STREET No.314
2018.12.14.
Posted on 12.14.18
STREETの最新号はParis Fashion Weekのスナップです!
今年の秋に行われた2019 S/S パリコレクションで、今のファッション界のストリートブームの火付け役だったバレンシアガのデムナ・ヴァザリアは、今までのロゴ全開などのわかりやすさを前面に出したストリート路線から、もともとフューチャリスティックなモードが特徴的だった本来のバレンシアガらしさをデムナらしいアヴァンギャルドな解釈でアップグレードさせたコレクションを発表しました。
ブランドの歴史をまた一歩先に進めるような素晴らしいコレクションでした。
先日、日本でプレフォール・コレクションを発表したDiorのキム・ジョーンズは日本のメディアに対して「今の男性、特にアジアの男性に“スーツとスエット、どっちを着たい?”と尋ねたら、多分“スエット”と答えると思う。だからスーツばかり作る訳にはいかない」という旨のコメントをしていました。
キム自身の創作意欲はもうストリートな服を作るよりもテーラードなどの洋服に向いてるように感じました。
キムは本来、スーツなどのモードなスタイルにストリートなエッセンスを絶妙な匙加減で加えるのが得意なデザイナーです。
モードの最先端では、近年旋風を巻き起こしていたストリート路線にも陰りが見えてきているように思います。
ルイ・ヴィトン メンズにおいては、ゴリゴリのストリートブランドであるオフ・ホワイトをデザインするヴァージル・アブローがデザイナーに就任したばかりですが、このタイミングでデムナが脱ストリートに踏み切ったのは、個人的な推測ですが、デムナ的には自身が今のモード界にストリートブームを巻き起こしたという自負とプライドからいろいろ複雑な思いがあったのではないかと思います。
そして、自分はストリート(大衆)にブームを作るデザイナーではなく、革新性を生み出せる“モード”のデザイナーなのだということをファッション界に改めて証明しようとしているように写ります。
いつの時代も、素晴らしい作品ができる背景にあるものは、「怒り」「不満」「欲求」など、人間が元来持っている感情です。
黒人デザイナーであるヴァージル・アブローのルイ・ヴィトンでのファーストコレクションは、『ダイバーシティ(多様性)』をテーマにした全てにおいて感動的で用意されたような美しすぎる舞台でしたが、今その影に追いやられているデザイナー達の逆襲にも大いに期待したいです。
話が逸れてしまって申し訳ないですが、言いたいことが言えてスッキリしたので、本の中も少し紹介します。
まだ街はストリートが抜け切れてない様子ですが、来年の今頃はまた新しい風が吹いてるように思います。
ご興味のある方は、ご来店時にぜひご覧ください!