†The Wave†
2010.07.31.
Posted on 07.31.10
2008年 ドイツ
監督: デニス・ガンゼル
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1967年にアメリカの高校で実際に起きた事件を元に、ドイツを舞台に作られた映画。
高校教師のベンガーは特別授業週間で独裁制について学ぶクラスを受け持つことに。若くて生徒からの人気もあるベンガーは授業の一環として、生徒に独裁制を体験させようとある提案をした。それは授業中に自分を指導者とした独裁制を行うというもの。
最初は嫌悪感を示す生徒たちだったが、やがてこれまでに味わったことのない一体感に興奮していく。そして生徒たちは自らを「ウェイヴ」と名乗って異物の排除を行うようになっていくのである…
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“ドイツ”、“独裁主義”とくれば、言わずもがな“アドルフ・ヒトラー”。
高校の授業で先生は ‘独裁主義’ が今も起こりうるか問う。
生徒達は口をそろえて言う、「ありえる筈がない」
しかし、独裁のメカニズムを研究しシミュレーションするうちに,、いつしかクラスは本物のファシズムに飲み込まれていくのである…
統制の手法として、いくつかのルールが定められる。
ルール1 リーダーの名前には“様”をつけ、敬う。
ルール2 許可無く発言してはならない、発言する時は挙手と起立を。
ルール3 クラスの仲間はお互いに助け合う。
ルール4 制服として白シャツを着用。
たったこれだけ。
退屈な毎日, 社会への不満を “ウェイブ” が吹き飛ばしてくれる。そんな幻想が機能し始めたら, 全体主義はひとりでに加速してゆく。
そしてやがては誰にも停めることのできない暴走トレインと化す。
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そして、もう一度問いかけてみる…
独裁主義とは今も起こりうるか?
起こりうるどころか、つねにあちこちで生まれているのではないか。
学校生活やクラブ活動、そして一般企業から名だたる大企業まで、社会全体に
ファシズムの芽は少なからず存在する。
たいていはある段階で自己崩壊するが、きちんと水をやり管理する者が存在すれば、いずれは世界を飲み込む程にまで成長してしまうかも知れない…