L’UOMO VOGUE N.845

2021.02.25.

Posted on 02.25.21

今回は、L’UOMO VOGUEの最新号をご紹介いたします。

表紙のモデルを務めているのは、映画監督のジョン・ウォーターズです。


彼の作品は観たことがないのですが、彼が影響を受けたという作品や監督は自分とも好みが近いので、機会があればまた作品を一度観てみたいと思っています。



モデルとしても様になっています。



本誌のテーマは『Boys will be Boys(男はいつになっても少年)』

ゴダールの映画で「女は女である(英題:Woman is a Woman)」という作品がありますが、それとも掛けてるのでしょうか?



ポートフォリオも“おしゃぶり”を咥えてるモデルがいましたが、大人になってここまでする人は世界広しと言っても笑い飯の西田さんくらいしか思いつきません。





自分は年齢を重ねてきた現在、このテーマとは逆にファッションはますます落ち着いたものを好むようになってきましたが、それでも若い頃はあまり選ばなかった(少し派手めな)柄物や刺繍などには以前より魅力を感じるようになってきました。

ファッションを含む映画や音楽などの趣味に向かう熱量はというと、若い頃から変わらず今も夢中です。

この辺りが自分の中にある「Boys will be Boys」な部分なのかも知れません。



そして、L’UOMOがポートフォリオ以外にも「Boys will be Boys」な誌面にしているところを発見しました。




これらのよくあるアイテム毎にピックアップしたページに紛れ込ませて、斧とか赤ちゃん用の三輪車まで紹介してました。


ウィルソンのテニスボールくらい行っとかなあかんかな、と思った今日この頃です。



本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE N.845

2021.02.19.

Posted on 02.19.21

イタリアンヴォーグの最新号が届きました!

 

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今月は、L’UOMOも届きましたので、そちらもまた近々ご紹介いたします。

 

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ということで今回はVogue Italiaをご紹介いたします!

 

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表紙に殴り書きのように“THE EVERY DAY ISSUE”と何度も書かれています。

 

そしてストリートスナップかのような自然な写真。

 

当店はアパレル関係に従事されてるお客様にも多くご来店いただいてるのですが、コロナ禍でほとんどのアパレルはかなり厳しい状況だと聞きます。

「せっかく新作の洋服を買っても着て行くところがない」という理由で買い控えをされている方も多いのではないでしょうか?

ですが、ファッションは着る人の心を豊かにしてくれるものでもあります。

こういう困難な時こそ、好きな服を買ったり着たりして、一日一日を有意義に大切に暮らしていきたいです。

 

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いつもは「これがモードの本質だ」と言わんばかりのアーティスティックで素晴らしい写真で楽しませてくれるイタリアンヴォーグが、あえてグレードを落としてリアルクローズな写真を中心に掲載してるのは、きっとそういうファッション業界で矢面に立っている販売員の方や、消費行動でブランドや企業を支えている自分達のような一般層のカスタマーに対する応援やメッセージでもあるのかなと思いました。

 

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自分は、コロナ禍においてアン・ドゥムルメステール, ハイダー・アッカーマン, ドリス・ヴァン・ノッテンというアントワープ系のブランドの服をいくつか買いました。

どれも素晴らしいデザイナーズ・ブランドで、個人的にずっと大好きなブランドでもあります。

 

ドリスは数年前にニナ・リッチやジャン・ポール・ゴルチエを擁するPUIG(プーチ)の傘下に入ったので安泰ですが、アン・ドゥムルメステールとハイダー・アッカーマンは自力での存続を諦め、身売り先を探すことになってしまいました。

 

アン・ドゥムルメステールは、イタリアのセレクトショップ,ANTONIOLIが売却先に決まりましたが、創業デザイナーであるアンの後継者となったデザイナー,セバスチャン・ムニエは売却と同時にブランドを去りました。

 

ハイダー・アッカーマンは、未だ売却先さえ決まっていません。

デザイナーのハイダー・アッカーマンは、数年前までベルルッティのデザイナーを兼任していたり、過去にシャネルやメゾン・マルジェラのデザイナーのオファーも噂されたほどの人物です(本人はブランド名は明かしてないですが、過去にビッグメゾンからデザイナー就任のオファーがあったことは認めています)。

方やセバスチャン・ムニエは、まだマルタン・マルジェラがデザイナーとして健在な時に“マルタンの右腕”と言われていた人物で、マルタンがファッション界を去った現在に置いてデムナ・ヴァザリアよりも誰よりもマルタンの精神を受け継いでいる人物かも知れません。

 

自分のお店もコロナの影響を受けている現状において、あまり散財をしている場合ではないのですが、こういう大変な時だからこそ、応援したいブランドやデザイナーに消費活動で貢献したいという思いもありますし、大変な情勢の渦中において身だしなみはいつもよりも少しだけ気合いを入れて仕事に臨みたいという気持ちもあります。

 

仮にアンやハイダー(ハイダーはデザイナーが健在なので大丈夫だと思いますが)が身売りを機にブランドの戦略が大きく変わってしまったとしたら、(今のマルジェラみたいに)今後は買わなくなるかも知れないですが、コロナ禍で買った服はこれからも長い間大切に着続けるでしょうし、コロナ禍に買った思い出としてもずっと記憶に残っていくと思います。

 

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脱線して自分の話ばかりしてしまってすみません。

他のポートフォリオも少しご紹介いたします。

 

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本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

 

 

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Weyes Blood – Everyday

Posted on 02.06.21

20世紀最大の写真家と評されるアンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集『ポートレイト 内なる静寂』が新たにお店のブックスペースに加わりました。

 

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コロナでステイホームな状況が続いてるので、ここ最近は、読書, 映画, 写真集, そして音楽の日々です。

というか、もともとそんな感じの生活スタイルだったので、さらに拍車がかかってるだけなのかも知れません。

 

そして、芸術的教養を身につけるという口実で、最近は写真集をちょくちょく買い足しています。

 

今回ご紹介するのもそのうちの一冊、フランスを代表する写真家, アンリ・カルティエ=ブレッソンのポートレイト写真集。

アンリ・カルティエ=ブレッソンの出版物は、ずっと収集したいと思っていました。

彼は、愛機ライカを携えて世界中を飛びまわりました。

 

優れた写真家は、被写体にも魅力のある人物を選びます。

 

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被写体それぞれにも生き方があり、シャッターを切る写真家にも確固たる意思があります。

 

素晴らしいポートレイト集でした。

 

写真集はお店に置いていますので、ご興味のある方は、待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

 

VOGUE ITALIA N.844

2021.01.29.

Posted on 01.29.21

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

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表紙の勇ましい犬が物語るように、今号のテーマは『The Animal Issue』です。

 

本誌のどこにも書いてなかったし、聞けばきっと否定すると思いますが、おそらくイタリアンヴォーグ編集長のエマニュエレ・ファルネティは最近、テレビで動物の番組を観たのだと推測します。

 

そしてハッとひらめいたのだと思います、「動物は数字が取れる」と。

 

しかし、そこは天下のイタリンヴォーグ、動物を使ったポートフォリオも圧巻のクオリティです。

 

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特にネズミの尻尾がアイシャドウメイクのような形になってるこの写真は、とても印象に残りました。

 

ネズミが意図的にやってくれる訳ではないので、こういう写真は偶然性という要因も大きく結果に関わってきます。

 

 

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この写真(本誌掲載のものではありません)は、偉大な写真家,リチャード・アヴェドンがVOGUEに依頼されて撮影した有名な一枚です。

当時20歳の人気モデル, ナスターシャ・キンスキーが全裸で手首にバングルだけ身につけ、足元から大蛇を絡ませたセンセーショナルなものでした。

 

ナスターシャは、当初大蛇を自分の体に這わすことに戸惑っている様子でしたが、さすがはトップモデル、カメラが向けられるとそんな素振りは微塵も感じさせません。

 

写真は、撮影が進む中で、偶然大蛇が舌を伸ばしてナスターシャの耳にキスしたところを捉えた奇跡的な一枚です。

 

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『Nastassja Kinski and the serpent』と題されたこの作品が撮影された頃から、カメラマンのアヴェドン自身もファッション写真家としての評価から芸術として評価される写真家へと飛躍していきました。

大蛇が舌を出したのは、結局たった一回この時だけだったらしいです。

その瞬きでも見逃すような瞬間を逃さずにシャッターを切れるところに、アヴェドンが優れた写真家たる所以が現れています。

 

撮影時、スタイリストとして立ち会ったポリー・メレンも、後のインタビューで「この時、バングルは必要なかった」と語っていました。

ファッション誌の関係者でさえ、この写真にはもはやファッションを超越したものがあると感じたのだと思います。

 

 

最後はちょっと脱線しましたが、生命が宿っている生き物は、どれも美しいです。

 

本誌はお店に置いてますし、当店には『Nastassja Kinski and the serpent』が収録されたアヴェドンの写真集も置いてますので、ご興味のある方は、ご来店時にぜひご覧くださいませ。

Posted on 01.27.21

アメリカ写真界の最重要人物の一人であるウォーカー・エバンスの写真集『American Photographs』が新しくお店に増えました。

 

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本書は、1938年にニューヨーク近代美術館で開催された展覧会のカタログの出版から75年を記念して出版された75周年記念版で、デジタル技術を初めて導入しオリジナル版の微妙なバランスまで正確に再現しています。

 

映画監督のヴィム・ヴェンダースも、自身の映画はウォーカー・エバンスの写真に大きく影響を受けていると語っています。

 

 

 

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大変に素晴らしいです。

 

自分は、もともとアメリカよりもヨーロッパの文化の方が好きで、もう若い頃は特にアメリカ文化を食わず嫌いしている時期もあったのですが、年齢を重ねてきた今思うのは、どの国にもそれぞれ素晴らしい文化はあるものだということです。

 

最近、脳科学の本を読んだのですが、脳というのは年齢を重ねて記憶力や計算力が落ちるなど、加齢が原因でパフォーマンスが落ちるということは脳自体には基本的にはないらしいです。

ただ25歳くらいの頃に比べて、社会人として年齢を重ねていくと学生の時のように勉強する機会が減ったり、体力が衰えることで集中力が続きにくくなって、結果的にそれらの能力が衰えてくるという構造になっています。

 

逆に言うと、年齢を重ねていく中でも努力を怠らず、技術や知識を深めていくことで、美容師としても洗練されていくのだと思うので、これからも自分やスタッフにとって、その先のお客様にとってプラスになりそうなものには積極的に投資していきたいです。

 

本書はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.843

2020.12.27.

Posted on 12.27.20

イタリアンヴォーグの最新号が届きました!

 

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今号は『The Gratitude Issue』

 

 

“Gratitude”は「感謝」の意味ですね。

 

今年はコロナで、今まででは考えられなかったようなことがたくさん起こって、僕もほぼ一年間その渦中でV:oltaを営業してきたわけですが、これ本当に顧客さんには改めて感謝の気持ちで一杯です。

 

顧客さんがいなくて、毎月新規客に頼ってるような経営をしてたら、自分たちのような極小規模サロンではお店を続けることができなかったでしょうし、政府の支援策にも助けられた部分も大きかったですが、やはり何よりも顧客様を中心とするV:oltaを利用してくださってる方々からの励ましの気持ちや実際にお支払いいただく対価による支えで、なんとかスタッフ誰も減らすこともなく来年以降もお店を続けていくことができそうです。

みなさま、いつもV:oltaをご利用いただき、本当にありがとうございます!

 

 

一方で、コロナ禍による自粛で、V:oltaへの足が遠のいてるお客様もいらっしゃると思います。

もし、そういう方で「行けなくて申し訳ない」みたいな気持ちをお持ちいただいてる方がいらっしゃるなら、全然気になさらないでください!

今はご自身が安心できる感染防止対策を最優先に考えていただいて、また状況が落ち着いた頃に無事再会できることを願っております。

その時の為に、安心していただけるような感染防止策に取り組み、継続して参ります。
ご来店いただいたお客様を担当する際は、“Gratitude Cut”、“Gratitude Color” みたいに全部のメニュー名の前にGratitudeがついてる気持ちで仕事させていただいてます。

 

きっとVOGUE ITALIA編集部もそんな気持ちを表したかったのだと思います。

 

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中の写真も少しご紹介いたします。

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今年も最後までVOGUE ITALIAは素晴らしいです。

いつ、どんな時でも、自分達のできること、求められてることをやり続けていれば、きっとファンは離れないのだろうと思います。

 

自分達は、イタリアンヴォーグの足元にも到底及ばない存在ですが、気持ちだけは負けないように、これからも日々精進して参ります!

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧ください。

 

 

Posted on 12.23.20

A Magazineの最新号が届きました!

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今号は、スウェーデンのブランド, Acne Studiosがフューチャーされています。

 

装丁にも趣向が凝らされており、裏側が封筒のフラップみたいに糊付けされていました。

 

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開ける前に、綺麗な状態を写真に残しておこうと思って撮ったのですが、料理食べる前に写真撮る人みたいだなと思って、他のスタッフに撮ってるところを見られないようにこっそりと撮りました。

 

Acneは、今ではファッションブランドのイメージが強いですが、もともとはブランドの広告やグラフィックデザインなどを手掛けるクリエイティヴ集団でした。

今もやってるのかは知らないですが、AcneはAcne Paperという雑誌を定期的に発行していました。

 

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今から10年近く前にパリに旅行に行った時に、北マレ地区にあったAcneでこのバカでかい&絶妙に重たい本を買って、わざわざ日本に持ち帰ったことがあります。

エッフェル塔付近のホテルから、パリ市内を散策しながら北マレまで歩いて、この本以外にも色々と買い物したものを持ってまた歩いてホテルまで戻ったのですが、パリの街はそんな手荷物の重さなど吹き飛ぶくらいに素晴らしい景色でした。

翌日は筋肉痛でしたけども。。

 

Acneは、ファッション事業として、まずAcne Jeansを立ち上げ、徐々にニットなどのベーシックアイテムを展開していき、現在は毎シーズン,パリコレで新作を発表するまでのブランドとなりました。

 

元々はファッションとは関係のないデザイン集団~ファクトリーブランドへ、そしてコレクションブランドへと大きな飛躍を遂げた原動力は、スウェーデンという北欧の感性もありつつ欧米にも負けない経済力を誇る洗練されたコミュニティが生み出した、Acne特有のデザインセンスの良さだと思います。

服作りに対するこだわりや執着が、他のコレクションブランドのデザイナーと比べるとそこまで強過ぎない、というのがプラスに出た好例です。

 

程よく着やすくもあり、デザインもやり過ぎてなく、だけど気の利いたセンスが光る。

コレクションを続ける中で、デザイン性もエッジの効いたものも増えてきた印象もありますが、Acneの特徴は、もともとそういう敢えてワンランク落としたエフォートレスな部分が強みです。

 

だから逆に前号、前々号のValentinoやJil Sanderと比べると、雑誌としては見劣りするのではと思って少し心配していましたが、中を開けると、さすがAcneらしいなと感心させられる内容でした。

 

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なんとAcne Studiosの建物丸ごとを取材させた内容でした。

これは当然、インスピレーションなどの感性では他のデザイナーには見劣ると自分たちで理解した故でのアイデアでしょう。

 

日本の雑誌でいうとPenとかでも特集が組まれそうなモダンなクリエイティヴ性、こういうところがアクネの優れたところだと思います。

 

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Acneの感性って、決してブッ飛んでないんです。

ただし、ブッ飛んだものも知っていて、それを踏まえて絶妙なラインで落とし込んでくる、そのバランス感覚とセンスが素晴らしい。

 

Acneは、あくまで日常にある洋服やデザインを作っているのだと思います。

 

 

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そしてこれが一番伝えたくて大事なところですが、V:oltaは「アクネな髪型」もちゃんと作れます(笑)

来店を迷ってる&怯えてる方がいらっしゃったら、どうぞご安心していらしてください!

 

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方は、待ち時間などにぜひご覧になってみてください。

 

Posted on 12.17.20

今回はgap press の 2021 S/S ウィメンズコレクションをご紹介いたします。

 

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今回もパリとミラノに絞ってご紹介させていただきます。

 

今回は、最も話題となっていたラフ・シモンズが加入したプラダが発表したミラノコレクションから書かせていただきます。

 

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PRADA

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ラフ・シモンズとミウッチャ・プラダ協業体制による初のコレクションとなった今シーズン。

どんな感じで来るのかと楽しみにしていましたが、これこそラフが手掛けたのだなと一目でわかるし、その中でもきちんとプラダらしさも残したさすがのコレクションでした。

ラフは少し前までデザイナー職についていたカルバン・クラインとも経営陣とモメて退任したり、デザイナーの中でも気難しい性格なのだと思いますが、クリエイティヴ面においては柔軟さも兼ねそろえているなとつくづく思います。

ラフのようにコアなファッション好きが好むようなシグネチャーブランドをやってるデザイナーの多くは、進む方向性も求められるものも全く違うラグジュアリーブランドのデザイナー職には不向きなタイプが多いですが、ラフはJil Sander然り、Christian Dior然り、Calvin Klein然り、そして今回のPRADA然り、本当に器用にやってのけるなと毎回思わされます。

 

アウターはボタンのついたコートばかりではなく、ケープのような仕様でモデルがその両端を落ちないように掴んでウォーキングしていました。

あえてモデルにそうさせたのには、現在のコロナ禍において、ラフなりのメッセージが込められてるのだと思います。

 

パーカーにスカートを合わせるスタイルは、ミウッチャ自身が最近好んで着ているコーディネートです。

ミウッチャへのリスペクトの気持ちを、こんなにチャーミングな形で表現するのも、ラフの洋服が未だに若者達にも人気の理由だと思います。芸人の有吉が他の芸能人につけるあだ名の構図にも似ている気がします。

ミウッチャもきっと満更でもなかったと思います。

 

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VALENTINO

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一番最初の写真の一番左に掲載されてるのが、本コレクションのファーストルックです。

オートクチュールさながらの技術を要するVALENTINOの洋服としては、非常にシンプルなものです。

 

U.A.の栗野さんは、「人々の服装はその時代を反映する」と言っていました。

未曾有の大災害や今回のコロナなど、世の中が大変な時には自然と人々の服装も慎ましいものになっていくということです。

 

ショーに登場する洋服は次第に華やかさを増していき、そして一番下の写真の一番右側に大きく掲載されたルックがショーの最後を飾ったドレスです。

美しい“ヴァレンティノ・レッド”のドレスは、繊細な中にも力強さを感じます。

 

現在のコロナ禍においても人々の服装は慎ましくなっていくのだと思いますが、そんな時だからこそデザイナーの感性と職人の技が極限まで発揮された最後のドレスのような服にはより一層深い感動を憶えるという面もあります。

 

 

 

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ここからはパリコレです。

Raf Simons

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メンズでも少しご紹介したラフ・シモンズでは初となるウィメンズコレクション。

本誌ではウィメンズだけ抜粋して掲載されています。

“TEENAGE DREAMS”と題された本コレクションは、モデルがまるでNetflixのドラマ「ストレンジャーシングス」に出てくるような別世界から現れたような演出で始まりました。

ラフらしいストリートテイスト溢れるスタイリングもあれば、ちょっとプッチっぽい曲線のグラフィックを用いたエレガンスな服も多用していました。こういうグラフィックでもラフがやるとプッチのようにコンサバティブというよりはフューチャリスティックな印象を受けます。

本コレクションは架空の映画をテーマにしているらしいです。

カルチャー好きなラフらしいウィメンズコレクションだったと思います。

カルチャーぞっこんなオシャレナード女子は、ぜひチェックしてみてください!

 

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MIU MIU

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ミウッチャ・プラダの手掛けるPRADAに続くセカンドライン、と言うよりはもはやツートップに近い立ち位置のMIU MIU。

PRADAがラフとの協業体制になって、ラフは自身のシグネチャーでウィメンズ始めるくらい俄然やる気が漲ってきましたが、僕が推測するにミウッチャの方はPRADAにおいてそんな俄然やる気のラフに横から意見をすることもあまりできず、結局ラフ8:ミウッチャ2くらいの割合でコレクションが完成し、そのPRADAで使えず溜まりに溜まったインスピレーションとフラストレーションを一気にMIU MIUで爆発させたのではないかと思います。

結果として、今季のMIU MIUはここ最近と比べると見違えるくらい良かったと思いました(笑)

PRADAでの協業体制はそう長く続かなさそうな気がしますし、仮にラフと決別するくらいに関係が悪化してしまったとしたら、その時のMIU MIUのコレクションには特に注目したいです。その時はカール・ラガーフェルド超えもありうるかも知れません。

 

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LOUIS VUITTON

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バレンシアガ時代には圧倒的な存在感を放っていたニコラ・ジェスキエールは、LOUIS VUITTONでは現状その輝きが最大限には出せていないように思います。

プレタポルテ・コレクションのみを発表していたバレンシアガにおいてオートクチュールさながらのコレクションを発表していたニコラにとって、そもそもトラッド・スタイルが信条のルイヴィトンは得意なフィールドではないのかも知れません。

ヴァレンティノやディオールであれば、また違ったストーリーを作り上げてたのかなとも思いますが、ブランドの格はルイ・ヴィトンの方が上で、当時提示されたポストとしてはおそらく最高のものだったのだろうと思います。

 

今年大改修が終わり来春から再オープン予定のパリの老舗百貨店,ラ・サマリテーヌの最上階を会場とした本コレクションでは、冒頭でヴィム・ヴェンダースの代表作『ベルリン・天使の詩』の映像が使われていました。

それが今季のインスピレーション源のひとつなのかなと思いました。

『ベルリン・天使の詩』は、僕も大好きな映画で、モノクロ中心の映像ですが、劇中、天使が人間に恋をしたシーンで一瞬、映像が“カラー”に変わります。

どうせなら、本コレクションでもそれに合わせてルイヴィトンの新作を作り、ショーで同じような色の演出をしてほしかったです。

 

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今回のレビューはこれくらいにさせていただこうと思います。

最後までお読みいただいて、ありがとうございました!

 

No Fashion, No, Life!!!

Posted on 12.13.20

gap press MENの2021 S/S号が届きました!

 

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今シーズンは、コロナの影響で、多くのブランドが無観客でのコレクション配信やデジタル形式での発表を余儀なくされていたので、gap pressの発売もどうなるかと心配しておりましたが、無事手元に届きました。

 

今は、SNSやアプリなどでもコレクション情報は手軽に見れる時代ですが、やはり大判サイズのgapで見るルックの写真は服の詳細がデジタルに比べてわかりやすいと感じるところもありますし、こんな時代でも表紙に不必要なキャッチコピーを踊らせることもなく、淡々とコレクションを伝えてくれるgapの姿勢を応援したい気持ちもあって、僕は買い続けています。

 

今回も、パリとミラノのコレクションから少しずつブランドをピックアップして、ご紹介させていただきます。

 

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パリコレクションより

Raf Simons

 

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またウィメンズのプレタポルテの方でも書こうと思ってますが、ラフは2021 S/SのウィメンズコレクションからPRADAでミウッチャ・プラダと共同でのデザイナーに就任しました。

そして、本コレクションでラフ・シモンズとして初めてとなるウィメンズコレクションも発表しました。

(メンズとの共同コレクションの為、本誌で扱われています)

 

世界はコロナで規模を縮小する企業の方が断然多い中、ラフは攻めてます!

