Posted on 01.20.21

先日の休みにギャスパー・ノエの新作『ルクス・エテルナ 永遠の光』を観てきました!

 

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このテの映画は、ここ大阪ではお客さんあまり入らないだろうなと思いつつも、上映している映画館が家から自転車で10分もかからない場所だったので、直前まで鑑賞しようと思ってた上映時間のネット予約画面で座席の埋まり具合をくまなく確認していたのですが、結局同じスクリーンで観たのは4人だけでした。

 

作品自体も1時間と短いです。

 

本作は、サンローランのクリエイティヴ・ディレクター, アンソニー・ヴァカレロが「様々な個性の複雑性を強調しながら、サンローランを想起させるアーティストの視点を通して現代社会を描く」というコンセプトのもとスタートさせたアートプロジェクト『SELF』の第4弾でもあります。

 

鑑賞前の事前情報で「激しい光の点滅に注意」というのを得ていて、映画の中で無茶苦茶しまくるギャスパー・ノエのことだから極度の心配性の僕は相当に警戒して、まさかのサングラス持参(鞄の中にそっと忍ばせる)で向かいました。

ちなみに昔、マイ・ブラッディ・バレンタインのライブに行った時は、直前にハンズで耳栓を買って行きました。

 

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冒頭 、ベアトリス・ダルとシャルロット・ゲンズブールの会話から始まります。

カットは2分割に分かれ、撮影舞台裏のドキュメンタリーのようなストーリーは次第にカオスと化していきます。

 

パンフレットにあるような、十字架に磔にされたシャルロットが火炙りになる描写は、カール・ドライヤーの『怒りの日』から引用されています。

僕は“カールドライヤー”と聞いて、クルクルドライヤーの形状よりもカール・TH・ドライヤーのことが頭に浮かぶ少数派の美容師なので、劇中に『怒りの日』の映像が使われているのはすぐにピンとくることができました。

 

そして、映画は終盤のクライマックス、光と音の洪水が観る者を攻撃してきます。

僕は『ポケモン』の映画は観ていないですが、当時社会問題になってたピカチュウの光の点滅がロールプレイングゲームの序盤の村に出てくるボスだとするなら、本作は文句なしにラスボス級です。

 

 

光の点滅が始まって、僕より後ろの座席に2人座ってることもあって、さすがに用意していたサングラスをかけだしたのを見られたら、僕ならそんな人がいたら息を殺して爆笑してしまうと思うので最後まで使うことはできなかったのですが、それでも「これで明日以降体調悪くなったら」とか心配してしまう僕は、片手で目元を覆いながら座席の中でズルズル下の方にしゃがみながら丸くなって、全盛期のマッチが“ギンギラギンにさりげなく”を歌ってる時みたいなポーズ(あくまでイメージなので全然違うかも知れないですが)でなんとか無事鑑賞できました。

 

 

ラストの畳み掛けるような光と音の中、映し出されるシャルロット・ゲンズブールの映像は、苦悩を超越して、高揚感すら感じる美しいものでした。

 

しかもビックリすることに、こっちはサングラスせずにギンギラギンしながら観てるのに、劇中の激しい点滅を浴び続けているシャルロットはいつの間にかサングラスかけてる!

(ズルいぞ、シャルロット!)

 

帰りは、「ギンギラギン・ポーズ」で鑑賞してた人だと失笑されないように、マフラーで顔の2/3をグルグル巻きにしてから席を後にしました。

ここでもサングラスかけようかと一瞬考えましたが、もし万が一、僕の行動の一部始終を見ている人がいたら、さんざん辛そうな姿勢で耐えてた人がここで今さらサングラスかけるのは究極の笑ってはいけないシチュエーションになってしまうと思うので、結局最後までサングラスは使わずに帰りました。

 

 

ギャスパー・ノエの作品はいくつか持ってますが、映画館で鑑賞したのは今回初めてでしたが、映画館で観た方がその漲るエネルギーを全力で体感できるのだなと思いました。

 

ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!