Malibu – Vanities
2025.10.10.
Posted on 10.10.25
フランス出身のアンビエント作家,Malibuのデビューアルバム『Vanities』

また素晴らしいアーティストが一人誕生しました。
都会に住み、そこで生活していることで感じる、もののあはれ。
そんな都会暮らしで疲弊した心を、時間をかけて優しく治癒してくれるような作品です。
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本作についてのMalibuのメッセージもご紹介させていただきます。
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海は小さな宝物を浜辺に戻してくれる。それを少女は毎日探し歩く。濡れた砂に埋もれた小さなものを見つけてはポケットに詰め込み、家へ帰る。家に戻ると、その小さな宝物を部屋のあちこちに並べる。
彼女は部屋から部屋へと歩き回る。ひとつの部屋は暗くて冷たい。エアコンは動いているのに、スイッチを押しても灯りは点かない。電動ブラインドに当たる太陽光は部屋の奥まで届かず、壁の上で光が踊る。それは予測できるのに、決して同じではない。少女は廊下が好きだ。そこは細長く、ヒールが木の床を打つ音が心地よい。二つの扉のあいだに小さな絵がかかっている。ゆるい額に収められたそれには、波がかすかに見え、水平線には太陽の誕生か死か分からぬ光がある。まあ、どちらでもいい。
夜になると彼女はシボレーに乗り、街をさまよう。クリーム色の革張りのシートは温かく、曲がりくねった道で彼女は目眩を覚える。車を停め、夕暮れにゆっくりと灯り始める谷を見下ろす。―沈黙の観察者のように。
私は、その中に紛れた目に見えない一人だ。窓を少し開けているかもしれない。行き交う車の定まらぬ交響曲の一部。ティーンエイジャーたちが大きな音を響かせ、速く走り去る。そして私たちは皆、同じ空を見上げ、同じ飛行機の離着陸を眺め、ダウンタウンの高層ビルの灯りの点滅を見つめ、テールランプの走廊を追い、視界を遮る同じ木々を見ている。夜の甘美な轟音の中で、私たちは幾千もの人生を夢想する。
彼女はため息をつき、家へ帰る。そしてまた翌日も、その次の日も戻ってくるだろう。









