VOGUE ITALIA N.899

2025.08.31.

Posted on 08.31.25

久々にイタリアンヴォーグが当店に届きました。

 

 

イタリアンヴォーグが届いた時は、いつもこちらでも紹介していたし、お客様のテーブルにもお出ししていたので、中には「もうイタリアンヴォーグの購読は辞めたのかな?」と思われていた方もいらっしゃったかもしれませんが、そうじゃなくて少し事情があったのです。

 

そのことについてこちらでも少し書かせていただきます。

当店がイタリアンヴォーグを定期購読するようになったのは今から15年くらい前で、その頃はまだフランカ・ソッツァーニが編集長を務めていました。

ヴォーグの編集長といえば映画『プラダを着た悪魔』でもモチーフとなったアメリカ版VOGUE編集長のアナ・ウィンターが最も有名だと思いますが、僕はイタリア版VOGUEを手掛けているフランカ・ソッツァーニの感性の方が余程素晴らしいと思っていましたし、業界に詳しい人達の認識も「世界最高峰のモード誌はイタリアンヴォーグ」というものだったと思います。

 

V:oltaをオープンして最初の頃は、海外の雑誌も取り扱ってる書店などで気に入ったモード誌を買っていたのですが、ファッションデザイナーをされているお客様にファッションやインテリア系の洋書籍に精通している代理店を紹介していただき、そこからイタリアンヴォーグやフランス版Numeroなどを定期購読させていただくようになりました。

うちに洋雑誌の案内を持ってきてくださってた担当の方も知識とセンスのある良い方で、僕の知らない雑誌も色々教えていただきました。

たまに余ったgap COLLECTIONS(一般販売されているgap PRESSではなく、業界人向けの2万円くらいするやつ)をくださったりして、本当に良くしていただきました。

 

ですが好きだった書店が無くなったり、雑誌や書籍も苦境の時代になっていく中で、こちらの代理店の関西支部がなくなることになり、お世話になった担当さんも会社を辞めることになりました。

とても残念な知らせでしたが定期購読は本社で引き継ぐとのことだったので、イタリアンヴォーグなどもそのまま続けて取らせていただくことにしました。

そこから年に1回、更新時期が近くなった時だけ会ったこともない本社の担当の方からお電話があり、こちらも継続の意思であることを伝えるということを何年か続けていました。

 

しかし去年の頭くらいから、世界情勢などの影響で配送が遅れているとの理由で到着が遅延したり2ヶ月分が纏めて届くというようなことも出てきました。

それは色んな事情があるだろうし仕方ないと思って、去年も定期購読の継続をさせていただいたのですが、今年に入ってついに雑誌が届かなくなりました。

それでもまあ、色々事情があるのだろうと気長に待っていたのですが、3ヶ月くらい届かないし連絡もないのはさすがにおかしいと思って電話したら、既にその会社は音信不通の状態になってしまっていました…

 

何があったんだと思ってネットで検索してみたら、その代理店に書籍を取り扱ってもらっていた出版社のホームページに「(その)代理店から納品が途絶えた方はこちらに直接連絡ください」とあって、僕の取っていたものとは違うかったのですが、何か事情を知ってるかもと思って連絡させていただきました。

そちらの出版社も代理店と急に連絡が取れなくなったらしく、詳しいことはわからないが書籍が届かなくなったお客様が困っていると思ってホームページで告知したとのことで、代理店はどうやら夜逃げのような感じで無くなったらしいと教えてくださいました。

僕が悲しく思ったのは、定期購読で前払いしていた分を損したということではなく、長年お世話になっていた代理店さんが突然何の連絡もなくいなくなってしまったということです。

 

海外のトレンドは今の時代アプリやSNSとかでチェックできるし、わざわざ高いお金払ってまで海外のフィジカルの雑誌を毎月買うなんて人は、センスのいいお金持ちか僕みたいに世間から見たらだいぶ拗らせている風に映っている人くらいしかいないのだろうから、海外の(それが世界最高峰のモードであったとしても)ニッチなカルチャーで生計を立てるということがどれほど難しいことかは理解できるし、それをわかっているからこそ応援していたところもあるので、最後に連絡くださったら労いの言葉と共に今までの感謝をお伝えしたかったというのが本心です。

 

 

そういうことがあって、慌てて海外モード誌を扱っている別の業者さんを探して契約したのですが、輸送や手続きなどの関係で購読が開始されるのがそこから3~4ヶ月後の今になったという流れです。

 

少し前に梅田の蔦屋書店を久々に訪れた際、洋雑誌のコーナーをのぞいてみたら海外のモード誌は韓国版のものがその一角を覆い尽くしていて、以前はそこに書店のクリエイティヴな姿勢をアピールするように数多く置かれていたフランスやイタリア,イギリスのカッティングエッジなモード誌はほぼ無くなっていました。

 

韓国版はK-POPのアイドルや人気俳優が表紙になっているので、その多くをファンが買うという需要で賄っているのだと思いますが、誌面の芸術性などのクオリティはこのイタリアンヴォーグやフランス版Numero,イギリスのアナザーマガジンなどの方が優に勝ることは言うまでもありません。

今、もしアセンスやスタンダードブックストアというような書店がまだ大阪に存在していたら、韓国版のモード誌だけを並べるなんてことは意地でもしなかったかも知れません。

(それをしないスタイルのお店が無くなってしまう世の中というのは、とても哀しいです)

 

LOEWEやDIORのバッグなんかでもアイコニックなものが日本でも人気を博しましたが、デザイナーが見てほしい評価してほしいと思うような商品は全く別のところにある訳です。

でも、そんな難しいことまでほとんどの人は興味を示さなくなっているし、もっと簡単で伝わりやすいものを好む世の中になってしまいました。

 

僕が生業にしている美容室、まして都心部のヘアサロンなんてものは、そういった世間のトレンドというものがもしかしたら書店以上に影響してしまう業種だと思うのですが、そんな時代にまたこんな世間と逆行するようなことを長々と書いても未だに潰れずに頑張れているのは、そんなスタイルの当店を支持して通ってくださっている顧客様をはじめとする多くの方が応援して支えてくださっているからに他なりません。

いつも感謝しております。ありがとうございます!

 

 

久々に届いたイタリアンヴォーグを開いて、やはり素晴らしいなと思いました。

(厚さはより一層ペラペラになってるように感じましたけれども…)

 

 

 

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ!