Posted on 02.18.09

村上春樹さんがエルサレム賞を受賞しました!

ぼくは彼の作品のファンであります。

元々、ジャズ喫茶を経営していたという経歴がまた異色で、その趣向までもが作品に彩りを与えていて、文学的価値を高めているのではないかなと思います。

村上春樹のどこが好きかと言えば、彼の書く主人公が“クール”なのがいいのです。

海外での人気も素晴らしく、彼の作品をフェイバリットに挙げるアーティストも非常に多いです。

レディオヘッドのトム・ヨークも村上春樹の“ねじまき鳥クロニクル”をフェイバリットに挙げていました。

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彼が受賞した今回のエルサレム賞は名誉ある賞ですが、ガザ空爆に揺れるイスラエルの賞とあって、当初、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻を批判する団体などから、賞のボイコットを求める声があったみたいです。

しかし、村上春樹は授賞式に出席しました。

そして、栄えあるエルサレム賞のスピーチで、小説家らしい独特の言い回しで、弱いものを“卵”に喩えて、こう言うのです。

~以下、英語からの翻訳~

僕はいくらか考え、来ることに決心した。

自分の目で見て、手に触れたものしか信じないような小説家にとって、沈黙するよりは来てみること、来て話すことのほうを選ぶべきだと思った。

立ちはだかる壁があって、それにぶつかって割れる卵があるとするなら、ぼくは、いつでも、卵の側に立つ。

その壁がどれほど正当で、また卵がどんなに誤っていようとも、卵の側に立つ。

僕たちはみな、割れやすい殻の中にかけがえのない魂を持ち、それぞれに高い壁に立ち向かっている卵なのだ。その壁とは、人としてそぐわないはずのことに人々を強制させる「システム」のことである。
僕が小説を書いている唯一の理由は、人が持つ最も尊い神性を描き出すことにある。僕たちを巻き込む「システム」に対して、その神性のかけがえのなさで満たすことだ。

そのために僕は人生を書き、愛を書き、人々に笑いと涙を差し出す。

~以上、エルサレム賞受賞スピーチからの抜粋~

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言いたい事があるなら、隠れたりせずに堂々と言う。

ぼくには、ぎこちない英語で、一生懸命にメッセージを伝えている村上さんが、最高に“クール”に思えました!