そして、こういう時にこそ強気に動く人(あくまでビジネスにおいて。マリオのスター状態みたいに自分が無敵かのように感染防止策せずに動き回る人のことではない)が、アフター・コロナの時代においてビッグチャンスをものにするのだと思います。

オシャレ女子達は、これを着ると、そんなラフのパワーをお裾分けしてもらえると思うので、ぜひチェックしてみてください!

たまにエミリオ・プッチみたいな柄も出てきますが、それ以外はオシャレでカワイイ洋服が盛りだくさんです。

 

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CELINE

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2012年にSAINT LAURENTのデザイナーに電撃復帰したエディ・スリマンは、3シーズンくらいスキニーシルエットのコレクションを続けたくらいの時、ファッションメディアはそのブレなさすぎる姿勢を揶揄して、記事に『Hedi “Slim”man(エディ・スリムマン)』と見出しをつけたこともありました。

そんなことを言われようが、モード界全体に「オーバーサイズ」のトレンドが押し寄せようが、エディはエディらしく一貫してスキニー・スタイルを追求してきました。

 

フランス南部にあるポール・リカール・サーキットを舞台にした本コレクションでは、エディらしさを出しながらもガラリと変えてきました。

“THE DANCING KID”と題されたコレクションは、TikTokでクリエイティビティを発揮する若者達にフォーカスしています。

僕がWWDの編集長なら、リスペクトの意味を込めて『TikTokディグリマン』と揶揄したいところです。

コレクションは刺激的で面白かったですが、お年を召してきたDior Homme時代からのエディ信者のオッサン達(自分も含めて)は、流石にこれ全身は無理だと諦めるのではないでしょうか。

40オーバーで全身これを着てる人のイメージは、前澤友作氏しか出てこないです。

 

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SAINT LAURENT

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SAINT LAURENTにおいてエディの後継者に任命されたアンソニー・ヴァカレロは、もしかしたらエディ以上に“SAINT LAURENT”のロゴに相応しいデザイナーかも知れません。

 

デザイナーとしての知名度も(エディなどと比べると)高いほうではないですし、大きなトレンドを産み出すようなタイプでもないですが、サンローラン就任以来ヴァカレロは真摯にブランドと向き合い、そのブランドの歴史を正しい方向に進めているように思います。

アンソニー・ヴァカレロは、生前のカール・ラガーフェルドの目に留まったデザイナーでもあります。

そのあたりにもエディとの共通点が垣間見れます。

 

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Maison Margiela

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今、マルジェラのタビブーツやバッグを持っている人のうちの何%が、マルジェラのデザイナーの名前を答えられるでしょうか?

今の“メゾン・マルジェラ”は、かつての“メゾン・マルタン・マルジェラ”とは全く違うブランドになってしまいましたが、それでもガリアーノはやはり素晴らしいデザイナーだと思わされます。

 

ガリアーノが旅先で魅了されたタンゴのステップに着想を得たという本コレクション。

もう、そのタンゴの光景を見てそれを着想源にしてコレクションを創ろうと考えたガリアーノに、それだけでため息が出るくらい感動します。

そして、それを具現化させたコレクションも素晴らしい。

ガリアーノほどファンタジー性に優れたデザイナーはいないと思います。

 

もしかしたら、マルタンが手がけていた頃のマルジェラより、今のガリアーノのマルジェラのほうが、あの“四つ打ちステッチ”はより必要ないのかも知れません。

 

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ミラノコレクションより

PRADA

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最初にこのコレクションを見た時、「今期からラフが加わったのかな」と思いました。

このコレクションを発表する前に、プラダにラフが加わることは発表されてましたが、ウィメンズから共同名義で発表とのアナウンスだったのでメンズはA/Wからだと思ってましたが、予定を早めたのかと思うくらいラフっぽさを感じました。

(実際にはミウッチャの単独名義のコレクションでした)

 

多分、ラフとの協業の話を進める中で、お互い意気投合して盛り上がったのだと思います。

もう協業前に気持ちが先走ってラフ感出てしまってます(笑)。

でも、その刺激が良い方向に出たのは明らかです。

これならラフと定期的にお話するくらいでも、ミウッチャのハートに火は付きそうな感じです。

 

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Ermenegildo Zegna XXX

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今の時代は、たとえ歴史あるモード界の誇り高きブランドと言えど、SNS受けの良いキャッチーさをどこかに取り入れなければなかなかに厳しい戦いを強いられてしまいます。

2018年にボッテガ・ヴェネタのデザイナーが、トーマス・マイヤーからダニエル・リーに変わりましたが、新旧デザイナーそれぞれの特徴はまさに時代の変化を反映するものだったと思います。

トーマス・マイヤーは、GUCCIやJil Sanderといったミラノの主要ブランドが大幅にブランド色を変えて成功する中で、トレンドに左右され過ぎないミラノコレクションらしい“大人の”メンズスタイルを提案し続けていました。

今、その路線に辛うじて乗っかってるかなと思うのが、アレッサンドロ・サルトリによる『エルメネジルド・ゼニア XXX』です。

(そこをターゲットにするなら、XXXは必要ないと思いますが)

クリストフ・ルメールをより“コレクション寄り”にして、たまにちょっと「いらんこと」してる感じ(笑)。

ただ、その「いらんこと」が今の時代においては、ビジネスを大きくする為には必要不可欠なのかな、とも思います。

 

以上、2021 S/S メンズコレクションの雑感でした。

次は、ウィメンズVer.もまたご紹介させていただきます。

 

gapはお店に置いてますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.842

2020.11.20.

Posted on 11.20.20

イタリアンヴォーグの最新号が届きました!

 

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表紙には、まだ弱冠18歳のイギリス人モデル, Alex Andrewsが起用されています。

引き寄せられるような青い瞳の大きな目が特徴的です。

 

今号のテーマは『my beauty is mine』

 

誌面には、“My Beauty Is Not Yours”というタイトルが付けられたポートフォリオがありました。

 

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ファッションも, ヘアスタイルも, メイクも、異性を意識したような自分磨きよりも、自分が理想とする自分の為の自分磨き(ゲティスバーグ演説みたいな言い回しですが)こそ、美しさの本質だと言っているんですね。

田中みな実にも一冊送ってあげたいです。

 

男性は、ファッションにしても、趣味にしても、自分をしっかりと持っている人は割とハイスペックな彼女や奥さんを見つけられているような印象ですが、同じようなことが女性にも言えるかというと、まだまだそういう女性のこだわりに共感してくれるような男性は残念ながら少ないのだと思います…

本質的にオシャレを理解してる男女の絶対数の割合が違うのだと思いますが。

 

 

そして、そんな「その辺のインスタ女子と一緒にしないで」というイカした文系オシャレ女子なのに何故か彼氏できない, 報われない、という方には、ぜひエリック・ロメール監督の『緑の光線』という映画をオススメいたします。

きっと貴方の素晴らしさを分かってくれる、いい感じの男性が、頑張り続けていればいつか現れるはずです。

そして、それは明日かも知れません。

 

話が鬼逸れましたので、本題に戻って他の写真ももう少しご紹介いたします。

 

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イカしてます。

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方は、ご来店時にぜひご覧くださいませ!

Posted on 11.15.20

少し前にご紹介したピエールパオロ特集号に続いて、今回は現Jil Sanderのデザイナーを務めるルーシー&ルーク・メイヤー夫妻をキュレートしたA Magazineをご紹介させていただきます。

 

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装丁も美しいです。

 

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世間では、8年ぶりに発表されたユニクロとジル・サンダーのコラボ“+J”が大盛況というニュースを聞きます。

そして、書籍をご紹介する前に“+J”に夢中になる人たちに伝えたい、もう少し待てば海外サイトのブラックフライデー・セールが始まり、商品によっては+Jのプロパー価格とさほど変わらない価格で本物のジル・サンダーが買えるということを。

(それでも僕なんかみたいな素人のただのファッション好きよりも遥かにモードの知識薄々の「オシャレ気取りインスタグラマー」のやってる“なんちゃってファッションブランド”の服を買うよりは+Jを買うことの方が一億倍は有意義な買い物だと思いますが)

 

但し、(このブログを見てくださってる方は当然知ってるという方が多いと思いますが)+Jをデザインしているデザイナーと、現在ジル・サンダーをデザインしているデザイナーは全くの別人です。

 

現在のジル・サンダーのデザイナーは、上にも書いたルーク&ルーシー・メイヤー夫妻ですが、+Jをデザインしているのが本物(変な表現ですが)のジル・サンダー氏本人です。

ファッションブランド,Jil Sanderも元々本人がデザイナーでしたが、ブランドがプラダ・グループに買収され、後にジル・サンダー氏はデザイナーを辞職、でもブランド名の『Jil Sander』はプラダ・グループの持ち物なので、ジル・サンダー氏は「自身の名前を名乗ってデザインができない」という事態に陥りました。

そして、長らく表舞台から姿を消していた彼女にオファーを出したのがユニクロでした。

『+J』の誕生です。

プラダグループから「コストの削減を、そしてもっと売れるデザインを」と要求されても断固拒否し、終いには自身のスタイルを変えるくらいなら自分の名前のついたブランドでも去る決断をするような頑固者のジル・サンダーが、当時まだダサかった極東の田舎ファストファッションブランド, ユニクロのオファーを受けたのは、そういう行き場を失った彼女の状況も大きく影響しました。

 

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ブランド, Jil Sanderには、ラフ・シモンズが就任。その後、プラダグループの元を離れたブランドにジル・サンダーが電撃復帰しますが、僅か1年あまりで退任。その後、Pradaなどで経験を積んだロドルフォ・パリアルンガがデザイナーに就任しますが、これもパッとせず、しかもジル・サンダー~ラフ・シモンズへと受け継がれたメゾンのミニマリズムの精神も同時に失うという大きなダメージも負いました。

Louis Vuitton, LOEWE, Doir, Balenciaga, Saint Laurent, Valentinoなどの他のラグジュアリーブランドが、デザイナー交代で活性化する中、Jil Sanderはミラノコレクションの中でも存在感を失っていきました。

そんな状況の中、起死回生を求めて経営陣が起用したのが、今のデザイナーであるルーシー&ルーク・メイヤー夫妻です。

 

夫婦ですが、二人のファッション界での歩みは全く異なります。

夫のルークはストリートの人気ブランドSupremeのヘッドデザイナーを務めた後、自身のブランド“OAMC”を立ち上げます。

妻のルーシーは、マーク・ジェイコブス時代のルイ・ヴィトン、ニコラ・ジェスキエール時代のバレンシアガで経験を積んだ後、ラフ・シモンズの率いるクリスチャン・ディオールでオートクチュールとレディ・トゥ・ウェアのヘッドデザイナーに就任します。

ラフが抜けた後のディオールにおいて、デザインチームが発表する時期が少しありましたが、その時にデザインチームを率いたのもルーシー・メイヤーです。

 

ストリート畑出身のルークと生粋のラグジュアリー路線のルーシーとのハイブリットは、それまでのストイックなまでにミニマルを追求してきたジル・サンダーの精神に程よい抜け感を齎しました。

ルークの得意とする都会的なストリートのエッセンスを感じるルーズ・シルエットによる抜け感に、ルーシーが持つオートクチュールさながらのエレガンスが加わり、Jil Sanderは一躍モード界の最注目ブランドのひとつになりました。

ほぼ同時期に、同じく「ハイセンスな大人のエフォートレス・シック」を得意とするデザイナー,フィービー・ファイロがCelineを去ったのも、ルーク&ルーシーによるJil Sanderの追い風になったのも、あると思います。(天津・木村風)

 

説明がかなり長くなってしまいましたが、中の写真も少しご紹介いたします。

 

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よく見ろ!職業を“デザイナー”と名乗ってる“なんちゃってファッションブランド”やってるオシャレ気取りインスタグラマーたち!

どれだけJil Sanderやフィービー時代のCelineのパターンほぼ丸パクリ(The ROWなら許す)で「私のデザインした服です、イケてるでしょ?」と自信満々でインスタグラムに載せようが、君たちが逆立ちしても彼ら彼女らのデザインの奥深さには微塵も及ばない。

「本物の」デザイナーが被害を受けない為にも、一刻も早く卑怯なマネはやめていただきたい。

そして、買う側の人達もそのことをサステナブルと同じくらい大切に考えてほしい。

 

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真面目な考察に戻ります。

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これらの「花や植物」と「人物」の対比、特に上2枚の「花びら」と「ヌード」の対比はロバート・メイプルソープからの影響も受けてるのだなと感じました。

メイプルソープは、エディ・スリマンやラフ・シモンズなんて影響モロだし、この前ご紹介したピエールパオロ・ピッチョーリをキュレーションした号でも影響を受けたであろう写真が掲載されていました。

 

今のモード界においても、多くのデザイナーがメイプルソープの影響を受けているんだろうなと推測します。

 

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余白があるページ構成も印象的でした。

ドイツ人らしい「無駄が全くない」美しいシルエットが最大の売りのJil Sanderに、シルエットや着心地の“余白”を齎したのがルーク&ルーシー・メイヤー夫妻でした。

 

二人の手掛けるコレクション同様、見ていて非常に心地の良い余白です。

 

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途中、不快に感じられる方もいらっしゃるかと思う文章ですみません。

ファッションだけじゃなく、カフェなんかでも「インスタ映え」を一番に考えてる店が多い中で真摯に美味しいコーヒーを追求しているお店があるように、“本物”が正当に評価される世の中になるには、自分たち消費者がもっと洗練されないといけない、と感じる今日この頃です。

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ!

 

Posted on 11.10.20

ヴァレンティノの現デザイナーであるピエールパオロ・ピッチョーリをキュレーションしたA Magazineを手に入れました。

 

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ピエールパオロ・ピッチョーリは、現クリスチャン・ディオール, デザイナーのマリア・グラツィア・キウリと共にヴァレンティノのデザイナーに就任し、当時、ファッション関係者からの注目度がお世辞にも高いと言えなかった老舗ブランドValentinoを見事にトレンドセッターの座に蘇らせました。

 

特にメゾンのクチュリエの持つ素晴らしい技術を活かしたオートクチュールは、ファッション評論家の評価も非常に高く、当時同じく評論家からの評価が高かったBALENCIAGAデザイナー, ニコラ・ジェスキエール(現Louis Vuitton デザイナー)と双璧を成すほど、コレクションを重ねるごとにその評価を高めていきました。

 

ビジネス的にも飛躍を成し遂げ、その高評価が安定したものになった2016年、8年間共に共同デザイナーとして歩んできたマリア・グラツィア・キウリはヴァレンティノを離れ、クリスチャン・ディオールのデザイナーに就任しました。

その後もピエールパオロ・ピッチョーリはヴァレンティノに残り、単独でデザイナーを務め続けています。

 

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マリア・グラツィア・キウリもピエールパオロ・ピッチョーリも、それぞれに素晴らしい才能を持ってるデザイナーだと思いますが、それぞれの特徴は少し異なります。

 

それぞれにディオールとヴァレンティノと袂を分かち合ってからのクリエイションを見てると、ヴァレンティノで共同デザイナーをしていた頃は、どちらかというとマリアの方が叙情的で表現力豊かなエレガンス、ピエールパオロの方が厳格で格調高いクラシックさを齎してたのかなと思います。

 

本誌にピエールパオロのインスピレーション源が羅列で掲載されていたのですが、カルチャー面で精通してたのもピエールパオロなのだなとわかりました。

 

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ヒエロニムス・ボスの絵画の写真もありました。

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この右側の作品は、ボスの『快楽の園』という作品の中心部分で、本来は三面鏡のような構造になっており、この右側と左側にそれぞれ天国と地獄をモチーフにした絵が描かれています。

本誌に掲載されている部分は、自分たち人間が生きている世界(現世)ということになります。

 

現在、Oneohtrix Point Neverとして世界から注目を集めているエレクトロニック・アーティストのダニエル・ロパティンも、同様にボスの作品の特にこの人間の愚かさや煩悩を具現化させた掲載部分に大きく共感し、この絵をインスピレーションとした作品(Garden of Delete)まで作っています。

ロパティンは、知性のある音楽家の一人です。

 

 

ディオールでのクリエイションを見ていても、マリアの方が「着たい」と思うようなトレンドを掌握するセンスに長けてると感じますが、同業のデザイナーとかはピエールパオロのクリエイションの動向の方がより気になるのではないかと思います。

 

 

 

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“ヴァレンティノ・レッド”と呼ばれる、象徴的な赤一色のドレスの写真が美しいです。

 

インスピレーションを受けた絵画と、自身の作品という構図のページ構成も面白かったです。

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本誌はお店においてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

 

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Posted on 11.01.20

AnOther Magazine の2020 A/W号が届きました!

 

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表紙の写真は、コロナ禍において、カメラマンとモデルとがお互い離れた場所からオンライン上で繋がり、撮影されたものが使われています。

写真の質感がカッコイイですね。

80~90年代のような雰囲気が出ています。

皆が集まって撮影できないのを逆手に取った、見事なアイデアです。

 

 

美容師という職業はあくまでサービス業だと思ってるのですが、お客様のヘアスタイルを作らせていただく中ではクリエイティヴな要素も必要になってきます。

髪質だったり、今の髪の毛の長さや量だったり、ダメージ具合だったり、パーマやストレートの残り具合だったり、理想の髪型に近づけるのに、今の髪の状態という制限がそれぞれにかかってきます。

それを加味して希望のヘアスタイルに近づけていくわけですが、その過程で必要なのは美容師の高い技術力だと思いますが、それ以上にその髪の状態からどういったデザインを導き出せるかというクリエイティヴィティ(イが一杯)能力も仕上がりに大きく関わってきます。

もちろん、仕上がりのスタイルを考える中で、お客様の好みだったり、その時お持ちになられたスタイル写真などの要素も加味する訳ですが、それらを踏まえた上でも結局のところ美容師側の技術や感性なくしては、スタイリッシュな髪型は作れないです。

 

 

(たかが美容師レベルのクリエイティヴとはレベルが違いすぎますが)この表紙の写真のスタイリッシュさも、モデルという素材の要素も当然大きいですが、そこにカメラマンの高い技術力、そして圧倒的な感性というものがあってこそ、感情が揺さぶられるような作品になるのだと思います。

 

ということを踏まえた上で、中の作品も少しご紹介させていただきます。

 

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どれも素晴らしいです。

 

自分がVOGUE ITALIAやAnOther Magazineなどの洋雑誌やアートブックを買って(←重要)読むのも、サブスクで音楽聴き漁って良いと思った音楽は買って(←老後まで開けないですが)ブログ等で紹介するのも、映画を観まくって所有したいと思った作品(←だいたいにおいては既に廃盤)はたとえプレミア価格になっていたとしても株価支えてる時の日銀みたいに強気の姿勢で買うのも、全ては自分の趣味でありつつも同時に仕事の為そしてお客様の為(←ここ重要&強調)でもあるのです。

そうやって都合良く自分に言い聞かせています。

 

その点においては、自分は美容師の中では誰にも負けないと言えるくらいのものはあるんじゃないかと思っています。

 

自信満々に言ってますが「美容師の中では」というのがポイントで、これがファッション業界の人との比較とかになってくると上位1割にも余裕で入れないと思います。

美容師でニッチな人はあまり会ったことがないですが、本屋さんの店員や清掃員の中には超コアな人がいることは知っています。

 

そういう人達に美容師ながら少しでも近づけるように、もっと知識や感性を深めたいです。

 

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧になってみてください!

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2020.10.30.

Posted on 10.30.20

今回は、エマニュエレ・ファルネティの前澤友作ばりの大判振舞いにて、僕の手元にも降り注いでくれたL’UOMOの最新号をご紹介させていただきます。

 

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ファルネティ氏のことは、感謝の気持ちを込めて「L’UOMO配りおじさん」と心の中で認識させていただこうと思います。

 

今号のテーマは『Breaking Boundaries』(境界を破る)

 

ビジネス、インターネット、ジャーナリズム、カルチャーなどを扱う雑誌“WIRED”の最新号でも同じようなテーマを扱っていました。

 

近年、性に対する差別問題の意識も社会全体でも高まってきた中で、新型コロナの世界的な蔓延があって、これまでと違った生活様式や価値観、働き方に至るまで、改めて考えたり見つめ直す機会が増えました。

 

最近、ユナイテッドアローズの栗野宏文さんがコロナ禍で執筆された本を読んだのですが、栗野さんも毎シーズンUAブランド全体のディレクションの方向性を決める時、その時々の社会情勢を大切にすると書いていました。

 

“モード”とは、ファッションの中にありますが、その本質には深い知性が備わってないと辿り着けないものです。

本誌L’UOMOの姉妹誌『VOGUE ITALIA』は、現在においても世界のモード誌の中でトップに君臨しています。

 

VOGUE ITALIAをその地位に導いたのは、長年編集長として同誌を牽引した故フランカ・ソッツァーニ氏に他ならないですが、彼女も社会情勢をとても大切にし、その時々の社会問題や環境問題を紙面に反映していました。

(ご興味のある方は、彼女のドキュメンタリー映画も作られていますので、ぜひご覧になってみてください)

 

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もっと多くのファッション好きな方にも、これらのポートフォリオからファッションだけではなく、そこに込められた思いやテーマというものも感じ取って、それぞれに考えていただきたいなと思います。

 

ファッションにはとても興味があるけど政治には全く関心がないという方も多いかと思いますが、これらの作品の先には政治があり、モード自体も政治によって形が変わる(変わってしまう)要素も持っています。

 

この表紙のイケメンオヤジまでそんなことまで考えてるとは見た目からでは到底想像できないと思いますが、この表紙の男アレクサンダー・スカルスガルドだって、負傷して退役した英国陸軍の元兵士たちを支援するチャリティーレース『Walking With The Wounded』に参加したりもしています。

 

見た目がいくらカッコ良くても中身がスカスカな男と、見た目地味でダサくとも謙虚な男では、後者の方が断然人として魅力的です。

そして、イケメンでオシャレな奴が謙虚で賢かったら、後者のような人は白旗を揚げながらも笑顔でその人に歩み寄っていくと思います。

 

本誌やVOGUE ITALIAを読む際には、ぜひそういう見方もしてみてください!

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2020.10.28.

Posted on 10.28.20

イタリアンヴォーグの最新号が届きました!

 

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今月は、子持ちししゃもに比べて一万倍は嬉しいUOMO付きです!

ファルネティさん、あなたのマザー・テレサのような優しさに、私はお金の続く限りイタリアンヴォーグを買い続けます…

 

今号は、ヘルムート・ニュートン生誕100年を記念して、偉大なるファッション・フォトグラファー, ヘルムート・ニュートンへのトリビュート号となっております。

 

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年末にはヘルムート・ニュートンのドキュメンタリー映画も上映されるので、ぜひ観に行きたいと思っています。

 

UOMOの方も機会があれば、近日中にまたご紹介いたします。

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!