Posted on 06.19.13

巷ではプレ・セールの時期ですが、メンズファッション界は、ロンドン・コレクションを皮切りに各地で来期春夏のファッション・ウィークに入る時期となりました。

 

最近ではインターネットの普及で、コレクションをリアルタイムで観れたりするブランドもあり、情報をいち早くキャッチできる時代になりました。

 

とても便利な反面、ファッション・ニュースなどのコレクション誌の発売を、サンタクロースを待つ子供のようにワクワクしながら待ちわびてた時代が懐かしく、「豊かだったな」とも感じる今日この頃です。

 

ロンドンには、バーバリー・プローサムや、新進気鋭のJ.W.アンダーソンなど、素晴らしいコレクションを見せてくれるメゾンがたくさんありますが、自分は最近のアレキサンダー・マックイーンを特に注目しています。

 

ブランドの創始者であるリー・アレキサンダー・マックイーンの突然の死の直後、半ば選択の余地なくポスト・マックイーンとしてメゾンのクリエイティヴ・ディレクターに抜擢されたのが、当時マックイーンのメインアシスタントを務めていたサラ・バートンでした。

 

「とにかく穴を埋めなくては」

 

そんな経営陣の思いとは裏腹にとてつもなく大きくなっていく『周囲の期待』と『自身のプレッシャー』

 

就任当時、UK版VOGUEのインタビューでサラはこう自問自答しています。

 

「どこから手をつければいいの?」

 

リー(アレキサンダー・マックイーンの本名)のクリエイションは、他の誰とも異なってました。

彼の創る作品は“苦悩”や“絶望”の渦巻いた中から生まれてくるものでした。

 

サラ自身も「彼のあとを引き継ぐのは苦しかった」と当時を語っています。

 

サラ・バートン就任当初のマックイーンには、“苦悩”というよりは“迷い”が感じられたように思います。

もともとスタイリッシュだった彼女の体型も、みるみるうちに太っていきました。

この頃のプレッシャーは、想像を絶するものだったでしょう。

 

そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは、イギリス王室でした。

ロイヤルウエディングを控えたキャサリン妃が、サラにウェディングドレスをオーダーしたのです。

 

もともとサラには、リーのような“闇”を感じるデザインよりも、“幸福”に包まれた洋服を作るほうが向いてたのかも知れません。

 

このロイヤルウェディングを期に、サラのデザインするマックイーンは改めて評価を高めました。

 

そして今年、自身もめでたく双子を出産したサラは、今コレクションでマックイーンをよりエレガンスなものにシフトしました。

そこには「幸せの絶頂」を感じているサラ・バートンの思いが凝縮されたデザインが溢れていました。

 

 

しかし、そのデザインは、あくまでマックイーンらしさを残したものでしたし、故リー・アレキサンダー・マックイーンに対する敬意が表れたディレクションでもありました。

 

※スモーク(煙)とブラックローズ(黒いバラ)をインスピレーションにした柄

同時に、今まで見た中で、サラ・バートンという人物像が一番表れているコレクションだったと感じました。

 

リー・アレキサンダー・マックイーンは、あまりにも素晴らしいデザイナーでしたが、サラ・バートンも苦難を乗り越えデザイナーとして脂の乗る時期に差しかかったのだと思います。

 

そんなことを感じたロンドンコレクションでした。

 

そして、来週からはロンドン,ミラノに続きパリコレクションが始まります!

 

 

2010年のピッティ以来となるメンズコレクションを発表するハイダー・アッカーマンや、アレキサンダー・ワン体制での初のメンズウェアとなるバレンシアガ、そしてやっぱりエディ・スリマンによる3シーズン目となるサン・ローランが今度はどんなことをしてくるのか…

 

自分には、ワールドカップが始まるくらいワクワクしています★

 

No fashion, No life!!!