacaiは、生粋の日本のブランドです。

もともとはニットが得意なブランドで、僕もsacaiがまだコレクションとかしてなかった駆け出しの時代にニットを購入したことがありますが、とても面白い素材の使い方をしてて当時愛用していました。

その頃は、まだkolorなどを手掛けていた旦那さんの阿部潤一さんの方が断然有名で、商業的にもkolorとsacaiでは格差があったと思います。

ですが、ヨーロッパで広く受け入れられたのは結果的にsacaiの方でした。

 

コレクションを見ると日本人からすれば、sacaiはヨーロッパ的なデザインに思う方の方が多いかも知れませんが、ヨーロッパの人達からみればsacaiのクリエイションは“ジャポニズム”だと見られるわけです。

西洋のルーツでは出せない独特の感覚がsacaiにはあって、それがパリでも面白いと評価されている大きな要因です。

僕、個人的には折衷主義でもドリス・ヴァン・ノッテンのようなよりクセの強いブランドに魅了されていたので、sacaiの洋服はそれ以降買わなくなりましたが(今の方が当初より良くも悪くもコンテンポラリーになったというのもあります)、今ではsacaiはパリでも世界のバイヤーが注目する日本を代表するブランドのひとつに成長しました。

 

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LOUIS VUITTON

 

 

sacaiもそうでしたが、ここでファレルのヴィトンを取り上げるのも初めてです。

今シーズンは、KENZOやHUMAN MADEでデザイナーも務めるNIGOとコラボレーションしてのコレクションを発表。

ファレル・ウィリアムスもNIGOも、完全にアメリカンカルチャーをバックボーンとするクリエーターで、ヨーロッパのファッション史の長い歴史を継承しながらさらに新天地を開拓していくパリコレクションの舞台では、少し前の時代までは彼らのようなタイプの人物はパリコレのトップブランドにはいませんでした。

彼らが今、パリの主要メゾンのデザイナーに起用されているのは、ルイ・ヴィトン メンズデザイナーの前任である故ヴァージル・アブローの功績が大きく影響していると思います。

特にファッションにおいては強い自信とプライドを持っているヨーロッパの文化を中心とするモード界において、アメリカンカルチャーをパリに本格的に持ち込んだヴァージル(その少し前にGIVENCHYでアメリカンカルチャーを取り入れたコレクションを発表したリカルド・ティッシの存在も大きかったです)はあまりにも偉大だったと思います。

 

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DIOR

 

 

上でファレルやNIGOの話をした時により先駆者のキム・ジョーンズがおるやんけ、と思われた方もいらっしゃるかも知れません。

キム・ジョーンズは、NIGOなどが牽引していた90’s当時の日本の裏原ブームにもバックボーンのあるデザイナーですが、キムの提案するストリートスタイルは気品があって口の中でとろける高級チョコレートのようにラグジュアリーブランドでも浸潤するものでした。

キムは今シーズンでDIORを退任することが既に発表されました。

モード界はきっと彼を無職で放っておかないと思うので、近いうちにまた別のブランドに就任するニュースがあるかも知れません。

DIORでのキムのキャリアも本当に素晴らしいものでした。

 

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という感じのパリコレ雑感でした。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.892

2025.01.30.

Posted on 01.30.25

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

リカルド・ティッシのGIVENCHY時代を彷彿とするくらいマッチョな表紙です。

一瞬UOMO(VOGUEのメンズ版)が届いたのかと思いましたが、この表紙で間違いなくイタリアンヴォーグでした。

なんてことだ。

 

中の写真も少しご紹介いたします。

 

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この鏡を駆使したポートフォリオが面白かったです。

 

 

 

鏡を使うこと自体はあるあるなんでしょうけど、その手法で一目見て違いのわかる作品を作れるところが本当に凄いです。

 

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このちょっとだけサスペリア風の写真も構図がお見事です。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

 

 

VOGUE ITALIA N.891

2025.01.07.

Posted on 01.07.25

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

コロナもひと段落したので、オンラインではなくフィジカルを楽しみましょうと言っています。

 

確かに、最近はおしゃれして出かけようと思うようなイベントや場所がかなり少なくなってきているように思います。

昔は、百貨店やファッション施設なども頑張っておしゃれしてないと入りづらかったです。

高校生になって間もない時、モードなファッションに対する興味が強くなって色んなブランドのオンリーショップやセレクトショップに行きたかったのですが、そこに着ていく服を持っていなくて詰んだ記憶があります。

昔はメルカリはおろかインターネットさえロクに使えない時代でしたから…

 

でどうしたかと言うと、まずブランド古着のお店をいくつか回って全身一式を揃えて、その服を着てY’sとかアニエス・ベーとかに行って新品の服を買って、その服を着てようやく百貨店やセレクトショップに引け目なく行けるようになりました。

今は百貨店もそんな敷居の高い場所ではなくなりました。

 

それから長い歳月が流れた現在、例に漏れることなくおっさんとなった今の僕が一番おしゃれして出かけようと思う場所が美術館です。

もちろん日々のファッションも好きな服を着て楽しんでいますが、美術館や博物館に行くときは特にお気に入りのファッションに身を包んで出かけたいなという気分になります。

 

前置きが長くなりましたが、誌面の写真をいくつかご紹介いたします。

 

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2025年もファッションを楽しみましょう!

