先日の日曜日は、僕が年に1回くらい発動させる秘奥義“趣味ファーストという明確な目的意識を持った早退”を駆使して、掃除をしてくれているスタッフ達に胸の位置で手をチョップのような形にさせて申し訳ない気持ちを表明しながら18時前には退店して、ずっと観たいと思っていた映画を観るために夕方から自転車にてシネヌーヴォへ向かいました。

 

 

 

通称“ジャンヌ・ディエルマン”

 

正式名称は、『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン』

 

シャンタル・アケルマン監督による1975年に公開された作品。

タイトルも長いですが、上映時間も3時間半近くある、かなり長尺の映画です。

 

 

日本版のDVDやブルーレイも出ておらず、滅多に日本ではやらないのですが、今回はカンヌ国際映画祭のフランスの女性監督特集に合わせて日本でも期間限定で公開されるということで、その情報を知った時点で、(予約的に無理をしない範囲で)可能な限り観に行く、と心に誓っていました。

 

カッコしてあくまで予約的にどうしても無理なら諦めるみたいな書き方をしていますが、内心は行く気満々でした。。

なんてったって、大阪で唯一公開されていたシネヌーヴォでもこの日一回限りの上映しかやってなかったのです。

上映時間が18:15からというのは、“普段、仕事最優先で頑張ってる自分に対して、神様が与えてくれた最高のお恵み”くらい、今回に限っては自分に対して相当に甘い解釈をして、予約をストップさせる罪悪感を払拭させていました。

 

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ストーリーは、主人公, ジャンヌ・ディエルマンの3日間を3時間を超える長尺にて描いた作品。

当時カンヌに衝撃を与えたという作品だけあって、もの凄い映画でした。

 

ほぼ室内の映像で、カメラは固定され、ジャンヌのその一つひとつの行動を省略を一切省いたかのようなまるで監視映像をみたいな執拗な長回し。

 

でも不思議と全然観続けられます。

むしろ興味深く凝視するくらいでした。

 

ジャンヌは夫を亡くし、青年期の息子と二人暮らし。

主婦業をメインとしながらも、息子が学校に行っている間に生活の為に娼婦として1日1客を自宅に招き入れる。

 

BGMは一切なく(ラジオの放送を除く)、セリフもかなり少ない作り。

だから静かかというとそうではなく、視聴者の耳と精神を攻撃してくるかのような狂気の生活音。

 

部屋を移動する度に照明のスイッチをパチパチとこまめ過ぎるくらいにつけ消ししたり、かなり几帳面な性格そうなジャンヌの完璧なルーティンを見せつけられる1日目。少しずつ不協和音が入るかのようにそのリズムにズレが生じてくる2日目、そして迎える急転直下の三日目。

 

ラストの長く静かすぎるシークェンスも、本当に素晴らしかったです。

 

帰ってからも映画の余韻に浸りつつ、またあの完璧な1日目を観たいと、早速海外版のブルーレイを注文してしまいました。

 

初見を映画館で観ることができて、本当に良かったと思う映画でした。

芸術的要素もとても高い作品なので、クリエーターなど職業をされてる方にもオススメの作品です。