all the way

2022.10.08.

Posted on 10.08.22

今週に入って、一気に涼しくなったなと感じる季節になりました。

気づけば、すっかり季節は秋です。

 

最近ご来店いただいたお客様は知ってると思いますが、先月から当店に新しいスタッフが一人増えました!

また追ってホームページなどでも掲載いたしますが、とりあえず先にお伝えさせていただきます。

 

今の場所にお店を移転する前くらいから、より顧客を大切にできるお店づくりをしようと思って、移転する際にお店の内装も思い切って世界観を強く出したデザインにしてもらいました。

新規のお客様の数は以前に比べて減ったのでスタッフもここ暫くは4人体制でしたが、そこからコツコツとですが顧客様がさらに増えていき、既存のスタッフも成長してくれてるので、久々に5人体制にすることができました。

僕自身は独立するまで、そんなに顧客を多く持った美容師ではなかったんです。

(今のお店だからできるような)自分のやりたいことができるお店がどこにもなかったので、実力不足のまま早くお店を出したというものあるのですが。

でも独立して、下手くそなりに我武者羅に頑張ってたら、一気にお客様が増えたんです。

お店のテイストも他とは違うものだったので、自分の知らないところでお店が注目されてるようなところもあったと思います。

でも、その時の感じは、今で言うところのインスタで集客しているようなお店と大して変わらない内容のものしか提供できてなかったと思うんです。

 

相撲で例えると、立ち上がりから突っ張りをかましまくって一気に相手を土俵際まで持っていくような相撲のとり方です。

それはそれで悪いわけではないと思うのですが、僕はもっと腰の入ったことをやりたかったんです。

だから意図的に新規の数を減らすような経営方針を取ったのですが、新規を減らすと言うことは顧客をより大事にしないと生き残れない訳ですから、そこは自分の中でも大きな覚悟が必要な決断でした。

ですが、その決断ができたことで、毎日朝イチから夜遅くまでアシスタントを4人くらいフルで使ってパンパンに忙しなく仕事するような状況からは少し解放され、自分の技術ともより向き合うことができました。

これが自分にとっては売上よりも何よりも価値が高く、美容師人生の中で一番の収穫となりました。

そしてこの度、スタッフを一人増やすことができたことは、がっぷり四つに組んだ状態から全身を使って前に踏み出した一歩くらい力強いものだと感じております。

 

これまで自分を支えてくださったお客様方や働いてくれたスタッフには本当に感謝しております。

自分が不甲斐なくて、ガッカリさせてしまうこともたくさんあったと思います。

かと言って本当に理想とするような形には、今もまだまだ全然至っていないどころか程遠いのですが、そこに向かって少しづつでも近づいていけているという実感は以前よりも持てるようになったので、それが何よりも嬉しいです。

 

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このブログのタイトルにつけた『all the way』は「遠路はるばる」という意味です。

これには3つの意味があって、V:oltaに遠路はるばる通ってくださるお客様も増えたこと。お店を独立してからここまで、やりたかったことをなんとか少しづつ形にできてきていること。そして3つ目はNew Orderを最近またよく聴いてるということ。

 

いつもスタッフが増えたり、お店の環境が変わった時は、お店を見つめ直す良い機会で、今回も色々とミーティングしたり、その中で問題点や課題を見つめ直したりしてたら、精神的にも疲れてくるところは少なからず出てくるんです。

僕は普段インディ・ミュージックを好んで聴くのですが、それは最新の音楽に触れるということを日々続けているということでもあるんです。

それによって新たな刺激を得たり、自分の感覚もブラッシュアップしてるところがあるのですが、疲れている時にそういう音楽を聴くことは結構しんどく感じてしまいます。

でもそういう時には、自分が過去に聴いてきて大好きになったアーティストの楽曲が疲れた心を癒してくれます。

その時々の体調や気分で、その中でもハマる音楽というのはその都度違うのですが、今回はNew Orderでした。

 

高校生の時に、クロスビートという雑誌の別冊ディスクガイドを買って、それに載ってるアーティストを片っ端から聴いていた時期があったんですが、その時代はサブスクはもちろんインターネットも無かったので、田舎者の僕は月に1回バイト代をもらった週の週末に神戸や大阪まで服やCDを買いに出かけるのが何よりの楽しみでした。

僕の実家は淡路島の田舎にあったのですが、バイト代を全部持って高速バスに乗って、いつも帰りの交通費をギリギリ残してお金は全部遣って両手には大量の紙袋を持って帰ってきていました。

そして背中に背負ったバッグの中には、必ずCDが入っていました。

New Orderは最初に買ったアルバムは『Technique』という作品だったのですが(その中にこのブログのタイトルでもある“All The Way”も収録されています)、最初聴いた時は「なんじゃこの炭酸の抜けたような音楽は」(淡路島は田舎なので少し言葉遣いが上品ではないところがあります)と思った記憶があります。当初は、あまり好きではなかったんですね。なんせ当時はOasisとか聴いてカッコイイと思ってましたから。

 

 

でも、その後何かのきっかけでまたそのアルバムを再生した時は、「メッチャイイ!」と思えたんです。

それは、最初にNew Orderを聴いた時からこの時までに、僕自身のカルチャーの理解度が少し上がったからだと思っています。

それから他のアルバムも全部集めて聴き込みました。

それでも、今、好きなアーティストを聞かれたらNew Orderはベスト10に入るかどうかというのが正直なところですが(ほぼ同じメンバーでもイアン・カーティスのいるJoy Divisionの方がより好きだというのもあるので)、それでも自分にとっては特別だと思えるアーティストの1組なのは間違いないです。

 

昨日も仕事を終えて家に帰ってから10kmくらいランニングしたのですが(音楽を聴きたい時や気分をリセットしたい時はよく走りに行きます)、その時も『Technique』を聴きました。もちろん“All The Way”も。

 

僕はこの“All The Way”の「パ〜ラ〜ラッタッタタ〜ラ〜ラ〜」という間奏の部分がとても好きで、走っている時もバーナードの歌詞は全く口ずさまないのに間奏の部分だけ口ずさんでしまうそうになる(というか口ずさんでしまっている)んです。

よくライブとかで、そのアーティストのアンセム的な曲をする時に、ヴォーカルが肝心のサビの部分でマイクを観客に向けて合唱を誘うという演出があると思うのですが、僕はあの所業が大嫌いで「いや、お前が歌えよ!」と思ってしまうんです。「あなたの歌う曲を聴きたくて、それを楽しみにして今日来たんだ」と。

だから、音楽を聴いてて“All The Way”を口ずさむ時でさえもバーナードの声は遮らない。

その代わり間奏部分のコーラスは任せておいてくれという感じです。

 

結局、何の話をしているのかわからなくなってしまいましたが、新しいスタッフの名前は加番(かばん)と言います。

1年強の経験があるアシスタントの女性です。

 

皆さま、どうぞ新人の加番を、そしてV:oltaをこれからもよろしくお願いいたします。

 

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New Order – All The Way