gap RESS MEN vol.75

2024.03.29.

Posted on 03.29.24

gap PRESS MENの最新号は、2024-25 A&W MILAN/LONDON/NEW YORK特集号です。

 

 

表紙のニットは、J.W.アンダーソンのものです。

メチャかわいいです。

3万円で売ってほしいです。

 

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GUCCI

 

サバト・デ・サルノが2023年にデザイナーに就任してから、GUCCI はリセットされました。

美しいスタイリング,美しいランウェイ。

ボタン位置が少し高くてプラダっぽいなと思いましたが、サバト・デ・サルノはプラダでキャリアをスタートさせたらしいですね。

 

飲食店とかでもそうですが、しっかりとしたキャリアを積んで美味しい料理を提供しているシェフというのは、修行時代に学んだお店の基礎というのがその料理の中にしっかりと感じられることが多いです。

これは美容師も当てはまることですが、今の時代は修行時代と言っても働き方改革で以前よりも自分の自由に使える時間もかなり多く、自主的にかなり頑張らないとなかなか抜きに出た技術というものは身につけにくい時代になっています。

でも、一番人生を楽しみたいと思う若い時にサボらず、一生懸命仕事に向き合っていれば、将来それが一生の武器となってくれるはずです。

ファッションの世界もとても華やかに見えますが、そのトップで活躍している人達は、血の滲むような努力をした時期もあったと思います。

僕も修行時代は、今思うと血が滲むくらいまで頑張ったと思える時期はそんなに多くなかったかも知れないですが、2~3年くらいは軍隊のように厳しい環境にいました。

それでもまだまだ努力が足りなかったので、独立してから特に最初の5年くらいはほとんど休まず、朝から夜遅くまで仕事や技術力アップに打ち込みました。

それでなんとか少し挽回することができました。

それから今までも、ずっと日々試行錯誤している感じです。

でも、だから今も日々、仕事が面白いと思えます。

 

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PRADA

 

 

そのPRADAです。

今回のPRADAは、丈感やディティールに少し違和感を覚えるスタイリングが物議を醸しました。

帽子にはスイムキャップ、パンツには腰にベルトがドッキングされ、ジャケットの前あわせはシングルなのにダブルのように少しずれている。

いつもラフの服作りは面白いです。

自身が服を作れるデザイナーじゃないからこそできるユニークな発想がラフにはあります。

 

このコレクションを見て、ミッドセンチュリーモダンのインテリア様式やそれらが流行っていた頃のファッション,カルチャーを次世代にアップデートさせたようなニュアンスにも思えました。

ラフは、Kvadrat/Raf Simonsというテキスタイルブランドで、ミッドセンチュリーのデザイナーに着想を得たコレクションを発表していた時がありました。

上のサバト・デ・サルノがPRADAが自身のルーツなら、工業デザイン学校で建築とやアートを学んだラフにとってはミッドセンキュリーモダンも自身のルーツのひとつなのかも知れません。

 

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J.W.ANDERSON

 

数珠繋ぎのようにレポートしていきますが、上記のラフ・シモンズがカルチャーに明るいデザイナーだと言うのは多くの人が周知していますが、このJ.W.アンダーソンも知識がヤバいらしいです。

今回のコレクションは、スタンリー・キューブリックの映画『アイズ・ワイド・シャット』の室内空間に着想を得たらしいです。

僕の方がおそらくアンダーソンよりキトクな趣味なので、もっとニッチな映画はたくさんありまっせと思う節もあるのですが、ラフ・シモンズにしろアンダーカバーの高橋盾さんにしろ、そしてJ.W.アンダーソンにしろ、ちょっとチャーミングさが残るくらいのニッチ加減の方がファッション界ではウケが良いのでしょうね。

エディ・スリマンは、さらに1~2枚はニッチ度が上ですが(知らんけど)、彼はそれをその時代のストリート(街中のオシャレでカルチャーにも明るくセンスが良い人達)が理解できるギリギリのラインで落とし込んでくる才能も持ち合わせているから余計に素晴らしいです。

 

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BURBERRY

 

 

イギリス人デザイナーであるダニエル・リーがデザイナーに就任してから、BURBERRYにもイギリスらしさが戻ったように思います。

やはり国籍や自身が育った環境というのは、興味を持って近づくカルチャーよりもずっと自身の基礎を形成する要素で、それが最大のルーツとなり最高の武器となります。

伝統を重んじるイギリスらしいトラッド性と、ダニエルらしいカッティングエッジで現代的なエッセンスがハイブリットした素晴らしいコレクションでした。

 

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という感じで、今回のコレクション雑感は“ルーツ”というキーワードを交えてコメントさせていただきました。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!