Posted on 11.30.23

先日、仕事が早く終わったので、これは絶好のチャンスとばかりにシネヌーヴォで開催中の“ジャン・ユスターシュ映画祭”へ。

 

 

僕にとってのオールタイムベスト級映画『ママと娼婦』への布石となっているということで狙っていた作品『ナンバー・ゼロ』を観てきました。

 

 

タイトル、メチャかっこいい。

 

この作品は、ユスターシュの祖母であるオデット・ロベールの話を2つのキャメラ(通っぽく言ってみました)で撮影したドキュメンタリー作品。

 

当時のユスターシュは鬱状態に陥っており、もう自分には映画は撮れないのではないかと気に病んでいたそうです。

そんなユスターシュに、「一族誰かを主題にして映画を作ってみてはどうか?」という提案したのは、『豚』の共同制作者,ジャン・ミシェル=バルジョルでした。

 

語られるのは、オデットの半生、および彼女の曾祖父母から曾孫たちへいたる、六代にわたる一族の歴史です。

まあ、よく喋るおばあちゃんでした。

これは上沼恵美子さんもビックリ。

 

ユスターシュは当時、この作品を映画とみなして良いのかどうか、確信が持てなかったそうです。

なぜなら、この作品に似たものを見つけることができなかったから。

「『ナンバー・ゼロ』を作るつもりはなかった。単に悪に悩まされていて、その悪に対する反応がこの映画だった」とユスターシュは語っています。

そして、この映画で自身のルーツを見つめ直すきっかけになったのかどうかはわかりませんが、この後、『ママと娼婦』『ぼくの小さな恋人たち』という、自身の経験を強く反映させた映画史に残る素晴らしい作品を完成させました。

 

今回は、自分の休みとのタイミングがうまく合わず、他の日本初公開作品は観に行けませんでしたが、これを観れたことでひとまず満足しました。

ぜひBlu-ray化してほしいです!

 

ご興味のある方は、今週一杯まで映画祭が開催されていますので、ぜひシネヌーヴォに足を運んでみてください!