Posted on 10.28.14

観てきました!

カナダの若き才能、グザヴィエ・ドランによる『トム・アット・ザ・ファーム』

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前作『わたしはロランス』の日本公開で、日本の映画ファンにも一気に注目度が増した若干25才の新鋭グザヴィエ・ドラン。

 

今作でも監督、主演、編集…とマルチにこなしています。

 

前作までは「かなわぬ愛」がテーマの3部作でしたが、168分にも及んだ前作『わたしはロランス』でそのテーマとしてはとりあえず頂点まで登り詰めたと言うことでしょうか。

今作は、また違った方向性を示した作品でした。

 

世の中には様々な個性を持った映画監督がいますが、自分の印象ではグザヴィエ・ドランはまさに“感性の人”です。本人がゲイというのも見てて納得なほど、色彩美やカメラワークなどの感覚的なインスピレーションは独特で非常に優れてる印象を受けます。

 

おそらく、ただオシャレな映像という点では『わたしはロランス』の方が上回ると思いますが、今作では、その独特の感性はガラリと方向性を変え、閉鎖的で不気味な世界を創り上げています。

 

あらすじは、

恋人のギョームがこの世を去り、葬儀に参列するために、彼の田舎に足を運んだトム(グザヴィエ・ドラン)。しかし、ギョームの母はトムのことを知らず、一方ギョームの兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)はトムとギョームの関係を他言しないようにと強く言い聞かされる。フランシスに脅されるうちに、トムはフランシスに死んだ恋人の姿を重ね合わせるようになり……

というもの。

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本作は、カナダ・ケベック州在住の劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの同名戯曲の映画化で、ケベックの雄大な田園地帯を舞台に一瞬たりとも目を離すことのできないテンションで描き切る、息の詰まるような愛のサイコ・サスペンス。

 

内容はガラリと変わっても、相変わらず素晴らしいカメラワークや音楽使い、そして、なんと言ってもその変化の矛先となったどこかキューブリックの『シャイニング』を彷彿とさせる「不気味さ」や「緊張感」といったムードを演出する才能は、やはりこの人は天才だなと感じました。

 

ご興味のある方は、ぜひテアトルへ!