GIMME DANGER

2017.10.03.

Posted on 10.03.17

観てきました!

 

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ジム・ジャームッシュによるThe Stoogesのドキュメンタリー映画『GIMME DANGER』

 

The Stoogesと言えば今もロック界に君臨するイギー・ポップが中心人物ですが、この映画はあくまでThe Stoogesの期間の活動に限ってフォーカスした映画になっています。

 

The Stoogesの音楽は、当時(60’s後半)は「下品で退廃的」と評論家から酷評されてたみたいです。

(僕はこのコメントみた時にめちゃくちゃカッコイイ褒め言葉だと思いましたが…)

ですが、今や『最高のバンド』の一つに挙げられるくらいにその評価は一変しました。

 

当時のThe Stoogesのライブは、バンドが曲の演奏を開始してもイギーは全然歌い出さずに変なダンスをしたり観客席に飛び込んだりしてたのですが、その間ギター,ベース,ドラムの他のメンバーはずっと下を向いて動かずにただただイントロを繰り返し演奏して待ってたそうです。

もう、想像しただけでカッコ良すぎ!

 

同じロックでもタイプはまた全然違いますが、80’s後半にUKで「シューゲイザー」というジャンルが台頭してきますが、このジャンルの語源「Shoegazer」(靴を見つめる人)は、靴を見つめるように下を向いたまま演奏している光景から名付けられました。

The Stoogesの場合は、もっと五月蝿い演奏の中でヴォーカルのイギーだけが躍動しています。

同じくらいの時代にドイツにCANというバンドがいましたが、CANが日本人ヴォーカルとしてダモ鈴木を迎えた70年頃のスタイルの方がThe Stoogesと少し似た感じがします。

 

後になって時代が理解し得なかったと評価される理由は大きく2種類あると思います。

その時代の標準と比べて洗練され過ぎてるか、それとも堕落し過ぎているかです。

CANは(当時から人気でしたが)時代よりもかなり洗練されてたと思いますが、The Stoogesは時代の上を飛び越えてたのではなく下からくぐり抜けていくような感じでしょうか。

ただ、同じ時代にもパフォーマンスが面白おかしいバンドややたらと攻撃的でうるさいバンドは他にもたくさんいたと思いますが、The Stoogesは下品なことをやりながらもその奥に確かな知性があったと思います。

そこが現在にあってもイギー・ポップがバンドマンから支持されている要因なのでしょう。

 

歌詞はボブ・ディランの真逆を行くように、少なくシンプルに。

イギー以外のメンバーは、演奏中極力動かない。

 

など、バンドとしての魅せ方にも非凡なセンスが感じられます。

 

現代となって、その当時の下品さが「最高」という評価に変わるのですから、時代とともに人々の感受性は成長して行ってるのかも知れません。

 

単なるジム・ジャームッシュ好きなら、この映画はオススメできませんが、イギー・ポップ及びThe Stooges好きにはとてもオススメな映画です。

イギーはジム・ジャームッシュの過去の作品にも出演してたり仲が良いので、自身のドキュメンタリーを撮るならとジャームッシュを指名したのだと思いますが、個人的にはThe Stoogesの歌詞のようにもっとシンプルな作りでも良かったのではないかと思いました。(偉そうなこと言って本当にすみません)

ジャームッシュの他の映画の方が断然センスが光ってます。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでください!