PRODISM -sacai-
2023.03.08.
Posted on 03.08.23
そこまで強い興味もないのに、PRODISMのsacai特集号を買ってみました。
sacaiデザイナーの阿部千登勢さんは、ブランド立ち上げ前はCOMME des GARCONSでパタンナー/ニットウェアの企画を担当していた経歴を持っています。
sacaiは、当初は面白いニットを作るブランドという印象がありました。
ブランドの成長と共に手掛ける洋服の種類を増やし、今ではパリコレのsacaiのランウェイには世界中のバイヤーが集まる人気ブランドへと駆け上がりました。
阿部千登勢さんの旦那さんは、こちらもkolorを手掛けるファッションデザイナー, 阿部潤一さんです。
もともとはPPCMというブランドで業界からも注目されていました。
sacaiの洋服は、トレンドを捉えたセンスの良さの中に実験的でニッチな要素が入っています。
そのニッチさはもともと阿部千登勢さんが持ってた部分もあると思いますが、旦那さんである阿部潤一さんからの影響も少なからずあるのではないかなと感じています。
現代のモード界では、少し前にValentinoを復興させたピエールパオロ・ピッチョーリとマリア・グラツィア・キウリの男女コンビ(現在は解散、ピエールパオロのみ留任)や、現在もトレンドセッターの位置にいるJil Sanderを手掛けるルーシー&ルーク・メイヤー夫妻、一番最近ではPRADAにおけるラフ・シモンズを招聘してのミウッチャ・プラダとの協業体制など、デザイナー職に男女二人を置くブランドも珍しくありません。
ジェンダーの多様性が謳われている現在、こういうことを言うのもナンセンスかも知れないですが、ファッションやバランス感覚においてセンスの良い人は男性よりも女性の方が圧倒的に多いように思います。
でも、豊富な知識量など、突き詰めるタイプのオタク気質な人は逆に男性の方が多いです。
ここにおいても大事なのはそのバランス感覚で、その両方の要素がどれくらいの割合で配合されているかによって「玄人受けもしつつ売れる」領域が存在します。
(僕個人的には、玄人寄りであんまし売れないけどしっかり継続できているようなブランドの方が好きですが)
お互いの強みをハイブリットさせる男女共同デザインというのは、浮き沈みが激しいモード業界で成功し続ける為にも理に適った戦略だと思います。
僕はsacaiは昔何着か買ったことがありますが、以前とはニッチさが幾分薄まった(その分爆発的に売れるようになった訳ですが)ように思える最近のsacaiは個人的には買いたくなるようなブランドではなくなりました。
これだからオタク気質のメンズは扱いが難しいです。
という感じの、sacai及び最近のモード界のトレンドへの雑感でした。
本誌はお店に置いていますので、ご興味のある方は待ち時間などにぜひご覧くださいませ!