gap PRESS vol.181
2024.12.15.
Posted on 12.15.24
gap PRESSの最新号は、2025 Spring&Summer PARIS/LONDON コレクション特集号です。
表紙は、GUCCIから移籍したアレッサンドロ・ミケーレによるファーストコレクションとなるVALENTINOのものです。
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VALENTINO
前任のピエールパオロ・ピッチョーリは、現在DIORのクリエイティブ・ディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリと共に低迷していたかつての名門,ヴァレンティノを見事に復興させました。
当時から既に素晴らしい才能を持った2人が手を組んでクリエイションを指揮したのですから、それは当時のヴァレンティノのコレクションというのは圧倒的なものがありました。
デザイナーの片方,マリア・グラツィア・キウリが抜けた後も、ピエールパオロ・ピッチョーリは自身の持ち味である端麗で格調高いコレクションを発表し続け、ヴァレンティノの価値を維持していました。
そして、その時代を経てのアレッサンドロ・ミケーレ就任。
ピエールパオロ時代の厳格さとは打って変わってミケーレらしい装飾主義的なコレクションでしたが、こちらもヴァレンティノのレガシーをちゃんと感じられるもので、やはりミケーレの才能は素晴らしいなと改めて感じるものでした。
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MIU MIU
MIU MIUは快進撃を続けています。
ここ日本でもアパレルが売れていると聞きます。
バッグや小物ではなくアパレルが売れるブランドというのは、それだけファッショニスタの人達にコレクションが支持されているということです。
先日、fashionsnap.comの記事で、現在MIU MIUのスタイリングやキャンペーンを担当しているスタイリストのLotta Volkova(ロッタ・ヴォルコヴァ)が取り上げられているのを見ましたが、今のMIU MIUの成功の影にはロシア人スタイリストのロッタの存在があります。
セントラル・セント・マーチンズでアートとデザインを学んだ彼女は、デムナ時代のVETEMENTS(ヴェトモン)でスタイリストだけでなくモデルのキャスティングやコレクションのコンサルティングも行い、ブランドの躍進に大きく貢献しました。
今のモード界においてもキーマンとなっている人物だと思います。
ミウッチャとロッタの黄金のコンビネーションが続く限り、MIU MIUは魅力的なコレクションを発信し続けてくれるでしょう。
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SAINT LURENT
最後にもうひとつくらい取り上げて終わりにしようと思って、どれにしようかと考えたのですがヴァカレロのサンローランについて少し書くことにしました。
アンソニー・ヴァカレロがサンローランのデザイナーに就任したのは、前任エディ・スリマンの後任としてでした。
エディはその後、CELINEのクリエイティヴ・ディレクター(正確にはアーティスティック、クリエイティブ&イメージディレクター)に就任し、メンズを立ち上げ、セリーヌの飛躍にも大きく貢献しました。
先日、エディがセリーヌの同職を退任するというニュースがありました。
その任期は7年間に及ぶものでした。
その間もアンソニーはサンローランで素晴らしいキャリアを築いてきました。
エディのようなカリスマ性まではないし、話題性もそんなに大きなものではないのかもしれませんが、アンソニーはデザイナーとしてとても優秀な人物に映ります。
就任当初は、エディ・イズムを受け継ぐようなスタイルにブランドを導くのかな、とも思ったりしましたが、長く見続けるほどにヴァカレロの色やスタイルというものがエディとは明確に違っているのだということを理解できるようになりました。
ヴァカレロがサンローランで立ち上げたアートやカルチャーのプロジェクトでも、エディともまた少し違った趣味趣向のアーティストやデザイナーを取り上げており、カルチャーにも精通していたエディの後でも臆することなく自身の審美眼に基づいた人選をしていることが凄いなと思いました。
アンソニーのサンローランでのキャリアは、この先、延べ10年に到達しても何ら不思議ではありません。
それだけ素晴らしいクリエイションを続けていると思います。
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という感じのパリ・コレクション雑感でした。
本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はご来店時にぜひごご覧くださいませ!