gap PRESS vo.174
2023.12.09.
Posted on 12.09.23
gap PRESS の最新号は、2024 Spring&Summer MILANO/NY 特集号です。
表紙は、今やトレンドセッターの座を不動のものにした、ラフ・シモンズとミウッチャ・プラダによるPRADAです。
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PRADA
クラフトマンシップに焦点を当て、服を作るという行為に対して敬意を込めたという本コレクション。
スペインの建築家,アントニ・ガウディの言葉に「人間は創造することはできない(創造するのは神のみ)。人間は発見し、その発見から出発する」というのがあります。
僕は、この言葉がとても好きです。
デザイナーのラフ・シモンズは服飾学校を出ておらず、自分でデザイン画をスケッチすることも、もちろん服を作ることもできません。
ですが、カルチャーやアートなど、自身が見たものからインスピーレーションを得て、服作りに応用する才能というのは飛び抜けたものがあります。
ラフの服作りを見ていると、ガウディのその言葉を思い出します。
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GUCCI
低迷していたGUCCIの救世主となったアレッサンドロ・ミケーレがメゾンを去り、新クリエイティヴ・ディレクターにサバト・デ・サルノを迎えてのデビューコレクション。
“GICCI ANCORA”(グッチをもう一度)をコンセプトに、デコラティヴだったミケーレとは対照的なミニマルなコレクション。
ミケーレはGUCCIにとって素晴らしいデザイナーでしたが、サルノのこのコレクションも素晴らしいです。
これを“クワイエット・ラグジュアリー”とかわざわざ言い出すのは、とてもナンセンスなことだと個人的には思います。
GUCCIにミニマリズムを持ち込んだ感覚がお見事でした。
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HELMUT LANG
ミニマルと言えばこちらが元祖。
90年代、ストイックなミニマルデザインで一世を風靡したブランド, ヘルムート・ラング。
2005年にラングがデザイナーを辞任してからは、モードの一線からは離れたポジションにいましたが、今回新進気鋭の若手デザイナー,ピーター・ドゥがクリエイティヴ・ディレクターに就任して心機一転、初コレクションを発表しました。
個人的には、こんなの全然ラングじゃないやんけ、と思ってしまいました。
当時のラングと言えば、ミニマルなデザインの中にグランジ感やアンダーグラウンド性といったものがあって、とてもカッコ良かった記憶があります。
今の時代のコレクションは綺麗過ぎて、ダーティで淀むようなムードだったり, ザラついた質感やツンと鼻をつくようなキツい香りみたいな、どこか野性味を感じるような空気感というものが無くなってしまっていることを少し残念に思う今日この頃です。
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という感じのコレクション雑感でした。
本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!