VOGUE ITALIA N.833
2020.01.18.
Posted on 01.18.20
イタリアンヴォーグの最新号が届きました!
2020年もイタリアンヴォーグはメチャメチャ攻めてます!
この表紙をご覧の通り、表紙にはモデルの姿はなくイラストが使われています。
創刊56年目を迎えるVOGUEにおいてこのような初の試みが行われた背景には、表紙の写真撮影にかかる『環境への負担』を訴える為でした。
Vogue Italia編集長のエマニュエレ・ファルネティは、先日、2019年9月号を完成させる為にかかった「人的資源」「天然資源」を明らかにしました。
彼のコメントによると、150人の関係者がかかわり、飛行機20便、電車20本以上、60件以上の国際宅配便を利用した。現場の照明は少なくとも10時間以上連続で点灯し、ガソリンを燃料とした発電機もあったほか、40台の車がスタンバイしていた。さらに、ケータリングサービスから出るプラスチックゴミに、カメラの充電のための電力……挙げればきりがない。
ということでした。
2019年12月、25ヵ国のヴォーグ各編集長は共同声明で、「次世代のために自然環境を守ること」を約束しました。
言ってることは、大変前向きで素晴らしいですが、ファッションの世界は人々の生活に彩りや幸せを届けてきた代償として、実際かなりの“資源の無駄使い”もしてきたと思います。
ファストファッションなどの低価格ブランドでは「低賃金重労働による人的負担」や「環境に配慮しない素材選び」「在庫の大量廃棄」などが大きな問題点で、ハイファッションはエマニュエレ・ファルネティのコメントの内容を見てもわかるように、全てにおいて「贅沢な使い方」が常套手段です。
例えば世界を代表するようなラグジュアリー・ブランドでは、デニム1アイテムを作る過程において、最初のデニム生地から生産過程を踏んで、最終的に店頭に並ぶことができるのは、使用された全ての生地のうち20~30%くらいです。請け負った工場が納品した完成形の中からも「クオリティに見合う出来ではない」ものは厳選され、全て返品されます。工場にはそれでも十分な報酬が支払われますが、当然依頼を受けて完成させたものの2次的使用は禁止されていますので、それらの返品商品は廃棄せざるを得ません。十分使えるのに、です。
ハイファッションとは、いくら綺麗ごとを並べても、元々そういうものなんだと思います。
そういった背徳的な過程を踏んで完成された洋服だからこそ、そこに他にはない感動や高揚感を憶えるほどの芸術的な洋服が作られるのも事実です。
ファストファッションやファッションビルに入ってるようなブランドにもまた違った問題はあるし、ファッションにおいて最も環境に優しいのは、洋服のアイテム数を限りなく絞って着回しながら少しでも長く使い続けることです。
それは、ファッションに興味のない人がする行動に近く、ファッションが好きな人ほど、環境対策とはどうしても矛盾してくることが多くなってきます。
自分も含めて、ファッションに関心が高い人たちは、少なくともそのことを理解しておく必要はあると思います。
エマニュエレ・ファルネティによる今回の本誌の試みも、きっとそういう思いが込められているのではないかと思います。
長くなってしまいましたが、本誌の中身も少しご紹介いたします。
誌面にも8人のイラストレーターやアーティストが手掛けたイラストがズラリと並んでいます。
3枚目のイラストは、「ファイナル・ファンタジー」を手掛けたことでも知られる日本人イラストレーターの天野喜孝さんの作品です。
自分がVogue Italiaを購読しているのは、数あるモード誌の中で一番撮影された写真のクオリティが高いと感じるからです。
そのVogue Italiaが率先してこういう斬新な試みをするところが、やはり素晴らしいなと思います。
自分たちも、普段の生活の中でサスティナビリティな選択を実践できるところから意識して、少しずつでも行動に移していくようにしましょう!
本誌はお店に置いてますので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧ください。