ディオールと私

2015.03.18.

Posted on 03.18.15

観てきました!

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2012年の4月にクリスチャン・ディオールのデザイナーに就任したラフ・シモンズが、ファースト・コレクションとなる同年7月に開催されたディオールのオートクチュール・コレクションまでの3ヶ月間のドキュメンタリー作品。

 

先に言っておきますが、こういった類のファッションデザイナーにフォーカスしたドキュメンタリー映画は他にもいろいろと見てきましたが、今回の映画はその中でもナンバー1なくらい物凄く良かったです。

 

なぜ、そんなに良かったのか?

それは、ラフ・シモンズがクリエーターに近いデザイナーで、もともと天性のファッションデザイナーのタイプではないから、その苦悩に共感を覚えやすかったからだと思います。

 

(まだここからかなり長い文章を書く気満々なので、この映画を観ようと思ってる方はぜひ先に劇場で観てください。)

 

ファッションデザイナーには、大きく分けて2タイプ存在すると思っています。

ひとつは、ゼロから生み出すことのできるデザイナー。ディオールにおけるラフの前任だったジョン・ガリアーノなんかまさにデザイナータイプです。

頭の中に浮き上がったイメージをスケッチに落とし込み、そのスケッチをもとにクチュリエたちが実際に洋服にしていきます。このタイプは、デザイナーとして天賦の才があると言えます。その数も稀少。ですので、性格も自信に満ち溢れたタイプが多いように感じます。

 

もうひとつがクリエータータイプ。ラフ・シモンズがまさにそんな感じです。

(ラフの場合は)ファッションにおけるアーカイヴや、建築, アートなどからもインスピレーションを働かせて、今までに存在したものからまた新しい発想の洋服を作るタイプ。

 

インダストリアルや家具のデザインを専攻していたラフはファッションスケッチを描かない代わりに作りたいもののイメージやアイデアをアシスタントたちに伝え、スケッチを描かせます。

この段階で、デザイナータイプに比べてかなりのハンデキャップがありそうなものですが、その分、ラフは斬新な発想力と繊細すぎるほどのこだわりでカバーしています。

クリエータータイプの多くは、マーケティング面につながるようなデザインをしがちな中、ラフのそれは一線を画しているといえます。

 

 

クリスチャン・ディオールの一番の特徴はフェミニン。女性らしさです。

ラフの前任であったジョン・ガリアーノも、ロマンティックなフェミニンさが持ち味のデザイナーで、ディオールにとてもマッチしていたと思います。

そんな伝統のメゾンにおいて、ミニマルなデザインを好むラフの就任は意外性のある人選でした。

ディオール就任の直前まで務めたジル・サンダーとクリスチャン・ディオールとでは、ほぼ対極にあるブランドと言っていいくらい違います。

 

そんなメゾンに就任して、しかも3ヶ月後にはラフにとっても初めてとなるオートクチュール・コレクションを発表しなければならないという重圧が重くのしかかってきます。

 

ラフ・シモンズという人は、1mmの狂いも許さないほどの神経質で目立つのも苦手なタイプ、メゾンで働くクチュリエとのコミュニケーションも上手くとれるほうではないですが、そんな彼を10年来の右腕であるピーター・ムニエが完璧なまでにフォローしています。多分、クリエイティヴ系以外の仕事ならピーターの方が部下に慕われる上司として理想的な存在だと思いますが、そんなほぼ完璧なピーターでもクリエーション能力だけはラフに敵わないのです。だからピーターはラフを尊敬していますし、この一点の突出した能力だけでモードの世界ではラフ・シモンズの方が上に立つ人間に相応しいのです。

しかし同時にラフの今日の評価は、ピーターなしではあり得ないのも事実です。

 

この映画は、モードがなぜ素晴らしいのかを自分たちのような一般人にもわかりやすく伝えてくれている映画です。

モードとは、デザイナーやメゾンのクチュリエなどのスタッフ、それに関わる全ての人が限界を超えたところに挑み続けた結晶が作品として生み出されています。

「カワイイ」とか一言で終わらせるような表面的なものではなく、それらの洋服は感動を呼ぶのです。

 

少なくとも自分は、この映画のラストでも流れるラフ・シモンズ初めてのディオールのオートクチュールのコレクションをその当時実際見た時は、その素晴らしさに感動しました。

 

こんなこと言うのも良くないですが、ディオールとかのラグジュアリーブランドで買い物をしてる人達を「ただのブランド好き」だけ(もちろんそんな人もたくさんいます)だと思ってる人にこそ、この映画を観てほしいです。

もう絶対にそんな風に思えなくなるはずです!

(ハイブランドに興味はあるけどイマイチなぜそんなに高価なのかわかってない方もぜひ観てみてください、もっとオシャレになれるはずです)

 

ファッション映画の枠を超えた素晴らしいドキュメンタリー映画だと思います。

 

みなさま、ぜひご覧になってみてください!