Posted on 09.02.21

gap PRESS MENミラノ/ロンドン コレクションの最新号が届いたのでご紹介します。

 

 

 

本当はもう少し前から届いてたのですが、パリコレの号と一緒にご紹介しようと思ってたらパリコレ号の発売が遅れるとの連絡が来たので、先にミラノ/ロンドン号をご紹介いたします。

 

 

まず最初にこんな感じでコレクション全体のトレンドや傾向をわかりやすく紹介してくれています。

ここをサクッと見ておくだけでもモード界の大雑把な流れは掴めると思います。

 

今シーズンのコレクションをご紹介する前に、少しミラノコレクションの現状についても触れたいと思います。

 

上のトレンド解説にも“ノンバイナリー・ジェンダー”という文字があるように、近年ではモード界でもメンズとウィメンズの境目というのが薄くなってきています。

そういう流れから、メンズコレクションの発表自体を取りやめて、ウィメンズのファッションウィークで同時にメンズも混ぜて発表するブランドも増えてきました。

 

同時に、近年モード界はニッチな存在から、より商業的にも成長する為に(悪く言えば)どんどんミーハー寄りになっていっています。

 

もともとパリコレというのはトレンドの最先端を競い合うコレクションで、ミラノはというとトレンドに流されすぎないで伝統を大切にした最高級の服作りをするメゾンが多く存在し、ある程度棲み分けができていたと思います。

しかし、マス層にもわかりやすく伝えるには、職人的な服作りよりも、キャッチーで映える方が良いわけです。(残念ながら)

それならミラノよりパリで発表する方がいいんじゃねーの、というブランドが増えても不思議ではありません。

実際にJil Sanderなどは、近年ミラノからパリへと発表の場を移しました。

 

そんなモード界の動きもあって、今ミラノメンズコレクションで大きな注目を集めるようなブランドは、かなり少なくなっています。

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そんなミラノにおいて、パリコレの中心ブランドばりに注目を集め、輝きを放っているのがミウッチャ・プラダとラフ・シモンズの協業体制になったPRADAです。

 

 

 

バミューダパンツの裾を捲り上げるなんて発想は、おそらくラフの革新性によるものだと思います。

ラフのストリート性とカルチャー性に、ミウッチャお得意のトラッドとエレガンスを融合させて、見事なハイブリットだと思います。

素晴らしい。

 

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アヴァンギャルドからは少し距離を置いた、落ち着いた男性のエレガントなファッションなら現状のオススメは、エルメネジルド・ゼニア XXXです。

かつてのミラノらしいメンズらしさがあって、今っぽくもあります。

これなら日本の奥様方の、旦那さんにしてほしいファッションの上位に入るくらいのこなれ感と清潔感があるのではないでしょうか。

 

語尾の“XXX”に今後の多少の不安を感じていますが。

 

 

 

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そして、流行らそうとか今の時代に合わせようとか言う気はサラサラなさそうに、毎度らしさ万歳の世界観でコレクションを発表しているブランドが存在するのもミラノらしさの一つです。

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ETRO

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DOLCE & GABBANA

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GERGIO ARMANI

 

これらのブランドも応援したい気持ちになりますし、これからもそのメゾンの伝統をずっと大切にしていってほしいです。

 

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ここからは余談になりますが、お客様でミラノにシャツ作りを学びに行かれてるお客様がいて、コロナ以降でようやく日本に帰って来れたと(ちゃんと自主隔離期間を取った後に)久々にカットしにいらしてくださったのですが、ミラノのシャツの考え抜かれたパターンや芸術的なまでの縫製の素晴らしさを学んで理解すると、日本のアパレルで売られているシャツの多くがその価格にクオリティが見合ってなくて、その強気の価格設定にビックリするらしいです。(ユニクロは逆に値段の割に悪くないと言ってました)

それでも日本では、そういうものの方が売れてるわけですから、まだまだファッションにおけるヨーロッパとの差は歴然としているのだと思います。

 

世の中が便利になって、情報に溢れてくると、なかなか細部のこだわりまで目が行きにくくなっているのだと思いますが、こだわりに気付ける目を養うことは一生の財産だと思うので、皆さんも日頃の生活でそういった細部にも注目してみてください。

 

『神は細部に宿る』