TENET

2020.11.11.

Posted on 11.11.20

ようやくクリストファー・ノーランの新作『TENET』を観てきました!

 

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自分が20代前半の頃は、「一番好きな映画監督は誰か」と聞かれたらクリストファー・ノーランと答えていたと思います。

ちょうどその頃に観た“メメント”と“フォロウィング”は、お気に入りの映画でした。

 

今では、超有名になって大規模なエンタメ作品を手掛けるようになりましたが、今でも大好きな映画監督の一人です。

 

今作も早く観に行きたかったのですが、当初は映画館の席の埋まり具合をネットで調べると、カリフォルニア工科大学の秀才と日本の小学生がオセロしてるのかと思うくらい多くの座席が黒く塗りつぶされてたので、真っ当な接客業に従事する自分は「IMAXで観たい」という欲張りな心の煩悩を抑えに抑え、ようやく世間のブームが“鬼滅”へと移行したので、「よし、行ける」と思って劇場を調べたらIMAXのスクリーンもまさかの“鬼滅”に明け渡されていました。生粋のツッコミ気質の人なら、間違いなくツッコんでるところです。

 

難波でも上映してましたが、映画が2時間半あるので、仕事終わりに行けるタイミングでちょっとでも早く始まる梅田の映画館で観ることにしました。

 

それでも仕事が終わってから上映開始時間までに時間が1時間以上あったので、梅田に向かう前に、お客様にオススメしてもらってた新町のラーメン店“フィッシュトンズ”(店主はフィッシュマンズ好きなのでしょうか?)に寄っていきました。

別のお客様からは「TENETけっこう酔う」と聞いてて、自分で運転してる車で酔いすぎて高速乗る前の路肩スペースで1時間半休息したこともある生粋の乗り物酔い体質の僕は、極度の不安症持ちでもあるので、自分の意思でラーメン屋の前に立ちながらも「TENET」前にこんなもん食べてはたして大丈夫か?と、急に心配になりだしたのですが、不思議なことにそれでも僕の指は“特選濃厚つけ麺”のボタンを押してしまうという……

 

結局、麺を1/3くらい残してしまいました。。

(味はとても美味しかったです。変な奴と思われても麺を残す理由を立ち上がってお店の人に全て説明したかったです。スミマセンでした。。)

 

 

梅田くらいはケロリと自転車で行ってしまう乗り物嫌いのワタシは、上映時間前には映画館に着いてパンフレットを購入。

上映までの時間にパラパラと見ながら時間を過ごしました。

 

かなり難解との前情報だったので、そこもかなり心配してたのですが、仕事終わりで疲れ切った脳を再起動させて極限まで集中力を高めて観たせいか、思ってたよりは理解できました。それでも、かなり難解な映画でしたが。

一番心配してた映像酔いも、麺を1/3残させていただいたおかげで(お店の方、貧困で満足に食べることもできない世界中の方々、本当にスミマセンでした)、なんとか大丈夫でした。

 

さすがはノーランという理系脳の深い知識から創造されたアイデアが遺憾なく発揮された映画だったと思います。

ノーランがここまでエンタメ作品にも起用される理由は、超物理学的でありながらも、それを全て理解できなくても楽しめるエンタメ性と映像美を出せるからというのが大きいのではないかと思っています。

サントラも良かったので、やっぱりIMAXで観たかったと思いつつも、IMAXなら完璧に酔ってた自信があります。

 

映画が終わった後は、すっかり深夜の時間帯で、また自転車で堀江まで帰ろうとしたのですが、その時、不思議な感覚に襲われました。

慣れない深夜の梅田だからか、頭を使い過ぎたからか、TENETの映像魔術がまだ解けてなかったからか、ノーランの別作『インセプション』のように梅田の街がグルグル回り、東西南北の感覚が失われていきました。

もしかしたら、しっかり映像酔いしてたのかも知れません。。

 

その後、魔法は解け、無事に帰宅できました。

 

パンフレット見たいという方は、お店に置いてますので、スタッフに一声かけてくださいませ!

mid90s

2020.09.14.

Posted on 09.14.20

新型コロナウィルスの影響で、自粛して暫く映画館にも行ってなかったですが、久々に映画館で映画を観てきました。

 

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実力派俳優でもあるジョナ・ヒルの監督デビュー作『mid90s』

監督自身の10代の思い出をもとに作りあげられた、素晴らしい青春映画です。

 

 

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家では嫁の全面協力のもと、三度の飯より映画ウォッチャーと化してる自分にとっても、年明けに観に行った『ミッドサマー』以来の映画館。

コロナで映画館自体も閉館してたり、再開してからも自分は接客業をしてるので映画館に行くのは少し様子を見てからにしようと思って、本当はウッディ・アレン監督の『レニーデイ・イン・ニューヨーク』とかも観に行きたかったのですが、もう少しだけ我慢して、本作は前から楽しみにしてたので、ドリンクも飲まず,マスクを着けたまま一時も取らず,一言も発さずに,一人で(これに関してはほぼ常にですが)感染予防対策を徹底して観に行くことにしました。

 

いつも映画館に着いたら、まずチケットを発券して、たいていの場合においてパンフレットを購入します。

入場時間までの間、待合席に座ってパンフレットをパラパラと見ていると、これから鑑賞する作品への期待が高まっていきます。

気持ちがワクワクしてきたところで一旦クールダウンしてパンフレットを仕舞い、持参した本を読みながら時間をつぶします。

 

入場時間が来ると入り口でチケットを提示して、鑑賞する作品のスクリーンへと向かいます。

エスカレーターに乗りながら、気持ちがまたワクワクしてきてるのが分かります。

 

ひとつ飛ばしで設定された座席の中から選んだ席を探して、シートを下におろしてゆっくりと深く腰を降ろした瞬間、あまりの充足感から早速、名映画評論家の水野晴郎さんみたいに「いやぁ、映画館って本っ当にいいもんですね〜」と独り言が出そうになりましたが、一人で来てるのにいきなりその言葉を本当に発してしまったら、只でさえソーシャルディスタンスを遵守してひとつ飛ばしに割り当てられた間隔が自分の周りだけ更に広くなってしまう事態になるので、心の中に留めておきました。

 

レイトショーで観客もまばらでしたが、場内の照明が落ちいよいよ映画が始まります…

 

自分はスケーターでもなく、青春時代にヒップホップも聴かず、怖くて不良グループに近づく度胸もなかったですが、本作と同じように90年代に学生時代を過ごした世代だったからか、青春時代カルチャーに心を奪われてたからか、それとも単純に本作が素晴らしかったからなのか、とても心に滲みました。

自分は若い頃は、主人公,サンバーンの兄とほぼ同じタイプだったので、そちらに感情移入もしましたが。。

 

当時は、今みたいにスマホもなく、インターネットもなく、SpotifyもNetflixもない時代でしたが、アナログだったからこそ輝きを放ってたものもたくさんあったと思います。

 

トレント・レズナーとアッティカス・ロスによる本作の為に手掛けたオリジナル・スコアも奇跡が舞い降りたのかと思うくらい美しかったです。

 

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コロナの感染が心配で映画館も自粛しているという方もいらっしゃるかと思いますが、映画館側も席を間引くなど感染対策をちゃんとしてくれていましたし、客側も感染対策を順守しマナーを守れば、映画館はそれほど感染リスクが大きいところではないと感じました。

 

自分は映画が好きだし、映画館も無くなってほしくないと思うから、コロナ禍においても今のように経済活動が求められてるうちは、これからも観たい作品があれば感染対策をしっかりして映画館にもまた行こうと思います。

 

映画館に行きたいけど心配で行けてないという方がいれば、予約が空いてそうな時間帯なら割と安心して観れましたということはお伝えしたいです。

 

コロナに対する考え方は人それぞれだと思うので、ぜひ映画館に観に行ってみてくださいとは言えないですが、とてもオススメの映画でした!

Posted on 06.06.20

音楽ライターの宮谷さんから、コロナ自粛期間中におすすめの音楽と映画を紹介してほしいとのご依頼をいただき、この度記事にしていただきました!

 

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“SENSE OF MODE”をテーマに、今回は、渋谷にあるCAFE:MONOCHROMEさんと同列で取り上げてくださいました。

 

自分の書いた文章は拙いものですが、ライターの宮谷さんもCAFE:MONOCHROMEの川村さんも本当に素敵な文章を書いておられますので、よろしければぜひご一読ください!

 

https://note.com/staytuned99_9mhz

 

Posted on 05.01.20

自分もとてもサポートしている場合ではないのですが…

おそらく自分たちよりも状況が厳しいであろうミニシアターの皆様へ

コロナが終息したら今まで以上に映画観に行くので、どうか頑張ってください!

 

 

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End Roll Magics

2020.04.29.

Posted on 04.29.20

映画のエンドロールに流れる曲のみで構成したプレイリスト、その名も“End Roll Magics”を公開いたしました。

 

自粛生活中の部屋の片付けの際などに、よろしければご視聴くださいませ。

 

映画好きの方は、どの曲がどの映画のラストか、何問正解できるでしょうか?

(最後の曲はもの凄いサービス問題です)

 

 

 

ミッドサマー

2020.02.26.

Posted on 02.26.20

観てきました!

今、最も注目を集めている映画監督はポン・ジュノですが、最もアツいのはこの映画の監督,アリ・アスター。

 

そのアリ・アスター監督の長編2作目となる新作

『ミッドサマー』

 

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【ストーリー】

5人の大学生たちが訪れたスウェーデンの奥地で、90年に一度の祝祭が始まる

白夜の太陽の下、花は咲き乱れ、人々は陽気に歌い踊る・・・しかし、全ては悪夢の始まりだった

明るいことが、こんなにおそろしい…

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アリ・アスター監督の映画は、長編デビュー作となった前作『ヘレディタリー/継承』も観ましたが、前作に続き今作でもホラー映画の常識を覆されました。

と言うか、僕はサスペンス映画は大好きですが、普段ただのホラー映画なら全く観ないです。

アリ・アスター監督の作品は、そういう方にもオススメです!

 

 

映画の舞台となる北欧スウェーデンの奥地の自然に囲まれた村(実際はハンガリー・ブダペスト郊外の山間部で撮影)は、こんな素敵な場所なら一度訪れてみたいと思うほどにユーフォリックに包まれています。

そんな素晴らしい場所で行われる90年に一度の夏至祭は、残酷なほど常規を逸しているものでした。

 

 

この映画には“北欧神話”,“ルーン文字”,“ヴァイキング”など、意味を知っていればこの映画の深みが増していくような伏線が多く存在します。

そういう演出は、力量のある映画監督ほど、上手にストーリーの節々に入れ込むことができます。

僕も観賞後は、ネットで映画マニアな方々の考察を色々と拝読させていただきましたが、本当に凄い人の考察は読んでてシビれます。

それらの難解な要素も組み込みつつ、実は“失恋リベンジ映画”なようにも思わせる作りになっているから本当に面白いです。

「元カレのことがマジでムカついて腹立たしいし本気でブサイク」という現在絶賛失恋中の方にもオススメできるかも知れません。

 

 

そして、僕は今マスク以上に、この映画のパンフレットが欲しいです。

 

ご興味のある方は、ぜひご覧になってみてください!

 

新聞記者

2019.07.09.

Posted on 07.09.19

大人になってから映画館で邦画を観たのは、おそらく今回が初めてです。

 

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国家権力とメディアの裏側を描いた映画『新聞記者』

 

今月21日は参議院選挙の投票日ですが、このブログをご覧になられてるみなさまの中で、選挙なんて行かないと思ってる人も少なくないのではないでしょうか?

一日の中で、政治のことを1秒も考えてない人は特に若い世代では多くいると思います。

そういう人は、まるで自分とは関係ない世界だと思ってるか、難しくてわからないと諦めてるかのどちらかの理由に当てはなる人がほとんどではないでしょうか?

 

今の生活に満足できてるという方、お給料から所得税や社会保険が引かれたり住民税を払ったり、今年の10月に消費税も上がりますが、別にそれでも全然負担じゃない、もしくはそれくらい引かれて当然でおかしいとは思わないという方は、別に最悪選挙に行かなくても困ってないんだと思いますし、選挙に行って“自民党”と書いておけば今の体制が引き継がれることを支持することになるのでそうするべきだと思います。

ですが、「こんなに税金取られておかしい」「年金も強制的に徴収されてても、将来安心して生活できる金額がもらえないのはアホらしい」とかは、普段政治に興味のない人でも感じていることだと思います。

そんな人にこそ、今から書くことを読んでほしいし、この映画もぜひ選挙までに観てほしいと思います。

今の政権は『国民第一』だとか口では言っておきながら、裏では好き勝手メチャクチャやっています。

国民が政治に無関心であればあるほどに、好き勝手できるので超ラッキーです。

「日本の国民なんてワイドショーで食いつきやすい芸能ネタ適当に与えとけば、あとは勝手にバラエティとかYOUTUBEとかNETFRIXとか観ることに忙しくて政治ニュースなんて興味示さないバカばっかりだからラクショー」くらいに心の中では思ってるのが今の政権で、その中心にいる人物こそ日本が誇る完全無欠の“ネヴァー・エンディング・サイコパス”安倍晋三首相であります。

 

世界の超大国アメリカでも、あんな品格の伴わない人物が大統領に就任してから現在でもそこそこ支持されてるのが未だに信じられないですが、アメリカは報道の自由が日本よりも尊重されてて、権力に対して歯向かうメディアや問題を提起する映画が多数存在するのは救いだと思います。

 

ここ日本では、「報道の自由」や「民主主義」という言葉はもはや建前だけで、今の政権が長期化するに増して国家権力によってメディアや各方面の権力者が取り込められ、今の政権に有利なように情報が操作され、政権にとって都合の悪い情報はその情報を出すメディアや人物を貶めることで国民にその情報自体の信憑性を疑問視させるというブラックホールみたいなやり方を編み出して、さらに国民の政治無関心も相まって、もはや今謹慎中の雨上がり決死隊の宮迫くらいの不祥事が権力側の人たちから発覚するくらいのことはそよ風よりも優しい、むしろそれで逆に批判する側を情報操作で落とし込んで国民にそっちが悪者として仕向けれられるから気持ち良い、くらいのことは余裕でできるおとぎの国状態と化しているのが今の日本です。

 

本来、報道メディアは権力とは緊張関係を築いて、政権が国民の為になることを正しくやっているか、不利になるようなことをしていないか、ということをしっかりと監視する立場にあるべきだと思いますが、今の日本ではその逆の事態になっています。

お友達内閣と揶揄されてるのは、何も政治家の中だけではなく、NHKも含めたメディア, 大企業, 著名人や芸能人へと、シンゾー・サイコパス・アベはそのお友達の輪をどんどん多岐にわたって広げていっています。

ただし、その輪に入れるのは日本でもごく一握りの勝ち組の人達のみです。

この人達は自分達が有利になるから現政権に頑張ってほしいので安倍首相を支持しまくりますが、それ以外の庶民にとっては税金が増えるなどデメリットの方がほとんどです。

海外では、人気アーティストや俳優などで反政権の立場を明確に表明している人達が多数いますが、日本ではそう言う人達は表舞台から消されていきます。ヤバイ奴のレッテルを貼られるのです。そういう流れを作ってるのも現政権です。

本来、ダウンタウンの松本さんみたいな立場の人が政権に対して厳しい目を向けてくれていたら、あまり政治に詳しくない人達も松本さんの発言に耳を傾け、そういった無党派層の政権に対する監視力を少なからず高められると思います。逆に、それくらい絶対的な立場の人じゃないとすぐに蹴落とされてしまうので今の日本では反政権の立場で矢面に立つということができないと思います。

それほど安定した立場にいないのに、政権に対して問題提起している著名人の方々には本当に敬意を評します。

自身も家庭や生活があるのに、それらを全て失うリスクがありながら庶民や弱者の為に声を上げているという行為に対して、もっと国民は感謝するべきだし応援するべきだと思います。

 

この映画は、一応フィクションですが、望月 衣塑子さんというジャーナリズム精神に溢れた新聞記者の著書を元に制作された映画です。

 

この人のことをネットで調べても、メチャ叩かれてると思いますが、それも政権側の人間が操作していることです。政権側にとって隠したいことや不利なことを取り上げてくるから、ネットなどで情報操作をしたり、時には嘘をでっち上げたりして世間にヤバイ奴として認識させるのです。そう仕向けてる人達が一番ヤバイのに。。

 

映画では、安倍首相の森友・加計問題やレイプ被害を告白した伊藤詩織さんをモチーフにした事件など、現政権で現れた事件がフィクションとして取り上げられています。

実際の事件でも籠池氏をヤバイ奴としてクローズアップさせ安倍首相は逃げましたが、籠池氏もそりゃ悪い側の人間なんだと思いますがこれほどのスキャンダルが発覚してもあまり深手を負わずにことなきを得た安倍首相は、籠池氏とはネズミとゾウくらい格が大きく違う巨悪だと思います。

 

自分はレイトショーでこの映画を観たのですが、日本では皆無といっていいほどの政権を啓発した映画が製作されこうして公開されてることに感動しましたし、映画配給会社がイオングループであるということ、レイトショーにも関わらずたくさんの観客がこの映画を観にきていたことに、まだまだ日本も捨てたものではないなと勇気付けられました。

出演されていた役者さんの演技も随所で素晴らしかったですし、監督さんを始めこういう政権風刺の映画に関わることを決意をしたことに敬意を表したいです。

 

政府は、自分達国民の無関心をいいことに、自分達の税金を使って好き勝手やっています。

危機管理能力が低くなった高齢者から振り込め詐欺をやってるような人達と一体どれくらいの違いがあるというのでしょうか?

表舞台で堂々と権力をかざしながら非人道的なことをする政権の方がよっぽどタチが悪いのではないでしょうか。

 

普段、政治に関心の少ないという方にこそ、この映画はぜひ観ていただきたいです。

アラジンとか観るならこれを先に観た方が良い。

国民全員がそれくらいの意識を持てば、間違いなく税金の無駄遣いの抑止力にもなるし、政治家も今ほど余裕ブッこいていれなくなるはずです。

 

ビル・ゲイツは去年、アメリカの大学を卒業する若者のうち希望者全員に『ファクト・フルネス』という本を無料で配りました。

(この本は旧発展途上国の現在における変化を伝えた目から鱗な内容の本で、とても面白いのでこちらもご興味のある方はぜひオススメします!)

 

自分は超富裕層どころか拙い一美容室の店主でしかないので、希望者全員にこの映画を無料で鑑賞させることはできないですが、この映画の鑑賞券の領収書をお持ちいただいた方全員1000円割引させていただきます。

まだ選挙権のない中学生であろうが、20才のギャルであろうが、安倍政権万歳なバリバリの富裕層の経営者の方であろうが、80才のおばあちゃんであろうが誰でも大丈夫です!

 

この映画も当然のようにTVなどではほとんど取り上げられてないですが、一人でも多くの人にご覧になっていただいて、そのことで政治に対して関心を持つきっかけになれば幸いです。

 

ENGLAND IS MINE

2019.06.07.

Posted on 06.07.19

観てきました!

 

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80年代を代表するバンドのひとつであるThe Smithsの中心人物モリッシーの若かりし頃を描いた映画『ENGLAND IS MINE』

 

 

The SmithsのT-シャツを持っているという方で、この映画に興味をそそられないという方がもしいらっしゃるなら、それはNirvana T-シャツをファッションで着てる人と何ら変わらないので、The Smithsを使ってそんなことをするのはぜひやめていただきたい。

 

やるならニルヴァーナとかローリング・ストーンズとか、でもどうしてもそれらメジャーどころよりももう少しカルチャーに精通している感じに見られたいという人は、P.I.L.とかNew Orderとかまでは許すのでザ・スミスだけはマジでやめていただきたい。

 

上記の文章のような「こんな奴とは友達になりたくない」と思われるような発言を、もっとコンパクトに一言で相手を嫌な気持ちにさせるのが、この映画の主人公でありThe Smithsの中心人物モリッシーである。

 

つまり、The Smithsを本当に好きな人は、ほぼ間違いなくオタク気質な面を持ってるようなネクラなタイプで、クラスで人気者になるような人達とは真逆の存在なのです。

だからバンドTも決してオシャレ感覚で着たりしない。

アーティスト自身の生き方に共感したり、その音楽がメチャクチャ好きな気持ちを、T-シャツを着ることで表しているのです。

特にThe SmithsのT-シャツは、アメリカの大統領選挙とかで支持表明をする人くらい熱意を持って語れる人にこそ着てほしいと思っています。

 

ほとんど映画の説明というより、勝手に思ってるバンドTシャツを着る時の心得みたいなものをウダウダと書いてしまいましたが、The Smiths及びモリッシーファンの皆さまには共感してもらえると信じております。

 

映画は、モリッシーがまだバンドを始める前のくすぶってた時期を描いています。

The Smithsファン及び、捻くれ者を自負する方は、ぜひご覧になってみてください!

イングランド・イズ・マイン…

イメージの本

2019.05.14.

Posted on 05.14.19

映画館で鑑賞してから感想を書こうと思ってましたが、忙しいG.W.があって先週は先週でアパレル関係など連休中に休めなかったお客様が結構いらしてくださって、今週はいよいよ本気モードでお店が暇になりそうです。お時間のある方は、絶賛いらしてください。

 

そんなこんなで感想書くこと忘れてて、今から3分前に「ハァッ!!!」となって書いてる次第であります。

 

今回観たのは、齢88歳を迎えるジャン=リュック・ゴダール監督の最新作『イメージの本』

 

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ゴダールの映画は、前作の『さらば、愛の言葉よ』も映画館で鑑賞したのですが、その映画がとても面白かったのです。

面白かったと言ってもストーリーはほとんど理解できなかったのですが、当時は3Dメガネをかけて鑑賞する映画が増えてきた頃で、「アバター」が大ヒットしてどの監督もそれを追随するような3Dならではの迫力のある映画を作ってた時代に、ゴダールが初めて手がけた3D映画が『さらば、愛の言葉よ』でした。

ゴダールは3Dをとても芸術的に駆使していました。

それは迫力のある派手な映像ではなく、ベンチに座った女性の読んでいる本が風で捲られるページの描写だったり、木の葉っぱの間から差す木漏れ日の眩しさを演出する為に両目の焦点をわざとずらして目をチカチカさせたり。

これはやってくれたな、と思いました。内容はほぼ入ってこなかったですが。

 

という経緯があるので、今回も映画館で観ようと思ってました。

 

本作は、映像や音楽を巧みにコラージュし、現代の暴力、支配、不和などに満ちた世界に対する「怒り」をのせて、この世界が向かおうとする未来を示す5章からなる物語。

 

みたいな宣伝文句ですが、実際映画を観た感想は、そんな難しいことを考えてたら矢継ぎ早に変わる映像に思考回路が間に合わなくて途中で脳内エンスト起こしそう。逆にそういうことを何も考えなければひたすら眠たくなりそうな…

行くも地獄、帰るも地獄な映画。

 

そんな映画を(前のブログで書きましたが)朝6時起床で京都に向かい、レンタサイクルでKYOTOGRAPHIEを回りに廻った瀕死の状態で夜19時過ぎから観たのです。

もう逆に中学生の時に初めてブラックコーヒーを飲んだ後くらいに目がギンギンに冴えわたってました。

 

鑑賞人数は精鋭5人(全員他人、うち一人は目がギンギンに冴えわたったスーパーサイヤ人)。

その中で比べると、おそらくこんな僕でもキング・オブ・ポップに選出されそうなくらい、他の人たちからただならぬアンダーグラウンド性を感じました。

 

僕はこの映画のストーリーに関しては、開始2分くらいから理解するのを諦めて(というかストーリーとかで観る映画ではないのだなと理解して)、これはゴダールが手がけたテーマパークのアトラクションなのだと思って鑑賞してました。

芸術的エンターテイメントと、その映像から滲み出るゴダールの感情…

 

パンフレットにも載っていましたが、この映画にはかなりの映画が断片的に引用されています。

全部許可を取ったのでしょうか?

映画を観ながらそんな野暮なことを考えてたのは、鑑賞者5人中たぶん僕一人だったと思います。

(あとで調べたら全部無許可らしいです。そう来なくっちゃ。)

 

 

コラージュされた映像の数々は、その全容がもたらす意味とは裏腹に、とてつもなく美しいものでした。

ゴダールの生き様に敬服。

 

Posted on 03.28.19

マルジェラの映画を観に行った時に宣伝で流れていた『ウトヤ島、7月22日』が気になりすぎて、先日観てきました!

 

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この映画は、2011年7月22日にノルウェーの首都オスロとウトヤ島で実際に起きた連続テロ事件を題材にしています。

 

まず、映画の冒頭でノルウェー時間の午後3時半頃に発生したオスロ政府庁舎の爆破事件を元にした映像が流れます。

この事件では実際8人の命が犠牲になりました。

 

その後、映像は本編の舞台となるウトヤ島に移ります。

ここからの登場人物のやりとりなどはフィクションですが、描かれている事件の全容は実際の生存者からの証言を元に製作されています。

そして、ここからの映像はなんとラストまで衝撃の72分間ワンカット。

自分もその場にいるような切れ目のない映像は、非常に緊迫感があります。

 

 

オスロ近郊にあるウトヤ島ではその日ノルウェー労働党青年部の集会が行われ、10代の青年約700人が参加していました。

現地時間5時頃、島内で無差別銃乱射事件が発生。

犠牲になったのは実に69人の若者たち。

犯人は、当時32歳、極右思想を持つキリスト教原理主義者のノルウェー人、アンネシュ・ブレイビクただ一人。

 

いつもの日常から一転、恐怖のどん底へと突き落とされる様子がリアルに描写されています。

ワンカットの72分間は、実際の事件発生から終息に要した時間と同じ。

本編での銃声の数も実際と同じ540発。

自分がもしその場に居合わせたらと考えると血の気が引きます。

 

ご興味の湧いた方は、ぜひ観に行ってみてください。

サスペリア

2019.01.29.

Posted on 01.29.19

先週の日曜日は仕事が早く終わったので、これはチャンスと公開前から観たいと思ってた映画『SUSPiLiA/サスペリア(リメイク版)』をレイトショーで観てきました!

 

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本作は1977年に制作されたイタリアの同名ホラー映画のリメイク。

監督は、前作『君の名前で僕を呼んで』で注目を集めた、こちらもイタリア人映画監督のルカ・グァダニーノ。

 

【あらすじ】

舞台は1977年ベルリン。

世界的舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」に入団するため、米ボストンからやってきたスージー・バニヨンは、オーディションで振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに大きな役を得る。しかし、マダム直々のレッスンを受ける彼女の周囲では不可解な出来事が続発する…

 

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【感想】

今作のリメイクはアーティスティックなリメイクながらも、カテゴリは普段あまり観ないホラー映画というジャンル、さらにかなりグロテスクな映像も多々あるとの事前情報も得ていたので、映画館に向かう道中から、果たして自分のノミレベルの心臓は映画を観終わった後、夜中の11時半から無事に自転車で自宅に帰れるくらいの精神的耐久力を残しているだろうか…と早くも不安な気持ちになりました。

 

まずは無事に到着してチケットを買って、僕は映画館で映画を見る場合はだいたいの場合においてパンフレットを購入するので、今回も買おうと思って売店に行ったのですが、まさかの売り切れ!

この時点でめっちゃホラーを感じました。。

(後日、わざわざパンフレットだけ買いに行きました)

 

 

作中にも出てくる舞踊団の演技はコンテンポラリー・ダンスで、ダンスカンパニーを率いるティルダ・スウィントン演じるマダム・ブランは、ピナ・バウシュやマリー・ヴィグマンなどをオマージュした役柄ということで、とてもシュールで世界観のある映画でした。

 

ナチスドイツやフリーメイソン、フェミニストなども絡められており、内容的にも一筋縄でいかない作品になっていました。

 

トム・ヨークが手がけた音楽は、事前に作品を何度も聴いてたのですが、とてもこの映画に合っていたように思います。

ただ、家でBGMとして聴くとサンシャイン池崎くらいのテンションの人でも、次の日にはもれなく抜け殻みたいになってしまうくらい暗いです。

 

ルカ・グァダニーノ、ティルダ・スウィントン、トム・ヨークの3重奏がとてもミステリアスで、素晴らしい相乗効果を生み出していました。

 

噂に聞いてたグロテスクな映像や不気味なムードは満載で、帰りはこの能面みたいなティルダ・スウィントンの不気味過ぎる顔が脳裏に焼き付いて、次第に自転車のペダルを漕ぐスピードも上がりました。

 

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こっっっぅわ!!!

 

 

気になる方は、ぜひご覧になってみてください!

 

Posted on 01.16.19

自分に子供ができてからというもの、映画館はもちろん、自宅のテレビで映画を観るという機会もなかなか取れなくなしたが、その代わりに僕の「観たい映画プロテクトリスト」は巨人軍のそれよりも精鋭揃いになって、今では映画を観れる貴重なタイミングを見つけてそのリストから選んで観ることが、とても格別な至福の時間になってきています。

 

そして先日観たのが、これも去年映画館で観たいと思いながら行けなかったポール・トーマス・アンダーソン監督の新作『ファントム・スレッド』です。

 

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【あらすじ】

舞台は50年代第二次世界大戦後のロンドン。

完璧主義のオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックはある日、若きウェイトレスのアルマと恋に落ちる。そして、彼女を新たなミューズへと迎い入れる…

仕事が生き甲斐で彼女をプライベートでは尊重しないレイノルズとそれに不満を募らせる強き女性アルマ。

格式高いオートクチュールの世界で繰り広げられるそれぞれの愛の理想形を巡っての心理戦が描かれる。

 

 

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【感想】

ポール・トーマス・アンダーソンの作品なので、ファッションの世界を舞台にしていながらも昨今人気のオシャレ系映画とは当然全く異なるものを作り上げているんだろうなと思っていましたが、いや本当に素晴らしく面白い映画でした。

 

この映画には特に3人の人物が圧倒的な仕事をしています。

監督のP.T.A.(ポール・トーマス・アンダーソン)、今回が引退作で1年前から裁縫師のもとで役作りを学んだという主演のダニエル・デイ=ルイス(最終的にはバレンシアガのドレスを複製できるくらいの腕になったらしいです!)、そして音楽を担当したRadioheadのジョニー・グリーンウッド。

他にもアルマ役の主演女優ヴィッキー・クリープス、レイノルズの姉シリル役のレスリー・マンヴィルの役柄もとても良かったですし、マーク・ブリッジスが担当した衣装もとても素晴らしかったです。

 

この映画は全体のムードとしてはとても格調高く作られているので、その落ち着いた雰囲気の中での音の演出効果や無言で語る役者の表情というのがとても見応えがあります。

 

しかし、一見ハイソ風に作っておきながら、マザコン,間接的DV,そしてスロッビング・グリッスルもクスリと笑いそうな主人公の名前「ウッドコック」など、随所に知的な下品さも散りばめられていて、最終的なオチもそれら伏線を回収というよりは雪だるま式に丸めてスーパー・アブノーマル・“元気玉”みたいなラストシーンに繋がっています。

カンヌでも通用するくらいのアーティスティックさを醸したり、自身が影響を受けた映画へのオマージュシーンを作中に入れたりする一方で、アメリカ人がゲラゲラ笑いそうな下品なネタもサラッと入れ込んでくるシュールさも持ち合わせているのが、P.T.A.がただの完璧主義者では終わらない彼の真骨頂であります。

 

ジョニー・グリーンウッドに関しては、既に世界的バンドRadioheadのトム・ヨークに次ぐ中心人物。

日本のお笑い界で言うところのダウンタウン的立ち位置に君臨しながらも、それでもなおそこで留めておくのは勿体無いと思えるくらい素晴らしい音響でした。

映画の冒頭で流れる程良く不快に感じる高音を聴いた時点で、もうしてやったり顔を浮かべるジョニーの顔が頭に浮かびました。

彼は日本のお笑い界で言えば立川談志、日本の音楽家で言うと坂本龍一になるべき人物です。

もしかしたらもう既にその領域に足どころか肩くらいまで浸かってるかも知れません…

だからフットボールアワーばりのしてやったり顔なんて実際のジョニーは絶対にしない筈です。

 

 

個人的には特に最後の料理のシーンがとても印象的で、やってることはイかれていますが最高に美しい2人の愛の完成形だったと思います。

僕はドンデン返し系の映画も好きでよく観ていた時期もありましたが、この映画は男女の心理的なパワーバランスが映画の中で相対的に変化していき、最終的には見事に入れ替わってしまいます。

 

 

普段、映画を良く観てる人ほど、面白く感じる映画ではないかと思います。

ご興味の湧いた方は、ぜひご覧になってみてください!

 

 

DRIES

2018.01.17.

Posted on 01.17.18

早速、観てきました!

アントワープが世界に誇るデザイナーの一人、Dries Van Noten(ドリス ヴァン ノッテン)のドキュメンタリー映画『Dries』

 

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アントワープ系のデザイナーは、ハイダー・アッカーマンも含め、個人的に好きなデザイナーが多いです。

 

本作の主役ドリス・ヴァン・ノッテンもその一人。

マルタン・マルジェラやアン・ドゥムルメステールはデザイナーとしての表舞台を離れましたが、ドリス・ヴァン・ノッテンは未だその輝きをより一層増そうとしています。

 

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テキスタイルや刺繍を使わせたらドリスより右に出るデザイナーはまずいないのではないでしょうか?

 

その使い方はコーディネートに気品を持たせながらも、とてもアヴァンギャルド。

もはや今のドリスは「折衷主義」の枠を超え、さらに上のステージを創造してるように思えます。

 

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もともと洋服店を営んでいる家に産まれたドリスは、幼い頃から洋服が身近にありました。

父親は家業を継いで欲しかったようですが、本人は洋服を販売することよりも服をデザインすることに人一倍興味を持ちました。

もちろん、そう思った誰もが一流のデザイナーとして活躍できるほどモードの世界は甘くないですが、ドリスには類い稀な才能と果てしない探究心がありました。

 

この映画を観て思ったのは、本当に好きなことに取り憑かれたように没頭できる人は、死ぬほどの努力ができる人よりも強いのではないかということです。

ドリスの服に対して追求し続ける仕事姿は、努力という言葉とは異なるイメージのものでした。

まだ世界に存在しないものを創造しようとする研究者に近い姿だと思いました。

服作りに病的なまでに取り憑かれているのです。

 

僕も自分でなりたいと思って美容師になりましたが、やはり自分のやりたいを仕事にできるということはとても幸せなことなんだと思いました。

そして重要なのは、自分が作りたいヘアデザインがお客様が求めるものとマッチしているかどうか、ということです。

こちらも美容師として仕事できたら何でも良いわけではないというデザインへのこだわりもありますが、それを通すなら自分のデザインを求めてくださる顧客を常に一定数以上つけていないと、長い期間サロンを続けることができません。

 

ドリス自身、最初地元ベルギーで開催されたコンペにフルコレクションを揃えて3度参加しましたが、1着も売れずに終わりました。

この時は客側を意識せずに独りよがりで自分の作りたい服を作っていましたが、逆に最初にこの失敗があったから現在の素晴らしいクリエイションがあるのだなと思いました。

 

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近年では若い世代の人達のほうが失敗を恐れて挑戦しない時代になってきたと思います。

僕はこの映画から仕事で使いたくなるような、たくさんのヒントと刺激をもらいました。

 

もっと今以上にお客様をワクワクさせれるヘアスタイルを作りたいですし、新しいヘアデザインを創造したいです。

 

ご興味のある方は、ぜひご覧になってみてください。

 

私事ながら先月末に2人目の子供が生まれたのですが、そんな仕事以外は家庭のことを一番に考えて動かないといけない時期にも関わらず、ダメ亭主な僕は家庭を顧みずに2日続けて映画館に足を運びました!

(注: ギャンブルと映画はほどほどに)

 

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「羊たちの沈黙」のバッファロー・ビルは、殺害した女性の背中の皮膚を削いで集めていましたが、僕は映画館で鑑賞した映画はパンフレットを買って帰ります。大抵の場合において。

 

まずはレイトショーでトム・フォード監督による『ノクターナル・アニマルズ』を観ました。

 

 

〈あらすじ〉

スーザン(エイミー・アダムス)はロサンゼルスでビジネスの成功を収めているが、夫との関係には満たされていない。ある日、20年前に離婚したエドワード(ジェイク・ギレンホール)が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が突然届く。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。

 

トム・フォードは前作『シングルマン』でも思いましたが、美的センスはさすが。

今作では本格サスペンスを描いてましたが、その中にもトム・フォードらしさが存分に溢れていました。

観た人ならわかると思いますが、冒頭のド迫力シーンはその日の夜に悪夢として出てきそうでした…

 

 

そして『ブレード・ランナー 2049』

 

 

普段はこういう大作系の映画はあまり映画館で観ないのですが、ブレード・ランナーだから観に行きました!

内容に関してもいつもは話の展開とかストーリーに重きを置きますが、今回はハナからブレード・ランナーの退廃的未来都市の世界観と映像美を楽しみにしておりました。

こういう後になって作る続編は失敗する映画も多いので若干の不安もありましたが、期待を遥かに上回るクオリティで心底素晴らしかったです!

 

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ニコラ・ジェスキエールとアレッサンドロ・ミケーレとリック・オウエンスが手を組んだのかと思うくらいの素晴らしい世界が創り上げられていました。

 

どちらも良かったですが、ブレード・ランナー2049は個人的には文句なしで今年ナンバーワン映画になりそうです。

 

ご興味の湧いた方は、ぜひ映画館に足を運んで観てください!

 

GIMME DANGER

2017.10.03.

Posted on 10.03.17

観てきました!

 

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ジム・ジャームッシュによるThe Stoogesのドキュメンタリー映画『GIMME DANGER』

 

The Stoogesと言えば今もロック界に君臨するイギー・ポップが中心人物ですが、この映画はあくまでThe Stoogesの期間の活動に限ってフォーカスした映画になっています。

 

The Stoogesの音楽は、当時(60’s後半)は「下品で退廃的」と評論家から酷評されてたみたいです。

(僕はこのコメントみた時にめちゃくちゃカッコイイ褒め言葉だと思いましたが…)

ですが、今や『最高のバンド』の一つに挙げられるくらいにその評価は一変しました。

 

当時のThe Stoogesのライブは、バンドが曲の演奏を開始してもイギーは全然歌い出さずに変なダンスをしたり観客席に飛び込んだりしてたのですが、その間ギター,ベース,ドラムの他のメンバーはずっと下を向いて動かずにただただイントロを繰り返し演奏して待ってたそうです。

もう、想像しただけでカッコ良すぎ!

 

同じロックでもタイプはまた全然違いますが、80’s後半にUKで「シューゲイザー」というジャンルが台頭してきますが、このジャンルの語源「Shoegazer」(靴を見つめる人)は、靴を見つめるように下を向いたまま演奏している光景から名付けられました。

The Stoogesの場合は、もっと五月蝿い演奏の中でヴォーカルのイギーだけが躍動しています。

同じくらいの時代にドイツにCANというバンドがいましたが、CANが日本人ヴォーカルとしてダモ鈴木を迎えた70年頃のスタイルの方がThe Stoogesと少し似た感じがします。

 

後になって時代が理解し得なかったと評価される理由は大きく2種類あると思います。

その時代の標準と比べて洗練され過ぎてるか、それとも堕落し過ぎているかです。

CANは(当時から人気でしたが)時代よりもかなり洗練されてたと思いますが、The Stoogesは時代の上を飛び越えてたのではなく下からくぐり抜けていくような感じでしょうか。

ただ、同じ時代にもパフォーマンスが面白おかしいバンドややたらと攻撃的でうるさいバンドは他にもたくさんいたと思いますが、The Stoogesは下品なことをやりながらもその奥に確かな知性があったと思います。

そこが現在にあってもイギー・ポップがバンドマンから支持されている要因なのでしょう。

 

歌詞はボブ・ディランの真逆を行くように、少なくシンプルに。

イギー以外のメンバーは、演奏中極力動かない。

 

など、バンドとしての魅せ方にも非凡なセンスが感じられます。

 

現代となって、その当時の下品さが「最高」という評価に変わるのですから、時代とともに人々の感受性は成長して行ってるのかも知れません。

 

単なるジム・ジャームッシュ好きなら、この映画はオススメできませんが、イギー・ポップ及びThe Stooges好きにはとてもオススメな映画です。

イギーはジム・ジャームッシュの過去の作品にも出演してたり仲が良いので、自身のドキュメンタリーを撮るならとジャームッシュを指名したのだと思いますが、個人的にはThe Stoogesの歌詞のようにもっとシンプルな作りでも良かったのではないかと思いました。(偉そうなこと言って本当にすみません)

ジャームッシュの他の映画の方が断然センスが光ってます。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでください!