VOGUE ITALIA N.889

2024.10.22.

Posted on 10.22.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

表紙はイタリア出身の女優, モニカ・ベルッチです。

今や大女優ですが、彼女はもともとファッションモデルからキャリアをスタートしました。

ロケーションも彼女のファッションや雰囲気にも合ってて、とてもカッコイイです。

 

『モデル』、『ファッション(及びヘア&メイク)』、『ロケーション』

 

この3つの要素をハイブリットさせてどういう世界観を創り出すかというのが、ポートフォリオの醍醐味だと思います。

イタリアンヴォーグは、人類が創り出し得るファッション性において最高峰のものを創り続けているチームです。

 

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アメイジング…

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この各年代をイメージした作品もとても面白かったです。

 

 

個人的には、やっぱり2000s(特に左の3体)だけはだいぶチャラく見えてしまって、ちょっとアレルギーを起こしそうになってしまいます。。

 

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イタリアンヴォーグの編集もそれを見越してか、この後のページにはバチバチに格好良いティルダ・スウィントンの写真を持ってきていました。

 

 

「お口直しにどうぞ」ってこのページからメッセージが聞こえてくるようでした。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.888

2024.10.05.

Posted on 10.05.24

8月号と一緒に届いたイタリアンヴォーグ9月号をご紹介することをすっかり忘れておりました。

 

 

表紙はイタリア出身のモデル, Mariacarla Boscono、現在44歳です。

年齢を重ねても、全然変わらない個性と魅力がありますね。

 

 

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今号のテーマは、『ANNI DI STILE』(往年のスタイル)ということで、古いカメラで撮影されたような風合いの(本物思考のイタリアンヴォーグのことだから実際に古いカメラで撮影しているのかも知れません)クラシカルなポートフォリオが並んでいました。

 

 

 

 

 

 

どれも本当に素晴らしいです。

 

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もちろんモダンな写真もパーフェクトです。

 

 

 

 

 

この一冊でクラシカルもモダンも楽しめるなんて、テレビショッピングにでも出した方が良いんではないでしょうか。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.887

2024.09.15.

Posted on 09.15.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

しかも2冊同時に。

 

 

どういうことかと思ったら、輸送の遅延で2ヶ月分同時の納品になってしまったことをお詫びする紙が入っていました。

そこまで言われたらしゃーないです。

船で輸送しているとしても1ヶ月遅れるってどない言うこっちゃ、ヴァスコ・ダ・ガマの時代やないんやからと色々ツッコミどころもありますが、真実を知りたい気持ちをググッと我慢して本誌のご紹介をいたします。

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まず今回は遅れて届いた8月号から。

 

もう9月やないか。

 

でも良い表紙ですね。

被写体は、ジャック・ホワイトの元奥さんでもあるイギリス人モデルのKaren Elson(カレン・エルソン)です。

ロケーションは、イギリスのピカデリーサーカスですね。

モデルの個性やファッションのスタイリングも相まって素晴らしい構図。

 

アメ村の三角公園バックにパロッたろかしら。

でもやっぱりあの辺怖いしやめとこう。

 

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誌面の特集では、ロンドンを舞台に中国人モデルのYilan Huaとマッチアップしていました。

 

 

 

 

 

どれもロンドンの街を活かした見事な写真です。

ちなみに特集タイトルの『London Calling』はクラッシュのアルバムタイトルから引用していますね。

僕もスナップブログのタイトルとかで何度か使ったことがあります。

歴史的なアルバムは、タイトルも抜群にかっこいいものが多いです。

内容が良いから、そのタイトルも余計かっこよく感じるんだと思いますが。

 

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他の写真も少しご紹介いたします。

 

 

 

一番最初の右側の写真なんて、映画のタイトルクレジットが出てきた時の映像のようです。

シネマティックな写真で素敵ですね。

 

9月号は、また近々ご紹介いたします。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ。

 

gap PRESS MEN vol.77

2024.09.05.

Posted on 09.05.24

gap PRESS MENの最新号は、2025 Spring&Summer PARIS MEN’S COLLECTION特集号です。

 

 

表紙は、38年のデザイナー人生から引退することを発表したドリス・ヴァン・ノッテンによるラストコレクションのフィナーレ。

左の白髪の男性モデルは、38年前にドリスのデビューコレクションでファーストルックを務めた方だそうです。

今回のドリス自身が手がける最後のコレクションでも、ドリスは彼にファーストルックのモデルを任せました。

ドリスらしく、粋な演出です。

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DRIS VAN NOTTEN

 

ドリスは、今回の引退コレクションを迎えるにあたって、最後のコレクションを発表した後に引退を伝えるのではなく、先に引退を発表した後でコレクションを行いたかったそうです。

だからと言ってコレクションはこれまでの集大成的なものにするのではなく、あくまでいつも通り、クラシックを感じさせつつも時代の一歩先をゆくようなモダンで革新的なエレガンスの提案。

特別感も演出しつつ最後まで自身のスタイルを崩さない姿勢に、「だからドリスが好きなんだ」という気持ちを改めて噛み締めました。

 

僕が最初にドリスを買ったのは、まだ高校生の時でした。

当時買ってたコレクション誌(確かファッションニュース)でドリスを知って、このブランドの服が着たいと思いました。

当時は月に1回、バイトで稼いだお金を全部財布に詰め込んで田舎の淡路島から大阪まで買い物に出かけていました。

いきなりドリスの新品には手が出なくて、ブランド古着屋さんで見つけたシンプルなシャツを買いました。

今思えば僕には少しオーバーサイズだったし、特別そのデザインが気に入ったわけでもなかったのかも知れないですが、それでも雑誌でコレクションを見て憧れていたドリスの洋服に初めて袖を通した時の気持ちは、緊張と高揚感が入り混じった感覚で、自分にとってそれは今でも忘れない特別な瞬間でした。

 

美容師になって仕事を頑張って、今ではドリスの服も家のクローゼットにたくさんありますが、その全てが僕にとってはお気に入りで大切な洋服です。

長い間、素晴らしいコレクションと洋服をありがとうございました。

 

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RICK OWENS

 

 

リックも大好きなデザイナーの一人です。

商業性と効率性が重要視される今の時代、こんなにスペクタルなコレクションを行えるブランドがリック以外に存在するでしょうか?

 

前にも少し書かせていただきましたが、このショーには僕が担当させていただいていたお客様がモデルとしてランウェイを歩いています。

この春にフランスに行く直前にカットしに来てくれて、その3ヶ月後にリックのランウェイを歩いているなんて、本当にビックリしました。

 

僕自身はショーで使用されるような強烈なインパクトの洋服はあまり買いませんが、それでも比較的ベーシック寄りなリックの服を買い続けているのは、モードの世界の中で高い芸術性を追求しているリックの姿勢に感銘を受け一票を投じたいという気持ちもあるからです。

今は円安や物価の高騰もあって、リックの洋服はかなり頑張らないと買えないくらいの金額になってしまっていますが、今所有している洋服を大切に着倒しつつ(リックの服は本当に丈夫で長持ちします)、これからも良いなと思ったものは少しずつでも買えるように仕事頑張ります。

 

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ZIGGY CHEN

 

最近は中国からも面白いデザイナーがたくさん出てきています。

gapの誌面でZIGGY CHENが紹介されているのも嬉しく思いました。

ジギー・チェンは、アルチザン寄りのブランドです。

アルチザンブランドとは、多くのコレクションブランドのようにエレガンスを極めようとするのではなく、職人の手仕事によるトレンドに捉われない究極の服作りを目指しているブランドのことを指します。

コロナ禍で存続を断念したハイダー・アッカーマンというブランドがあったのですが、ハイダーはアルチザンとモードの境界線にいるような折衷主義の服作りが得意で、個人的にもとても好きなブランドでした。

このジギー・チェンの服作りは、少しハイダーを彷彿とするところもあります。

 

僕は、中国のブランドでは、UMA WANG(ユマ・ワン)というデザイナーの洋服が好きでたまに買います。

 

ユマ・ワンも、ジギー・チェンのもとで働いていたことのあるデザイナーですが、男性的な力強さを感じるジギー・チェンに対してユマ・ワンの服作りはより中性的です。

中国人デザイナーらしい独自性のあるデザインやテキスタイルと、その毒っ気を抗毒血清のように中和させる柔らかさを感じるディティール。そのバランス感覚が素晴らしいです。

 

これら二人の中国人デザイナーのように、自身が生まれ育った環境の土着性を持った服作りをするデザイナーが世界中から出てくるのは、とても面白いことです。

 

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今回、紹介した3つのブランドは、ラグジュアリーというよりデザイナーズブランドの毛色が強いです。

今の時代は大勢にとって共感されやすいものを選びたいというマインドの人のほうが圧倒的に多いと思います。

ですが、その潮流が強ければ強いほど、その傍らでカウンターカルチャーを生み出している人達の存在は貴重で魅力的に思えます。

 

少し前に心斎橋のシネマートが無くなると発表された時、とても悲しい気持ちになりました。

マジョリティではない文化に興味を持つ人の絶対数がそれだけ減ってきているのだと思います。

 

SNSで情報収集することが当たり前の時代に育った若い世代の人達も、SNSが普及したことで自身が興味を持つものも大衆的な流行に流されやすくなったと感じている大人世代の方達も、もっと多くの方々に誰もが知っているものだけではなく、決して目立たないけど文化的で他では出せない魅力や価値のあるものの存在をもっと知って興味を持っていただけたらと思っています!

 

本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ。

Posted on 08.25.24

gap PRESS MENの最新号は、2025 Spring & Summer、ミラノ,ロンドンコレクション特集号です。

 

 

 

表紙のエレガントと軽やかさがミックスされた、シャツジャケットとショートパンツの華麗なスタイリングはサバノ・デ・サルノによるGUCCIのものです。

 

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GUCCI

 

新体制でのGUCCIもすっかり板についてきた感じですが、やはりアジアではもっとアイコニックだったミケーレ時代のGUCCIの方が売れたのでしょうか。

南国とエレガンスという相反する要素のハイブリットが素晴らしいです。

 

今の時代、モードって言ってもこういうコレクションとかまで見てる人はほんの一部で、SNSで流れてくるそれっぽいブランドの画像や動画なんかのイメージからなんとなく「こういうのがモードなんだろう」と思う人の方が多いだろうし、着想源に対するデザイナーの深い研究や素材に対する認識なんかはあまり重要視されなくなっているんだろうと思います。

だからこそ、常に新鮮なアプローチをしていたり、細部にまでこだわりが表れているようなデザイナーや作り手の仕事には賞賛と尊敬の思いで一杯になります。

 

 

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PRADA

 

ラフ・シモンズのシグネチャーブランドは終了してしまいましたが、こうしてPRADAでラフのクリエイションが見れることに対してミウッチャにも感謝しなければなりません。

 

1990年代後半~2015年くらいまでは、唯一無二の魅力を放つデザイナーズブランドも強い時代でした。

マルタン・マルジェラやアン・ドゥムルメステール,そしてドリス・ヴァン・ノッテンなどのアントワープ系デザイナーはモード界の第一線から身を引き、ハイダー・アッカーマンやクリス・ヴァン・アッシュを起用するメゾンも存在しません。

それどころかフィービー・ファイロやルカ・オッセンドライバー, クレア・ワイト・ケラーなど、もともとラグジュアリーメゾンでクリエイティヴな仕事をしていたようなデザイナーさえ、今は主要メゾンの仕事には就いていません。

モード界は、玄人好みされるようなニッチな服作りが評価される時代から、アイコニックでわかりやすくキャッチーな服作りが求められる時代へと変化しました。

 

僕は今もニッチな服作りをするデザイナーの方がやはり好きなので、今も第一線で活躍しているラフやリックのことは応援しています。

 

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【Pitti Uomo】PIERRE-LOUIS MASCIA

 

今季のピッティ・ウオモは、ゲストデザイナーにフランス出身のピエール・ルイ・マシアを選出しました。

先シーズン、CHLOEの新デザイナーに就任したシェミナ・カマリは、新時代の“ボヘミアン”スタイルをコレクションで発表し、現在のモード界に新しいトレンドを生み出しました。

今回のピッティがピエール・ルイ・マシアを選出したのも、その新しいトレンドをいち早くキャッチした上でのことだと思います。

クロエの提案したボヘミアンとはまた一味も二味も違いますが、こちらも全く新しい形でボヘミアンを取り入れたコレクションを発表しています。

ピッティもマシアも、ちゃんとモードしています。

 

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【SHANGHAI】BALENCIAGA

 

デムナ率いるバレンシアガは、スプリングコレクションの発表の場に中国,上海を選びました。

画像編集で写真を上下に引き伸ばしたような縦長のシルエット構成や厚さ18cmという巨大プラットフォームブーツは、上海,浦東の高層ビル群から着想を得たものらしいです。

なんてこった。

デムナの故郷であるジョージアのストリートのエッセンスと、どこか乾いた大都会のイメージ漂う上海のムードが見事に融合したコレクションです。

 

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という感じで今回のコレクション雑感は、これくらいで終わりにさせていただきます。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はカラーの放置時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 08.18.24

写真家,長島有里枝さんの名作『SWISS』が復刊されたということで、このタイミングで手に入れることができました。

 

 

なんと表紙のカラーは22色存在します。

鉄色と迷いましたが、やはりダークな色が自分の好みみたいで結局濡羽色を選びました。

濡羽色とは、なんだかアン・ドゥムルメステールを連想します。

 

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本書は、2007年にスイスのエスタバイエ・ル・ラックにあったVillage Nomadeのレジデンシープログラムに参加した際に撮影した写真と日記によって構成されています。

 

 

 

 

 

途中、チケットのようなものが挟んであったり、

 

 

日記の部分は、裏面の文字が透けるような紙質のものが使用されており、それが表の行間にうっすらと現れます。

 

とても素敵なアイデアと構成です。

 

花の写真もとても美しい。

 

 

 

これらの写真は、長島さんの亡くなった祖父の家から見つかった、25年ほど前に祖母が撮影し、箱に大切にしまっておいた花の写真にインスパイアされて撮られたものらしいです。

 

スマホを見ることに多くの時間を取られ、日々移り変わる景色さえもゆっくり観察する時間も取れる人が少ない現代にこそ、ゆっくり鑑賞していただきたい一冊です。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.886

2024.08.10.

Posted on 08.10.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

誰ww !!!

なぜイタリアンヴォーグの表紙に男性モデルが、、

右下にしれっとUOMOと書いていますが、メンズ版ヴォーグであるVOGUE UOMOとのコラボということでしょうか。

 

で、この表紙の人は僕は全く存じ上げなかったのですが、Bad Bunnyというプエルトリコ出身の著名なラッパーらしいです。

googleで検索した時出てきた画像がちょっと僕の真逆くらいのタイプそうだったのですが(耳のついた黒のニット帽に黄色いサングラスのやつだけは面白かったです)、一応利用中のサブスクサービスで検索して曲を聴いてみましたが、やはり僕の好みとはちょっと違って3曲目くらいで堪らず停止ボタンを押してしまいました。

好きな人いたらごめんなさい。

でも、曲はそこまで大っ嫌いな訳じゃなかったんですよ、キーボード打ちながらも3曲目まで持ったわけだし。

 

 

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Bad Bunny関係ないですが、この写真はとても好みでした。

 

ミヒャエル・ハネケやシャンタル・アケルマンを彷彿とする寂しげな退廃性をちょっとだけ感じます。

 

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今号には、オリンピックに関連したポートフォリオもありました。

 

 

 

 

ブロンドのモデルの写真が面白いですね。

今ちょうどオリンピックやってますが、真剣に準備している選手達の真隣でこんなふうに貴族階級の戯れのようにポーズ取ってる人がいたら爆笑してしまうと思います。

あの開会式のプランを決行したフランスなら決してできぬ訳ではない筈です。

取り急ぎ空いてるスペースでエキシビジョン競技を行うことについて会議していただきたいです。

 

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いつものイタリアンヴォーグらしい、まともな写真も少し載せておきます。

 

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 07.28.24

2020年にオランダの〈Eye Film Museum〉で開催されたシャンタル・アケルマンの大規模回顧展の図録『Passages』を手に入れることができました。

 

 

 

カバーワークからして構図も色彩も美し過ぎます!

この回顧展図録ではシャンタル・アケルマン自身によるテキストに加え、シリル・ベギン、ダナ・リンセン、ルース・ファン・デル・リントによるエッセイと、豊富な写真図版が収録されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンなら見てすぐにシーンを思い出す写真もたくさん掲載されていました。

やはりアケルマンのショットは絵になります。

 

個人的には、アケルマンの映画では『一晩中』という映画のショットが一番美しく感じました。

アケルマンの作品は、これまでなかなか観ることができませんでしたが最近になって作品のBlu-rayが発売されたり、一部のサブスクサービスで配信されたりと、多くの代表作は観ようと思えば観れる環境が整いました。

オススメ作品をいくつか挙げると、『ジャンヌ・ディエルマン』『一晩中』『アンナの出会い』『オルメイヤーの阿房宮』『囚われの女』『私、あなた、彼、彼女』などです。

 

最近は暑い日が続いて外出するのも億劫に感じる方も多いかと思いますが、ぜひ涼しい部屋でアケルマン映画も鑑賞してみてください!

 

本書はお店に置いていますので、ご覧になりたい方はぜひスタッフに一声おかけくださいませ。

 

Posted on 07.18.24

アメリカの写真家, Saul Leiterの写真集『The Centennial Retrospective』をお店の本棚に加えました。

 

 

本書は、ソール・ライター生誕100年を記念して、ソール・ライター財団が管理する膨大なアーカイブから編集した作品集となっています。

 

 

 

実は最近ソール・ライターのドキュメンタリー映画を観て、それで写真集が欲しくなったという経緯があります。

本当は、ドイツのシュタイデル社から出版された『EarlyColor』という写真集が欲しかったのですが、かなりのプレ値になっていたのでそちらは諦めました。

 

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ソール・ライターはもともと絵を描いていましたが、その後写真も撮り始めました。

彼がカメラマンを職業に選んだのは、単純に生計を立てるためでした。

 

生活の為に商業写真を撮り始めたところ、ファッション編集者から高く評価され、ファッション写真家として『Esquire』や『Harper’s Bazaar』などの雑誌でキャリアを重ねることになります。

しかし、彼は次第にファッション写真から距離を取るようになり、表舞台から彼の名前も消えていきました。

 

「有名人の写真よりも、雨粒に包まれた窓の方が余程面白い」

 

これがソール・ライターの生き方でした。

僕はその考え方と生き方に感動しました。

 

ソール・ライターは、ファッション写真を撮っているキャリアの間でも、その傍らでストリート写真を撮り続けました。

 

彼の撮った(商業的に撮られたものではない)個人的な写真は、彼が人生の晩年に差し掛かるまで長年日の目を見ることはありませんでしたが、2006年にシュタイデル社から最初の写真集『Early Color』が出版されると、1940年代後半にしてすでにカラー写真を極めていたその才能に広く注目が集まるようになりました。

ライターは再評価が高まるなか、2013年ニューヨークで死去します。

 

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人の人生において、何を成功とするかは人それぞれだと思います。

お金をたくさん増やすことを成功と感じる人もきっとたくさんいるし、多くの人の役に立つようなことができる人生もとても魅力的でしょう。

 

ですが、例え誰からも注目されずに質素に暮らしていたとしても、自分自身が納得し満足のいく生き方ができていれば、それも立派な成功なのだと思います。

そこには、ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』の主人公,平山(成功をおさめた父の後を継ぐ人生を選ばず、トイレ清掃員として質素に生きる)のような、自身が選択した生き方に対する葛藤のようなものが長い人生の中においては出てくることもあるのだろうと思いますが、それが人間らしさであり、その人間味がその人の魅力として滲み出てきます。

 

ソール・ライターは、自身の作品が周囲から評価されたり名声を得ることに関して、重要なことではないと歳をとるまで本当に興味を持たなかったのか、本当は心のどこかで自身の作品が世に出て評価されることを望んでいたのか、これは本人にしかわからないことです。

 

しかし彼の遺した作品を見ることが、ドキュメンタリー映画を観るよりも彼自身を知る一番の近道になるかも知れません。

 

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どれも本当に素敵で、本当に素晴らしい作品です。

こんな写真を撮れたら、どんなに幸せな気分になるでしょうか…

 

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 06.29.24

アイルランドの写真家, Tom Woodの写真集『Snatch Out of Time』をV:oltaの本棚に追加しました。

 

 

 

特装版がある時は迷わずそちらを選んでしまうのは、収集癖のある僕の悪いクセです。

 

中の写真を少しご紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

その土地、その時代、そこに住む人達の生き様を写した写真は、魅力に溢れています。

色彩の使い方も素晴らしい。

 

きっと今の時代の方が人も物も洗練されているんでしょうが、土着感が残る洗練され過ぎていないものだからこそ宿る雰囲気というのは、かけがえのない特別な魅力があります。

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

VOGUE ITALIA N.885

2024.06.23.

Posted on 06.23.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

今号の特集は『Bohemian Rhapsody』

 

ボヘミアン・ラプソディと聞けば、Queenのフレディ・マーキュリーの伝記映画を思い浮かべる方が多いと思いますし、本誌のタイトルもそれに掛けているのでしょうが、これはモード界の新しいトレンドとして“ボヘミアンスタイル”の復興があったことに起因しています。

 

このトレンドの火付け役であり中心にいるのは、Chloéの新クリエイティヴ・ディレクターに就任したシェミナ・カマリです。

 

 

彼女は、2016年から、アンソニー・ヴァカレロによるサンローランでウィメンズ・レディ・トゥ・ウェア・デザイン・ディレクターを務めていました。

サンローランは、前任エディ・スリマンのデザイナー就任を機にクリエイションがガラリと変化しました。

当時のエディは、西海岸(L.A.やシアトル)のカルチャーから大きな影響を受け積極的にコレクションに取り入れていました。

そのひとつがボヘミアンスタイルでした。

現デザイナーのヴァカレロも、エディが改革したサンローランのスタイルに近いクリエイションを続けています。

 

 

シェミナは、そのサンローランで行ったボヘミアンスタイルのクリエイションを、今回就任したクロエで“クロエらしく”表現しました。

どこか清楚でフォークロアなイメージを持つクロエと、シェミナのモダンさを内包するボヘミアンスタイルのアプローチは、まさに相性抜群でした。

 

 

 

というモード界の最前線のトレンドを先にお伝えさせていただきました。

 

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そこにいち早くトレンドの芽を掴み、このような素晴らしい特集を作り上げてくるイタリアンヴォーグもやはり素晴らしいです。

 

 

 

 

今年の秋くらいには、日本のファッション誌でもボヘミアンスタイルを取り上げるところも増えてくるかと思いますが、イタリアンヴォーグ→海外主要モード誌→日本のモード誌→日本のカジュアル系ファッション誌→日本のコンサバ誌みたいなミラミッド構造で、マスに広がる程どんどんスタイルの落とし込み方が違ってくるので、そのあたりにも注目して見てみるのも面白いと思います。

 

ちなみにV:oltaは、主にピラミッドの一番上のイタリアンヴォーグに共感する感性をお持ちの方~日本のモード誌読者層(もしくは日本のカジュアル系ファッション誌読者層の一部の方)の皆さんに対して、ヘアスタイルに関して安心してお任せしていただきご満足いただけるような存在の美容室でありたいとの考えのもと、オープン当初から一貫した理想のスタイルを追求して精進しております。

 

みなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

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他の写真も少しご紹介させていただきます。

 

 

 

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

MAGNUM MAGNUM

2024.06.21.

Posted on 06.21.24

1947年にロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ジョージ・ロジャー、デヴィッド・シーモアによって設立された伝説的な写真家集団,マグナム・フォトの創設75周年を記念して、2007年に発売された金字塔写真集『MAGNUM MAGNUM』の増補改訂版が発売されたので、この度購入いたしました。

 

 

実物を初めて見たのですが、とにかくデカくて重いです。

 

 

掲載写真533点、実に700ページを超えるボリューム!

もう重すぎて膝の上に乗せて見終えた後、ホエイプロテイン飲もうかと思いました…

めっちゃマグナム。

 

 

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本書は、88名の会員が別の写真家による6つの作品を選んで批評し、その選択の理由について解説を付すというかたちで構成されています。

今回の増補改訂版では、過去15年のあいだにマグナムに加わった25名の写真家が追加され、150枚以上の作品が新たに掲載されています。

 

 

“盛りすぎチャレンジ”が話題のローソン(コンビニはあまり行かないので詳しいことは知りませんけども)もビックリの盛りすぎ具合。

 

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掲載されている写真も本当に素晴らしいものばかりでした。

僕もローソンに負けずにたくさん載せてご紹介させていただきます。

 

 

 

 

 

(ジャコメッティ発見!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらの写真の背景には、その国それぞれの文化や暮らし,宗教だけでなく、その時の世界情勢や社会問題なども存在します。

観るものが持つ知識や教養の深さによって、その1枚の写真から入ってくる要素が視覚的な芸術性だけでなく、その被写体から浮かび上がってくる時代背景やシャッターを切った写真家の思いにまでも考えが及んでいきます。

 

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写真集を収集するのは僕の趣味のひとつなのですが、最初の頃はファッション写真家の写真集やファッションブランドの出す写真集などを中心に収集していました。

もちろん、それらは今も興味あるし好きなのですが、だんだんとより芸術寄りの写真や、その時代,その社会を捉えるような写真を撮る写真家の方に強い興味を持つように変化していきました。

 

この写真集も20代の頃の自分では高いお金出してまで手に入れたいとは思わなかった筈です。

でも、今なら喉から手が出るくらい手に入れたいと思いました。

 

ここに掲載されている作品を一枚ずつ丁寧に観察し、世界のことや社会のこと、そして人間の本質についてももっと学びたいと思います。

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!

Posted on 06.19.24

ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ、ラース・フォン・トリアーなど、名だたる映画監督から信頼された撮影監督,Robby Mullerの写真集『Polaroid』を3度目の復刊となる今回ようやく手に入れることができました。

 

 

今回のリリースでは、ミュラーのポラロイド写真をエクステリアとインテイリアに分けたスリップケース入りの2巻セットとなっております。

 

 

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中の写真を少しご紹介したいと思うのですが、いかんせん本が硬くてサイズも小さいこともあって、一人でページを広げながら撮るのがメチャむずい、、、

 

 

でも、写真はとてもかっこいいから、皆さんにもうご少し紹介したい。

 

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という僕の無欲で献身的な思いが、オッペンハイマー級のアイデアを生み出しました。

 

 

 

右サイドから戻ってこようとするページを撮影していない方の書籍で重し変わりにし、左サイドは日本料亭の女将のように繊細に丁重に指を使ってそっと押さえる。そして忘れてならないのが空いた右手を利用して片手でスマホを構えてシャッターを切りました(左利きなのに)。

 

本誌にご興味のある方は、ぜひご来店いただいた際に実際手に取ってその本のカッチカチ具合を味わってみてください。

ロビー・ミュラー最高!

VOGUE ITALIA N.884

2024.05.28.

Posted on 05.28.24

イタリアンヴォーグの最新号が届きました。

 

 

 

アナログで無機質な信号機がカッコイイ。

素晴らしいロケーションにストーリー性を感じさせるモデル、そしてそれを低い解像度で撮影した表紙が最高です。

 

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今号のテーマは、『SEGUMI IN PISTA』

“SEGUMI”は「巡る,フォローする」の意、“PISTA”は「足跡,痕跡」という意味があります。

現代的に捉えると「SNSでその人が挙げた投稿を通じて近況を把握する」みたいな感じになると思いますが、この背中が物語る表紙にこのテーマだと「彼女を追いかけて世界を旅する追跡劇」みたいなストーリーを思い浮かべます。

追いかける側は男女違いますが、この表紙を見た時、ヴィム・ヴェンダースの映画『夢の涯てまでも』を思い出しました。

 

 

ディレクターズカット版は288分(約5時間!)もある映画ですが、映像も音楽も素晴らしく、ロードムーヴィーの傑作をたくさん生み出してきたヴェンダースにとってもロードムーヴィー作品の集大成的な映画となっていますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください!

 

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他の作品も少しご紹介させていただきます。

 

このドレスの特集は圧巻でした。

 

 

 

 

 

 

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ジョン・ガリアーノによる素晴らしいオートクチュールコレクションの写真も掲載されていました。

 

 

 

 

間近くのショットで見ると、改めてメイクも本当に面白いなと思います。

 

これはコレクション終わりにあらかじめイタリアンヴォーグが撮影することをお願いしてたんでしょうか?

それとも、ショーがあまりにも素晴らしかったから、後日もう一度マルジェラ側へオファーしてヘアメイクとスタイリングをし直したのか。

前者であれば、イタリアンヴォーグのエディター達はショーを見る前から「このショーは間違いなく素晴らしいものになる」と確信してあらかじめ撮影をお願いしていたことになりますし、後者であれば再度この世界観を作り上げた技術者達の凄さが改めてわかります。

 

まあでも誰が一番凄いってこんな発想を思いつくガリアーノが一番ヤバいです。

それを理解して今マルジェラを持っている人は、残念ながら日本人で100人に1人もいないと思いますが、が、が、があぁぁぁん。

(最後の変な感じのはヴェートーベンの真似です)

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本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧くださいませ!

 

gap PRESS vol.178

2024.05.11.

Posted on 05.11.24

gap PRESSの最新号は2024-2025 A&W PARIS/LONDON 特集号です。

 

 

表紙は、新クリエイティヴ・ディレクター,シェミナ・カマリによって、新しく華やかな息吹が吹き込まれかつてのクロエらしさを取り戻した新生Chloéのファーストコレクションのものです。

本当に素晴らしかったので、後で他の写真と共にご紹介させていただきます。

 

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MIU MIU

 

 

PRADAも最近ずっと良いですが、MIU MIUも同じく最近ずっと良いです。

ラフとミウッチャは、『セリーヌとジュリーは舟でゆく』に出てくる変な幻覚症状が現れるアメでも舐めたのでしょうか。

いえ、きっと彼らはそんなことしなくても素晴らしいクリエイションを連発できるエネルギーに今は満ちているのだと思います。

2つのブランドのクリエイションを見比べても、ラフの遊び心とミウッチャの遊び心はまた全然違ってて、それが面白いです。

ラフは感覚的にカッティングエッジで、ミウッチャは外し方がチャーミングです。

 

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DRIES VAN NOTTEN

 

 

ドリスは今年6月で引退を発表しているので、今回のコレクションはウィメンズのラストコレクションとなります。

とても残念です。

ドリスが抜けてもデザインチームでコレクションは続けるとのことですが、ドリスの服作りの魅力はやはりドリス・ヴァン・ノッテンがいてこそだと思います。

 

一見、どこか既視感を感じるありふれたような柄やシルエットの洋服を、でもそれらとは一線を画した斬新で繊細なアプローチを加えることで全く新しいスタイルを提案し続けていました。

しかも、現在ハイセンスの代名詞のようなイメージを持たれている“ジルサンダー”や“The ROW”のような誰でもわかりやすいスタイルを提案するのではなく、その多くが悪趣味と感じられるギリギリのラインを攻めているところにもドリスの服作りのこだわりを感じていました。

ドリスがいなくなると、その毒が幾分か薄まり、むしろ一般にはウケやすいブランドになるのではないかと思っていますが、やはりそれでは今までのドリスの服作りに魅了されてきた顧客達には物足りなく映るのではないかと思っています。

とか言って僕自身もドリス引退してからもメチャ買い続けているかも知れません。

とりあえず今のマルジェラみたいには絶対にならないでほしいと心から願っています。

 

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VALENTINO

 

 

現在はDIORのクリエイティヴディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリと共に見事にVALENTINOの再建を成し遂げたピエールパオロ・ピッチョーリも退任が発表され、今回がラストコレクションとなります。

後任は、同じくGUCCIを見事に復活させたアレッサンドロ・ミケーレです。

2012年に、エディ・スリマンが当時のイヴ・サンローランのデザイナーに就任すると発表された時、現職のデザイナーであったステファノ・ピラーティは最後のランウェイで黒一色のコレクションを発表しました。

それは本当に素晴らしいものでした。

今回のピエールパオロのラストコレクションも黒一色で統一された、ピエールパオロらしい気品のある美しいものでした。

後任のミケーレがVALENTINOでどのようなクリエイションを見せてくれるのかという楽しみな気持ちもありますが、個人的には伝統と格式のあるブランドはデザイナーと共に形をコロコロ変えるのではなく、その伝統を大切にしながらも時代と共に少しずつブラッシュアップしていくような姿勢であってほしいなと思います。

ピエールパオロ、今までお疲れ様でした。

 

 

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Chloé

 

冒頭でもお伝えした、新クリエイティヴ・ディレクター,シェミナ・カマリによる新生Chloéによるデビューコレクションです。

 

Chloéの全盛期はステラ・マッカートニー, フィービー・ファイロ, クレア・ワイト・ケラーなど、伝統的に素晴らしい女性デザイナー(今の時代、このような表現も良くないのかも知れないですが)によってクロエ・ウーマンのスピリットは受け継がれてきました。

そのフィービーやクレアとも一緒に仕事をしてきたシェミナ・カマリは、Chloéの正統な継承者としてはまさに適任だと思います。

今回のクリエイションも過去のデザイナー達が築いてきたスタイルを、さらにアップデートさせている新鮮さもしっかりと感じます。

こういうブランドやデザイナーこそ評価されてほしいなと思います。

 

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という感じのコレクション雑感でした。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧になってみてください。