gap PRESS Milano New York S/S 2022
2021.12.08.
Posted on 12.08.21
gap PRESSの最新号が届きました。
今号の表紙は、NYコレクションから新進気鋭のブランド,Peter Doが飾っています。
コレクションの格でいうとNYよりもミラノが上なので、gap PRESSのミラノ/ニューヨーク号の表紙はいつもミラノコレクションで発表しているブランドが表紙を飾っていましたが、今号はニューヨークからの大抜擢です。
それに相応しいコレクションでもありましたし、今、Peter Doを表紙に持ってくることにも意義があるように感じます。
ピーター・ドゥは、フィービー・ファイロが手掛けていた頃のセリーヌのデザインチームにも在籍していました。
そのクリエイションにはフィービーのエッセンスも感じます。
デザイナーのPeter Doは、ベトナム系アメリカ人。
アジア系アメリカ人のデザイナーでは、アレキサンダー・ワンが台湾系、フィリップ・リムは中国系と、同じアジアでもルーツの違いでクリエイションにも特徴が出ます。
先日、ディオールの素晴らしき専属調香師,フランソワ・ドゥマシーのドキュメンタリー映画『NOSE』を観たのですが、映画の中でフランソワは「自身の一番古い記憶を辿ってみてほしい、その行き着いた先があなたの原点だ」みたいなことを言っていました。
古い記憶ほど、不思議とその景色だけでなく、その時の季節や香り, そして自分自身がその時に感じた気分と共に覚えているものです。
国籍のルーツによる個性というのも、デザイナーに限らず表現者なら多かれ少なかれ持っているものだと思っています。
Peter Do初のランウェイ発表となった今回のコレクションのファーストルックを飾ったのは、自身のルーツ,ベトナムの伝統衣装であるアオザイを現代的にトランスフォームさせたものでした。
Peter Doには、早い段階でパリコレを目指してほしいです。
(全くもってどうでも良い話ですが、Peter Doのルックを見てる時、Beatlesの“Love Me Do”のあのほのぼのとしたイントロがどうしても脳裏に流れてしまいます。悔しいから、最後のSo please~の後のlove me do~のところはpeter do~にして成仏させています)
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そして何より、gap PRESSが素晴らしいのは、そのPeter Doのコレクションを表紙にはしつつも、中に掲載されているNYコレクションの序列では3番手で紹介しているところです。
ちなみに1番手は、NYコレクションの最終日を飾ったトム・フォード。
Peter Doはアップカミングだが今シーズンのNY全体のランクでは3番手なのだ、と冷静に評価されています。
誌面を見ててもそういうことはあまりに気しないという方もたくさんいるとは思いますが、僕はこういった誌面作りはとても良いなと感じるほうです。
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ミラノもいくつか紹介します。
PRADA
プラダは、ミラノと上海で同時にショーを発表しました。
会場の中に設置された大型のLEDスクリーンに、ミラノと上海, その距離約9,000km離れたそれぞれの場所で同じルックを着た異なるモデルが闊歩するライブ映像を配信するという演出は、現在のコロナ禍においてファッションを通じて人類の希望や無限の可能性を感じさせてくれるものでした。
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FENDI
昨今の動物福祉への関心の高まりからリアルファーを使用することがタブーとなった制約は、カール・ラガーフェルドを失ってからまだ日の浅いフェンディにとっては両翼を失った鳥のような心境だったと思いますが、そんなフェンディの窮地を救ったのがDIOR MENのデザイナーも兼任するキム・ジョーンズです。
今シーズンはヴェルサーチとのコラボも実現させたり、近年トレンドセッターの場所からは離れてきていたフェンディのブランドイメージを刷新するクリエイションは、これぞキム・ジョーンズという働きぶりです。
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少し長くなりましたが、これくらいで終わりにします。
本誌はお店においてますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧にください!