Posted on 05.06.22

gap PRESSの最新号が届きました。

今号は、2022-23 秋冬 ミラノ/ニューヨークコレクションの特集です。

 

表紙は、adidasとのコラボレーションを発表したGUCCIのものです。

 

 

 

現デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレは、モードのトップランナーのポジションから大きく引き離されていた当時のGUCCIをごぼう抜きで先頭集団まで押し上げた立役者であるだけでなく、今のケリング・グループ全体の躍進の旗手であるとも思っています。

 

デザイナーとして長期政権になってきた現在も、自身のスタイルは崩さず、かと言って顧客を飽きさせることもなく、今コレクションのようにファッション界の話題を攫っていくようなコラボレーションの企画など、今の時代のデザイナーに必要とされているステータスがハイレベルで揃っているように感じます。

僕もミケーレがデザイナーに就任した際に、その革新性に一票を投じる気持ちでGUCCIのデニムを一本買ったのですが、やはり自分のスタイルじゃないなと思ってそれ以降はGUCCIは買っていませんが、デザイナーとして素晴らしいのは間違いないです。

 

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PRADA

 

 

PRADAもラフ・シモンズが加入するまでの近年は、少しずつ苦戦を強いられてきていたブランドのひとつでした。

トラッドを基調としたデザインに現代的なエッセンスを加えて“落ち着いた大人の女性像”を進化させ続けてきたミウッチャ・プラダのクリエイションは相変わらず素晴らしいものであったのだと思いますが、今の時代の購買層が玄人的なデザイナーを軽視しているのだから仕方がないとは言え、本物が評価されにくい無常な世の中だなと痛感しています。

ジル・サンダー, フィービー・ファイロ, (コロナによって亡くなられた)アルベール・エルバス, クリス・ヴァン・アッシュなど、今ラグジュアリーブランドのデザイナーに就任している人物よりも優れた才能を持ったデザイナーは他にもいるのに、それらの希少な才能を持ったデザイナーが活躍するに相応しい場を用意することができない今のモード界はやはり少し残念に思います。

 

その点、ニコラ・ジェスキエールをデザイナーに置き続けているルイ・ヴィトンはさすがだなと感じています。

ニコラも今の時代では間違いなくウケが悪いデザイナーの部類に入ると思いますが、その才能は今のモード界においてもエディ・スリマンやジョン・ガリアーノと並びトップレベルのデザイナーです。

 

メンズでモード新時代の旗手であった(亡くなってしまいましたが)ヴァージル・アブローを起用する一方で、ウィメンズは伝統を守り,受け継ぎつつ, そして未来へと繋げることができるニコラ・ジェスキエールを起用し続けるという、メンズとウィメンズで両極端な政策をとっているのも面白いです。

 

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今号からはあと2つ、ダニエル・リーの電撃退任によって新体制となったマチュー・ブレイジーによるBOTTEGA VENETAと、Y/PROJECTのグレン・マーティスを起用して2シーズン目で初のランウェイコレクションを発表したDIESELをご紹介いたします。

 

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BOTTEGA VENETA

 

ダニエルは、まさにフィービー直系といえる“ニュー・ベーシック”なクリエイションで、BOTTEGA VENETAに革新性と商業的成功をもたらしました。

後任のマチューもダニエルのアシスタントデザイナーとして新生ボッテガを一緒に軌道に乗せた実績の持ち主ですし、フィービーのCelineでシニア・ デザイナーを務めた経歴もありますが、キャリアのスタートがラフ・シモンズで、ラフのCALVIN KLEIN時代も一緒にキャリアを積み、マルジェラのアーティザナル・ラインにも携わっていたり、どちらかというとアントワープ色も強いのかなと思います。

 

今回発表されたファーストコレクションは、ダニエルに比べると見た目のインパクトは控えめに感じるところもありますが、一見デニムに見えるウェアをレザーで作っていたり、「レザーブランド」であるBOTTEGA VENETAらしさを実験的なアプローチで昇華させるなど新デザイナーらしさを感じたクリエイションでもありました。

今後は、“ニュー・ベーシック”から“アントワープ色”へ徐々にシフトしていくようなクリエイションをしてくれることを個人的には期待しています。

 

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DIESEL

 

多くの日本人が持っているDIESELのイメージは、ギャルやお兄系の人達がよく履いてるデニムみたいに思ってる方も多いと思います。

実際、DIESELはデニムブランドだし、コレクション以外のアイテムはおおよそそんな感じなのかなと思いますが、そんなDIESELがこの度デザイナーに起用したのがコアなファッション好きのファンが多いデザイナーズブランド, Y/PROJECTのグレン・マーティスです。

 

これまでもDIESELは、MUGLER退任後のニコラ・フォルミケッティ(デビュー当時のレディ・ガガのスタイリストも担当)を起用するなど、結構頑張ってたのですがやはりファクトリーブランドのイメージが強いDIESELがモードの世界で評価されるには、その“壁”は厚かったのでしょう。

今回のグレン・マーティス起用で、その壁を破れるかどうかにも注目です。

 

そのコレクションは、写真を見てもわかるようにこれまでのDIESELのイメージを覆すようなとても革新的なものだったと思います。

こちらはBOTTEGA VENETAのコレクションとは逆で、一見デニムに見えないアイテムも“デニムブランドらしく”デニムで作られていました。

別にマチューと示し合わせた訳ではないでしょうが、伝統も立ち位置も違う2つのブランドが同じシーズンにデニムにフォーカスしたあべこべなコレクションを発表していたのが面白くて印象的でした。

 

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という感じのミラノ/ニューヨークコレクション雑感でした。

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ。