世の中とは、便利になったもので、例えば街を歩いていて、その街並みや景色からふとある曲が連想され頭の中に流れるとする。今まではそれで終わりだが、あらゆるものがデータ化された現代では、携帯型HDDプレイヤー等のおかげでそんな時にすぐにその曲を聴くことができる。

今日、久しぶりに都心を離れた駅で降りて、寒空と閑散とした景色の中を久しぶりに歩いてたら、Belle & SebastianのMornington Crescentを無性に聴きたくなって、そんな時でも僕のipod touchの脳漿に詰まった50GB+αの力を持ってすれば、自分の聴きたくなるであろう曲にはだいたい対応してくれる。

それもそのはずである。なぜなら自分が吹き込んだのだから。

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Mornington Crescent – Belle & Sebastian

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この曲のタイトルであるモーニントン・クレセントとは、ロンドン郊外にある地下鉄の駅名である。

1900年代初めにオープンした駅だったが利用者は多くなく、長年「平日のみ利用可能」な駅だった。

1992年の10月に、エレベーター工事のため1年ほどの予定で閉鎖されたが、工事の遅れで閉鎖は数年に及んだ。ついにはこの駅再開のためのキャンペーンが実施され、1998年4月、ようやく再び日の目を見たのである。

この曲は、そんな郊外で素朴に働きながら恋人のことを想い歌った、哀愁漂う素朴な歌である。

曲中での主人公の仕事は、アフリカ法が専門の調停人であるリッチなセネガル人のマンションの壁をペンキで塗ること。

仕事をしながら見える様々な人々。

彼はモーニントン・クレセントにある、優雅で限りなく気取った小道が大好きなのである。

しかし、曲の最後は現実の自分となって語りかける。

自分がしたかったのは、本当はペンキ塗りではなく、パンクを歌うことだったことを。

そして、誰にでも実現できる可能性があるということを…

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I was a joker, the wannabe punk that got lucky

(ぼくはひょうきん者で、パンク志望で、ツイてただけ)

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Egoistic swine to all your friends

All the ladies and the man

The possibilities suggest themselves to me

(利口的なブタと化した君の友達にだって)

(すべての男女に、いろんなことができる可能性があるように僕には思える)

We’re a little too free

(ぼくたちは、いささか自由すぎる)