最近、とても嬉しい知らせがありました。

 

V:oltaに通ってくださってたお客様が、先日発表されたRick Owens 2025年春夏コレクションでモデルに抜擢されランウェイを歩きました!

 

(この中にはいない)

 

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学生時代からV:oltaに通ってくださっていたお客様で、フランスでファッションやデザインの勉強をする為にお金を貯めていました。

 

初めて彼を見た時は、その尋常じゃないスタイルの良さにビックリしました。

日本人トップモデルとしてパリコレでも活躍した冨永愛さんのスタイルを見た人は、日本で一般的にスタイルが良いとされている人と比較しても圧倒的な体型の差があると言いますが、彼にも(冨永さん程ではないにしても)そんな印象がありました。

 

ファッションにもかなり興味がある子だったし、僕からも彼に海外のモデル事務所を受けてみたらどうかと勧めたことがあります。

そんなこともあって、日本にいた時からカルチャーに強いデザイナー系のブランドのモデルが多数所属しているドイツのモデル事務所には所属できましたが、やはり日本という極東の拠点では厳しいのか、事務所からのオファーはあまりなかったようです。

 

彼にとてもお似合いのオシャレな彼女ができて、一緒に美容室に来てくれるようになってからも、二人で頑張ってフランス留学の資金を貯め続けていました。

そして、フランスに行く準備ができた今年の春先に、二人でフライトの前日に髪の毛を切りに来てくれました。

 

彼がリックのショーでモデルを務めたと僕に教えてくれたのは、これまた彼が紹介してくれた彼の弟で、先日ご来店いただいた際に僕に動画を見せてくれました。

(僕がSNSによる繋がりとかに積極的ではないので、こんな素晴らしい情報も取りこぼしているんです。。)

 

ランウェイを歩いている彼の姿を見て、僕もとても嬉しい気持ちになりました!

 

彼の長い髪の毛は、オールバックにしてミニマルにひとつくくりにまとめ上げられていました。

彼の毛はスーパーボリューム毛で(ヴォリューム毛と書いた方が適切なくらい多い)、彼がアンニュイなスパイラルパーマをかけてくれる時とかは、僕は世界陸上に挑む選手くらい念入りに指先と腕をほぐして準備していたものですが、ショーのバックステージでは他のモデルが10~15分くらいでヘアメイクが完成しているのに彼のヘアメイクだけ2人がかりで1時間もかかっていたそうです。

(伝説…)

 

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ということでショーの動画を記念に貼っておきます。

(14:27くらいと14:59くらいと15:26くらいに登場しています。もしかしたら他にもあるかも知れません)

 

なんしろモデルの人数が多いので、彼を特定するのはだいぶ困難かと思いますが、よろしければぜひ探してみてください!

 

 

Sugar Cube

2024.06.25.

Posted on 06.25.24

Björkからの由来で店名をつけているお店が当店以外にもあると知ってランチを食べに行ってきました。

 

 

The Sugarcubesは、ビョークがソロ活動を開始するまで結成していたバンドです。

 

店内にはビョークの写真の他に、デヴィッド・ボウイや岡本太郎の写真、サルバドール・ダリの写真集などが飾ってあり、とても素敵なお店でした。

 

洋食ランチのセットも激ウマでした!

 

店主さんもお店も、僕より長いキャリアがあるように見受けられました。

V:oltaも末長く、地元の方やお客様に支持いただけるように、僕もまだまだもっと頑張らないと!という気持ちにさせていただきました。

 

ご興味のある方は、ぜひ一度Sugar Cubeさんへ足を運んでみてください!

 

https://maps.app.goo.gl/gELy9HDh8NBkiNr3A

 

あまから手帖

2024.05.29.

Posted on 05.29.24

2023年にリニューアルした当初はとてもカッコイイ表紙だったのに、早くもだいぶ迷走していらっしゃるご様子です。

 

 

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リニューアル直後の表紙

 

今の時代、いかに尖り続けることが難しいのかが、このあまから手帖のリニューアル後の短期間での表紙の変化を通じても少し感じてもらえるところがあるのではないでしょうか。

 

V:oltaをオープンして早15年になりました。

当店が今も時代に対して尖り続けた姿勢をなんとか貫けているのは、自分達の考えやお店のコンセプトに共感してくださり、当店をいつもご利用してくださったり応援してくださる皆様のおかげです。

日頃より心から感謝しております。

 

みなさま、いつもありがとうございます!

Posted on 05.25.24

先日のお休みは京都へ。

何必館で開催されているマルク・リブー展へ行ってきました!

 

 

マルク・リブー(1923~2016)は、フランスに生まれ、1950年代から世界中で精力的な活 動を続けた、現代を代表するフォトジャーナリストです。写真家楽団「マグナム」の制始者、アンリ・カルティエ=ブレッソンやロバート・キャバらの同志であり、50年代のアフリカ独立運動、 60年代のベトナム戦争など激動の時代に立会い、西側の写真家として初めて中国の取材にも成功 しました。その作品は、米誌「N.Yタイムズ」「ライフ」、英話「タイムズ」、仏誌「フィガロ」、独誌「シュテルン」、日本の新聞・雑誌など、世界各国の紙面を飾ってきました。

 

館内は撮影禁止だったので、本展の紹介に使われていた写真を一部掲載させていただきます。

 

 

 

 

とても素晴らしいポートフォリオの数々でした。

ここには掲載できませんでしたが、ムスリムの方が荒野のようなところで礼拝している奥手のほうで爆弾による大きな爆発が起こっている構図の写真だったり、とても興味深くて考えさせられる作品が多かったです。

 

展示の中に、リブー本人のコメントもいくつか掲載されていました。

その中に「あなたの最高傑作はどれですか?」という質問を受けた時「そう思えるような作品を明日撮りたいと思っている」という回答がありました。

とても謙虚でストイックな言葉だと思いました。

 

僕も明日からこの言葉をこっそり真似しようと心に誓いました。

 

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そして何必館を訪れたもうひとつの目的は、サラ・ムーンの写真集『1,2,3,4,5』を購入する為でした。

2016年に開催されていたサラ・ムーン展は、僕のカルチャーアンテナがまだ1本くらいしか立ってないハイパー未熟者だったので行けず仕舞いだったのですが、この写真集は何必館にまだ在庫があるとのことだったので、(親愛なる顧客様方の為にも)いつかぜひ手に入れたいと思っていました。

 

 

 

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とか言いつつせっかく来たしどうせならとか思って、他の写真集も2冊購入してしまいました。。

 

 

円安に沸き世界中から日本を訪れている外国人旅行者達もビックリの散財ぶり。

普段、あまり休まず仕事を一生懸命頑張っているのは、こういう時になるべく我慢したくないからという思いもあります。

頑張って仕事したお金で自分やお店に投資して、ヘアスタイルやサロンタイムを通じてお客様に還元できればそれが一番良いと思っています。

 

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写真集に掲載されている写真をいくつかご紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サラ・ムーンの写真は、どれも朧げで退廃的。そして、まるで絵画のように芸術的です。

しかも、この写真集には『サラ・ムーンのミシシッピー・ワン』という僕がかねてから観たかった映像作品が付属されているんです。

 

 

もう、この時点で大阪万博越え確定。

ドラえもんのポケットから出てきたのですか?と聞きたくなります。

 

映像作品はまだ忙しくて観れていないですが、今度の休みにでもゆっくり観ようと思っています。

写真集はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ。

そして、京都に行った際は、何必館にもぜひ足を運んでみてください!

福田平八郎展

2024.05.07.

Posted on 05.07.24

昨日のお休みは、最終日駆け込みで中之島美術館で開催されている『福田平八郎展』へ行ってきました。

 

 

中之島美術館は、メイン会場ではモネ展が開催されてて、そちらの方が大盛況といった感じでしたが、そのモネ展に並ぶ行列を尻目に福田平八郎展の入り口をスルリと抜けていきました。

 

福田平八郎は、日本画の画家ですが、従来の日本画のスタイルにおさまらないそのモダンさや斬新さは他に類を見ないものがあり、今回絶対に観に行きたいと思っていたのですがなんだかんだと休みの日も用事に追われ(というか月曜日は美術館休みなので、働き改革のルールに該当されない事業主である僕には祝日の月曜日か第3火曜日しかチャンスがなかったわけですが)会期ギリギリでの滑り込みとなってしまいました。

でも、なんとか観ることができて良かったです。

 

福田平八郎の作品群を観ていて思うのは、日本人の心の原風景がそこにあるということです。

 

 

これは代表作の『漣』という作品ですが、水面に煌めく波を何日も何日も丁寧に観察し、それを群青の線のみで描きました。

他にも、水や氷,雪や雨など、日本の原風景と共に描かれたそれら自然に着目した作品が素晴らしかったです。

 

 

今の時代。

スマホやタブレットなど、便利で楽しい製品に囲まれて、ゆっくり自然を観察することなんてほどんどしていないという人が大多数だと思います。

でも、自然をじっくり観察していると、自然ほど面白いものはないというような気持ちにもなります。

福田平八郎の作品を見て、もっと自然を観察する時間を作ろうと改めて思いました。

 

本当に美しいものは、きっと自分達の身近にもたくさん存在しているのだと思います。

それに気づくことができるかどうかは、その人の心の在り方,考え方次第です。

 

図録も買ってきたので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧になってみてください。

 

OPPENHEIMER

2024.04.17.

Posted on 04.17.24

先日のお休みは、シアタス心斎橋でクリストファー・ノーランの新作『オッペンハイマー』を観てきました。

 

 

本作の主人公,オッペンハイマーは原爆の生みの親であり、日本は世界で唯一の被爆国ということもあって、一時日本での劇場公開はないんじゃないか(いくらなんでもそれは過剰措置だと思います)と言われていましたが、だいぶ遅れてではありますが日本でも公開されたので映画館で観たいと思いました。

 

ノーランの凄いところはたくさんあると思いますが、僕が特に気に入っているのは彼がこんなにSF的な作品をたくさん撮っているにもかかわらずCGを一切使わずアナログ撮影に拘っているところです。

本作は35mmフィルム版もあると聞いて、どこかでやってるならそれを観たいと思ったのですが、残念ながら関西では上映されないということで、3時間でもなるべくお尻にダメージが蓄積されないようにコンフォートシートなる寝そべったまま観れるシートのあるシアタス心斎橋で観ることにしました。

 

カラーとモノクロを使い分けた構成で、時間軸を巧みに操るノーランマジックは相変わらずお見事でした。

そしてトリニティ実験のシーンは特に素晴らしかったです。

 

 

緊張感のある映像と音響。

本作はわざわざIMAXで観る必要はないかなと思いましたが、音響の良い映画館で観ると良いかも知れません。

個人的には、ここ最近のノーラン作品では一番好きでした。

 

 

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

Apple Music playlist“v:olta”を更新いたしました。

 

 

今月は、春の暖かい陽気に誘われるようなプレイリストにしました。

要するに昼間から眠なるやつです。

 

仕事中ではなく、休みの日の落ち着いた昼下がりにぜひ聴いてみてください。

もし仕事中に聴いてあろうことか居眠りしてしまったとしても、当店は一切の責任を負えませんので悪しからず。

 

 

先日のお休みは、ジャン=リュック・ゴダール監督の遺作『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』を観てきました。

 

 

本作の原題は、『決して存在することのない「奇妙な戦争」の予告編』

“奇妙な戦争”は、生前のゴダールが企画していた構想でしたが、その映画は完成することはなくゴダールは安楽死を選びました。

長編映画の完成を諦めたゴダールでしたが、その代わりに約20分の短編映画となる本作を遺しました。

そして、それが私達が決して観ることのできない映画の予告編だなんて、、

ゴダール、最後までカマしてくれます。

 

 

冒頭、アーサー・ペンの『奇跡の人』の抜粋写真に、手書きで「映画『奇妙な戦争』の予告編」と書かれたコラージュの静止画から映画は始まります。

しかし、無音で続くその静止画は長い時間次のカットに進みません。

僕は心の中で笑けてきました。

 

ファスト映画とか“タイパ”とか言う言葉まで生まれるような、日々時間に追われて忙しすぎる現代に向けて、ゴダールはたった一枚の静止画だけで痛烈な批判をしています。

もう、言葉さえも必要ない。

 

その後も、自身が一度破壊した映画の枠組みをさらに解体して、さらに自由に再構築したような斬新過ぎる構成のオンパレードで、これは計算し尽くされた超難解なものなのか、それともその大部分は人生の最終盤を迎えたゴダールの気まぐれによるものなのか、浅学の僕には解りかねました。。

 

でも、最後のゴダールの勇姿を映画館で観ることができて良かったです。

まだ観れていないゴダール作品も多いので、それらを観ることもこれからの楽しみです。

 

まだゴダールを観たことがないという方は、まずは彼の処女作『勝手にしやがれ』を観てみてください!

Posted on 03.08.24

先日の水曜日は、仕事を少し早めに切り上げて、心斎橋CONPASSへライブを観に行ってきました。

 

オーストラリアのメルボルン出身で、現在はロンドンを拠点に活動するバンド,HighSchoolの初来日公演。

 

 

 

僕自身、コロナ以降ライブに行ったのは初めてで、久々のライブでした。

でも、メチャ良かった!

 

The SmithやNew Orderを彷彿とさせる楽曲の数々。

2021年に発表されたEPを聴いてから、ずっと彼らのことはチェックしていました。

まさかこんなインディロック好きの間でもまだまだ知名度も低そうなバンドをよく大阪にも連れて来てくれました。

 

小ぶりな会場には、やはり外国人も多かったですが、20代と見受けられる若い層のファン達の姿も意外と見受けられて、若い世代でもこういう音楽を聴いている子はまだいるのだなと少し嬉しくも思いました。

そういう子達は、ファッションにもちゃんと独自の個性があってオシャレな子が多いです。

そして見た目が地味めでこういう音楽聴いてる子は、さらに面白い。

 

 

物販では、HighSchoolを大阪にも呼んでくれたORMさんのマガジンと来日公演限定のCD(ライブが終わってからサインをいただきました!)、そしてライブ前には買わなったTシャツがあったのですがライブが良かったので彼らにさらに一票投じる気持ちでそれも購入させていただきました。

結局、売ってるものは全部買いました笑

 

HighSchoolもORMも、今後の活動にもますます期待しております。

知らない方は、よろしければぜひご視聴してみてください!

 

 

 

Posted on 02.17.24

いつもお世話になっているアーティストの荒木志華乃さんの個展が心斎橋のギャラリーササキ商店で開催されるということでDMを持ってきてくださいました。

 

 

 

荒木さんは、老舗カステラとして有名な長崎堂の4代目でもあります。

菓子ブランド「黒船」なども手掛けています。

 

センスも経歴も凄過ぎる方なのに、いつもこんな僕にも気さくに話しかけてくださったり本当に良くしてもらっています。

最近では、お母様もご紹介してくださり、いつもお母様の肩を持って付き添ってご来店くださります。

お母様もオシャレで気品があって、さすが名家の血筋だなと感心いたします笑

 

当店の入っている建物に荒木さんのアトリエがあります。

たまにお邪魔した時は、芸術映画で使う為のロケーションかと思うくらい魅力的なインテリア空間に優雅なクラシックが流れており、まるで異世界のようなとても素敵な空気感です。

 

個展のテーマは『imaginal cell』

“五感で感じたものすべては イマジナルセルのなかでディスクとして格納され

そこから伝達される言語はやがて私の創造物として現れる”

 

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もう、凄い次元におられます。

僕も荒木さんの感性を少しでも吸収させていただくべく、個展にお邪魔させていただこうと思っています。

 

展覧会は、2/19-3/4まで開催されていますので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください!

 

 

 

お客様が素敵なDMを持ってきてくださいました。

 

 

フランス人アーティスト,アンヴァレリー・デュポンの来日展覧会の案内です。

彼女は、家族や友人から譲り受けた古い布を組み合わせ“彫刻”として新たな命を吹き込む活動をしているテキスタイル彫刻家。
会場となる京都の法然院も素晴らしいロケーションです。

僕は以前、彼女のキーホルダーサイズの作品を購入させていただいたことがあります。
(本当は大きいのも欲しかったのですが、値段に躊躇して現実的な選択をしたんです)

そのキーホルダーを子供の保育園バッグに付けようとしたのですが、奥さんにさすがにそれはやめてくれと言われました。
一般的な家庭の親御さんから見れば、なんてデザインのものを付けさせているのかと思われるのかも知れません。

ということで、会期は2月20日~25日まで開催されています。

 

 

ご興味のある方は、ぜひ京都まで足を運んでみてください!

 

Posted on 02.02.24

先日発表されたジョン・ガリアーノによるMaison Margielaの2024 アーティザナル・コレクションが素晴らしかったのでご紹介させていただこうと思います。

 

 

今でも神格化されるほどの創業者デザイナー,マルタン・マルジェラが去り、その意志を継ぐデザインチームによって継承されていたマルタンイズムの中に、ジョン・ガリアーノがクリエイティヴ・ディレクターとして加入したのが今から10年前の2014年。

 

それからモード界もメゾン・マルジェラも、そして世の中も大きく変貌しました。

今、日本においても、そのブランドを手掛けているデザイナーを知らないで洋服やバッグを買う層が以前に比べてかなり増しています。

大部分と言っても良いかも知れません。

 

街でもマルタンの名作,Tabiブーツや、その派生系みたいな靴を履いている方をよく見かけます。

それらの方の多くが、そのデザインが生まれた背景についてなんて知らないでしょうし、そもそもそこまで知りたいなんて思わないでしょう。

でもそれを自身が買ったことはSNSとかに載せている方も多くいると思いますし、それが“メゾン マルジェラ”の人気商品であることに購買意欲を増す方が多いのでしょう。

 

それはマルジェラだけじゃなく、もともとモードが好きな人しか買っていなかったであろうバレンシアガやセリーヌ,その他諸々のラグジュアリーブランドでも同じような現象が起きています。

 

モードの世界は、SNSの普及や資本主義社会の拡大によって、その価値観と美学を愛する人達が憧れる存在から、一気にマス層へと浸透していきました。

その弊害は色々なところに出てきています。

世の中も、人の思考も、とても薄っぺらいものになってきているなと感じます。

モード界さえも目先の売上に魂を売りました。

 

 

僕自身も以前よりもモードに対する興味は少し薄れ、限定的なものとなってきていましたが、そんな時に今回のガリアーノのショーを観て、「モードってこういうものだったよな」って久しぶりに思いました。

 

 

ガリアーノはもともと、Diorのデザイナーとして素晴らしいコレクションを発表していました。

現在、モード界にいる全てのデザイナーの中でガリアーノを超える才能を持つデザイナーがいるのか?と問われたら、そんなに多くの名前は挙がらないでしょう。

もしかしたらナンバーワンかも知れません。

ある日の夜、酔っ払った彼はユダヤ人を差別する発言をしてしまいました。

今のようにSNSの普及していない時代でしたが、その様子が記録された映像は関係者の目にも留まり、ガリアーノはDiorを解雇されました。

 

それから数年後、モードの世界から追放されて粛々と生きていたガリアーノに救いの手を差し伸べたのはアナ・ウィンターだったそうです。

モード界に強い影響力を持ち、顔の広い彼女は、懸命にガリアーノのデザイナー復帰を手助けしました。

ガリアーノの才能をこのまま眠らせておくのは、何よりの損失だと思ったのかも知れません。

 

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今のモード界は、これまでモードを見てきた目の肥えた人達から見るとガッカリさせられるような状況です。

それは経営陣以外の、モード界の中枢でクリエイティヴに関わる人達は声には出さないけど多くの人が感じていることだと思います。

 

そんな人達にとって、今回のガリアーノによるショーは、“モードな人達”の渇いた心に久しぶりに感動を与えてくれるような素晴らしいものでした。

モードという精神が窮地に立たされた今、一度はモードの世界から追放された人物が今度はそれを見事に救ってくれたような気がしました。

 

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ガリアーノが描く少し歪んだ美的世界観。

今まで見たことのない美しいシルエットの洋服、振付師,パット・ボグスラウスキーによって監修されたモデルの演技のようなウォーキング、まるで陶器のようなメイク、ゴシックで不穏な気配を漂わせるスモーク、ショーの空気を彩る音楽、細部まで作り込まれた素晴らしいロケーションと映像のフレーミング…

息を呑むとは、まさにこのことです。

 

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こんなデザインの服、街で誰が着ますか?

こんなメイクや顔に誰が憧れますか?

 

でも、これこそが正真正銘のモードなんです。

 

ルブタンとコラボしたTabiブーツはきっとセレブ達のSNSには登場するのでしょうけど、ガリアーノ自身が見てほしいのはきっとそんなところではない筈です。

 

今は、このショーの素晴らしさが理解できるような人の感性の方が片隅に追いやられて、ルブタンのTabiブーツを買ってSNSでアップする人やマルジェラの四つ打ちステッチの入ったアイテムをこれ見よがしに上げる人の方が“オシャレ”と一般の人には認識されてしまうような世の中ですが、このガリアーノのコレクションがそんなつまらない世界を変えるきっかけになってくれることを願っています。

 

 

Posted on 01.23.24

最近、お客様からいただいたDMを2つご紹介させていただきます。

 

 

左側の芸術性と可愛らしさが共存した素敵なポストカードは、インクや木炭などを用いて絵を描いていらっしゃるアーティストのいのとみかさんの個展のお知らせとなっています。

ちょうど個展が開催される前にカットしにいらしてくださいました。

 

僕が別のお客様からオススメしてもらった現代思想1月号を待ち時間の間読んでくださっていました。

お客様から教えていただいたものを、美容師である自分を通じて、また別のお客様にご紹介することで、こんな小さな街の美容室を通じてでも小さな文化の循環が生まれていきます。

今の時代は、大阪からも日本全体からも、文化やカッティングエッジなカルチャーに対して興味を持つ人口が益々減ってきていますが、V:oltaは美容室として少しでもそれらを大切にできるサロンでありたいと思っています。

 

いのとみかさんの作品は、以前個展を観に行かせてもらったことがあるのですが、独特なのに親しみやすいような少し不思議な世界観のある作品でとても面白い作品展でした。

今回は、中津のカフェギャラリーで個展が開催されているということなので、ご興味のある方はぜひ足を運んでみてください!

 

https://kinone.gallery

 

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左のDMは、お客様の勤務されているクリエイティヴスタジオが開催する音楽イベントのDMです。

 

 

こちらは上に書いた現代で無くなってきているものの後者にあたるイベントですね。

その名も『わわわわわ音楽祭』

EGO-WRAPPIN’の中納良恵さんやあふりらんぽのONIさん,民謡クルセイダーズのライブなど、なんだかカジカジとかが東京からも注目されていたり大阪が大阪らしいカルチャーを発信できていた頃のようなイベントです。

このDMを持ってきてくださったお客様は、仕事だけじゃなく、個人でも関西のカルチャーを盛り上げる為のイベントやコミュニティスペースの主催をしたりもしている、とてもバイタリティに溢れた方です。

このイベントも既に前売り券の売れ行きがかなり好調だと聞いて、僕も嬉しくなりました。

それだけ関西にも、まだこういったカルチャーに興味を持つ方がいるということです。

 

最近は、アップカミングなアーティストのライブや興味深い芸術家の美術展なども、東京開催のみで関西には来てくれないというパターンが増えています。

みんなファッションとかにはそこそこ興味持ってる方も多いのに、それに直結する音楽やアートなど,他のカルチャーの分野は全く興味を持たない(ニッチではない)という人が大半のように思えます。

流行を後追いするのではなくて自分らしいオシャレを見つけたり、自身のセンスやバランス感覚を磨くには、それらの要素がとても重要だと思います。

 

こういう場所には、普段なかなか出会えないようなオシャレな人やカルチャーに精通されている人がたくさんいます。

皆さん、ぜひ刺激を受けに行ってみてください!

 

で、その流れでV:oltaにもぜひいらしてください!

長々と書きましたけども、僕が書きたかったのは最後の一行であります。

年度代表盤 2023

2023.12.28.

Posted on 12.28.23

今年も毎年恒例の年度代表盤を発表させていただきます。

 

最近、Apple Musicの仕様が変更され、アカウントに追加した作品の履歴が直近のものしか表示されなくなったことで、この1年で発売されたアルバムがどんなものがあったのかが確認できなくなってしまったので、今年のランキングは例年以上に適当に選び簡素化しました。

 

 

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5th/ Tirzah – trip9love…???

 

今年のポップな癒し系アルバムno.1はこの作品です。

普段、インディ・ミュージックまで掘り下げて聴いていないという方にも、比較的耳馴染みの良いアルバムかと思います。

年末の大掃除の休憩時間にでも、ぜひ聴いてみてください!

 


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4th/ Oneohtrix Point Never – Again

OPNの新譜は、いつでも歓迎します。

『R plus Seven』の頃に比べると、ずいぶん肩の力が抜けてきたのかなと思います。

『R plus Seven』は文句なしの金字塔アルバムでしたが、最近のOPNもこれはこれで大好きです。


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3rd/ CTM – Vind

 

歴史ある建物を見た時のような厳格さと、季節の移り変わりを肌で感じるような叙情的なムードが絶妙にブレンドされた作品。

個人的にCTMのアルバムは毎度外しませんが、今作は特に好きでした。

 

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2nd/ bar italia – Tracey Denim

 

 

最近はロックよりアンビエントやドローンを聴く機会がめっぽう増えましたが、僕が最初に音楽が好きになったのはロックの影響です。

ロンドンでは一時期ロックが停滞していましたが、またここ最近はロック熱も再燃し、素晴らしいバンドがたくさんシーンに現れています。

その中でも、彼らは特にお気に入り。

再来年に控える大阪万博は失敗する気配ムンムンですが、今この時代にこの音を出すバンドがいてくれることを本当に嬉しく思います。

いつかライブを観てみたいです。

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1st/ Laurel Halo – Atlas

 

信じられないだろ?あのLaurel Haloがこんなアルバムを完成させるんだぜ?

僕があだち充さんなら、きっとタッチにこのセリフを入れられるように内容をゴリ押ししてたと思います。

あまりにも美しいアンビエント・ジャズ・コラージュ組曲。

 

英国人チェリスト,Lucy Railton、ノルウェーのサックス奏者 Bendik Giske、Iskra Strings Quartet 所属のバイオリン奏者,James Underwoodなど、脇を固める演奏陣も素晴らしいです。

 

 

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という感じの2023年トップ5アルバムでした。

もしかしたら見落としている作品もそこそこありそうですが…

 

音楽好きのお客様は、またご来店時に今年のベストアルバムを教えてください!

 

お客様の活躍

2023.12.08.

Posted on 12.08.23

学生時代から通ってくださっている現在フォトグラファーのお客様が、この度SPURデビューを飾りました。

 

 

デビュー作にして一気にSPURの誌面クオリティの最上位につけるような、素晴らしい作品です。

 

 

 

 

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これなんかシャンタル・アケルマンの『アンナの出会い』を彷彿とさせるような、ミニマルでストイックな様式美です。

 

彼は、来月号のGINZAでも誌面を担当しているようです。

 

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彼とは音楽や映画の話をよくしました。

僕が彼にクリクリで退廃的なスパイラルパーマをかけた時、「ジーザス&メリーチェインみたいだ」って喜んでくれたのを昨日のことのように覚えています。

 

ファッションっていうものは、多くの人が興味を持ち, ブランドやデザイナーに対する知識もそれなりにある方もそこそこはいると思いますが、音楽や映画に対してニッチな知識を持っていてファッション界で活躍しているような人物は、日本でもそんなに多くはいないと思います。

(ヨーロッパとかにはたくさんいると思いますが)

 

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上に例えでアケルマンの『アンナの出会い』を出しましたが、自分はそこそこオシャレな方だと思っている人でこの作品を観たことがある方はどれくらいいるでしょうか?

おそらくは、アケルマンに興味がある人なら、自分のことをオシャレだなんてそもそも思わない筈です。

もっと自分に対して謙虚な姿勢を持っていると思います。

その対象はアケルマンでなくても、好きな器作家だったり、好きな建築家だったり、そういう“ファッションだけではない”人達にとって様々なものがあると思います。

 

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彼が東京に行ってから、何年もの歳月が経ちますが、東京ではカットせず、いつも大阪に戻ってきた時にカットしに来てくれます。

「東京にはオシャレな美容室がたくさんあるのに、なぜ?」と思う方も多いかも知れません。

 

ですが、V:oltaは、東京にもない価値観を美容室として提案しているという自負も、僕にはあります。

もちろん大したものではないんですけど。

 

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それでも、彼のように、東京でも輝けるような感性を持っている方が、お客様としてV:oltaを選んで通ってくださり、そこで美容師とお客様という関係で趣味の話をしたり、お互いに教養や感性を切磋琢磨し合える環境で働けているということは、自分にとって何よりの財産になっています。

頑張って今のような店づくりをしてきて、本当に良かったと思えます。

 

日頃より顧客の皆さまには心より感謝いたしております。

まだ出会えていないお客様も、ご興味があればぜひ一度V:oltaへいらしてください!

 

 

イム君、メジャー誌デビューおめでとう!

これからの活躍を益々期待しています。

そして、日本のまだまだ世界とは差のあるモード感度を、より世界水準なものに高めてほしいと思っています!