MODE et MODE no.364

2013.08.23.

Posted on 08.23.13

MODE et MODEのA/Wオートクチュール特集号を入荷しました!

 

V:oltaでは、コレクション誌は Fashion News, gap COLLECTION, QUOTATION FASHION ISSUEと取り揃えてますが、最近ではどれもプレタポルテが中心で、オートクチュールまで掲載しない傾向にあるので、今号を特別にピックしました。

 

表紙は、個人的にここ最近ずっとフェイバリット・ブランドに挙げているVALENTINOです。

 

 

上記のように、モードの世界でも近年は「コレクション」と言えば『プレタポルテ・コレクション』(高級既製服によるコレクション)を指します。

 

ここでおさらいの意味を兼ねて少し説明しておきますと、ハイブランドがそのシーズンの服を世界的に発表する舞台は大きく分けて2つあります。

 

オートクチュール・コレクションとプレタポルテ・コレクションです。

 

オートクチュールは、コレクションで発表したデザインの洋服をメゾンのデザイナー自らが顧客の為にリサイジング,アレンジします。服の素材も一切妥協をしない最高級のものを熟練のクチュリエが仕上げます。

その為、それらの洋服は到底一般人には手が出せない浮世離れした金額になります。

オートクチュールコレクションに招待されるのも、超アッパークラスの家系の人たちやスーパーセレブが中心となります。

限りなくマーケットは狭いですが、どこのメゾンもここにプライドを掛けています。

 

もう一方がプレタポルテです。

こちらは、ハイファッションを一般の人達にも着てもらえるように、と、予めデザインとサイズを用意した『高級既製服』としてオートクチュールの後に新設されたコレクションです。

取材を申し込むファッション界のプレスの数もプレタの方が全然多いですし、世界中のセレクトショップのバイヤーもショーを見ることが出来ます。

これらのショーをみてトレンドを読み解き、次シーズンの買い付けを考えるのです。

プレタポルテのコレクションに出るようなブランドの服も、その他の既製服ブランドと比べるとまだ割高感はありますが、まだ一般的にも手の届く範囲の価格帯で、世界的なデザイナーによるデザイン,世界最高峰の職人による縫製のクオリティは、他ではなかなか真似のできない着心地の良さや高揚感があります。

 

プレタポルテが本格的に広まったのは60’sからです。

(世界で初めてプレタを発表したブランドはChloé。画像参照)

PARIS-Chloetenji-13

もちろん、プレタポルテがでる以前から既製服はありましたが、一般的には大量生産の質の低いもので、差別化を図るために、これらはプレタポルテと呼ばれるようになりました。

オートクチュールのブランドが本格的にプレタポルテを手がけるようになったのは、イヴ・サンローランがセーヌ川の左岸にブティックを開いたのがきっかけです。(当時は右岸に各ブランドのオートクチュール・メゾンが並んでいました。サンローランでは、現在のエディ体制になるまでプレタポルテラインは“イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュ”【リヴ・ゴーシュは左岸の意味】として展開されました)

 

プレタポルテの繁栄により、ハイブランドは日本でも身近な存在に感じられるようになりました。

 

そして世界的にマーケットが広がった現在、プレタポルテこそが“メゾンの核”へと時代は変化しました。

 

高感度なファッショニスタでもオートクチュール・コレクションまでチェックしている人は少ない時代です。

 

プレタ自体も近年は、ACNE,KENZO,CARVENなど更に価格帯を下げたミドルマーケットのブランドが成功し、世界的な不況も相まって低価格化の波の中にあります。

もちろん、価格帯を抑える為には、デザインの簡略化や使用する素材の制限などの妥協を余儀なくする場合も多くあります。

ミドルマーケットのブランドは、これまでハイブランドに興味を持たなかった人達も取り込んでハイファッションのマーケットを拡大し、モード界にも大きな功績を残しました。しかし、その一方で、これまで服作りにこだわり続けてきたメゾンまで今まで以上に「商業性」を求められるようになってきているように感じます。

 

「オートクチュールなんて時代遅れ」

 

ファッション業界の中心にいる人達からもそういう言葉が平気で出る時代です。

実際、トレンドの多くはプレタポルテから生まれているのです。

 

そんな時代の真っただ中で、他とは逆行するように服作りに取り組んでいるのがヴァレンティノというメゾンです。

 

_

長々と長文になってしまっていますが、お読みいただきありがとうございます。しかし、今までの文章はヴァレンティノの素晴らしさを伝える上での“前書き”に過ぎないので、ここまでお読みいただいた方はどうか最後までもう少しだけお付き合いください。V:oltaは来月移転しますが、新店にかけた想い、ご来店いただいているお客様へのV:oltaとしての姿勢として、お伝えしておきたいと思います。

_

 

マリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリの2人がクリエイティヴ・ディレクターに就任してからのヴァレンティノは、プレタポルテの舞台でもオートクチュールさながらの圧倒的なコレクションを発表しています。

 

そこには、オートクチュールの素晴らしさ、メゾンのクチュリエの技術力の神髄をもっと多くの人に知ってもらいたい、という思いが詰まっているように思えます。

 

その完成度の高さは、見ていてため息が出るほどです。

 

自分は好きなファッションブランドは他にもたくさんあります。

 

エルメスやルイ・ヴィトンのような最上質のラグジュアリーを駆使したメゾンも憧れますし、リック・オウエンスやアン・ドゥムルメステールのようなストイックに自身のスタイルを追求しているデザイナーも尊敬します。他にも、マルジェラやドリスなど一環してメゾンのスタイルを崩さず、独自のスタイルを持っているブランドはずっと好きで居続けています。

それらは「そのデザインが好き」であったり「その世界観が好き」なのです。

 

しかし、自分はヴァレンティノからは『その姿勢』に感銘を受けるのです。

 

V:oltaには、サロンの特性上、デザイナーなどクリエイティヴに関わるお仕事をされている方にたくさんご来店をいただいています。その方々はクリエイティヴなことがしたくて夢の職業に就いたのです。しかし残念ながら、その方たちのほとんどは本当にやりたいことができていない現状にあります。今の日本の社会でも「そういう拘りは必要ない」という見方がされているからです。

 

そんな中、ヴァレンティノのような精神は、今の合理的で商業主義な世の中にある“僅かな希望”だと思います。

 

その姿勢は、同じ精神で今の世の中にささやかな抵抗をしようとしている、遥か離れた大阪の小さな美容室のオーナーである自分にとっても希望の星として映っています。

規模もクオリティも全然敵いっこないけど、自分たちも自分たちなりに信じているものを貫いていこうと思っております。

 

お店を移転するにあたり最初に考えたことは、今のお客様全員に「前のお店よりも好き」と言っていただくのはほぼ不可能だということ。それなら、V:oltaじゃないと満足できないお客様にもっと特別感や、お気に入りの洋服を買って初めて着た時のような高揚感を感じていただけるようなサロンにしようと思いました。

 

たとえそれが客層を限定するようなことになってしまったとしても後悔はしません。(たぶん…)

 

でも、きっと今V:oltaに来てくださっている大部分のお客様は喜んでくれるお店になると信じております!

 

ということで、長々と失礼いたしましたが、お客様に伝えたかったのはそういう想いです。

MODE et MODEのこと全然紹介しなくてすみませんでした。

 

お店が新しく生まれ変わってもV:oltaをどうぞよろしくお願いいたします!