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

gap PRESS vol.181

2024.12.15.

Posted on 12.15.24

gap PRESSの最新号は、2025 Spring&Summer PARIS/LONDON コレクション特集号です。

 

 

表紙は、GUCCIから移籍したアレッサンドロ・ミケーレによるファーストコレクションとなるVALENTINOのものです。

 

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VALENTINO

 

 

前任のピエールパオロ・ピッチョーリは、現在DIORのクリエイティブ・ディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリと共に低迷していたかつての名門,ヴァレンティノを見事に復興させました。

当時から既に素晴らしい才能を持った2人が手を組んでクリエイションを指揮したのですから、それは当時のヴァレンティノのコレクションというのは圧倒的なものがありました。

デザイナーの片方,マリア・グラツィア・キウリが抜けた後も、ピエールパオロ・ピッチョーリは自身の持ち味である端麗で格調高いコレクションを発表し続け、ヴァレンティノの価値を維持していました。

 

そして、その時代を経てのアレッサンドロ・ミケーレ就任。

ピエールパオロ時代の厳格さとは打って変わってミケーレらしい装飾主義的なコレクションでしたが、こちらもヴァレンティノのレガシーをちゃんと感じられるもので、やはりミケーレの才能は素晴らしいなと改めて感じるものでした。

 

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MIU MIU

 

 

MIU MIUは快進撃を続けています。

ここ日本でもアパレルが売れていると聞きます。

バッグや小物ではなくアパレルが売れるブランドというのは、それだけファッショニスタの人達にコレクションが支持されているということです。

先日、fashionsnap.comの記事で、現在MIU MIUのスタイリングやキャンペーンを担当しているスタイリストのLotta Volkova(ロッタ・ヴォルコヴァ)が取り上げられているのを見ましたが、今のMIU MIUの成功の影にはロシア人スタイリストのロッタの存在があります。

 

セントラル・セント・マーチンズでアートとデザインを学んだ彼女は、デムナ時代のVETEMENTS(ヴェトモン)でスタイリストだけでなくモデルのキャスティングやコレクションのコンサルティングも行い、ブランドの躍進に大きく貢献しました。

今のモード界においてもキーマンとなっている人物だと思います。

ミウッチャとロッタの黄金のコンビネーションが続く限り、MIU MIUは魅力的なコレクションを発信し続けてくれるでしょう。

 

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SAINT LURENT

 

 

最後にもうひとつくらい取り上げて終わりにしようと思って、どれにしようかと考えたのですがヴァカレロのサンローランについて少し書くことにしました。

 

アンソニー・ヴァカレロがサンローランのデザイナーに就任したのは、前任エディ・スリマンの後任としてでした。

エディはその後、CELINEのクリエイティヴ・ディレクター(正確にはアーティスティック、クリエイティブ&イメージディレクター)に就任し、メンズを立ち上げ、セリーヌの飛躍にも大きく貢献しました。

先日、エディがセリーヌの同職を退任するというニュースがありました。

その任期は7年間に及ぶものでした。

 

その間もアンソニーはサンローランで素晴らしいキャリアを築いてきました。

エディのようなカリスマ性まではないし、話題性もそんなに大きなものではないのかもしれませんが、アンソニーはデザイナーとしてとても優秀な人物に映ります。

就任当初は、エディ・イズムを受け継ぐようなスタイルにブランドを導くのかな、とも思ったりしましたが、長く見続けるほどにヴァカレロの色やスタイルというものがエディとは明確に違っているのだということを理解できるようになりました。

ヴァカレロがサンローランで立ち上げたアートやカルチャーのプロジェクトでも、エディともまた少し違った趣味趣向のアーティストやデザイナーを取り上げており、カルチャーにも精通していたエディの後でも臆することなく自身の審美眼に基づいた人選をしていることが凄いなと思いました。

アンソニーのサンローランでのキャリアは、この先、延べ10年に到達しても何ら不思議ではありません。

それだけ素晴らしいクリエイションを続けていると思います。

 

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という感じのパリ・コレクション雑感でした。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひごご覧くださいませ!