gap PRESS vol.178
2024.05.11.
Posted on 05.11.24
gap PRESSの最新号は2024-2025 A&W PARIS/LONDON 特集号です。
表紙は、新クリエイティヴ・ディレクター,シェミナ・カマリによって、新しく華やかな息吹が吹き込まれかつてのクロエらしさを取り戻した新生Chloéのファーストコレクションのものです。
本当に素晴らしかったので、後で他の写真と共にご紹介させていただきます。
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MIU MIU
PRADAも最近ずっと良いですが、MIU MIUも同じく最近ずっと良いです。
ラフとミウッチャは、『セリーヌとジュリーは舟でゆく』に出てくる変な幻覚症状が現れるアメでも舐めたのでしょうか。
いえ、きっと彼らはそんなことしなくても素晴らしいクリエイションを連発できるエネルギーに今は満ちているのだと思います。
2つのブランドのクリエイションを見比べても、ラフの遊び心とミウッチャの遊び心はまた全然違ってて、それが面白いです。
ラフは感覚的にカッティングエッジで、ミウッチャは外し方がチャーミングです。
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DRIES VAN NOTTEN
ドリスは今年6月で引退を発表しているので、今回のコレクションはウィメンズのラストコレクションとなります。
とても残念です。
ドリスが抜けてもデザインチームでコレクションは続けるとのことですが、ドリスの服作りの魅力はやはりドリス・ヴァン・ノッテンがいてこそだと思います。
一見、どこか既視感を感じるありふれたような柄やシルエットの洋服を、でもそれらとは一線を画した斬新で繊細なアプローチを加えることで全く新しいスタイルを提案し続けていました。
しかも、現在ハイセンスの代名詞のようなイメージを持たれている“ジルサンダー”や“The ROW”のような誰でもわかりやすいスタイルを提案するのではなく、その多くが悪趣味と感じられるギリギリのラインを攻めているところにもドリスの服作りのこだわりを感じていました。
ドリスがいなくなると、その毒が幾分か薄まり、むしろ一般にはウケやすいブランドになるのではないかと思っていますが、やはりそれでは今までのドリスの服作りに魅了されてきた顧客達には物足りなく映るのではないかと思っています。
とか言って僕自身もドリス引退してからもメチャ買い続けているかも知れません。
とりあえず今のマルジェラみたいには絶対にならないでほしいと心から願っています。
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VALENTINO
現在はDIORのクリエイティヴディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリと共に見事にVALENTINOの再建を成し遂げたピエールパオロ・ピッチョーリも退任が発表され、今回がラストコレクションとなります。
後任は、同じくGUCCIを見事に復活させたアレッサンドロ・ミケーレです。
2012年に、エディ・スリマンが当時のイヴ・サンローランのデザイナーに就任すると発表された時、現職のデザイナーであったステファノ・ピラーティは最後のランウェイで黒一色のコレクションを発表しました。
それは本当に素晴らしいものでした。
今回のピエールパオロのラストコレクションも黒一色で統一された、ピエールパオロらしい気品のある美しいものでした。
後任のミケーレがVALENTINOでどのようなクリエイションを見せてくれるのかという楽しみな気持ちもありますが、個人的には伝統と格式のあるブランドはデザイナーと共に形をコロコロ変えるのではなく、その伝統を大切にしながらも時代と共に少しずつブラッシュアップしていくような姿勢であってほしいなと思います。
ピエールパオロ、今までお疲れ様でした。
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Chloé
冒頭でもお伝えした、新クリエイティヴ・ディレクター,シェミナ・カマリによる新生Chloéによるデビューコレクションです。
Chloéの全盛期はステラ・マッカートニー, フィービー・ファイロ, クレア・ワイト・ケラーなど、伝統的に素晴らしい女性デザイナー(今の時代、このような表現も良くないのかも知れないですが)によってクロエ・ウーマンのスピリットは受け継がれてきました。
そのフィービーやクレアとも一緒に仕事をしてきたシェミナ・カマリは、Chloéの正統な継承者としてはまさに適任だと思います。
今回のクリエイションも過去のデザイナー達が築いてきたスタイルを、さらにアップデートさせている新鮮さもしっかりと感じます。
こういうブランドやデザイナーこそ評価されてほしいなと思います。
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という感じのコレクション雑感でした。
本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧になってみてください。