Posted on 04.21.23

Maison Martin Margielaの1989年のデビューコレクションの様子をジャン=クロード・クトースが撮影した写真をもとに作られたフォトジン。

 

 

モード界に残したマルタン・マルジェラの功績はあまりにも偉大なものでした。

本誌は、そんなマルタンの今となっては伝説の始まりとも言えるデビューコレクションの様子が収められた貴重なフォトジンです。

 

 

 

 

今のモード界では、各ブランドのショーのフロントロー(招待客の最前列)にはセレブやK-POPアイドルなど、大衆に絶大な人気と影響力のある人物が並んでいます。

もちろん、ブランドが招待するわけです。

ショーでは、サステナブルとか多様性とかを掲げてるのに、「建前だけは優等生ぶって、結局は売上の為なんでしょ?」と冷めた目で見てしまいます。

 

 

 

このマルジェラのショーでは、アフリカ系と思われる子供たちがフロントローどころか、ショーそのものと一体になっています。

もちろん、この子供達に媚びを売ったところで、この子達の親はマルジェラの服なんてとても買えないような所得の人達だったと思います。

でもマルジェラは、モードの世界とは別世界で生きているこの子供達をショーに招待したのでしょう。

その非日常で特別な体験を心から楽しんでいるのが、子供達の表情から伝わってきます。

 

 

僕にとってマルタン・マルジェラが長い間(マルタン退任以降も意思を継いだデザインチームが健在の間は)お気に入りブランドのひとつだった理由は、単純にそのアヴァンギャルドな発想のデザインが好きだったというのもありますが、こういった自身にとって非常に大事なデビューコレクションの舞台でも商業重視ではなく服を通じてもっと別の社会貢献の方法を考え、しかもそれで且つどのラグジュアリーブランドよりもクールなショーをやってのけるマルタンのデザイナーとして, 一人の人間としての生き方や考え方に心底魅了されていたからです。

 

僕にはマルタンの1000万分の1の才能もありませんが、マルタンの精神を尊敬している一人として、V:oltaを少しでもマルタンの爪の垢を感じるような美容室にできるように、精一杯精進して参ります。

 

本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方はぜひ手にとってご覧になって、誌面から当時のショーの熱気や空気感, そしてマルタン・マルジェラの精神を感じていただけたらと思います。