90年代ディスクガイド-USオルタナティヴ/ インディ・ロック編- を購入しました。

 

 

Sonic Youthに始まり、Pixies, Daniel Johnson, Galaxie500, Dinosaur Jr., Nirvanaなどの90年代初期~Beck,Nine Inch Nails,Pavementなどの中期、そしてYo La TengoやTortoiseなどが台頭する後期と、3つの時期に分類されています。

 

このあたりの音楽は好きでよく聴いていましたが、500枚も紹介してくれていると聴き逃していた作品もいくつかありました。

好きなアーティストやそのアルバムであっても、レビューを読んでまた久しぶりに聴きたくなるというのもディスクガイドの良いところです。

 

この時代はロックにおいて“シーン”というものがその地域に発生した最後の時代ではないかと思います。

インターネットで世界は繋がり、人々の暮らしは一気に便利になりましたが、ある程度村社会的な情報伝達力しかない時代に新しく生み出されたものの強みや魅力というものは、今の時代では作り出せないようなパワーがありました。

 

新しい音楽もいいですが、古い音楽も今聴いても良いと思えるし色褪せないと感じるのは、その時代その地域に存在した空気感というものがそのシーンや楽曲そのものに内包されているからだと思います。

 

.

ここからは余談ですが、先日仲の良いお客様に僕のファッションはカテゴライズすると「ファッション・オルタナティヴ」だと評していただきました。

(多分、悪い意味ではないと信じていますが、自信はありません)

 

知らずのうちに僕のファッションにもオルタナティヴの血が流れているのかと、少し嬉しく思いました。

“オルタナティヴ”という言葉の定義は、(そのシーンにそれなりに詳しい人の間でも)人によって微妙に異なるところがあると思います。

“アンニュイ”という言葉の意味を説明しなさい、と言われるのと同じく、一言では言い表せない複雑さやそのシーンに漂う独特の空気感というものがあります。

 

本書では、オルタナティブのひとつの定義として「主流ではない」という言葉が使われていました。

これも「なるほど、そうだな」と思います。

(少し付け加えるなら、自身のスタイルが確立させていて且つそれが主流ではない、というニュアンスでしょうか)

 

 

ファッションにおいても、今はSNSやインターネットを通じて膨大な情報をキャッチできる時代です。

 

だからこそニッチな情報にも手が届きやすくなった訳ですが、過半数の人達の視界にはそれまで以上にマジョリティなものの情報ばかりが目に入り、そして多くの人がそれを真似したいと思ってしまうような時代になってしまいました。

コンサバが加速して、モードやカルチャーの表面的な部分も抉られ、その犠牲になってきてしまっているような感じがします。

 

バンドTシャツとかも、そのバンドが好きで着ている人もいれば、アートワークのデザイン性を含めてファッションとして取り入れている人の方が(そういうのは以前もありましたが、特に今の時代は)多いのではないかと思います。

 

最初はファッションとして興味を持った方でも、それをきっかけにそのアーティストの曲を聴いてみようと思う人が少しでも増えて、その結果カルチャーに興味を持つ人が増えることで“マジョリティではない”音楽や映画などの業界が潤ってくれることを期待しております。

 

.

また文章が長くなってしまったお詫びと言っては何ですが、オルタナティヴに纏わる話をひとつ。

(お詫びで更に長くするという…)

 

“オルタナティヴ三大名曲”というのがあると昔聞いたことがあります。

みなさん、その3つが何の曲かわかりますでしょうか?

 

ひとつは皆さんご存知Nirvanaの“Smells Like Teen Spirit”、2つ目はBeckの“Looser”、そして最後のひとつはRadioheadの“Creep”らしいです。

(3つの中でRadioheadはUKのバンドですが、UKにもオルタナティヴは存在します)

 

このうちカート・コバーンとトム・ヨークは、その一般的に「名曲」と思われるような分かりやすい曲を作ってしまったことの副反応に死ぬほど悩まされた(実際にカートは死を選びました)訳ですが、Beckにはそんな感情は微塵もなさそうです。

そんなところにもオルタナティヴ・シーンにおけるアーティストの生き方の違いが現れていると思います。

 

本書はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!