Posted on 04.18.12

去年の秋に創刊されて好評を博したstyle.com magazineの第二弾が発売されました!

今回の表紙はAlber ElbazによるLANVIN。

エルバスのランバン就任10周年に対する敬意の表れではないでしょうか。


少し雑誌からは話が逸れますが、今号のファッションニュースに『君臨し続けるデザイナーの理由』という記事があり、アルベール・エルバスとマーク・ジェイコブスが取り上げられていました。

タイトルの“君臨し続ける”は、「トップメゾンにおいて」という意味です。


例えばマーク・ジェイコブスで言えば、彼自身の“Marc Jacobs”というシグネチャーブランドと、’97年よりクリエイティヴ・ディレクターに就任した“Louis Vuitton”、マークは多くの方に認知されているこの2つのブランドのデザインを現在手掛けています。

ルイ・ヴィトンに関しては、マーク・ジェイコブスがデザインしてるという認知度が意外と低かったりしますが、ルイ・ヴィトンにおけるマークのディレクションこそ、彼の本領が発揮され高い評価をされている部分だと思います。


もちろん、自身のブランド“Marc Jacobs”も素晴らしいですが、シグネチャーブランドで伸び伸びと好きなことをやるよりも、高級メゾンに雇われて、期待と不安の中で、そのブランドの蒼々たる顧客たちを満足させ続けるということがいかにハードで困難なことか…


それが出来るデザイナーは、いかにパリコレクションの舞台と言えど限られてくるのだと思います。

マークは、先月発表された『Louis Vuitton 2012-2013 A/W』パリコレクションの舞台で「本物の蒸気機関車を走らせる」という度肝を抜いた演出で見るものを圧倒させます。


ショー開始時間である10時を少し過ぎた頃、機関車が汽笛を鳴らしながら会場に走り込み、ルイ・ヴィトンのショーがスタートします。

駅のホームを模したランウェイに、19世紀の淑女に扮したモデルが一人ずつ汽車を降り、両手にバッグを持ったポーターを従えて歩く、というド派手な演出は、会場に来ている人たちだけでなく、ユーストリームなどの動画を通じて世界中で観ることが出来るようになった現代だからこそメゾン側の首が縦に振れる投資であるのと同時に、「ルイ・ヴィトン」のルーツが旅行鞄であることを観る者に認知させ、なおかつ売上の基幹であるハンドバックの新作を“服”とは別に見せることができる、というメゾンにとっても喜ばしい演出だったのです。

マークは単なるドリーム・メーカーではなく、「ルイ・ヴィトン」というブランドの強さと、自身に求められている役割を明確に理解し、それを表現できる頭脳明晰なビジネスマンであると同時に、トレンド満載の服作ることのできるファッションデザイナーなのです。

そして、それこそマーク・ジェイコブスの優れているところであり、ルイ・ヴィトンを引退する時が来たならば、おそらく大手メゾンによる争奪戦が勃発するでしょう。


なんか途中から話がエルバスからマークに反れてしまいましたが、エルバスによる「LANVIN」もまた然り。

カール・ラガーフェルドによる「Chanel」や、ニコラ・ゲスキエールによる「BALENCIAGA」も…

そして、もとを辿れば、このブログの記事はstyle.com magazine の紹介だった筈…


しかし、ペンの走るままにここまで脱線させた今、思うことは、自分達もマークやエルバスのような仕事を目標にしているのだということ。


マークやエルバスにとっての『メゾン』が、自分達美容師にとっては『サロン』ではなく『ゲスト』。

サロンのお客様という『メゾン』に選んでもらって仕事をする以上、『ゲスト』の幸せを一番に探求し、なおかつそこに“自分ならではのデザイン”で魅了する。

『メゾン(ゲスト)』を幸せにするということは、「メゾン(ゲスト)の顧客(ファン)」も幸せにするということ。

そして、幸せにし続けていれば決して「もう結構」とは言われない。

お客様それぞれがひとつのブランドであり、ヘアスタイルにおいても、やっぱりそこは周りの人たちから「さすがだね」ってお客様自身に対しての賛辞として言ってもらえるようなヘアデザインを提供したいと日々試行錯誤しております。


話はもう一度マガジンに戻りますが、表紙にある


「anxiety + fantasy + intuition = fashion」


anxietyは、苦悩や不安…

fantasyは、空想, 幻想…

intuitionは、直観…


自分にはこれが「サロンワークにおけるクリエイション」の、その本質にも思えるのです。

読んでくださった方、長い時間ご清聴ありがとうございました!

style.com magazineを読みに、そしてトレンド満載なヘアスタイルを手に入れに、V:oltaへいらしてください!

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Louis Vuitton Fall Winter 2012/2013