Posted on 10.08.13

マーク・ジェイコブスがルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターを退任しました。

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この衝撃のニュースは、先日パリで行われたlouis VuittonのS/Sコレクション終了後に発表されました。

 

マークは97年にルイ・ヴィトン(以後LV)のアーティスティック・ディレクターに就任以来、実に16年間この責任重大なポジションを勤め上げました。

 

マークがLVのディレクターに就任するまでは、LVといえばバッグ。

モード界において今のようにトレンドセッターの役割を果たしてはいませんでした。

 

そんな老舗ブランドはマークの就任により劇的に変わります。

マークの就任とともに、LVは本格的にアパレル分野に進出。

 

熟練されたルイ・ヴィトン伝統のクラフトマンシップに、マーク・ジェイコブスの素晴らしいクリエイションが加わり、LVはさらに発展を遂げます。

 

わずか16年で、アクセサリー中心のラグジュアリーブランドだった「Louis Vuitton」をファッションシーンでもトップのブランドへと導きました。

 

マーク本人は、当時のことを

「プレタポルテタを開始して数年は、これまでモード(ファッション)になかったルイ ヴィトンのイメージを作り上げるのに非常に苦悩した」

と語っています。

 

マーク・ジェイコブズの戦略のもと、バッグの分野も伝統を重視しつつ、次々に改革をはじめ、1998年ダミエ・ラインが定番商品として復活しました。

その後も、村上隆や草間弥生とのコラボレーションなど、今では珍しいものではなくなった『ハイブランドとアートのコラボレーション』に挑戦し、見事に成功させました。

 

今やルイ・ヴィトンは、モード界の頂点とも言えるパリコレの舞台で、真打ちとして登場するブランドにまで成長を遂げました。

 

ただ実績のあるブランドというだけではなく、今も新しいことを発信する立場にもなったのです。

 

先日発表されたマーク・ジェイコブス最後のルイ・ヴィトンのコレクションは、これまでショーで使われてきた噴水,メリーゴーランド,エスカレーター,ホテルの部屋といったアイコニックな演出がズラリと並んだ非常にスペクタルで感動的なものでした。

 

その大掛かりな演出は、ルイ・ヴィトン社のマークに対する感謝の気持ちの現れでもありました。

 

ショーのフィナーレでは、音が一旦止まり静寂に包まれた会場に、時計の針が進むチクタクという音が響きます。その後、再度流れる音楽に促されるようにモデルたちが再び歩き始めます。

 

その様子は、まるで『ルイ・ヴィトン』と『マーク・ジェイコブス』の新しい時間の始まりを告げるかのようでした。

 

ショーのラストに涙を浮かべて登場したマークの姿が、とても印象的で感動しました。

 

 

マークは、最後にこうコメントしています。

 

「私がパリを見渡した時、息を呑むのはその街の奥深さではありません。心を奪われるのは、そこに施された装飾です。それは、考えるというより感じるものです。そんな光景に出会えた時、これほど深い驚きを呼び起こすものはありません」

 

自分は、マークのルイ・ヴィトンでの最後のコレクションをみて、この言葉に裏打ちされたマーク・ジェイコブスの底知れない感受性と表現力に圧倒されました。

 

舞台は変わっても、マークには、まだまだ今回のような素晴らしいショーをたくさん見せて欲しいと思っています。

 

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マーク・ジェイコブスの一ファンより