Posted on 11.07.12

上記のタイトルが何を指すかというと、来期のクリスチャン・ディオールとサンローランであります。


以前、ブログでも書きましたが、直近のパリコレで注目を一同に集めたのはこの2ブランド。


革新的なものが生まれにくい現在のファッション界で、将来的にファッションの教科書に載ることになるであろう出来事だと思います。


しかし、よく比較された(というかそれ以外の話題が少なすぎた)両ブランドのコレクションですが、それぞれのブランドがしたことは全く異なった内容のものでした。


まずは、クリスチャン・ディオール。

「鬼才」と呼ばれ、圧倒的な存在感で観客を魅了し続けていたジョン・ガリアーノが去った後、「ポスト・ガリアーノ」的な存在を探すのではなく(探したでしょうけど)、まったく世界観の違うラフ・シモンズを起用し、ディオールに“革新的”なまでの変化をもたらしました。

しかし、ディオールにとって「ガリアーノ時代」の方がむしろ“異質”で、ラフを迎え入れた現在の方がムッシュ・ディオールの頃に近いのではないかと思います。

売れる売れないは別として、とても素晴らしいプレタポルテでした。


対して、サンローラン。

かつてサンローランにも在籍したこともあるファッション界きってのカリスマ、エディ・スリマンを呼び戻しサンローランの全ラインを統括させます。

しかも、ロサンゼルスに住みながらの活動を許すだけでなく、ブランドのロゴからショップデザインまでも自由にできるというVIP待遇で迎え入れたのです。

5年以上もファッションの現場から離れていてウィメンズのデザイン経験がないデザイナーに対しては、異例の待遇です。


そして、エディもその大き過ぎる期待に見事に応えます。


今は亡きイヴ・サンローランへの敬意を表しながらも、自分の描きたい女性像を反映させていました。

その象徴がファーストルック。

スキニーパンツにジャストサイズのジャケットという、いわばケイト・モスのような“カッコイイ女性”のファッションをもっと広めたいという思いがあるのでしょう。

自分もそのようなファッションの女性がストリートに増えるのが見てみたいです。


ちなみに、かつて無名だったイヴ・サンローラン少年の才能に魅了され、自身のメゾンに招き入れたのは、ムッシュ・ディオール本人でした。

そして、ディオールの死を期に弱冠21才のサンローランがディオールのチーフデザイナーに就任するのです。


この2人の名を冠にするブランドが、2012年のこの現代でまた比較されるのも深い縁があるのでしょう。


少し反れましたが、歴史のあるメゾンに起用されるデザイナーは、そのメゾンの伝統を継承しつつも、“自分らしい応用”を入れる必要があるのです。

そのようにしてトップブランドは、長くトップブランドで居続けるのでしょう。


と言ってる最中、ニコラ・ゲスキエールがバレンシアガを辞任するというニュースが入ってきました!

ニコラとバレンシアガは、とてもマッチしていたと思うので、これが本当なら残念です。


既にニコラの後継には、アレキサンダー・ワンやジョセフ・アルチュザラが最有力候補として名が挙がってるみたいです。早っ!!!


これからバレンシアガがどのように変わっていくのかが楽しみでもあります。