We Mergiela

2019.02.20.

Posted on 02.20.19

映画制作の発表を知ってから楽しみにしていたメゾン・マルタン・マルジェラ(あえてメゾン・マルジェラとは書きません)の伝記映画『We Margiela』を観てきました。

 

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かつてのMaison Martin Margielaは、マルタンが離れ、さらにMaison Margielaとなってからは、デザイナーズブランドからラグジュアリーブランドへと移行するに連れ、全く別のブランドのように商業的になっていきましたが、この映画は、かつてのデザイナーズブランドであったマルタン・マルジェラの精神を受け継いだかのような地味で、真面目で、リアルで、アヴァンギャルドで、ストイックな内容でした。

 

音楽もエンドロールの生々しい演出まで、一切使用されていませんでしたが、本来、そういった演出や姿勢こそマルジェラが持つ稀有でアヴァンギャルドな精神だと思います。

 

この映画パンフレットも表紙は表裏共に、一切何もない真っ白でした。

 

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映画の冒頭、真っ白の画面に「白はその人を映し出すスクリーンだ」というメッセージが表示されます。

マルジェラの持つ「匿名性」というスタイルにも白はマッチします。

 

マルジェラのタグももともとは何も書かれてない真っ白な生地だけでした。

「マルジェラを着ている」という象徴である“四つ打ちステッチ”があるなら裏面は何も書かれていない方がマルジェラらしいです。

四つ打ちステッチすら本来は必要ではないのかも知れません。

 

タイトルにもある“We”とは、マルタン自身極度のメディア嫌いで、自身のクリエイションに対してもなんの説明もせず、ショーの後にも姿を見せなかったことから、メゾンで働くスタッフ達がマルタンの考えを(推測して)代わりにメディアに伝える際などに“We”という第一人称が次第に使われるようになりました。

この映画でも残念ながらマルタン自身の顔を拝むことはできませんが、この映画に出演してインタビューに答えている当時のメゾンの関係者達全員が「マルジェラ」の表現者でもあるのだと思います。

ただし、メゾンの人達はそれぞれが「マルジェラ」の一部であっても、決して「マルタン」にはなり得ないし、彼の意図を完全に理解できる人も恐らくはいなかったのでしょう。

本編でマルタン本人の首から下が映った映像が流れますが、自分にはその動作がとても神秘的に見えました。

 

エンドロールでは、メゾン・マルタン・マルジェラの共同創設者であるジェニー・メイレンス(2017年に永眠)の病室の静かな音で、生々しく幕が閉じます。

インタビュー当時も既に体はかなり弱っていたものと思います。

 

作中に出てくる、アニー・リーボヴィッツが撮ったメゾンの集合写真は本当に素敵でした。

 

生粋のモード好き、マルタン・マルジェラをこよなく愛してる方、クリエイティヴが好きな方には、とてもオススメできる映画です。

マルジェラを題材にした映画ですが、ファッション映画というよりはアーティストのドキュメンタリー映画だと思います。

この監督(メンラ・ラウラ・メイール)の他の作品にも非常に興味が湧きました。

 

 

下の写真は、映画の制作が決定した際に、特設サイトから申し込んだら、映画の制作過程に合わせてレターを送ってもらえるというのがあったので、本当に来るかどうかもよくわからないけど金額も少額だったし面白そうだったので必死に英語表記のアドレスで申し込んで、実際に送られてきたものの一部です。

 

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これは流れ的に#1もきっとあった筈ですが、現在行方不明です。

 

ご興味の湧いた方は、ぜひ映画館へ足を運んでみてください!

 

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