Posted on 09.03.22

gap press MENの最新号はパリコレ特集号です。

 

 

表紙は、もうコレクション見てなくともどこのブランドのものかわかります。

(見てますけども)

この悪趣味スレスレのスタイリング。

90’sのダサいトレパンを彷彿させるかのような鮮烈な赤パンツ。

上半身はセンス抜群のモダン・フォーマル・エレガンス・スタイルで、まるでパンツは絶対に写ってはいけないリモート勤務の商談かのようなメリハリの効いた着こなし。

 

そんなミッション・インポッシブルなスタイリングを成立させることができる唯一のデザイナー,ドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションのものが表紙を飾っています。

 

 

とは言っても(僕が年老いていっているせいか)ドリスも年々デザインが派手になってきている印象があります。

だから探すんです。

色とりどりに輝く宝石の山のようなコレクションの中から自分が着たいと思うものを。

 

それが本来、モードの楽しみ方だったと思います。

今はSNSなどで誰かが着用していたりバズっていたりするものを皆が欲しがる時代になってしまいましたが、個人的には高いお金を出してハイファッションの洋服を買うなら、なるべく人とは被らないもの、そして誰の基準でもなく自分の基準で良いなと思えるものを買いたいという考えで、今までモードと付き合ってきたつもりです。

 

僕はデザインが気に入っただけじゃ服は買えないタイプで、その服を作っているデザイナーの生き方や考え方という要素もとても大切に見ています。

 

話が逸れて恐縮ですが、コロナ禍の時に人生で初めてSupremeの洋服を買いました。

僕が大好きなバンド, My Bloody ValentineがSupremeとコラボして商品を出して、しかも本来なら朝から行列に並ばないと手に入らないものがコロナ禍ということもあってオンラインでも販売されるということで、その発売時間にたまたまパソコンの前にいた僕は「そういえば」と思い出してふとSupremeのホームページを開いてみたらまだアイテムが残ってたのでシャツを一枚購入したのですが、結局今の今までそのシャツは着ることはおろか一度も袋からも出していません。

Supremeというブランド自体は大変魅力のあるものだと思いますし、もはやカルチャーのひとつになっているほどの存在ですが、やはり「自分じゃないな」という気がして着ることを躊躇してしまっています。

もっとフランクに服と付き合える性格だったならともたまに思いますが、それならこれまでの自分自身の生き方や考え方(そんな大したものじゃないんですけど)そのものを否定することになってしまうので、Supremeのシャツは今後も多分着ることはないんだろうなと思います。

 

今年引っ越しをした際に、今まで買って増やし続けていた洋服をある程度(泣く泣く)処分したのですが、ドリス・ヴァン・ノッテンの服は結局一枚も処分できませんでした。

ドリスのコレクションを見ていると一見スタイリングが若くも見えますが、そこには年齢を重ねても着続けることができる洒脱で計算されたデザイン性があるのだと思います。

ドリスの服を買った時は「この服と一緒に年齢を重ねたい」という思いがより一層強いです。

 

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CELINE by HEDI SLIMANE

 

僕は音楽が好きで、その中でも特にインディロックは大好きなのですが、エディ・スリマンがディオール・オムを立ち上げた時、そのモードなメンズファッションとインディロックの融合を強く感じるコレクションを見て一瞬で虜になりました。

 

今、CELINEを買う人の中にはYouTuberみたいな目立ちたがりの人もたくさんいると思いますが、エディのスタイルの根幹にあるものは今もインディロックの精神であることは揺るぎありません。

そこを理解してCELINEを買っている人は、購入層の1/300もいればいい方なのではないでしょうか。

 

エディ自身もDIOR HOMMEの頃よりも今のほうが(過去のニッチなムーヴメントの知識も掘り下げており)更にロックに精通していると感じています。

DIOR HOMME, SAINT LAURENT, そしてCELINEと、どのメゾンに雇われようがエディはエディだなと思わせるクリエイションやその一貫した姿勢は本当に素晴らしいです。

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RICK OWENS

 

 

ブレないと言えば、Rick Owensもマジでブレないです。

コレクションを発表しているブランドで、一番芸術性が高いのはリック・オウエンスだと個人的には思っています。

僕はアルチザン系の洋服も買っていた頃もあって、広告も打たずコレクションも発表しない代わりにその全精力と資金を服作りに注いでいるアルチザン・ブランドの作る商品は、ラグジュアリーブランドとは一線を画した素晴らしいものがあります。

特によく買っていたm.a +のものは、今も変わらず着ています。

財布もm.a +の一枚皮のものを、もう10年近く使い続けています。

コレクションブランドのアイテムは買った時が最も魅力的だというものがほとんどですが、アルチザン系のアイテムは使えば使うほどに愛着とともに味が出てきます。

m.a +の財布は、これから先も長く使い続けると思います。

 

Rick Owensは、一定の格と知名度のあるコレクションブランドの中では、最もアルチザンの精神があるブランドだと言えます。

服好きの中ではリックをきっかけにアルチザン系のブランドにも興味が出て知識を増やしていく方も少なくないと思いますし、そういう意味でもRick Owensがパリコレで新作を発表し続けていることでもたらされているモード界への貢献度というものは潜在的にもかなり大きなものだと思っています。

 

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という感じのパリコレ雑感でした。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 08.26.22

gap PRESSの最新号は、2023 S/S MILANO,LONDON号です。

 

 

 

最近、僕自身はファッションやモード熱というものが益々薄まっています。

長年パリコレを見てきたというような方では、同じような思いを持つ方も多いのではないでしょうか?

素人の意見ですが、その原因となっているようなことは、すぐにいくつかは思いつきます。

 

まず、近年モード界自体のあり方が大きく変わったと思います。

今から10年くらい前と現在とでは、ハイブランドのターゲットとなる層が大きく広がりました。

それは、各ブランドが毎年前年比を上回るような売上を目標にすることで、玄人を唸らすようなアイテム作りより、“売れる”アイテム作りを優先させるクリエイションに繋がってしまっている部分が少なからず出てきてしまっていると思います。

 

次に、現代社会において直近の課題となっている地球環境問題や人種やセクシャリティなどの差別問題、動物愛護の観点からの問題など、モード界にも様々な規制が敷かれるようになっているというん現実があります。

モード界やラグジュアリー界の企業やブランドというのは、そもそもカッコつけです。

そして、買う側も所詮金持ちのカッコつけです。

 

だから「ウチは社会問題に率先して取り組んでいますよ」という姿勢を前面にアピールするようなことはクドイくらいにします。

毎年シーズン毎に大量の新作アイテムを市場に投下して、これまた大量の廃棄を出してしまうという、そもそもの在り方がサステナブルとは程遠いアパレルブランドがそれを声高々に発するのだから、余計シラけてしまいます。

 

モード界にステラ・マッカートニーというブランドがありますが、このブランドは他のブランドが高級な毛皮やエキゾチックレザーなどをコレクションで発表しまくっている頃から動物性の素材は一切使わず、エコレザーで代用したアイテムを発表していました。

今はどのブランドでも動物性の素材はモラルの問題から使いづらくなっていますし、モード界の主要ブランドも「毛皮やリアルレザーは使わない」と発表するような時代に変わりましたが、それなら一貫してリアルレザーを使ってこなかったステラ・マッカートニーの考え方がファッション界全体でもっとフォーカスされても良い気がしますし、時代の流れで考え方を変えていったブランドはリアルレザーを廃止する際に“ステラ・マッカートニーさん、あなたの爪の垢を煎じて飲ませてください”くらい書いたメッセージTシャツをショーのファーストルックに持ってくるくらいすれば潔くて良かったのに、と思ったりなんかします。

 

そもそもパリやミラノでコレクションを発表するようなデザイナーは、世界最高峰のデザイナー達です。

それらの人達だけでも服作りにおいては“歴史”や“芸術”として扱い、クリエイションの足枷になるような制約は取っ払ってあげてほしいです。

 

地上波のテレビなんかも全然面白くなくなったのは、過剰過ぎる規制によるものもあると思います。

同業者から一目置かれるような面白い芸人さんとかでも、その人が考える一番面白いことができるのは今の地上波ではないと思います。

それと同じようなことが、パリコレやミラノコレクションの舞台ででも起こっています。

 

また以前のようなデザイナーの生き様が強烈に反映された刺激的なコレクションが見れるなら、自分なんかの大して役に立たない庶民は、喜んで日頃から質素でエコロジーな生活を心がけます。

ファッションで夢を見せてくれる方が(たとえその洋服が買えなくても)、高級車に乗るよりも余程幸せな気分になります。

 

で、ここから態度を一転させて、本誌に掲載されているブランドのことを今から褒めるんですけど、そこは暖かく目を瞑って許してください。

 

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ETRO

 

 

 

まずは本誌の表紙にもなっているETRO。

もう、ちゃん付けしたくなるくらい良いです。

ETROちゃん。

 

ETROの柄っておっさんくさいイメージを持ってる方も多いと思いますし、実際そのような良くも悪くもETROらしいデザインのアイテムは今も店頭に並んでいるのだと思いますが、本コレクションではモダンで洗練されたルックに目を奪われます。

他のブランドがデザイナーを変えまくっている中、ETROは創業者の次男キーン・エトロが長年ブランドを牽引しています。

そういうブランドほど“バズらない”んですけどね。

 

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ZEGNA

 

 

 

こちらも落ち着いた大人のブランド、ゼニア。

もともとミラノコレクションは、トレンドの最先端であるパリと比較して、流行に流されすぎない“大人のスタイル”を提案するブランドが多かったんです。

それが最近では、ミラノでも多くのブランドが「もっとキャッチーで栄えるものを」という風に方向転換するものだから、ギラギラしたくない大人男性達は最終的にエルメスかユニクロしか買うものがなくなってしまうんじゃないかという脅迫観念に怯えている今日この頃なのですが、ゼニアは第三の選択肢を与えてくれています。

まあ、だいぶとエルメス寄りの価格帯ですけどね。

 

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ラストはロンドンから。

J.W.ANDERSON

 

「信じられないだろ? LOEWEのデザイナーがやってるブランドなんだぜ、これ」

(by ちょっと、ちょっとちょっと)

 

ということでLOEWEは最近日本の百貨店ではマルジェラの次にバズってると聞きますが、もともとJ.W.アンダーソンはとても実験的な服作りをするデザイナーです。

マルタン・マルジェラもエルメスのデザイナー時代は、自身の哲学を反映させながらもちゃんと“エルメス”らしいデザインに仕立てていました。

 

現在PRADAを手掛けるラフ・シモンズにしても、自身のクリエイションに一貫性がありつつもそれなりの柔軟性と自在性を併せ持ったデザイナーはとても希少で優れた人材なのだと思います。

 

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ということで、今回はこれくらいで終わりにさせていただきます。

本誌はお店に置いてありますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.863

2022.08.24.

Posted on 08.24.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

 

今号のテーマは『ANTIDIVA』

エモーショナルで挑戦的なテーマです。

 

起用されているモデルはイタリア出身の女優, Matilda De Angelisです。

彼女はルネサンスを舞台にしたWOWOWのドラマ『レオナルド ~知られざる天才の肖像~』に出演しているらしいです。

本誌のポートフォリオもそれに関連させたようなルネサンス調の世界観で、とても素敵なものでした。

 

 

 

このポートフォリオ群の中に“ANTIDIVA”を紐解く鍵が隠されているのかも知れません。

 

 

他の写真もいくつかご紹介します。

 

 

 

 

 

ご興味のある方は、待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.862

2022.07.16.

Posted on 07.16.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

 

表紙は、アメリカの女優, Zendaya(ゼンデイア)です。

 

僕はこの人のことを全然知らなかったのですが、少し調べてみたらどうやら曲も出しているらしく、ポップカルチャーの人っぽかったです。

 

長年イタリアンヴォーグを牽引してきたフランカ・ソッツァーニが亡くなって、今の編集長に代わってからイタリアンヴォーグでもこういう人選が増えてきたように感じています。

誌面や撮影はアーティスティックなんで別にいいんですけど、ちょっぴり残念な気持ちになります。

エンタメと芸術は別物で、イタリアンヴォーグはファッションにおいて芸術の域に達している数少ないモード誌だと思うので、企画の人達もそういう自覚をもっと強く持っていただきたいです。

 

Dazed & Confused や AnOther Magazineという媒体は、芸術というよりカルチャー寄りですが、その点においては自分達のやるべきことをしっかり理解してモデルの人選や誌面構成を行っていると感じます。

 

肝心要のモード界の主要ブランド(特にラグジュアリー)が軒並み商業主義に舵を切っているのに比べると、イタリアンヴォーグのブレ方はそれでもだいぶマシな方だと思えますけどね。

 

関西の某メンズ館は、最近日本で一番客層が悪いとの噂を聞きます。

リックやドリス, ハイダー(ハイダーは現在ブランドが休止中ですが)などのセレクトもなくなり、もはや真のファッション好きが行くような場所ではなくなったのだと思います。

(それに比べると、おもんなパルコの方がまだマシに思えますが、相変わらず面白くないので僕はそっちも息子のウルトラマン(というかそれに出てくる怪物)のソフビを買いに行くくらいしかあまり出向かないです)

僕も本館の地下の菓子・惣菜売り場くらいしかペルソナカードを使わなくなりました。

早く解約したいです。

 

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故野村監督ばりのボヤキはこのくらいにして、誌面も少しご紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

写真のクオリティはさすがです。

いつも勉強になります。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにご覧くださいませ。

VOGUE ITALIA N.861

2022.06.17.

Posted on 06.17.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

 

今号のテーマは『MEDITERRANEO』

 

イタリア語で地中海という意味です。

誌面にも夏らしくバカンスを感じさせるような素敵な写真がたくさん掲載されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに本誌とは全然関係ないし全くもってどうでも良い話ですが、僕は少し前にエリック・ロメールの『夏物語』を観て、少し早めの夏気分を味わいました。

ロメールの映しだす南フランスの夏景色はとても魅力的なものでしたが、本誌をみてると地中海のロケーションも良さそうです。

 

早くコロナ前と同じように、世界中を旅できるようになればいいですね。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.860

2022.05.20.

Posted on 05.20.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

 

表紙はプエルトリコ出身のモデル, Joan Smalls です。

現Burberryのデザイナーを務めるリカルド・ティッシが、スマッシュヒットを連発していたGIVENCHY時代に抜擢したモデルです。

 

東洋の神秘を感じさせるような、LOUIS VUITTONのドレスもとてもカッコイイです。

 

 

中の写真も少しご紹介いたします。

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ロバート・メイプルソープにインスパイアされたような花と人物のポートフォリオがありました。

 

 

メイプルソープの花びらのポスター写真を家に飾られているお客様が「メイプルソープが撮る花は、アーティスティックで官能的なんだ」と仰られていましたが、自分もそう思います。

これらの写真もメイプルソープには及ばないですが、どこか官能的な雰囲気を感じます。

花という生き物自体がもともとそういう性質を持っているのかも知れないですが。

 

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これらの写真も花を連想させます。(実際に使ってるものもありますが)

 

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これらの写真は、ラフが解釈したデヴィッド・リンチっぽい世界観でした。

(PRADAの洋服が使われていた訳ではありませんが)

 

 

 

という感じに、いくつかご紹介させていただきました。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

gap PRESS vol.166

2022.05.19.

Posted on 05.19.22

gap PRESSの最新号が届きました。

今号は、2022-2023 秋冬 パリ・ロンドン特集号です。

 

 

表紙は、不死鳥のように蘇ったミウッチャ・プラダによるMIU MIUのコレクションのものです。

 

 

現在、Y2Kファッションというのがモード界のトレンドのひとつとなっています。

Y2Kファッションの大きなターゲットのひとつはZ世代です。

 

Z世代とは、概ね1990年代中盤から2010年代序盤に生まれた世代を指し、これらの人達は若い頃からインターネットやスマートフォン, SNSなどの環境に慣れ親しんで育っています。

そしてY2Kというのは、“Year 2000”の意味で、2000年代に流行したスタイルのことを指します。

 

Z世代の若者達は、今から20年前に流行っていたものなんて知らないから、当時流行したものを各ブランドのデザイナー達が現代的にアップデートさせて新しいスタイルとして生み出すことが、今また流行しています。

少し前に日本でも、今までのヨウジ・ヤマモトの購入層とは全く違うタイプの若者達の間でもヨウジ・ブームが起こりましたが、これも今まで全くヨウジにカスリもしなかったような人達がSNSなどでヨウジを着こなしている人達を見つけて、その独特のデザインがとても新鮮に映ったのだと思います。

 

このMIU MIUが発表したコレクションには、1990年代後半の日本のカルチャーも入っています。

当時の日本では、女子高生のファッションや生態というものに対する世間の注目度がとても高かったように思います。

制服のスカートのベルト部分を折ってたくし上げてミニスカート風にして、ルーズソックスを合わせるのが当時の“イケてる”女子高生を象徴するスタイルでした。

トップモデルとして世界で活躍した冨永愛さんは、高校3年生の時VOGUEの表紙を飾り,誌面で女子高生スタイルを披露しました。

 

当時を経験してきた世代の方なら、今シーズンのMIU MIUのファッションから当時の流行に紐ずくものを感じられる方が多いのではないでしょうか。

当時の女子高生は“ギャル”と呼ばれ、どちらかというと少し下品なイメージで浸透していましたが、このMIU MIUのスタイルはミニスカートを履いてても, ソックスの履き方がルーズであっても、とても上品なものに仕上がっています。

 

MIU MIUは元々、落ち着いた大人女性向けのスタイルを提案するPRADAに対して、若い世代に向けたフレッシュなスタイルを提案するミウッチャ・プラダのセカンドライン的な位置付けでした。

近年、日本でもA-Net系のブランドなどが苦戦を強いられているように、若い世代でも比較的ベーシックな大人寄りのスタイルを選ぶ傾向が世界的にも広がっていたので、MIU MIUのような立ち位置のブランドも提案するスタイルの舵取りに苦悩するところがあったのだと思います。

そんな中でミウッチャはPRADAをラフ・シモンズに任せ、自身は本格的にMIU MIUの再生に取り組みました。

今コレクションのような、若者カルチャーをインスピレーションにしたクリエイションは、MIU MIUというブランドのルーツに基づいたものであったとも思いました。

 

今はモードという言葉が至るところで簡単に使われていますが、モードというのは本来, こういったクリエイションを通じた一連のものごとに対して使われるべき言葉だと思っています。

 

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BALENCIAGA

 

 

防護ガラスに包まれた“スノードーム”のような空間で発表された今シーズンのコレクション。

現在のバレンシアガを指揮するデザイナーのデムナ・ヴァザリアはジョージア出身です。

今から10数年前、旧ソ連の小国ジョージアでは、ロシアとの間で「8月戦争」が起きました。

 

ジョージアという国は、黒海とカスピ海に挟まれた南コーカサスと呼ばれるエリアに位置し、かつて日本ではグルジアと呼ばれていました。ジョージアには、南オセチア自治州、アブハジア自治共和国という少数民族地域があり、両地域はロシアによるテコ入れを受け事実上の独立状態にありました。

2008年8月、ジョージアは無謀にも南オセチアを軍事的に奪還することを試みましたが、ロシア軍の返り討ちにあって敗北しました。これを受け、ロシアは南オセチアとアブハジアの独立を承認、両地域のジョージアからの分離がより一層決定的になってしまいました。

 

この度のロシア軍のウクライナ侵攻で、ウクライナの国民達が近隣国へ難民となって大きな不安を抱えながら避難していく姿を、デムナは過去に自国で起こった出来事と重ね合わせるところがあったのかも知れません。

 

今シーズンは、ジョルジオ・アルマーニが無音でショーを発表したり、デザイナー達の中にもウクライナの国旗の色である青と黄色の服を身につけてフィナーレで挨拶をする人が多くいたりと、それぞれの形で反戦のメッセージを伝えていましたが、デムナが行った今コレクションは、デザイナー自身の今の心境や世界に対する思いがより一層深く感じられました。

 

世界を代表するようなデザイナーズブランドのデザイナー(デムナはもともとヴェトモンを立ち上げた)とは、多くを語らなくともショーを通じて自身の考えというものを内包でき、そして玄人的な目を持ったファンやファッションジャーナリストに対しても自身のショーに強い興味と関心を持たせることができる人物だと思います。

 

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まだ2つのブランドしかピックアップしてないですが、もう疲れたので、今回はこれくらいで終わりとさせていただきます。

またモード好きのお客様は、ご来店時にお話ししましょう。

 

本誌はお店に置いていますので、ご来店時にぜひご覧くださいませ。

Posted on 05.06.22

gap PRESSの最新号が届きました。

今号は、2022-23 秋冬 ミラノ/ニューヨークコレクションの特集です。

 

表紙は、adidasとのコラボレーションを発表したGUCCIのものです。

 

 

 

現デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレは、モードのトップランナーのポジションから大きく引き離されていた当時のGUCCIをごぼう抜きで先頭集団まで押し上げた立役者であるだけでなく、今のケリング・グループ全体の躍進の旗手であるとも思っています。

 

デザイナーとして長期政権になってきた現在も、自身のスタイルは崩さず、かと言って顧客を飽きさせることもなく、今コレクションのようにファッション界の話題を攫っていくようなコラボレーションの企画など、今の時代のデザイナーに必要とされているステータスがハイレベルで揃っているように感じます。

僕もミケーレがデザイナーに就任した際に、その革新性に一票を投じる気持ちでGUCCIのデニムを一本買ったのですが、やはり自分のスタイルじゃないなと思ってそれ以降はGUCCIは買っていませんが、デザイナーとして素晴らしいのは間違いないです。

 

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PRADA

 

 

PRADAもラフ・シモンズが加入するまでの近年は、少しずつ苦戦を強いられてきていたブランドのひとつでした。

トラッドを基調としたデザインに現代的なエッセンスを加えて“落ち着いた大人の女性像”を進化させ続けてきたミウッチャ・プラダのクリエイションは相変わらず素晴らしいものであったのだと思いますが、今の時代の購買層が玄人的なデザイナーを軽視しているのだから仕方がないとは言え、本物が評価されにくい無常な世の中だなと痛感しています。

ジル・サンダー, フィービー・ファイロ, (コロナによって亡くなられた)アルベール・エルバス, クリス・ヴァン・アッシュなど、今ラグジュアリーブランドのデザイナーに就任している人物よりも優れた才能を持ったデザイナーは他にもいるのに、それらの希少な才能を持ったデザイナーが活躍するに相応しい場を用意することができない今のモード界はやはり少し残念に思います。

 

その点、ニコラ・ジェスキエールをデザイナーに置き続けているルイ・ヴィトンはさすがだなと感じています。

ニコラも今の時代では間違いなくウケが悪いデザイナーの部類に入ると思いますが、その才能は今のモード界においてもエディ・スリマンやジョン・ガリアーノと並びトップレベルのデザイナーです。

 

メンズでモード新時代の旗手であった(亡くなってしまいましたが)ヴァージル・アブローを起用する一方で、ウィメンズは伝統を守り,受け継ぎつつ, そして未来へと繋げることができるニコラ・ジェスキエールを起用し続けるという、メンズとウィメンズで両極端な政策をとっているのも面白いです。

 

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今号からはあと2つ、ダニエル・リーの電撃退任によって新体制となったマチュー・ブレイジーによるBOTTEGA VENETAと、Y/PROJECTのグレン・マーティスを起用して2シーズン目で初のランウェイコレクションを発表したDIESELをご紹介いたします。

 

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BOTTEGA VENETA

 

ダニエルは、まさにフィービー直系といえる“ニュー・ベーシック”なクリエイションで、BOTTEGA VENETAに革新性と商業的成功をもたらしました。

後任のマチューもダニエルのアシスタントデザイナーとして新生ボッテガを一緒に軌道に乗せた実績の持ち主ですし、フィービーのCelineでシニア・ デザイナーを務めた経歴もありますが、キャリアのスタートがラフ・シモンズで、ラフのCALVIN KLEIN時代も一緒にキャリアを積み、マルジェラのアーティザナル・ラインにも携わっていたり、どちらかというとアントワープ色も強いのかなと思います。

 

今回発表されたファーストコレクションは、ダニエルに比べると見た目のインパクトは控えめに感じるところもありますが、一見デニムに見えるウェアをレザーで作っていたり、「レザーブランド」であるBOTTEGA VENETAらしさを実験的なアプローチで昇華させるなど新デザイナーらしさを感じたクリエイションでもありました。

今後は、“ニュー・ベーシック”から“アントワープ色”へ徐々にシフトしていくようなクリエイションをしてくれることを個人的には期待しています。

 

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DIESEL

 

多くの日本人が持っているDIESELのイメージは、ギャルやお兄系の人達がよく履いてるデニムみたいに思ってる方も多いと思います。

実際、DIESELはデニムブランドだし、コレクション以外のアイテムはおおよそそんな感じなのかなと思いますが、そんなDIESELがこの度デザイナーに起用したのがコアなファッション好きのファンが多いデザイナーズブランド, Y/PROJECTのグレン・マーティスです。

 

これまでもDIESELは、MUGLER退任後のニコラ・フォルミケッティ(デビュー当時のレディ・ガガのスタイリストも担当)を起用するなど、結構頑張ってたのですがやはりファクトリーブランドのイメージが強いDIESELがモードの世界で評価されるには、その“壁”は厚かったのでしょう。

今回のグレン・マーティス起用で、その壁を破れるかどうかにも注目です。

 

そのコレクションは、写真を見てもわかるようにこれまでのDIESELのイメージを覆すようなとても革新的なものだったと思います。

こちらはBOTTEGA VENETAのコレクションとは逆で、一見デニムに見えないアイテムも“デニムブランドらしく”デニムで作られていました。

別にマチューと示し合わせた訳ではないでしょうが、伝統も立ち位置も違う2つのブランドが同じシーズンにデニムにフォーカスしたあべこべなコレクションを発表していたのが面白くて印象的でした。

 

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という感じのミラノ/ニューヨークコレクション雑感でした。

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

Posted on 04.27.22

AnOnther Magazineの最新号が届きました。

 

 

表紙が何種類かありましたが、当店に届いたのはアメリカ人モデル, Margaret Qualleyが表紙のものでした。

 

今号には、去年亡くなったヴァージル・アブローへの追悼のメッセージが寄稿されていました。

 

 

 

 

お店に『This Is Not Fashion Streetwear』という写真集があるのですが、この前のgap PRESSに掲載されていたヴァージルのメッセージを読んでる時にこの本のことを思い出しました。

 

 

長年モード界では、ストリートウェアというものが誤った解釈をされていたのかも知れません。

 

モードの世界観でストリートウェアに新しい解釈を加えるということは、ストリートファッションよりもモードを好んできた自分なんかはそれをカッコイイなと思ったりしてましたが、スラムなどの決して良いとは言えない環境で育ち、小賢しくてブルジョア気取りなモードの世界なんて眺めることもできなかったという生粋のストリート育ちの人達からすれば、貧しい中でも自身の生き様を精一杯表現していたストリートファッションがモードの世界で好き勝手に手を加えられて、それらのアイテムをセレブ達がこれ見よがしに着ていることを、どんな思いで見ていたんだろうと、こんな僕でもそういう考え方も今ならできるようになりました。

 

ヴァージルは、長年白人至上主義だったモード界に、ガーナ系移民の(黒人)アメリカ人として、ストリートの文化をリアルに知る者として、何よりこれまで「お前達の来る場所じゃない」と虐げられてた有色人種の人達の“希望の光”として、大き過ぎる期待と重荷を背負いながら降り立ち、そして短期間で見事その期待以上のことを成し遂げた人物だと思います。

僕自身もヴァージルに気付かされたことはたくさんあり、そしてその全てがとても大事なものでした。

 

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早速長くなってすみません。

中のポートフォリオも少しご紹介いたします。

 

 

これは合わせている髪型が少しマルタン・マルジェラっぽかったです。

マルジェラの精神のひとつに“匿名性”というものがありました。

(あります、ではなく、ありましたです)

 

今では流行りすぎてマルジェラであることを象徴し過ぎてしまうことになってしまっている、あの“残念な”四つ打ちステッチも、もともとは裏のタグにブランドネームを書かない代わりに縫い付けたマルジェラの服であることの「印」でした。

今の時代では、水戸黄門の印籠よりも効果がテキメンであると風の噂で聞きました。

ぜひ骨のあるユーチューバーの方には、マルジェラ風刺のパロディドラマを作っていただきたいです。

(そういう感覚の捻くれ方をしている人は、まずユーチューバーにならないでしょうが…)

 

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この表現主義っぽい作品は、特に好みでした。

 

 

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他の写真もいくつかご紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

最後の写真も、若き日のバスキアみたいで格好良いです。

 

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AnOther Magazineはいつも素晴らしい写真が盛りだくさんに掲載されていて、見ててワクワクします。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

 

VOGUE ITALIA N.859

2022.04.24.

Posted on 04.24.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

 

今号のテーマは『RITORNIAMO UMANI』

「人間らしく立ち返る」という意味です。

 

なのに、こんなにトランスヒューマニズムなポートフォリオで表現してくるところが面白いです。

この世の権力が人間からAIへと移行した世界の姿なのでしょうか。

 

 

 

 

 

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デニム特集もありました。

 

このデニムジャケットもJ.P.ゴルチエっぽいSF感があります。

 

 

 

 

デニムも技術が上がって、どんどん多様化しています。

デニムブランドとしても有名なディーゼルは、2シーズン前からY/PROJECTのグレン・マーティンスを起用して、一気にモードブランドとしても世界のファッションジャーナリストにも注目されるような斬新なデニムの使い方をしたコレクションを発表しています。

デニム業界も、染色時に大量に必要だった水の量を近年で9割以上削減させるなど、環境問題に対する改革も進んでいます。

そういう企業努力をしている素材だからモード界にも選んでもらえる、という好循環が生まれています。

デニム市場も今後更に活性化されていきそうです。

 

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ジェンダーレスなポートフォリオも格好良かったので、少し紹介します。

 

 

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異なるテーマを持った特集をいくつか紹介させていただきましたが、最高にオシャレな誌面の中にも今人類が抱えている課題や問題が浮かんできます。

 

表面的なファッション性だけでなく、そこに確固とした知性も備わっているからこそ、イタリアンヴォーグは世界一のモード誌と謳われ続けるのだと思いますし、その称号に相応しいモード誌だとも思います。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。

Posted on 03.30.22

届いたのは少し前で紹介するのを忘れていたのですが、gap PRESS MEN のパリ秋冬号をご紹介させていただきます。

 

 

表紙は、去年の11月にこの世を去ったヴァージル・アブローが遺したルイ・ヴィトンのラストコレクションからの写真です。

 

 

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コレクションのルックを掲載した最後には、ヴァージルの遺した言葉が添えられていました。

 

 

学生英語レベルの僕ですが、わからない言葉は翻訳して全文読みました。

全文を翻訳するのではなく、可能な限り自力で読むことで、ヴァージルの言葉のニュアンスを少しでも理解したいと思いました。

 

自分は正直、閉鎖的でニッチで他を寄せ付けない圧倒的な雰囲気を漂わせる、ヴァージルが現れる以前の古き時代のモード界に長い間魅了されてきたので、SNSの普及やラグジュアリーストリートなるジャンルの台頭と共に幅広い層にも開放されていくモード界の変化を悲観的に見ているところがありました。

“オフホワイト”を始めとするラグジュアリーストリート系のブランドは、モード誌で取り上げられていても全く買う気にならなかったですし、これからも買うことはないと思います。

 

ヴァージルがルイ・ヴィトンのメンズデザイナーに就任した時も、「伝統と格式を重んじてきたルイ・ヴィトンがついに時代に流された」という風にどちらかというとマイナスなイメージで見ていました。

でも、そうではなかったのだと思います。

 

時代に流されたのではなくて、時代が大きく変わろうとしていたのであって、人種差別やジェンダーなどの問題や温暖化などの環境問題が国際社会全体として大きくフォーカスされるようになる中、モード界自体も変わる必要がありました。

 

ヴァージルがモード界に及ぼした影響は革命的なものでした。

上にも書いたように、自分自身の好みとしてはヴァージルのクリエイションを選択することはなかったですが、それでもヴァージルがいなくなった今更ではありますが、彼がモード界に与えた革命的な革新性というのは本当に偉大なものだったと率直に思います。

 

ヴァージル・アブローの遺した素晴らしい功績に敬意を表し、心からのご冥福をお祈りいたします。

 

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他のコレクションも少しご紹介します。

DIOR MEN

DIOR MENは、ムッシュ・ディオールの代名詞であるバー・ジャケットを初めてメンズコレクションで発表しました。

現デザイナーのキム・ジョーンズも、ヴァージル同様ストリートファッションに精通した人物ですが、キムの方がストリートをラグジュアリー寄りに解釈させたデザインを好むように感じます。

キムのデザインするDIORは、機会があれば着てみたいなと思っています。

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Dries Van Notten

 

近年モード界の主要ブランドの多くが商業性を求めてマス寄りなアプローチを強めていく中において、ドリスはアイコニックなモチーフやロゴも使わず、変にバズらせず、メゾンの顧客を最も大切に考えている姿勢が伝わってくる数少ないブランドのひとつです。

僕の(数少なくなってきた)お気に入りブランドのひとつでもあります。

今のメゾンマルジェラがバズり倒している一方で、ドリス・ヴァン・ノッテンは真の服好き以外あまり着ているのを見かけないところに、SNSの影響力や日本人がいかにミーハーであるかということを改めて体感し、その現実を恐怖にさえ感じています。

 

でもドリスは絶対にバズらないでほしいです。

自分と同じようにドリスの服を愛している方の多くが、同じ気持ちではないかと思います。

 

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少ないピックアップですが、今回はこれくらいで終わりにさせていただきます。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ。

VOGUE ITALIA N.858

2022.03.27.

Posted on 03.27.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

表紙は、泣く子も黙る魔女,ドナテラ・ヴェルサーチです。

 

自分はモードを好きになってから暫くの間は、ラグジュアリーブランドのコレクションよりもデザイナーズブランドのコレクションに興味があったしそのショーに魅了されていたのですが、当時は(大して興味も湧かなかった)ヴェルサーチのショーの最後にドヤ顔で颯爽と登場してくるドナテラ・ヴェルサーチのことを「なんじゃこの派手なオバハン」と失礼ながら思ってて、割と苦手なタイプ(イケイケそうだし)に思っていたのですが、この人はその頃から自身のスタイルや美学を何も変えずにずっと貫いてて、そういう姿勢を長い間見てると次第に「かっこいいな」と思うようになってきました。

 

ヴェルサーチの美学が時代に最もフィットしてたのは80年代くらいだと思うのですが、それ以降,グランジやミニマル~近年のラグジュアリーストリートやオーバーサイズなど、どんな時代の波が来ようともヴェルサーチはずっとブランドの本質を守り貫き続けています。

それって、とても大変だし難しいことだと思います。

 

 

当店は、モードの大枠にも入れてもらえないくらいのレベルですが、美容室というカテゴリの中で言えばモードの本質をある程度は理解できているサロンではないかと思っています。

 

近年、モードファッションにおいても“BALENCIAGA”などを筆頭にロゴブームが起こりましたが、当店はモードを軸としててもそういったファッションをされるようなお客様は実は皆無と言っていいほどいないんです。

ロゴブーム時代のバレンシアガを着てても、デムナのデザインの本質が現れているような(ロゴが主張していない)面白いシルエットの洋服を、海外でもスナップされるであろうくらいのスタイリングで上手に着こなしていたお客様なら何人かの名前はすぐに思いつきます。

V:oltaは、そういった感性を持った方にも安心して髪の毛を任せてもらえるような美容室でありたいと考えています。

 

ヘアデザインにおいてモードに特化するということは、逆に言えばヘアデザインにおいてモードが及ぼすことができる限界点を見極めることができている必要があります。

つまりは、全体像の中でヘアスタイルが一番目立っていることが良いとは限らないということです。

 

自分自身の考えとしては、センスの良い人ほどヘアスタイルに過度なカラーリングは必要ないと思っています。

かといって自然に見えるスタイルの中にモードを宿らせるには、平凡さを取り除かねばなりません。

 

ファッションやトレンドというのは時代によって左右される生モノですが、その中心に一本ピンと筋を通せることこそ、モードの本質のひとつだと考えています。

 

ドナテラ・ヴェルサーチ及びヴォーグイタリアから話はだいぶ逸れてしまいましたが、誌面も少しご紹介いたします。

 

 

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このカラヴァッジョの絵画のようなポートフォリオ群は特に気に入りました。

 

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映画『ボディガード』は、ヴェルサーチの世界観に少し近いなと思います。

 

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このブログを見てくれている美容師さんがもしいるとして、モードな髪型を作れるようになりたいと思っているのなら、まずイタリアンヴォーグを自分のお金で毎号買うことから始めることをお勧めします。

 

自分で言うのも何ですが、一番早い近道はV:oltaの門戸を叩くことだと思いますので、やる気のある美容師さんは、ぜひ当店の面接を受けにいらしてください!

VOGUE ITALIA N.857

2022.02.24.

Posted on 02.24.22

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

今号のテーマは『SPIRITO LIBERO』

「自由な精神」という意味ですね。

 

表紙にもなっている若干20才の女優, Coco Rebecca Edogamheをはじめ、被写体には20代の若きニュースター達が並んでいました。

 

 

 

 

 

が、僕個人的には、こういうのはあまり興味がないんです。

 

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ということで他のポートフォリオへ

 

 

 

 

 

なぬっ!(古っ!!!)

イタリアンヴォーグがフリスビーを流行らそうとしている…

まさか数あるアクティビティの中からフリスビーをフックアップしてくるとは。。

 

コロナ禍において数々の新語を産み出した小池百合子都知事が、ホテルでの宿泊療養者のストレス発散対策として“けん玉”を配布したことを思い出します。

今頃、キム・ジョーンズやファレル・ウィリアムスやNIGOのもとにフリスビー・デザインの依頼が入ってるかも知れません。

 

 

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他の写真もいくつかご紹介いたします。

 

 

 

この写真の右側のモデルの髪型は、今度ランジャタイにチャレンジしてほしい髪型No.1です。

 

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本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

Posted on 02.23.22

イギリスの写真家David Hamiltonの写真集『Jardin Secret』を古書でゲットいたしました。

 

 

写実派絵画のような美しい写真群が掲載されています。

 

 

 

 

 

 

 

David Hamiltonは映画も何本か撮っているのですが、写真集をみていると映画も観てみたくなりました。

多分、内容は大したことなさそうですが、映像は綺麗そうです。

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧ください!

Posted on 02.06.22

ドイツの写真家, August Sander の写真集『Masterpieces』を手に入れました。

 

 

 

ずっと欲しいと思ってた写真集のひとつなので、とても嬉しいです。

本当は、それは『People of the 20th Century』の方がより欲しいのですが、とても高価なので、とりあえずこちらを購入しました。

とは言え、いつか本丸の方も手に入れてやるんだという強い気持ちは今も変わりません。

 

 

本書はその『People of the 20th Century』から抜粋された153枚のマスターピース(傑作)が掲載されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウグスト・ザンダーは、写真を撮るために着飾ったりポーズを決めたりすることを嫌いました。

これらの写真は、様々な階級、様々な仕事、様々な思想を持った人々の、ありのままの姿です。

 

当時の記録写真であり、何よりも美しく素晴らしい写真です。

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!