Posted on 06.08.22

先日の月曜日のお休みは雨が滴る中、朝から電車に乗って梅田へ向かい、テアトル梅田でエリック・ロメール監督の映画『夏物語』を観てきました。

 

 

 

いつもはテアトルには自転車で行くのですが、今回電車で行ったのには理由があって、ひとつは当日が終日雨模様だったということ、そしてもう一つはこの日の予定がこの映画だけではなかったということです。

 

事前に考えていた予定では、朝にロメールの『夏物語』を観て、そこから京都に向かいブライアン・イーノの展示会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』に行って、そこから再度テアトル梅田に戻ってシャンタル・アケルマンの『私、あなた、彼、彼女』を観るという、外出時はロープレでいうところの“毒状態”くらい断続的にダメージを受けてしまう自分には無謀とも言えるスケジューリングを組んでしまっていて、当日のこの日も無理そうなら京都のイーノは諦めて後日に回して一旦帰ろうと自分に言い聞かせて出かけました。

 

なぜにこんな無茶な予定になるかというと、最近ヌーヴェルヴァーグ系の映画監督の映画祭が同時多発的に開催されてて、事前にその情報をキャッチした僕は嬉しくなってそれらの映画祭の前売り券をポーカーができるくらいしこたま買ってしまってたんです。

エリック・ロメールの四季の物語なんて、ブルーレイ新旧2枚両方とも所有してる(両方買ったのはそれぞれの付属解説を読む為です)のに、前売り特典のポストカード欲しさに一枚買いました。

そして、それらの前売り券を使って観れるのが関西ではテアトル梅田で、しかもほぼ同時期に上映するものだから、前売り券を買ったのに観れないまま終わってしまうことを人一倍もったいなく感じてしまう性格の僕はこの6月前半の貴重な休日の全てを映画に捧げることにしました。

 

ということで、3つのことを書くとまたかなり長いブログになりそうなので、“梅雨空3部作”(笑)と題して3つの記事に分けたいと思います。

 

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ということで、話を戻して一日の始まりはエリック・ロメールから。

 

 

 

僕が今回観たのは、エリック・ロメールによる4部作『四季の物語』の3作目の『夏物語』

ロメールはこの4部作を春→冬→夏→秋の順で完成させました。

僕は変なところにこだわるタイプのA型なので、去年の春に『春のソナタ』を、冬に『冬物語』をそれぞれ所有していたブルーレイで鑑賞し、今年の夏と秋に残りの2作を順番通りに観ようとしていたところに今回のリマスター上映があったので、自分に「今はもう初夏なのだ」と言い聞かせてこの時期に鑑賞しました。

4部作のうち、どれかひとつは映画館で観たい気持ちもあったので良かったです。

 

 

本作の舞台は、ブルターニュ地方のリゾート地。

ジャケットにも写っているヒロインの一人,アマンダ・ラングレは、『海辺のポーリーヌ』以来12年ぶりのロメール作品復帰。

最初、レストランのウェイトレスとして登場して主人公を接客し、その後ビーチで再開してアマンダ(ラルゴ役)の方から声をかけるのですが主人公は最初誰か気づかず、「髪を括ってる時と雰囲気が違うでしょ」と言われてレストランの子だと気づくのですが、僕もそのタイミングで「ポーリーヌの子だ」と気付きました。これもロメールの狙いのひとつだったのでしょうか?

 

ちなみに、この日地下鉄の梅田駅からテアトル梅田の方へ歩いて向かっていると、前から歩いて来た女性が「こんにちは」と声をかけてくださったのですが、僕が一瞬では(マスクもしてるし)誰かわからずオドオドしていると「〇〇です」とわざわざお名前を名乗って伝えてくださいました。

めっちゃお客様でした。

すぐに気づけずにスミマセンでした、が、僕のプライベートのスイッチオフ具合はいつもこんな感じなんです。

V:oltaにはオシャレなお客様がたくさん通ってくださってるので、どうしても目が慣れてしまうのですが、外で偶然お客様に会った時は(贔屓目なしに)いつも一段とオシャレに見えます。

そういった方のヘアスタイルを担当させていただいていることも、とても光栄に思い、プレッシャーとともに大きなやり甲斐も感じております。

 

 

早速、話が逸れてスミマセン。

やはりロメール映画は、夏, バカンス, そして海辺の景色と、3つの舞台が揃うと(特に)無類の強さを発揮します。

主人公はイケメンなのにインテリで、音楽も嗜んでしまうという、カルチャーに明るい女性からすれば理想の彼氏像みたいに最初は写るのですが、大多数の女性は観終わる頃には「こんな男はイヤだ」と思うであろう奴でした。

 

現代のロマンチックな恋愛大作映画とは全く違って、話が進むにつれ観るものをゲンナリさせるという。。

さすがはロメールというストーリーでした。

 

何も大したことも起こらない一夏の他愛もない出来事を、時間を忘れるくらい引き込まれていくような会話劇に仕立てる、その感覚と才能が素晴らしいです。

 

残す1作『秋の恋』は、今年の秋に観ようと思います。

 

という休日の午前~正午でした。

続く