先日のお休みは、シネヌーヴォさんでソ連・パルチザンスク出身の映画監督,ヴィタリー・カネフスキーの特集から、『動くな、死ね、甦れ!』と『ひとりで生きる』を観てきました。

 

 

まずは『動くな、死ね、甦れ!』から。

 

『動くな、死ね、甦れ!』は、カネフスキー監督の自伝的作品とされています。

 

あらすじ

第2次世界大戦直後のソ連。強制収容所地帯となった極東の小さな炭鉱町スーチャンに暮らす12歳の少年ワレルカは、シングルマザーの母親に反発し、悪戯ばかり繰り返していた。同じ年の少女ガリーヤはいつもワレルカのことを気にかけており、彼が窮地に立たされると守護天使のように現れて助けてくれる。そんなある日、度を越した悪戯で機関車を転覆させてしまったワレルカは、逮捕を恐れてひとり町を飛び出す。

 

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映画史に刻まれる歴史的な名作だと思いました。

口から放たれる言葉ではなく、一見平然を装ったようなワレルカの顔の表情からは、内面に潜めた感情の塊のようなものが感じ取れました。

全てを観終えて、このタイトルの意味を改めて深く考えさせられました。

 

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続いて『ひとりで生きる』

 

 

こちらは『動くな、死ね、甦れ!』の続編。

 

あらすじ

15歳になったワレルカは、子ども時代に別れを告げようとしていた。大人たちの世界はますます悲劇的な様相を呈し、ワレルカにとっての心の拠り所は、2年前に死んだかつての恋人ガリーヤの妹・ワーリャと一緒にいる時間だけだった。やがてある事件が原因で学校を退学となったワレルカは、ワーリャの思いをよそに町を離れ、ひとりで生きることを選ぶ。一方、残されたワーリャは、返事の来ないワレルカへの手紙を書き続ける。

 

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こちらも凄まじかったです。

これほどまでに残酷な有り様を、なぜこれほどまでに美しく描けるのか…

 

本当は3作全て観たかったのですが、予定を合わせられず残念でした。

可能なら、この3部作でBlu-ray出してほしいです。

関係者のみなさま、どうかよろしくお願いいたします。

Posted on 12.02.25

昨日のお休みは、九条にあるシネヌーヴォさんで伝説的アニメーション作家ブラザーズ・クエイによる19年ぶりの新作『砂時計サナトリウム』を観てきました。

 

 

 

ポーランドの作家,ブルーノ・シュルツの神話的かつ詩的な短編集をベースに、まるで記憶の迷宮を彷徨うような独特な映像感覚を生み出した本作。

シュルツ文学の幻惑的世界を映像詩へと昇華させていました。

 

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今作の原作であるシュルツの作品は、ポーランドの映画監督,ヴォイチェフ・イエジー・ハスも『砂時計』という作品で映画化していますが、イエジー・ハスの万華鏡のような多彩色な世界観とは180度違うクエイ兄弟の本作は本当に素晴らしいものでした。

 

初期のアン・ドゥムルメステールのような儚い退廃性のファンタジーを感じました。

 

パンフレットもすごくいい感じの仕上がりです。

 

 

 

 

ご興味のある方は、ぜひご覧になってみてください!

 

落下の王国

2025.11.25.

Posted on 11.25.25

昨日のお休みは、映像の魔術師と呼ばれるインド出身の映画監督,ターセム監督の“幻”とされ続けてきたカルト的ファンタジー作品『落下の王国』を観てきました。

 

 

構想26年、撮影期間4年をかけて完成させたオリジナル作品で、CGに頼らず、13の世界遺産と24カ国以上のロケーションをめぐって撮影された壮麗な映像と独創的な世界観で繰り広げられる本作。

 

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あらすじ

舞台は1915年。映画の撮影中に橋から落ちて大怪我を負ったスタントマンのロイは、病室のベッドで絶望の淵にあり、自暴自棄になっていた。そんな彼は、木から落ちて腕を骨折し入院していた5歳の無垢な少女アレクサンドリアと出会う。ロイは動けない自分の代わりに、アレクサンドリアに薬剤室から自殺用の薬を持ってこさせようと考え、彼女の気を引くために即興の冒険物語を語り始める。それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に沈んだ6人の勇者たちが力を合わせて悪に立ち向かう壮大な物語だった。

 

 

 

 

噂にも勝る映像美でした。

石岡瑛子さんが手掛けた衣装も本当に素晴らしかったです。

ファンタジーは個人的には得意なジャンルではないのですが、これは観て良かったです。

アート系の映画がお好きな方には、特におすすめです。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

Posted on 10.07.25

昨日のお休みは、シアタス心斎橋でポール・トーマス・アンダーソン監督の新作『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観てきました。

 

 

個人的には、普段はハリウッド系よりカンヌ系の映画の方を好んで観るのですが、先日のウェス・アンダーソンやこのP.T.A.(ポール・トーマス・アンダーソンの愛称)は別腹という感じで、新作が出ると聞くと楽しみになります。

 

内容はめちゃくちゃハリウッド映画ですが、今作もとても面白かったです!

 

今、「映画って最高!」って思わせてくれるようなエンタメ・ハリウッド作品を作らせたらP.T.A.の右に出るものはいないのではないでしょうか?

(他に思いつくのはタランティーノとか?)

 

 

ディカプリオもチヤホヤ感先行しまくりの若いイケメン時代から、年齢を重ねて今はこんな良い役者になるなんて…

 

 

僕は、ディカプリオは今の方が絶対にカッコイイと思うのですが。

 

 

 

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この日は朝、メジャーリーグのプレーオフを観たところだったので、エンドロールでは心の中で「P.T.A.! P.T.A.!!! 」の大合唱をしていました。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

 

Posted on 09.25.25

先日、ビッグステップに入ってるキノシネマにて、ウェス・アンダーソンの新作映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』を観てきました。

 

 

あらすじ

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舞台は1950年代、架空の独立国家「フェニキア」

富豪かつ武器商人であるザ・ザ・コルダは、過去6回の暗殺未遂を生き延びながら、フェニキア全域にわたる陸海インフラを整備する壮大なプロジェクト「フェニキア計画」を構想していた。

しかし、妨害や巨額の赤字によって計画は危機に瀕する。彼は資金難を乗り越えるため、長年会ってこなかった修道女見習いの娘リーズルを後継者に指名し、彼女を連れて旅に出る。目的は資金調達と計画遂行、そしてリーズルの母親の死の真相を解明すること。

旅の中で彼らは出資者たちとの交渉、対立、裏切り、暗殺未遂といった様々な障害に直面する。親子関係の修復、父の過去、そして権力/資本主義の美と闇が絡み合いながら、最終的に「計画」は成功するのか、父と娘は真の意味で家族になれるのか、物語はその問いを描き出す。

(by 生成AI)

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絶妙に笑えないブラックユーモアの連発。

でも、その洗練されたオフビート感が心地よくて、それこそがウェス映画独特の魅力なんだと思います。

アイコニックでありつつも厳格にシンメトリーを追求している映像には、ウェス・アンダーソンの秀でたバランス感覚を感じました。

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前売り券を買った時に貰った特典のしおりは、とりあえず使わず大事に取っておこうと思います。

(こういう類のが僕の引き出しには大量にあります)

ご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

先日のお休みは、この残忍なほどの酷暑の中、2日連続で堀江から自転車に乗ってテアトル梅田に向かい、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の新作3本を立て続けに観てきました。

 

 

ということで、3つの作品それぞれのレビューを書いておこうと思います。

 

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『Hmyz(蟲)』

 

本作が今回の日本での上映特集でのメインです。

そう、メインディッシュが虫。

そして、この作品がヤン・シュヴァンクマイエル最後の長編劇作品だと監督本人も言っています。

 

