Plethora Magazine

2014.11.04.

Posted on 11.04.14

「最も芸術作品に近い雑誌」といわれるデンマークはコペンハーゲン発の雑誌『Plethora Magazine』(プレソラ・マガジン)のVol.1とVol.2を入荷しました!

plethora

 

 

プレソラマガジンは、伝統的な印刷技術に対する深い情熱から生まれた出版物で、ポスターサイズという雑誌としては規格外のサイズです。

 

その高い印刷技術は、なんとヒンズー寺院の僧侶によるもので、その商業性度外視の高度な印刷にかかる膨大なコスト面をサポートすることでその伝統技術を守る為、ベルギー政府が多額の援助をしているらしいです。

 

今回は、Vol.2の内容を少しご紹介させていただきます。

 

まず表紙がコチラ。

plethira 1

 

 

これは、1930年代の初めにコスタリカで発見された石球で、古代の人が作ったのか、はたまた宇宙人による仕業なのか…その詳細な作成年代や作成目的は現在でも不明です。

現在までに大小さまざまな200個以上の石球が発見されています。

石球のほとんどはタラマンカ山地のふもとに産する花崗閃緑岩が素材であることがわかっていますが、発見された場所からは50km以上も離れているらしく、ますますその謎は深まるばかりです。

 

そして、写真では伝わりにくいと思いますが、その高度な印刷技術はこの表紙をみればすぐにわかります。

モノクロを2回刷り、そして更にその上からシルバーでもう一度、計3回重ねて印刷されているらしいですが、その濃淡の表現力は素晴らしいです。

日本で印刷技術が高いとされている業者さんでも黒が潰れた印刷になってしまう程に高度な表現力です。

 

その工程は、印刷するものに合わせてそれぞれ異なる手順を選択しているらしく、そんな凝ったことはまず売り上げ冊数ありきな大手の出版社では選択肢にも上がらない手法で、だからこそ価値があります。

 

『Vマガジン』編集長のスティーヴ・ガンによる『VISIONAIRE』(ヴィジョネア)は、その創作性が素晴らしく、これも世界に誇るアートな出版物ですが、このプレソラマガジンはもっと派手さはなくより職人的だと思います。

 

他に掲載されているものも素晴らしいものばかりです。

.

アイザック・ニュートンの墓の設計図。

plethora 2

 

実際にこの墓が実現することはありませんでしたが、今みたいにCADなどの技術がない当時の時代に描かれたものとして、その完成度も構想力も素晴らしいです。

.

品種改良を繰り返されたカナリア。

plethora 5

 

頭の中が狂ってるとしか思えない、ある科学者によって、品種改良を繰り返されたカナリアの写真。

「世界一美しい鳴き声を持つ」と言われているカナリアに、更に品種改良を重ねることでその美しさを追求し、部屋の中で聴いていたらしいです。

まだ比較的最近の作品ですが、この印刷はモノクロの上にゴールドを刷ることでアンティークな雰囲気を醸し出しています。

他のカナリアたちの写真も収録されています。

.

今から50年前、アフリカのザンビアで宇宙進出計画が持ち上がりました。

plethora 6

 

 

 

当時のザンビアは、今の北朝鮮のように国内で情報を閉鎖することで、事実と異なることを国民に信じさせていました。

その写真が上のほうの一見、宇宙服のようなものを着て村中を闊歩している異様な光景です。

これで国民に「宇宙へ行ってきた」と印象づけている訳です。

実際は、勿論、宇宙へ行くこともなく計画は頓挫しましたが、最近になって、スペイン生まれ、ロンドン在住のアーティストCristina De Middel(クリスティーナ・デ・ミデル)によって現代アートとして蘇りました。

plethora 7

 

この写真は、月に有人着陸を成功させた時の写真として公開されていたもの(もちろん後ろに雲が写ってるし、あの変な宇宙服さえも着てないし、でツッコミどころ満載の大ウソ)を、ミデルによるモダンなデザインの旗で、とても面白い作品へと昇華されています。

他の作品もとても面白いものばかりです。

.

下の作品は、電話の発明で有名なアレクサンダー・グラハム・ベルによる、なんとも幾何学なデザインの凧。

plethora 9

 

plethora 10

 

電話の発明によって莫大な財産を得たベルは、飛行機の実験として、様々な形の凧を設計しました。

今みても、とても秀逸なデザインだと思います。

.

そして、今号の目玉とも言えるジャン=ミシェル・バスキアの写真

plethora 11

 

plethora 12

 

 

マドンナが愛し、ウォーホルが嫉妬した…という程、素晴らしい才能に恵まれ、1250点を超えるドローイングと900点を超える絵を残し、今でも人々に多大な影響を与え続ける、20世紀で最も重要なアーティストのひとりであるバスキア。彼は27才の若さでこの世を去りました。

彼を被写体にした写真は、アンディ・ウォーホルと一緒に写ったボクシングの写真以外はほとんど皆無で、今回の作品のようなバスキアの素顔を捉えたものは非常に貴重です。

 

この写真が撮られたのは、1979年。当時18歳のバスキアは、アーティスト思考でしたが、もっと手堅い仕事をして欲しいと望む父親とは仲が悪く、ある夜についに家を飛び出します。

「待っとけよ、世界一有名なアーティストになってやる!」という言葉を残して…

家を飛び出したバスキアは、NYのマッドクラブで当時「Gray」というバンドで活躍していたニコラス・テイラーと出会い、その夜に撮られた写真が今回の作品です。

ニコラスはその後、家のないバスキアに半年間寝床を提供し、一緒に生活しました。

その後、ウォーホルを始めとする著名人や画商たちに認められ、絶大な人気を手に入れました。

現在においても現代アートの世界に多大な影響を与えています。

 

他にも紹介したい作品はたくさんあるのですが、実際に見てもらった方が、その素晴らしさを感じていただけると思いますので、ご興味のある方は、ご来店時にお気軽にスタッフにお問い合わせください。

今回はVol.2しかご紹介できませんでしたが、Vol.1もお店にあります!

 

現物は既にあるのですが、展示できるのは11月中旬あたりからになると思います。

 

アートがお好きな方は、必見の書籍です!