gap press 2017 S/S paris
2016.11.12.
Posted on 11.12.16
コレクション誌はGap COLLECTIONSとファッションニュースをご用意してましたが、ファッションニュースがなくなってからは替わりにGap PRESSを買ってGap2本立てでご用意しております。
表紙は、バレンシアガ。
今パリのトレンドセッター といえばこのブランドです。
Gap COLLECTIONSの方が掲載点数も多いですし、サイズも大きく見やすいですが、待ち時間に気軽に見たいという方にはGap PRESSの方が読みやすいと思います。
ちなみにファッションニュースのほうはWWDの定期購読特典として一応残ってます。
最近はWWDもコレクションレポートの号以外の特集がイマイチなのでもはや定期購読まではせずに欲しい号だけわざわざアセンス心斎橋店まで買いに行ってるのですが、いつもお世話になってる洋書屋さんに付録のファッションニュースを興味本位で見てみたいとお願いして特別にサンプルをいただきました。
どうなってたかと言うと、表紙の左側の子みたいな「あちゃー」と言う具合で、ちょっと残念でした…
コレクションから写真を切り取ってきて均一のサイズに並べただけ。
何の説明もなし。
しかも、この一冊でパリもミラノもロンドンもNYも、更に同じ量のメンズも詰め込むのは無茶やと思います。
こっちはレポートを見たいわけで、これならVOGUE RUNWAYのアプリで事足ります。
Gap Pressも言うたらこれにテーマやイメージソースやキーワードがちょこっと書いてあるだけですが(ルックのピックアップとかも違いますが)、それだけで見る側の視点は全然面白くなるのに…
と、ファッションニュースの悪口はこのへんにして、久々にコレクションの感想を。
2017 S/Sのコレクションでまず注目してたのは、ディオール,ランバン,サンローランなどのトップメゾンに就任した新しいデザイナーのコレクション。
まずLanvinのブシュラ・ジャラールは、まるでオートクチュールさながらのとてもエレガントなコレクション。
ファーストルックからストライプを多用しており、マスキュリンというよりはジェントルマン寄りで、足元にはヒールよりもサンダルなどのフラットシューズのほうが多用されており、このような合わせ方をするのがジャラールの非凡なところです。
最近では、トレンドに走り過ぎてメゾンの本質すらも揺らいでいくブランドも少なくない中、ブレずに“大人な”コレクションを作り続けている姿勢も素晴らしいです。
マリア・グラツィア・キウリによるディオールは、さすがの一言。
マリアはずっとピエールパオロと一緒にディレクションをやってきて、初めて2人が袂を別かって迎えたコレクションにとても興味がありました。個人的にはヴァレンティノに一人残されたピエールパオロの方を勝手に心配してたのですが、マリアの方はディオールの期待に見事に答えたのではないでしょうか。
SNSが普及した現在、“売れる”ためにはアイコニックな商品を作ることが重要なのはフェンディやヴェトモンなどのブランドが証明していますが、マリアのディレクションにはキャッチーさの中にも玄人らしさもしっかりとあるように思います。
ちなみにもう一方の片割れ、僕は自分がもっと頑張らないとダメで他人の心配なんかしてる場合じゃないのですが、それでも気になるピエールパオロ・ピッチョーリのヴァレンティノはどうだったかというとちょっとフェミニンになってました\(^o^)/
一番右の真っ赤なコートかっこいい!
全体を見ればヴァレンティノの威厳を保ったコレクションで良かったと思いますが、いつもの敍情的でドラマティックなコレクションと比べると幾分フェミニンさが強くなったように感じます。
女性デザイナーのマリアが抜けて、男性デザイナーのピエールパオロ一人になってフェミニンさ増すとは、思わず「お前がフェミニンなんかい!」と心の中でツッコミたくなりました。
Hype Williamsは解散当時、ディーン・ブラントのほうが中心人物でしたが、今やインガ・コープランドのほうがホットで注目されてるぐらいです。
ヴァレンティノの二人においても、現在はマリアのほうがディーン・ブラント側ですが、ピエールパオロもぜひ巻き返して欲しいです。
サンローランでエディの後を継ぐことになったアンソニー・ヴァカレロは、さすがはエディと同様カール・ラガーフェルドが目をつけた人物だけあって光るセンスはありますが、ロックさではやはりエディには敵わないですし、エレガントさも前々任のステファノ・ピラーティに現状では及んでないように思います。デニム使いとかはエディと違ってて面白かったです。
エディの最後のほうは、変な3代目もどきとかもサンローランを買ってると聞いたので、自分はすっかり足が遠ざかってましたが、ほとぼりが冷めた頃には素晴らしいクリエイションを期待しています。
そして、クリエイションや格などを総合的に見て、今一番パリを代表するブランドをひとつ挙げるなら、自分はドリス・ヴァン・ノッテンだと思います。
一目ドリスだと分からせるものを持っていながらも、着る人に馴染み、アーティスティックであり、しっかりと芯がありつつもそこまで着る人を選ばない。
そのクリエイションは円熟味を増しながら洗練され続け、もはや“完成の域”に達してるように感じます。
マルタン・マルジェラは、早くに引退したことでマルジェライズムを失ってしまいましたが、ドリス・ヴァン・ノッテンが君臨し続ける限り、このブランドは更なる成長を遂げるのだと思います。
来年公開される予定のドキュメンタリー映画『Dris』も非常に楽しみです。
という感じの個人的なコレクション評でした。
ご興味のある方は、ご来店時にぜひご覧ください。