ラルジャン

2026.07.15.

Posted on 07.15.26

先日のお休みは『よき谷の物語』を観た後、残りの体力を振り絞ってレイトショーでロベール・ブレッソン監督の名作『ラルジャン』を観てきました。

 

 

 

僕が担当させていただいてる顧客様や僕の投稿を普段から見ていただいている方ならご存知の方も多いかと思いますが、僕は映画が好きで、まだまだ観れていない名作も多い中ではありますが、今の段階で「一番好きな映画監督は?」と聞かれるとロベール・ブレッソンと答えるかもしれません。

それくらいブレッソンが好きで、その作品の中でも一番は?とさらに聞かれると頭に浮かぶのは「たぶん悪魔が」か本作です。

 

なので、『ラルジャン』はBlu-rayでも持ってるし既に観ている作品でもあるのですが、今回のリヴァイバル上映で映画館で観られるのならぜひ観たいと思って行ってきました。

 

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あらすじ

小遣いに不足したブルジョワ少年は、友人に唆されて偽札を写真店で使った。偽札をつかまされた店の主人夫婦は、これを燃料店への支払いに使う。結果、何も知らずに食堂で偽札を使った従業員イヴォンは、告発され失職してしまう。彼は仕方なく知人の強盗の運び屋をし、未然に逮捕され3年の実刑を受ける。その間に愛娘が病死、妻の心は彼を離れる……。不運にも偽札をつかまされたことからすべてを失う青年の姿をドキュメント・タッチで描いた作品。

 

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という、真面目な青年が他人の働いた悪事に不幸にも巻き込まれ、そのことがきっかけで自身も崩壊していき全てを失うという神にも見放されたストーリーです。

ブレッソンは人生の最晩年にこの作品を完成させました。

本作が公開されたのは1984年、その時ブレッソンは齢84歳でした。

そしてこの作品が遺作となりました。

 

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僕自身も久々の再鑑賞となりましたが、映画館で観る『ラルジャン』は格別で圧倒されました。

映像も台詞も、演者の演技さえも極限まで削ぎ落とすのがブレッソンのスタイルですが、本作は骨さえをも削り落としてしまいそうなシャープさがあります。

まさにブレッソンの境地がここにあります。

 

 

最後に、現在、最新作『急に具合が悪くなる』が公開中の濱口竜介監督が本作のリヴァイバル上映にあたり寄せたコメントをご紹介させていただきます。

 

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身震いするほど恐怖することと、
打ち震えるほど感動することは両立する。

信じられない人は、ブレッソンのたどり着いた極北
『ラルジャン』を見てほしい。ただし大画面と、大音響で。

――――濱口竜介(映画監督)

 

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ご興味の湧いた方は、ぜひ映画館で、大音響でご覧になってみてください!

よき谷の物語

2026.07.14.

Posted on 07.14.26

『ヌーヴェルヴァーグ』を観た翌日、昨日のお休みはスペインを代表する名匠ホセ・ルイス・ゲリン監督の新作『よき谷の物語』を観てきました。

 

 

スペイン、バルセロナ郊外に位置するバルボナ地区。

“よき谷”と名付けられたこの場所は川や線路に囲まれ、開発から取り残された陸の孤島でありながら、大都市の近くとは思えないほどの豊かな自然に恵まれた理想郷のようでもある。

ここには20世紀半ばから移り住んだ住民の家族と、最近になってやってきた新世代の移民たちが共に暮らしている。文化や生活スタイルは異なるものの、子供たちはともに川で遊び、誰もがよく食べて飲んで、歌い、踊り、ひとときの安らぎを得る。そんな都会のオアシスに、新しく鉄道増設の計画が持ち上がった。

住民説明会が開かれ、一部の人々は立ち退きを迫られるが…

 

バルボナ地区に暮らす人々を変わりゆく時代とともに見つめた珠玉のドキュメンタリー。

 

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昔、ひいおばあちゃんが生きていた頃、近くで講演会が開かれる時は「命の洗濯に行ってくる」と言ってよく話を聞きに出かけていました。

 

ゲリンの映画を観ていると、そんなひいおばあちゃんの言葉を思い出します。

 

争いや諍いに塗れた現代に生きていると、なんとも哀しく思うこともたくさんありますが、本作を観て心が洗われるような気持ちになりました。

 

ゲリンの新作を映画館で観れる日常があることに感謝しつつ、また今日から仕事頑張っています。

 

同時上映されている名作『シルビアのいる街で』もとてもおすすめの作品(とか言っときながら僕はBlu-ray所持しているのにまだ観れてないのです)だと思いますので、ご興味のある方はぜひ映画館でホセ・ルイス・ゲリンの作品をご堪能ください!

 

Posted on 07.14.26

先週の日曜日は仕事終わりにレイトショーで、リチャード・リンクレイター監督によるジャン=リュック・ゴダール監督作「勝手にしやがれ」製作の舞台裏を映画化した作品『ヌーヴェルヴァーグ』を観てきました。

 

 

ヌーヴェルヴァーグは1950年代末に始まったフランスにおける映画運動で、新世代の監督たちが続々と登場してきました。彼らは既存のルールに縛られず、ノンプロ俳優を起用し、ロケーション撮影と即興演出を実践しました。

 

“ヌーヴェルヴァーグ”は「新しい波」という意味です。ヌーヴェルヴァーグという言葉を聞いたことがない方でも“ニューウェイヴ”(音楽のジャンル。ニューオーダーやトーキングヘッズなど)ならわかるという方もいらっしゃるかと思います。ニューウェイヴもよくわからないという方でもザ・スミスのバンドTシャツはカッコイイから持っているという方もこれを読んでくださっている方の中にはいるかも知れません。その次のカテゴリをもうひとつ挙げるなら、ザ・スミスはわからないけどニルヴァーナのバンドTなら持っているという層です。

昔から音楽や映画などのカルチャーとファッションは共鳴するものですが、今の時代はSNSなどで情報が浅く広く伝わりやすいという時代背景もあって映画や音楽は観たり聴いたりしていなくてもそのヴィジュアルが好きだから取り入れるという方も以前より増えているように思います。

でも、やはり個人的に思うのは、そのヴィジュアルがカッコイイと感じたのなら、ぜひ実際その作品を観たり聴いたりしてみてほしいということです。

それを良いと思う感性があるのなら、きっと知って損することはないと思います。

 

 

前書きが長くなってしまいましたが、ヌーヴェルヴァーグを観たことがないという方への入門編として、ゴダールの『勝手にしやがれ』と『気狂いピエロ』は最適かと思います。

そして、本作はそのヌーヴェルヴァーグの名作のひとつである『勝手にしやがれ』の制作舞台裏を描いている作品なので、『勝手にしやがれ』を観たことがないという方は本作を観るよりもまずそっちを観ることをおすすめします。

 

本作は、実際の人物とそれを演じるキャストがそっくりでビックリしました。

よくこれだけ似た俳優を集められたものだと思います。

 

でも、ヌーヴェルヴァーグをよく知らないという人は、むしろ本作くらいの方が観やすくてヌーヴェルヴァーグの入門編になるのかも知れないです。

 

最近は、一般の感覚と自分の感覚が益々離れていってしまってそうで恐怖さえ感じはじめています。

と書いて早速ゴダールの『はなればなれに』が頭に浮かんだことを「うまい!」と思ってしまっている自分は心底手遅れなような気がしています…

 

 

Posted on 06.23.26

昨日のお休みは、濱口竜介監督の新作『急に具合が悪くなる』を観てきました。

 

 

あらすじ

舞台はフランス、パリ。郊外の介護施設「自由の庭」の施設長であるマリー=ルー・フォンテーヌは入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、マリー=ルーは森崎真理という日本人の演出家に出会う。がん闘病中の真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる……

 

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分断から連帯、そして融合へ。

 

組織や企業の対応がマニュアル化されていく現代。そのマニュアルは何かがあった時に組織を守る為のもので、決して利用者目線で作られたものではないことが大半です。

組織が大きくなるほど、そういう対応をすることが合理的になるのが資本主義の構造です。

 

これからの時代は、資本主義と民主主義をどう上手く融合させていくかが課題となっていきそうです。

 

3時間をゆうに超える作品ですが、とても面白かったです。

 

先日、フランスへ短期留学していたお客様が現地で印象的だったことを教えてくれたのですが「フランスでは知り合いが少なくて心配だったけど、カフェとかで誰かとたまたま目があったらその人は微笑んでくれた。だから滞在中はどこにいても不思議と孤独は感じなかった」とおっしゃっていました。

これを僕みたいなオッサンが日本でやると、目があった人は秒でカフェを退出していくかも知れないのでやらないですが、とても良い文化だなと思います。

 

この作品で出てきた“ユマニチュード”というケア技法も、とてもフランスらしい素晴らしいアイデアです。

 

僕もこの作品から、仕事を通じて人と関わることへの姿勢、それ以外の場面でも人との関わりにおいて自分ができることについて改めて考えたいと思いました。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

Posted on 05.05.26

昨日の夜は、シネヌーヴォで特集されているアルゼンチン生まれのフランスの映画監督,ネリー・カプランの作品『海賊のフィアンセ』を観てきました。

 

 

この映画のカヴァーは、マッチを燃やした炭でアイライナーを引いて、唇には木苺の果実で口紅代わりにしているシーンです。

アヴァンギャルドでありつつ牧歌的という、素晴らしいセンスを感じるシークェンスです。

 

 

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あらすじ

マリーと彼女の母親は、保守的な村社会でのけ者扱いを受けてきた。だが、母の死をきっかけに、マリーは村人を相手に売春をするようになる。男を利用して得た金銭で、さして必要のないものまで浪費を重ね、彼女の暮らすあばら屋は、次第に物であふれていく。

 

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娼婦のベッドシーンを見せないのはアケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン』と共通しますが、こちらは全く異なるタイプの女性像が描かれていました。

 

一人の女性によって村社会が滑稽に崩壊していく。

その様子は、まるでヒエロニムス・ボスの名画『快楽の園』のようでした。

 

コメディ要素もメチャ面白かったです。

そこまで映画詳しくない方でも、コアなお笑い好きでも彼女の作品にハマる人はそこそこいるんじゃないかと思うレベルでした。

(僕の笑いのツボがバグってるだけかも知れませんが)

 

千鳥のノブさんの映画知識もとても面白いんですけど、そろそろネリー・カプランくらいにアップデートしてほしいです。

それくらいシネフィル寄りのツッコミしてくれたら僕も今以上にファンになってノブさんの顔面を大きくプリントしたTシャツ着て仕事します。

 

知性も感性も素晴らしい監督だなと思いました。

他の作品も全部観たいです。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

 

 

Posted on 04.28.26

昨日のお休みは、イギリスの映画監督,ケン・ローチ監督の最新作『オールド・オーク』を観てきました。

 

 

ケン・ローチ監督は今年90歳を迎える巨匠で、これまで労働者階級や移民、貧困などの社会問題に焦点を当てた作品を多く制作してきました。

その姿勢はこの最新作でも揺るぎません。

 

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STORY

イギリス北東部、とある炭鉱の町で唯一のパブ、「オールド・オーク」。活気溢れる時代から30年の時を経て、今は厳しい状況に陥っているが、町に住む人々にとっては最後の砦となる宿り木のような存在だ。店主のTJ・バランタインは、試行錯誤しながらなんとかパブを維持しているが、町がシリア難民を受け入れ始めたことで、パブは居場所を争う諍いの場になってしまう。先行きを危ぶむTJだったが、カメラを持ったシリアの女性ヤラと出会い、思いがけない友情を育むことになる。果たして彼らは、互いを理解する方法を見つけられるのだろうかー?

 

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排外的分断が横行している現代において、今年90歳を迎えるケン・ローチが示したのは“連帯”

 

現在、世界中でリベラル的な考えは人気がありません。

最近の選挙結果や政権の支持率を見ても、ここ日本でもその傾向が強いと思います。

なんたって首都である東京の都知事が主宰する政党名が「都民ファーストの会」です。

 

とは言っても、高市総理も小池都知事もバランスを考えてリベラル的な政策も実施していることをリベラル側の人もちゃんと評価しないといけません。

分断はリベラル側からも生まれていることを理解しなければならない。

 

僕が観た上映回は満席でした。

その多くが高齢者に該当するであろう年齢の人たちでした。

でも、本作はこれから日本を動かしていく若者達にこそ観てほしいと思うような作品でした。

 

最近、よく考えるのは「豊かさとは何か?」ということです。

多くの人の心が豊かであってほしいと思います。

 

もちろんお金も大事ですが、それ以上に大切なものは人生にはたくさんあります。

 

そんなことももしかしたら自分が恵まれているから思えることなのかも知れないですが、それでもそう思えること、そう考えることができる気持ちを大切に、これからの人生も何かの役に立てるよう生きていきたいです。

 

格差や分断、フェイクが乱立する現代だからこそ、今この作品を多くの方に観てほしいと思います。

ご興味の湧いた方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

 

落下音

2026.04.07.

Posted on 04.07.26

昨日のお休みは、シアタス心斎橋でドイツの新鋭,マーシャ・シリンスキ監督の新作映画『落下音』(SOUND of FALLING)を観てきました。

 

 

1910年代のアルマ、40年代のエリカ、80年代のアンゲリカ、そして現代のレンカ。

本作は、4つの異なる時代に生きる4人の少女たちが、同じ土地で体験する不可解な怪異を描く、百年にわたる映像叙事詩です。

 

 

北ドイツのとある農場を舞台とした100年の物語を4つの時代、4つの家族で描いた作品。

 

男女平等が高らかに謳われる現代において、過去の時代で女性たちがいかに抑圧され、どう生きてきたかを描いた作品でもあります。

 

監督のマーシャ・シリンスキは今作が長編2作目だそうですが、素晴らしい才能だと思います。

音響効果も重要な作品なので、映画館で観れて良かったです。

 

タイトルは個人的には英訳そのままの『サウンド・オブ・フォーリング』のほうが格好良いと思います。

 

写真にもある少女,アルマのヘアアレンジがとてもオシャレでした。

マリア・グラツィア・キウリかピエールパオロ・ピッチョーリあたりがパクると、クリエイションにもマッチしそうです。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館で観てください!

 

 

Posted on 03.24.26

昨日のお休みは、シアタス心斎橋でジョシュ・サフディ監督の最新作『マーティ・シュプリーム』を観てきました。

 

 

 

ジョシュ・サフディは、これまで弟のベニー・サフディと共に映画監督を務めてきました。

代表作には、『グッドタイム』『アンカット・ダイヤモンド』などがあります。

 

その兄弟がここにきてまさかの解散。

本作は、兄ジョシュの単独名義では初の作品となります。

令和のオアシスみたいな感じになってないことを願っています。

(オアシスは再結成して今のところうまくやってそうですが)

 

弟が抜けてどうなっているのかなと思いましたが、これまでのスタイルに近いサフディらしいオンビート感の半端ない作品でした。

これはこれまでの作品で音楽を担当してきたOPNの貢献も大きいと思います。

 

僕は仕事は真面目に打ち込むタイプなので、マーティにもずっと靴屋で頑張ってほしかったですが、マーティは破天荒でシュプリーム過ぎました。

 

劇中でニューオーダーの楽曲が使われてて、帰りは久々にニューオーダーを聴きながら家路につきました。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください。

 

Pola X

2026.03.18.

Posted on 03.18.26

先日のお休みは、テアトル梅田でリバイバル上映されているレオス・カラックス監督の映画『Pola X』(ポーラX)を観てきました。

 

 

 

本作は、19世紀半ばのアメリカ小説、ハーマン・メルヴィルの「ピエール」(1852)の映画化で、タイトルの『ポーラX』は小説の仏題”Pierre ou les ambiguité” (ピエール、あるいは曖昧なるもの)の頭文字Polaに謎のXをつけたもの。

 

原作「ピエール」は「白鯨」の翌年にメルヴィルが熱狂のうちに書き上げ、その内容から「メルヴィル発狂す」とまで報じられた背徳的で虚無的な長編小説であり、カラックスは18歳の頃に読み「自分のために書かれたかのような奇妙な感覚」を抱いたらしいです。

 

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『ポーラX』は、家にDVDを所有しているのですが、まだ観てなくて、どうせ映画館でやってるなら今観に行こうと思って観たのですが、音響も映像も良かったし映画館で観れて良かったなと思いました。

内容的には上記の通り破滅的なストーリーですが、洗練され過ぎてるくらい洗練されてて、そうすることで逆に空虚さが浮かび上がってくるという、凄い作りの映画でした。

 

『ポンヌフの恋人』の次作がこれとは…

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

Posted on 03.03.26

昨日のお休みは、デンマーク人の映画監督,ヨアキム・トリアーの新作『センチメンタル・バリュー』をみてきました。

 

 

僕がここから人生大逆転して大金持ちになったとして、無事香港で競走馬を持つことができた暁にはその馬名を“センチメンタルバリュー”(日本競馬界では文字数オーバー)と名付けたいくらい良い語呂です。

 

“sentimental value”の意味としては、「物質的な価値ではなく、思い出や愛着によりその人にとっては非常に価値がある、特別な思い入れのあるもの」のことを指すらしいです。

ということは僕の場合、お店や家にはセンチメンタルバリューな品々で溢れ返ってるということになります。

 

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あらすじ

オスロで俳優として活躍するノーラと、家庭を選び夫や息子と穏やかに暮らす妹アグネス。ある日、幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不通だった映画監督の父・グスタヴが姿を現し、自身にとって15年ぶりの新作となる自伝的映画の主演をノーラに打診する。父に対し怒りと失望を抱えるノーラは断固として拒絶し、ほどなくしてアメリカの人気若手俳優レイチェルが主演に決定。やがて、映画の撮影場所がかつて家族で暮らしていた思い出の実家であることを知ったノーラの心に、再び抑えきれない感情が沸きおこる。

 

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親子や家族をテーマにその葛藤を丁寧に描いた作品で良い映画でした。

トリアー監督は、前作『わたしは最悪。』でパルム・ドールにもノミネートされていましたが、本作はアカデミー賞にも8部門でノミネートされているということで、こういったヨーロッパ的な静かな映画がエンターテイメントの頂,アカデミー賞でも注目されているのは時代の変化を感じるし良いことだなと思います。

 

個人的には、感覚が凄く合う映画ではなかったですが、孫のプレゼントにハネケの『ピアニスト』やギャスパー・ノエの『アレックス』などを渡してたシーンが監督渾身のギャグでちょっぴり面白かったです。

僕がトリアーなら、アレクセイ・ゲルマンの『神々のたそがれ』やペドロ・コスタの『ヴァンダの部屋』とかを選択するかもです。それだとアカデミー向けではなくなるのかも知れませんが。

ここのシーンを大喜利のお題にするようなカルチャーお笑い番組をYouTubeとかでもいいから誰か作ってほしいです。

 

ということでご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

 

ブゴニア

2026.02.18.

Posted on 02.18.26

先日のお休みは、ヨラゴス・ランティモス監督の新作『ブゴニア』を観てきました。

 

 

こちらは、2003年の韓国映画「地球を守れ!」のリメイク作品。

 

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あらすじ

世界的に知られた製薬会社のカリスマ経営者ミシェルが、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディと、彼を慕う従弟のドン。2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求してくる。ミシェルは彼らの馬鹿げた要望を一蹴し、なんとか言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転する。やがてテディの隠された過去が明らかになることで、荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へと転じていく。

 

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ランティモスの作品は皆勤賞をもらえるくらい映画館に観に行っている僕ですが、本作は良い意味でも悪い意味でもランティモス作品にしては観やすい作品でした。

 

相変わらずクセの強さはありますが、映画好きの心も商業的成功も両方掴んでいるポール・トーマス・アンダーソンやクリストファー・ノーランみたいなポジションを狙っているのかなと少し感じました。

そういうことのできる監督の作品は大概面白いし本作も実際とても面白かったですが、2回に1回はもっとヘンテコでジメジメした作品を作ってくれることも期待しています。

 

でも、エンタメ作品をこれだけクセ強で作って多くの客を呼べる監督も希少だと思うので、ぜひいつかクセ強映画でアカデミー作品賞獲ってほしいです。

 

ラストのスライド映像がとても面白かったので、あそこで3カットくらい爆笑できるやつも入れてほしかったと欲が出てしまいました。

あと、エマ・ストーンの変なダンスもまた見たかったです。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

デコーダー

2026.02.03.

Posted on 02.03.26

先日、仕事終わりで九条のシネヌーヴォへ向かい、1984年の西ドイツで作られた映画『デコーダー』を観てきました。

 

 

監督は、アーティストでもあるMUSCHA(ムシャ)。

 

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ノイズ・サンプリングによって大衆をコントロールしようとする青年を描き、音が人間に与える影響をテーマにした実験映画。

この頃、ノイエ・ドイチェ・ヴェレなどのインディペンデントなムーヴメントがヨーロッパで隆盛したり、西ドイツのカルチャーはとても格好良かったですし、個人的にも大好きなので、この『デコーダー』は映画館で上映してくれるこの機会にぜひ観たいと思っていました。

 

 

ヴィヴィッドと退廃性が混在した映像も良かったですし、終始垂れ流されているノイズ・ミュージックもとても心地良かったです。

 

ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!

 

グッドワン

2026.01.27.

Posted on 01.27.26

昨日のお休みは、テアトル梅田でインディア・ドナルドソン監督の長編1作目となる映画『グッドワン』を観てきました。

 

 

多くの人が、大人と子どものあいだで揺れる10代を過ごしたのではないでしょうか。

もう子どもとは言えない、でも大人とも言い切れない。そんな宙ぶらりんな期間。

そうした10代の複雑さにカメラを向けたのが本作『グッドワン』です。

父親たちとのハイキングで、17歳の少女サムが「大人の未熟さ」を意識する姿を瑞々しく描き出した作品。

 

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エンドロールが流れている間、また一人素晴らしい才能を持った監督が映画界に現れたことを心から嬉しく感じていました。

長編1作目にして傑作だと思います。

彼女がよく比較されているケリー・ライカート監督の作品に『オールド・ジョイ』という、こちらも傑作があるのですが、本作はポスト・オールドジョイ的作品でもありますが、主に描かれているのが17才の娘の複雑な心情であるところは前者とは異なる描写です。

 

作中では、積み石が何度か映し出されましたが、触れるだけでも崩れてしまいそうな積み石を主人公サムとなぞらえていたりとか、表現も上手いなと感じるシーンもたくさんありました。

色遣いやカメラワークも素晴らしかったです。

 

普段からの映画好きはもちろんのこと、ファッションや音楽などのカルチャー好きの方にもおすすめできる作品だと思います。

若い世代の方にも、このような作品をぜひ観ていただきたいです。

 

 

 

パンフレットも洒落てます。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

先日のお休みは、シネヌーヴォさんでソ連・パルチザンスク出身の映画監督,ヴィタリー・カネフスキーの特集から、『動くな、死ね、甦れ!』と『ひとりで生きる』を観てきました。

 

 

まずは『動くな、死ね、甦れ!』から。

 

『動くな、死ね、甦れ!』は、カネフスキー監督の自伝的作品とされています。

 

あらすじ

第2次世界大戦直後のソ連。強制収容所地帯となった極東の小さな炭鉱町スーチャンに暮らす12歳の少年ワレルカは、シングルマザーの母親に反発し、悪戯ばかり繰り返していた。同じ年の少女ガリーヤはいつもワレルカのことを気にかけており、彼が窮地に立たされると守護天使のように現れて助けてくれる。そんなある日、度を越した悪戯で機関車を転覆させてしまったワレルカは、逮捕を恐れてひとり町を飛び出す。

 

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映画史に刻まれる歴史的な名作だと思いました。

口から放たれる言葉ではなく、一見平然を装ったようなワレルカの顔の表情からは、内面に潜めた感情の塊のようなものが感じ取れました。

全てを観終えて、このタイトルの意味を改めて深く考えさせられました。

 

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続いて『ひとりで生きる』

 

 

こちらは『動くな、死ね、甦れ!』の続編。

 

あらすじ

15歳になったワレルカは、子ども時代に別れを告げようとしていた。大人たちの世界はますます悲劇的な様相を呈し、ワレルカにとっての心の拠り所は、2年前に死んだかつての恋人ガリーヤの妹・ワーリャと一緒にいる時間だけだった。やがてある事件が原因で学校を退学となったワレルカは、ワーリャの思いをよそに町を離れ、ひとりで生きることを選ぶ。一方、残されたワーリャは、返事の来ないワレルカへの手紙を書き続ける。

 

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こちらも凄まじかったです。

これほどまでに残酷な有り様を、なぜこれほどまでに美しく描けるのか…

 

本当は3作全て観たかったのですが、予定を合わせられず残念でした。

可能なら、この3部作でBlu-ray出してほしいです。

関係者のみなさま、どうかよろしくお願いいたします。

Posted on 12.02.25

昨日のお休みは、九条にあるシネヌーヴォさんで伝説的アニメーション作家ブラザーズ・クエイによる19年ぶりの新作『砂時計サナトリウム』を観てきました。

 

 

 

ポーランドの作家,ブルーノ・シュルツの神話的かつ詩的な短編集をベースに、まるで記憶の迷宮を彷徨うような独特な映像感覚を生み出した本作。

シュルツ文学の幻惑的世界を映像詩へと昇華させていました。

 

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今作の原作であるシュルツの作品は、ポーランドの映画監督,ヴォイチェフ・イエジー・ハスも『砂時計』という作品で映画化していますが、イエジー・ハスの万華鏡のような多彩色な世界観とは180度違うクエイ兄弟の本作は本当に素晴らしいものでした。

 

初期のアン・ドゥムルメステールのような儚い退廃性のファンタジーを感じました。

 

パンフレットもすごくいい感じの仕上がりです。

 

 

 

 

ご興味のある方は、ぜひご覧になってみてください!