虫は個人的にちょっと苦手(標本とかなら良いのですが動かれますと…)なのですが、このチェコ版のビジュアルを見てから楽しみに期待してたのですが、見事なまでにつまらなかったです笑

シュヴァンクマイエル臭はしっかりと出てるのに、このつまらなさ。

僕は逆に潔いと感じてしまいました。

Filmarksでは最大級の敬意を込めて、最低点である☆1を付けさせていただきました。

最低は、時に、それ以外を凌駕してしまう程に感銘を受けることもあります。

シュヴァンクマイエルが残してきたこれまでの作品が圧倒的であるからこそ、この作品がそのラストであることが美しくさえ思えました。

 

 

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『Kunstkamera(クンストカメラ)』

 

ヴィヴァルディの「四季」に乗せて、述べ2時間に渡って映し出されるシュヴァンクマイエルが誇る驚愕のコレクションと作品の数々。

今回の3作の中で一番良かったです。

 

シュヴァンクマイエルのファンじゃなくても、芸術やアンティークがお好きな方にぜひおすすめしたい作品です。

 

凄過ぎました。

これの写真集出してほしいです。

 

 

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『Alchymická pec(錬金炉アタノール)』

 

このタイトルを見た時、椎名林檎の「無罪モラトリアム」のことをちょっと思い出しました。

(語呂というか漢字とカタカナ英語の組み合わせだけでしかないですけど)

 

ヤン・シュヴァンクマイエルが晩年に語るドキュメンタリー。

 

先だった妻エヴァとのエピソードや、自身の考え方を赤裸々に語っていて面白かったです。

「自分は幼少期のままの感性を持ち続けているんだ」と語っていましたが、シュヴァンクマイエル作品の魅力はまさに幼稚的なファンタジー性とそれを芸術に昇華させる圧倒的な知性や感性の融合だと思います。

 

あと、シュヴァンクマイエルが日本人嫌いを語るエピソードがとても面白かったです笑

口が止まらず、目がキラキラしてましたもん。

 

もちろん人種差別的なものではなく、非公式(なものなのかどうかはわからないですが、あのインタビューの様子だと公認はしないと思います)に日本でファンクラブを作ったり、日本のファンや映画などの関係者がシュヴァンクマイエル本人に投げかける質問があまりにも稚拙だと感じるものが多かったのだと思います。

僕も日本人ですが、シュヴァンクマイエルのファンの多くは、どこか彼や彼の作品をアイコニックで表層的に捉えている人も多そうな気がします。

まあ、そう言われば僕もそこに片足を突っ込んでる一人かも知れないですが。。

 

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という感じの簡易レビューでした。

 

『蟲』の劇中に出てくるマッチを模したA6サイズの小ぶりなパンフレットもカワイくておすすめですが、ちゃんと中身も全部読まないとまたシュヴァンクマイエルに「これだから日本人は…」とか思われそうなので、買った方はちゃんと中身も読んでくださいね!

 

 

ご興味のある方は、ぜひテアトル梅田へ足を運んでみてください!

ENO

2025.07.16.

Posted on 07.16.25

先日の日曜日は、仕事を早めに切り上げさせていただいて、109シネマズ大阪エキスポシティで特別上映されていたブライアン・イーノのドキュメンタリー映画『ENO』を観てきました。

 

 

特にアンビエント・ミュージックがお好きな方なら、ブライアン・イーノがどれほど偉大な人物かは周知の事実かと思います。

デヴィッド・ボウイやトーキング・ヘッズといったロックアーティストから、(それらのアーティストの音楽をプロデュースした)ブライアン・イーノを知った方もたくさんおられるのではないでしょうか。

とにかく、ブライアン・イーノは、近代の音楽史において重要人物の一人であることは間違いないです。

 

 

こちらの作品は、生成技術“Brain One”を駆使することにより、52京通りを超えるといわれる構成が可能になっている“生成”ドキュメンタリー映画となっており、観るたびにとりどりに変化した作品を楽しめるという、まさにイーノが考えた映画の形だなと思う仕様になっています。

 

「なぜ映画は毎回同じでなくてはならないのか」

 

という疑問がイーノの映画に対する考えの根本にあったらしいですが、相変わらず捻くれまくっています。

でも、その根底から覆そうとするような発想がイーノのクリエイティヴの源泉でもあります。

 

 

イーノの考えやエピソードを色々知れる内容はとても興味深かったですし、自動生成による映像もアーティスティックでスタイリッシュでした。

 

イーノファンならずともクリエイティヴ系のお仕事をされている方にもおすすめの作品です。

 

本作の日本での上映は、BEATINKが企画してくれたらしく、大阪では映画に合わせてBEATINK LISTENING SPACEなるポップアップショップもオープンしていますので、関西在住の音楽好きの方はそちらにもぜひ足を運んでみてください!

 

カニバイシュ

2025.06.20.

Posted on 06.20.25

先日のお休みは、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の没後10年特集で、1988年に作られた映画『カニバイシュ』を観てきました。

 

 

 

マノエル・ド・オリヴェイラ監督は、ポルトガルの映画監督で100歳を越えてもなお映画を撮り続け、素晴らしい作品をたくさん遺しました。

 

今回の特集では5本の作品がデジタルリマスターで上映されましたが、僕はなかなか予定が合わず、この『カニバイシュ』のみ観に行くことができました。

今回の5本で1番観たかった作品でもあります。

 

本作は、オペラ・ブッファ(喜劇的なオペラ)映画という、数あるオリヴェイラ作品の中でも異色のジャンルです。

 

 

 

 

教養の浅い僕には、まだオペラは敷居が高くて普段なら敬遠してしまうのですが、内容はとても格調高いものなのに、映画のアートワークにある豚のキャプチャーがとても気になっていました。

 

タイトルの『カニバイシュ』は、「人食い」を意味します。

 

ネオクラシカル様式の豪壮なアジュダ宮殿などのローケーション、豪奢な衣装、美しいオペラとバイオリンの音色…

そのまま終わらせても完璧な映画だったと思いますが、本作はラスト10分でとんでもない展開を怒涛の如くブチ込んできました。(上の豚もその時の一幕)

しかも、ちゃんとオモロい。

 

 

 

ファッションにおけるモードなんかでも、コレクションで発表する洋服は一見万人から見て「美しいもの」であっても、それら特別なものを創り出すことができるデザイナーの多くは内面に歪な部分も持ち合わせています。

そして、その歪みは、ファッションデザイナーよりも映画監督の方が断然強く感じます。

 

だから、ファッションデザイナーも他の業種のクリエーターも、こういった映画を観て感性を磨きインスピレーションにするのです。

 

 

これまで観てきたオリヴェイラ監督の作品は、どれも機知に富み映像も美しいものばかりでしたが、この作品が一番オリヴェイラ監督の凄みを感じました。

 

映画館での上映に間に合わなかった方も、この特集を機に今後DVDなどが出るかもしれないので、機会があればぜひご覧になってみてください。

『アブラハム渓谷』など、他のオリヴェイラ作品もおすすめです!

Underground

2025.04.22.

Posted on 04.22.25

昨日のお休みは、シネヌーヴォで小田香監督の最新作『Underground』を観てきました。

 

 

タル・ベーラの映画学校で学んだ小田監督の作品は以前から興味を持っていましたが、なかなかタイミングが合わず、今回の最新作が初めてでした。

 

映像と音響が素晴らしかったです。

(タル・ベーラから学んでいるのだから当然アナログな手法で撮影,編集されたものだと思いますが)ロケーションや自然を活かした手法でこれだけグラフィカルな映像も撮れるのかと思いながら観ていました。

 

東京都のエンタメ感満載のプロジェクションマッピングも即刻中止して、小田さんに監修してもらって何かすれば良いのに…

 

今作は九条にあるシネヌーヴォで観てたのですが、劇中でまさか自分が今観ているシネヌーヴォのシアターが出てきて、しかも登場人物が自分の座っている席と同じ席に座ったものだから驚きました。

最後、映画が終わって映画館を出るまでは、そんな僕にピッタリ賞みたいなものがあって声をかけられるのではないかと内心ドキドキしておりましたが、何もなく無事に帰路につきました。

 

販売されていたパンフレットは、通常のものと特別版があって、通常のものが一番好みでしたが特別版は通常版にポスターみたいなものを折ってカバーにしてあるとのことでしたので、せっかくなので特別版を購入しました。

 

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特別版

 

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通常盤(特別版から外装を外したもの)

 

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こちらがその全貌

 

 

 

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本作の繊細且つ迫力のある音響は、映画館ならではのものがあると思いますので、ご興味のある方はぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

Posted on 04.17.25

『アンゼルム・キーファー ソラリス』展を観に京都へ行ったついでに、観たかったアラン・ギロディ監督の映画が京都シネマで上映されてたので、時間を合わせてスケジュールを組んで観てきました。

 

 

アラン・ギロディーの作品は3つ上映されていますが、僕が観たのは『ミゼリコルディア』です。

 

セクシャリティとサスペンス。

本作に“コメディ”という表記があるのは、相当ブラックユーモアな解釈だと思います。

 

アメリカ映画とかでコメディというと、誰にでもわかりやすいエンタメ要素の強いものが一般的です。

日本のお笑いとかもそうです。

 

でも、本作みたいなヨーロッパの作品では、コメディと言っても知識や教養が必要になってくるものも多いです。

それにダークユーモアの表現手法も多種多様で、それらの感性を見ているだけでも面白いです。

本作は特に度肝を抜かれました。

 

 

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ミゼルコルディアとは“慈悲”を意味します。

 

本作のストーリーは、パン職人の主人公が、師匠の葬儀のために久々に故郷を訪れるという話。

葬儀が終わってもその場所にしばらく滞在したり、セクシャリティが関わってくる設定は、グザヴィエ・ドランの『トム・アット・ザ・ファーム』を連想しましたが、ギロディーの本作はドランのそれよりも人間関係やそれぞれの感情を複雑で繊細に描いています。

 

 

ギロディーの映画は、映倫を通してないらしく、作品にモザイクをかけることをギロディー自身が許可していないらしいのですが(本作もR18指定ではなく18歳以上推奨作品)、本作では神父のそれがモザイクなしで映ることが大きな意味を成していました。

サスペンス映画で、まさか男性器に物語らせるなんて…

 

 

他の作品も観たいのですが、タイミングが合わずに終わってしまいそうです。

Blu-ray化は無理そうだし、JAIHOでもう一回特集をやってくれることを切に願っています。

 

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大阪にも素晴らしい単館映画館はいくつかありますが、僕が行ったタイミングでは京都シネマには大阪のそれらの映画館よりも幾分多くのお客さんが入っているように感じました。

さすがは文化の街,京都だなと思いました。

大阪府民も負けずに文化的な映画も積極的に観に行きましょう!

 

アラン・ギロディーの特集は、大阪の第七藝術劇場でもやってるので、ご興味のある方はぜひ映画館に足を運んでみてください!

 

RETURN TO REASON

2025.01.28.

Posted on 01.28.25

昨日のお休みは、テアトル梅田でマン・レイが遺した4話の短編映像作品を纏めた映画『RETURN TO REASON』を観てきました。

 

 

マン・レイはアメリカのダダイスト/シュルレアリストとして写真家,画家,彫刻家,映画監督と多岐に渡って活動した芸術家です。

本作に収められている短編集は、今から約100年前に制作された白黒サイレント作品です。

そのマン・レイのサイレント作品にジム・ジャームッシュとカーター・ローガンによるユニット, SQÜRLが音響で華を添えています。

 

100年前のサイレント時代から、マン・レイは色んな手法を試しては生み出していたのだなと感嘆いたしました。

そして、マン・レイのサイレント作だけなら眠たくなってしまいそうなところを、SQÜRLの前衛的なドローンが絶妙なバランス感覚で相乗効果を生み出していました。

 

アートやクリエイティヴに興味のある方は、ぜひ本作をご覧になってみてください!

 

weekend navigation

2025.01.24.

Posted on 01.24.25

いつもV:oltaをご利用いただき、まことにありがとうございます。

年始ムードも少し落ち着いてきたこの頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

 

当店は年末年始はおかげさまで多くのお客様にご来店いただきました。

逆に例年1月後半~2月にかけてはご予約もゆっくりしてくる時期になっていきます。

今週末のご予約にもまだまだご案内できる時間帯もございますので、ご来店をお考えの方はぜひご予約くださいませ。

 

みなさまのご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております。

 

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先日、現在日本人で唯一パリでオートクチュールコレクションを発表することができるデザイナー,中里唯馬さんを題材にしたドキュメンタリー映画『燃えるドレスを紡いで』を観ました。

 

 

石油産業に次ぐ、世界第2位の汚染産業であるアパレル産業を生業とする中里氏が自身の仕事と向き合う上で大量廃棄の現場を見ておきたいということで、世界中から夥しい量の行き場を失った服が集まってくるケニアを訪れ、その現実を実際に見て、そこで実際に購入した大きなビニールにキツキツに包装された服のブロックからそれらの素材を再利用してオートクチュールコレクションを作り上げるまでを追ったドキュメンタリー作品となっています。

 

驕ることも飾ることもせず、等身大でアパレル産業の闇に目を向け、そしてオートクチュールを通じて未来のサステナブルな服作りの在り方をファッション界に提起する。

世界中のファッションデザイナーの多くが中里さんのような考えを持った世の中になれば、どれだけこの世界は素晴らしいものになるでしょうか。

 

今までもそうしてきたつもりですが、これからはより一層自然素材100%の服を選び、その一着を長い間大切に切るようなファッションの楽しみ方をしていきたいです。

 

 

 

 

化学繊維はただでさえ生分解しにくい上に、安い服ほど色んな素材が混ざっていてリサイクルすることがほぼ不可能なものが大半です。

 

 

この映画を観ない方でも、良かったらぜひ服を買う時には表示ラベルを確認して服を選ぶようにしてみてください。

アパレル業界の環境問題対策として、自分たち消費者ができる一番のことは、生分解性の低い洋服を買わないということです。

ファッション映画というより、環境問題にフォーカスした社会派ドキュメンタリーでした。

ぜひ多くの方に観ていただきたい作品です。

 

 

ご興味のある方は、こちらの作品もぜひチェックしてみてください!

Posted on 12.12.24

先日のお休みは『ウラ・フォン・ブランデンブルク展』に行った後、シネヌーヴォへ向かいベッド・ゴードン監督の代表作『ヴァラエティ』(1983) を観ました。

 

 

ベッド・ゴードンは、1970年代末から80年代のニューヨーク, アンダーグラウンドカルチャーの潮流”ノー・ウェイヴ”の渦中にいた映画監督です。

本作の主人公は、とあることからポルノ映画館で働き始めた若い女。

ある日一人の男性客と言葉を交わし、以来その男を追いかけるようになります。

 

本作には、ドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』でも取り上げられたアメリカのアメリカの写真家であり活動家のナン・ゴールディンも出演していました。

 

 

 

今回のベッド・ゴードン作品の日本での特集には『EMPTY NEW YORK』とのタイトルが名付けられているのですが、まさに“エンプティ”な当時のニューヨークの街と人を映し出した作品で、とにかく映像がとても魅力的でした。

 

 

こんなボリューミーなカールスタイル、今の時代で若い世代の子がやってたら最高にクールだと思います。

僕は後ろのオッサンのエロティシズムと哀愁漂う視線も好きです。

(今の時代ではこの視線もおそらくハラスメント)

 

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今の時代になって、ようやく世界中で女性(だけでなく性的マイノリティな方も)の権利や平等性を主張する声も社会の隅々まで届けることができるような環境になってきましたが、80年当時はゴリゴリに女性軽視する人がいたり(もちろん今の時代にもまだまだいますが…)性の対象としての女性の見られ方や扱われ方もきっと酷いものだったのだと思います。

本作の主人公は、休憩中でも何も恥ずかしがることなく館内のスペースで気楽に過ごしたり、男を追いかける最中で男性客しかいないポルノショップに堂々と入っていったりと、ポルノというものが男性の為だけに存在している「女性が入ってはいけない場所」という認知性にも疑問を投げかけているようでした。

 

《セクシュアリティ》《欲望》《権力》をテーマに、大胆な探求と創作を行なってきたベッド・ゴードンの映画。

気になる方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

ナミビアの砂漠

2024.11.05.

Posted on 11.05.24

先日、テアトル梅田で新進気鋭の日本の映画監督,山中瑶子さんの新作『ナミビアの砂漠』を観てきました。

 

 

普段は日本映画をあまり観ないのですが、最近は観てみたいと思う日本映画の新作がいくつかあったので短い期間で立て続けに観ましたが、個人的にはこの作品が一番良かったです。

 

 

 

これは監督のパーソナルな経験も反映されているんですかね。

斬新さと繊細さがありました。

 

音響の使い方など、まるで2020年代のゴダールのように実験的で目新しい感覚の演出にも果敢に挑戦していて、観ていて楽しかったです。

 

主演の河合優実さんも素晴らしい役者だと思いました。

監督の山中さんはまだ20代と若いですが、これからの日本映画を牽引していく一人になるのではないかと期待が膨らむような作品でした!

普段シネフィル系やミニシアター系をよく観ているような方にぜひ観ていただきたいです。

 

もう上映期間が終わりに近づいている作品ですが、ご興味のある方はぜひ映画館へ足を運んでみてください!

憐れみの3章

2024.10.17.

Posted on 10.17.24

先日のお休みは、先日書かせていただいた空音央監督の『HAPPYEND』に続き、ギリシャ出身の映画監督,ヨルゴス・ランティモスの最新作『憐れみの3章』も観に行きました。

 

 

本作は、“R.M.F.”(Redemption(救い)・Manipulation(操作)・Faith(信仰))にまつわる3つの短編から成る作品。

その3つのエピソードの主要な登場人物は全て同じで、役柄はそれぞれのエピソードで異なります。

 

作風も、このままハリウッドの人気者になってしまうのかと少し心配になった前作『哀れなるものたち』よりも、ずっとランティモスらしいシュールな毒っ気が炸裂した作品でした。

全てのエピソードが奇妙で気持ち悪い。(褒めてます)

これぞランティモスの真骨頂だと思います。

 

 

今やランティモス映画のミューズとなったエマ・ストーンのこの表情もとても不気味。

こちらも毎度お馴染みとなった変なダンスも今回もキマってました。

 

 

ちなみに、今回エマ・ストーンが踊ってる曲は、スウェーデンのアーティスト,COBRAHによる“Brand New Bitch”という曲です。

日本のクラブでも、皆カッコつけてスカした感じで踊らずにエマくらいエモーショナルに踊ってほしいです。

普段クラブに行かない僕でも、そんな感じのズバ抜けたクラブが日本にあるなら一度訪れてカオスな空間をこの目と耳で体感したいと思うかも知れません。

 

ランティモスの作り出す奇妙でクセになる世界を堪能したい方も、エマのダンスの全貌を見たいという方も、ぜひ映画館でご覧になってください!