先日のお休みは、6~7年くらいぶりに東京へ行ってきました。

 

一番の目的は、東京国立近代美術館でされている展覧会『ゲルハルト・リヒター展』を観ること。

 

 

 

そして、せっかく行くので、他にも周りたいところを色々とピックアップしていたのですが、ちょうど大型の台風も接近していたので、今回は大人しく上のリヒター展に加え、三菱一号館美術館で開催されていた『ガブリエル・シャネル展』と、美術館を2つ行くだけにして帰ってきました。

 

 

まず、午前中に事前予約の取れなかったシャネル展へ当日券を目掛けて開場時間の30分前には現地に着いたのですが、さすがはシャネル、既に行列ができていました。

 

 

勿論、こんなことは想定内で、スマホにゴダール(R.I.P.)の『カルメンという名の女』をダウンロードしておいたので、映画を堪能しつつ入館を待ちました。

 

今回のシャネル展は、三菱一号美術館が財政面的にもかなり力を入れた展覧会で、シャネルの遺した洋服やアクセサリー等をこれだけ一堂に見られる機会はなかなかないので、とても貴重な体験をさせていただきました。

 

ガブリエル・シャネルは、女性デザイナーでは歴代において最も優れた人物だったのではないかと思っています。

今の時代、男女で分けて評価すること自体がナンセンスという考え方になってきていますが、シャネルが遺した功績というのは、まさに女性のライフスタイルや価値観までも革新的に変えたものでしたので、今後シャネルが後世に渡って語られる上では、当時の男女の性別差で存在していた差別や弊害という時代背景と共に多くの人に伝えられていってほしいなと思います。

 

 

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そして午後からは今回の旅の本命、『ゲルハルト・リヒター展』へ向かいました。

 

ゲルハルト・リヒターは、ナチスが政権を掌握する前年にドイツ東部のドレスデンで生まれました。

戦後、芸術大学で学び壁画家として評価されるも、ベルリンの壁が建設される直前の1961年、自由な表現を求めて西ドイツに移り住みました。

東ドイツで芸術活動をするにはVBK(東ドイツ造形芸術家団体)という職業団体に属する必要があり、反政府的とみなされたアーティストは職業の禁止を言い渡されることもありました。

 

 

今回の展覧会の目玉は、幅2メートル、高さ2.6メートルの作品4点で構成されるホロコーストを題材とした巨大な抽象画《ビルケナウ》です。

 

 

ドイツ人画家として、ホロコーストをどう表現するのか。長年の葛藤の末にたどり着いた境地が、この4枚組みの抽象画です。

アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で隠し撮りされた写真をキャンバスに描きうつし、その上にスキージ(ヘラ)で絵の具を塗ったり削ったりして重層的な抽象画に仕上げられています。

 

僕自身、ホロコースト関連の本や映画はここ数年よく見ていたこともあり、この作品群を通して様々な思いが脳裏に浮かびました。

気づけば30分以上この空間にいました。

 

この他にも大小に限らず、リヒターの素晴らしい作品をたくさん観ることができました。

後でもう一回《ビルケナウ》のところに戻ったり、作品を充分に堪能して美術館を後にしました。

 

また今回も、非力なくせに重たいお土産をたくさん買ってしまいました。

 

 

 

このガラス入りのポストカードセットは、G1馬がG3のハンデ戦で背負う斤量くらいの重さを感じたのですが、また新たな宝物がひとつ増えました。

 

美術展を観にだけに東京に行ったのは今回初めてでしたが、作品の余韻を噛み締めながら乗る新幹線の帰路はとても心地良かったです。

 

また今回の経験を仕事で活かせるように頑張ります!