Posted on 03.30.22

届いたのは少し前で紹介するのを忘れていたのですが、gap PRESS MEN のパリ秋冬号をご紹介させていただきます。

 

 

表紙は、去年の11月にこの世を去ったヴァージル・アブローが遺したルイ・ヴィトンのラストコレクションからの写真です。

 

 

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コレクションのルックを掲載した最後には、ヴァージルの遺した言葉が添えられていました。

 

 

学生英語レベルの僕ですが、わからない言葉は翻訳して全文読みました。

全文を翻訳するのではなく、可能な限り自力で読むことで、ヴァージルの言葉のニュアンスを少しでも理解したいと思いました。

 

自分は正直、閉鎖的でニッチで他を寄せ付けない圧倒的な雰囲気を漂わせる、ヴァージルが現れる以前の古き時代のモード界に長い間魅了されてきたので、SNSの普及やラグジュアリーストリートなるジャンルの台頭と共に幅広い層にも開放されていくモード界の変化を悲観的に見ているところがありました。

“オフホワイト”を始めとするラグジュアリーストリート系のブランドは、モード誌で取り上げられていても全く買う気にならなかったですし、これからも買うことはないと思います。

 

ヴァージルがルイ・ヴィトンのメンズデザイナーに就任した時も、「伝統と格式を重んじてきたルイ・ヴィトンがついに時代に流された」という風にどちらかというとマイナスなイメージで見ていました。

でも、そうではなかったのだと思います。

 

時代に流されたのではなくて、時代が大きく変わろうとしていたのであって、人種差別やジェンダーなどの問題や温暖化などの環境問題が国際社会全体として大きくフォーカスされるようになる中、モード界自体も変わる必要がありました。

 

ヴァージルがモード界に及ぼした影響は革命的なものでした。

上にも書いたように、自分自身の好みとしてはヴァージルのクリエイションを選択することはなかったですが、それでもヴァージルがいなくなった今更ではありますが、彼がモード界に与えた革命的な革新性というのは本当に偉大なものだったと率直に思います。

 

ヴァージル・アブローの遺した素晴らしい功績に敬意を表し、心からのご冥福をお祈りいたします。

 

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他のコレクションも少しご紹介します。

DIOR MEN

DIOR MENは、ムッシュ・ディオールの代名詞であるバー・ジャケットを初めてメンズコレクションで発表しました。

現デザイナーのキム・ジョーンズも、ヴァージル同様ストリートファッションに精通した人物ですが、キムの方がストリートをラグジュアリー寄りに解釈させたデザインを好むように感じます。

キムのデザインするDIORは、機会があれば着てみたいなと思っています。

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Dries Van Notten

 

近年モード界の主要ブランドの多くが商業性を求めてマス寄りなアプローチを強めていく中において、ドリスはアイコニックなモチーフやロゴも使わず、変にバズらせず、メゾンの顧客を最も大切に考えている姿勢が伝わってくる数少ないブランドのひとつです。

僕の(数少なくなってきた)お気に入りブランドのひとつでもあります。

今のメゾンマルジェラがバズり倒している一方で、ドリス・ヴァン・ノッテンは真の服好き以外あまり着ているのを見かけないところに、SNSの影響力や日本人がいかにミーハーであるかということを改めて体感し、その現実を恐怖にさえ感じています。

 

でもドリスは絶対にバズらないでほしいです。

自分と同じようにドリスの服を愛している方の多くが、同じ気持ちではないかと思います。

 

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少ないピックアップですが、今回はこれくらいで終わりにさせていただきます。

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ。