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2024.11.15.

Posted on 11.15.24

いつもV:oltaをご利用いただき、まことにありがとうございます。

 

まだ昼間はアウターを着てたら微妙に暑く感じたり、確かに秋っぽいけどこれは本当に今まで経験してきた秋なのか?と少し不思議に思ったりもしています。

 

先日、ピーター・グリーナウェイ監督の『数に溺れて』という映画を観ました。

 

 

少女が縄跳びしながら夜空の星を数えるというシュールでイカれたオープニングからグリーナウェイ・ワールド全開といった感じでした。

 

 

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例えばこのシーン。

この画像見て何のシーンか絶対にわかんないでしょう?(小梅太夫じゃないですよ)

でも、そのシュールさがグリーナウェイ映画の魅力です。

 

この映画は映像の中に1~100までの数字が散りばめてあって、視聴者はストーリーを追いながらそれらの数字を見つけて数えていけるような構造になっています。

その演出がなんだか動く絵本を見ているみたいでもありました!

 

映像は毒々しくて、でも綺麗です。

 

ご興味のある方は、グリーナウェイの作品もぜひご覧になってみてください!

 

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今週末のV:oltaのご予約は土日ともまだ空きがございます。

お時間のある方は、この機会にぜひご来店くださいませ!

 

みなさまのご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております!

Posted on 11.13.24

昨日は仕事を早めに切り上げて、トム・ヨークの大阪公演に行って来ました。

 

 

Radioheadのライブは20代の頃に何度か行きましたが、トム・ヨークのソロを観るのは初めてで、トム・ヨークをライブで観るのもかなり久々だったので、とても楽しみにしていました。

 

今活躍している芸人さんとかが若い頃、ダウンタウンの松本人志に大きな影響を受けたとよく言っていたりしますが、僕の場合はその存在がトム・ヨークでした。

 

Radioheadのアルバムは、翻訳や解説が付いている日本盤ではなく輸入盤を買って(CDは日本盤より輸入盤が並んでる方がカッコイイと思って基本輸入盤で買っていました)、英和辞典片手に自分で訳す程夢中になっていました。(自分で訳した方がトム・ヨークの言いたいことの本質に近づけると思って…)

 

今の時代は、インターネットで何でもすぐに調べられるし、SpotifyやApple Music,Youtubeなどで大抵の音楽はすぐに聴くことができます。

便利さで言うと今の時代の方が絶対的に便利ですが、不便な時代だったからこそひとつの対象物に今より向き合うことができた時代だったと思います。

インターネットもSNSもなく、(特に田舎では)ナードな趣味を持つ人達が孤立して点在していた時代、トム・ヨークはそんな若かりし頃の僕のヒーローでした。

美容学校に行ってキムタクに憧れて美容師を目指すような人達はたくさんいましたが、トム・ヨークみたいに薄毛でもカッコイイ髪型を作りたいと思って美容学校に進むような人は僕くらいだったかも知れません。

 

 

久々に観たトム・ヨークは相変わらず元気そうで、一人のステージで躍動していました!

 

 

フィナーレの“Idioteque”と、アンコールラストの“Lucky”は特に格別でした。

ライブには僕と同じく一人で来ている人の方が圧倒的に多くいて、この人達の中には僕と同じように若かりし頃、そして今も変わらず、トムヨークやレディオヘッドが少なからず心の支えとなってくれているような人も多いのではないかと思いました。

 

独立してV:oltaをオープンしてから、僕と同じような感覚を持っているお客様がたくさん僕の顧客となってくださいました。

僕が美容師を目指した一番の理由は、学生時代、自分で好みの合うお店を探していてもなかなかそういった感性が合う(理解してくれる)美容師さんに出会えなくて、それなら同じような境遇を抱えた方に「ここがいい」って思ってもらえるようなお店を作りたいって思ったからです。

大多数の人にはなかなか振り向いてもらえないお店でも、一部の人にとってはかけがえのないお店だと思ってもらえるように、これからもブレずに頑張ろうという気持ちになりました。

 

ラストの“Lucky”を歌い終えたトムヨークは、観客に向かって「コンバンワー!」と言っていました。

そんなトムのチャーミングな姿を微笑ましく思いつつ、心地良い余韻に浸りながら帰路に着きました。

 

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物販ではZINEを買ってきたので、ご興味のある方はご来店時にぜひご覧ください!

 

 

今日大阪公演2日目に行かれる方は、ぜひ楽しんでください!

WWD JAPAN TREND BOOK

2024.11.12.

Posted on 11.12.24

WWDJAPANの2025年春夏のパリ, ミラノ, ニューヨーク、そしてロンドン・コレクションの全てを詰め込んだトレンドブック。

 

 

現代はユニクロなどの台頭もあり、日本ではすっかりモノトーンベーシックスタイルが主流となりましたが、今から10年前くらいまでは黒などの無地の服を着ている人の方が圧倒的に少数派でした。

2010年頃は、表紙のような花柄を着ている人も今よりはるかに多かったです。

 

全身黒のワントーンスタイルが個性派ではなく無難なスタイルとなった今なら、逆に花柄やジャガードなどの柄ものの方が個性を表現できる時代です。

 

Z世代の(今のトレンドを追ったものより雰囲気の異なる一点ものを探そうとする)古着ブームもそういったファッショントレンドの文脈が背景にあるのかも知れませんね。

 

そのような時代を捉えつつも、あえて中心を少し外したようなことをヘアスタイルを通じてできればと思って、僕も日々試行錯誤しながら頑張っております。

 

まだV:oltaに来られたことのない方も、ぜひ一度カットしにいらしてください!

お客様の絵画

2024.11.08.

Posted on 11.08.24

趣味で絵を描いてらっしゃるお客様が、新しい作品を持って来てくださいました。

 

 

前回持ってきてくださった作品と入れ替えて飾らせていただいております。

こちらの作品もとても素敵です。

前回お持ちいただいた作品もそうでしたが、目を奪われるような色遣いです。

ヴィヴィッドな色を使ってる訳ではないですが、凛とした存在感があります。

顔を描かない構図も良いですね。

 

ご来店の際は、ぜひお近くでご覧になってみてください!

ナミビアの砂漠

2024.11.05.

Posted on 11.05.24

先日、テアトル梅田で新進気鋭の日本の映画監督,山中瑶子さんの新作『ナミビアの砂漠』を観てきました。

 

 

普段は日本映画をあまり観ないのですが、最近は観てみたいと思う日本映画の新作がいくつかあったので短い期間で立て続けに観ましたが、個人的にはこの作品が一番良かったです。

 

 

 

これは監督のパーソナルな経験も反映されているんですかね。

斬新さと繊細さがありました。

 

音響の使い方など、まるで2020年代のゴダールのように実験的で目新しい感覚の演出にも果敢に挑戦していて、観ていて楽しかったです。

 

主演の河合優実さんも素晴らしい役者だと思いました。

監督の山中さんはまだ20代と若いですが、これからの日本映画を牽引していく一人になるのではないかと期待が膨らむような作品でした!

普段シネフィル系やミニシアター系をよく観ているような方にぜひ観ていただきたいです。

 

もう上映期間が終わりに近づいている作品ですが、ご興味のある方はぜひ映画館へ足を運んでみてください!

昨日のお休みは、京都へ美術展を観に行ってきました。

 

まずは、京都国立近代美術館で開催されている『LOVEファッション』展へ。

 

 

個人的には、タイトルが映え寄りな気がしてちょっとハズいのですが、内容的にはコアな服好きにおすすめしたい展覧会です。

 

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展示されていた洋服の一部をご紹介させていただきます。

 

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(Christian Dior/ジョン・ガリアーノ, Suit and Choker, 1997年秋冬オートクチュール)

 

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(Martin Margiela, Dress and Necklace, 2004年秋冬)

 

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(Yohji Yamamoto, Dress and Skirt, 1996年秋冬)

 

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(Stella MaCartney, “FUR FREE FUR”  Coat, 2015年秋冬)

毛足の長い豪華なコートですが、袖口のレーベルには「FUR FREE FUR」と書いてあり、毛皮は偽物であることがわかります。ステラ・マッカートニーが2015年にこのフェイクファーのラインを開始した時、素材は未だ石油由来であったものの反響は大きく、その後のファッション業界に広がる毛皮不使用の流れを牽引しました。

 

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(Jil Sander/ラフ・シモンズ, Dress, 2009年秋冬)

 

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(COMME des GARÇONS Homme Plus, Jacket/Dress/Necklace, 2020年春夏)

 

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(コルセット, 1870年頃)

 

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楽しみにしていたヘルムート・ラングの展示

 

 

 

この生地面積の少なさ。ファッションにおけるミニマリズムの境地です。

ぜひ一度、千鳥のノブさんにご試着いただいて、一言なんて言うか聞いてみたいです。

 

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この展覧会に行くかどうかは結構迷うラインの関心度だったのですが、行こうと決めたのはティルマンスの写真も展示されていると知ったからです。

 

 

 

 

 

 

このエリアが割とすいてたタイミングだったので、いろんな構図で写真撮りました。

 

売店でティルマンスのポストカードとか出てないかなと探しましたが、残念ながらひとつもなかったです…

ティルマンスはメインじゃないから仕方ないにせよ、せめてヘルムート・ラング関連のものは作ってほしかったです。買うのに。

 

 

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この後は何必館(京都現代美術館)に向かい、フランスの写真家,ロベール・ドアノー展を鑑賞してきました。

 

こちらの美術館は、写真撮影ができないので、展覧会案内から一枚だけご紹介します。

 

これは「音楽狂の肉屋」と名付けられた作品です。

これこそポストカードかポスターを出して欲しかった、買うのに。

 

ドアノーの作品は、タイトルも面白いものが多かったです。

 

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良いインプットが得られた休日となりました。

ご興味のある方は、ぜひこれらの展覧会にも足を運んでみてください!

Posted on 11.01.24

11/1-11/2の2日間、心斎橋PARCO(通称おもんなパルコ)のB2FでBEATINKがポップアップショップを開催するというので、このブログを書いている直前の時間に心斎橋まで自転車を飛ばして行ってきました。

 

 

次のお客様まで40分くらいの空き時間しかなかったのですが、今日明日で行けそうなタイミングがそこしかなかったのでトムクルーズばりのミッションインポッシブル感でしたが、なんとか無事帰って来ることができました。

 

BEATINKは、音楽感度の高い日本のリスナーと世界のインディミュージックシーンを繋いでくれている貴重な音楽レーベルです。

BEATINKがなくなるようなことがあれば、いよいよ日本はカルチャーにおいてもスーパー後進国、というかカルチャー・メルトダウン状態となってしまうでしょう。

その事態だけは避けねばと、僕もV:oltaに通ってくれるセンスの良さそうな若者達にはカルチャーの話をしまくっているのですが(一応、その人に合わせて加減しているつもりですが、よく熱くなって暴走気味になってると思います、ごめんなさい)、一般的にはこういうカッティングエッジなカルチャーに興味を示す若者は2000年頃に比べると絶望的に減っているように感じます。

 

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今回のポップアップにはDJイベントもあって、なんと長年V:oltaに通ってくださってるお客様のpikuminさんがそのタイムテーブルの一角を任されているそうです!

 

 

僕の超絶巻き時間での買い物の接客をしてくださったBEATINKの方が「僕がオファーしたんです」と教えてくださいました。

オジサンのDJばかりにしたくなかったと言っておられました笑

 

僕は仕事でpikuminさんの勇姿を見ることはできなそうですが、週末お時間のある方はぜひ心斎橋PARCOへ最先端のカルチャーを感じに足を運んでみてください!

若者達に呼びかけないと、放っておいて集まるのはきっとオジサンばかりだと思うので。

 

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ポップアップではゆっくりレコードまで見て回る時間もなかったので、O.P.N.とOnline CeramicsがコラボしているTシャツだけ買って来ました。

 

 

プリントされてる花が良い。

 

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エイフェックスツインのアンビエントワークスのポスターまでいただきました。

 

 

ambient kyotoで買ったお鈴(左上)、アンティークのペーパーウェイト(右上、写真の女性が誰かは忘れてしまいましたが女性では初期の作家だそうです)、Fornasettiのお皿(左下)、Maison Martin Margielaが初めて発売した香水,untitledのパリで購入したリミテッドエディション(右下)によって磔の刑にして撮影しました。

 

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音楽好きだけでなく、ファッションやカルチャーが好きな方もぜひ行ってみてください!

豊かさについて

2024.10.29.

Posted on 10.29.24

豊かさって何なんだろう

 

 

10代後半~20代で(過去も含めて)世界にはいろんなものがあることを知ってそれに夢中になって、それが少し落ち着きだす30代になった頃から漠然とこういうことを考えだすようになる方も多いのではないでしょうか?

 

僕は、こういうことを長年考え続けてきたのですが、、最近になってそうやって考え過ぎることが一番精神的に豊かになれないということにようやく気づいてきました…

 

「本当の豊かさって何なのか?」を自身に問いかける環境に自分がいるということは、すでに自分は恵まれている環境にあるのだと思います。

まずはそのことに感謝したいです。

 

与えられた日々を丁寧に過ごしていく-

 

これが“豊かさ”ということなのかも知れません。

Posted on 10.26.24

“The Trench”や“100年コート”など、オリジナルの名作に加え、多くの有名メゾンブランドからの依頼も手掛けて50年もの間コート一筋で営業してきた、サンヨーソーイング 青森ファクトリー(三陽商会)の技術顧問, 和田氏の言葉。

 

 

「教えて身につけられる技術は最低ライン。我々が求める技術はそのさらに上であり、そこに至るには自分の感覚と向き合うしかない」

これは美容師を含む他の多くの仕事にも当てはまることだと思います。
技術と感覚は表裏一体。

でも、自分の理想とするところには長年やっててもなかなか至らない。
だからこそ、ものづくりは面白いのだと思います。

憐れみの3章

2024.10.17.

Posted on 10.17.24

先日のお休みは、先日書かせていただいた空音央監督の『HAPPYEND』に続き、ギリシャ出身の映画監督,ヨルゴス・ランティモスの最新作『憐れみの3章』も観に行きました。

 

 

本作は、“R.M.F.”(Redemption(救い)・Manipulation(操作)・Faith(信仰))にまつわる3つの短編から成る作品。

その3つのエピソードの主要な登場人物は全て同じで、役柄はそれぞれのエピソードで異なります。

 

作風も、このままハリウッドの人気者になってしまうのかと少し心配になった前作『哀れなるものたち』よりも、ずっとランティモスらしいシュールな毒っ気が炸裂した作品でした。

全てのエピソードが奇妙で気持ち悪い。(褒めてます)

これぞランティモスの真骨頂だと思います。

 

 

今やランティモス映画のミューズとなったエマ・ストーンのこの表情もとても不気味。

こちらも毎度お馴染みとなった変なダンスも今回もキマってました。

 

 

ちなみに、今回エマ・ストーンが踊ってる曲は、スウェーデンのアーティスト,COBRAHによる“Brand New Bitch”という曲です。

日本のクラブでも、皆カッコつけてスカした感じで踊らずにエマくらいエモーショナルに踊ってほしいです。

普段クラブに行かない僕でも、そんな感じのズバ抜けたクラブが日本にあるなら一度訪れてカオスな空間をこの目と耳で体感したいと思うかも知れません。

 

ランティモスの作り出す奇妙でクセになる世界を堪能したい方も、エマのダンスの全貌を見たいという方も、ぜひ映画館でご覧になってください!

HAPPYEND

2024.10.16.

Posted on 10.16.24

坂本龍一を父に持つ空音央監督の長編デビュー作『HAPPYEND』を観てきました。

 

 

タイトルは、父の盟友,細野晴臣さんの組んでいたバンドと掛けていたりするのでしょうか?

 

まず、冒頭のクラブシーンのDJ役に行松陽介さんが起用されててビックリしました。

 

 

行松さんは、日本のアンダーグラウンドシーンを牽引するDJの一人です。

素晴らしいガテン系の肉体美(もともと肉体労働系の仕事をしつつDJ活動をされていたようです)をお持ちですが、そのセンスは見た目とは良い意味でギャップありまくりです!

 

内容は新世代の青春映画という感じの作品でしたが、ファッションやカルチャーに関心のある現代の若者達にも刺さるような感覚がある作品だと思うので、特にそういった層の方にたくさん観てほしいなと思うような映画でした。

 

 

主役の二人は、どちらもモデルをされている方を起用しているそうです。

 

挿入される音楽のセンスやカメラワークにも、偉大すぎる父,龍一氏のDNAを感じました。

 

カッティングエッジなカルチャーに興味を持つ日本の若者が増えたら、また日本はカルチャーにおいても世界から注目される国になれるかも知れません。

 

ご興味のある方は、ぜひ映画館に足を運んでみてください!

Posted on 10.11.24

以前こちらでもご紹介させていただいた絵画のポストカードをくださったお客様から、もし良かったら実際の絵画を少しの間お店に置かせてもらってもいいですか?とのご提案をいただいたので、お言葉に甘えて暫く作品をお借りしてお店に飾らせていただくことにしました。

 

 

こちらもとても素敵な作品です。

ポストカードで見るのとは違って、やはり本物を近くで見るとその繊細で時に大胆な色使いや筆使いがわかります。

 

当店には、世界的なアーティストのシルクスクリーンなどの作品は飾っていますが、実際に描かれている絵画は他に置いていないのですが、こちらの作品を眺めていると「やはり実物はいいな」という思いになります。

もちろんお客様の素晴らしい才能と技術があってこそそう思うわけですが、塗料の凹凸や薄く浮き上がるキャンバスの質感など、実際の作品を目の前にして細部まで観察していると製作中の作者の息づかいまで伝わってくるように感じます。

 

『PEACEFUL DAYS』というタイトルが付けられています。

現在、ガザ地区やウクライナなどでは激しい戦争が続いています。

そこには宗教の問題や歴史の歩みなど、お互いにとって譲れない主張とこれまでのさまざまな要因があるのだと思いますが、なんとか一日も早く世界に平和が訪れてほしいと願っています。

こちらの作品にも、そういった思いが込められているのかも知れません。

 

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せっかくお借りした作品だからなるべくお客様から目に留まるところに置かせていただこうと思って、でもプリントなどで複製したものではない本物をお借りするので、ディスプレイ棚の一角に飾らせてもらおうかと考えていたのですが、入り口近くの壁に並べてあるところに一緒に置いてもらえたらとのことでしたので、地べたに(ちゃんと日々掃除は行き届いております)置かせていただく申し訳ない気持ちを少し抱えながらも、廊下からも一番目につく場所に置かせていただきました。

 

 

隣にはリヒターとシーレが並んでいます。

どちらの作品も少し憂鬱なムードでしたので、こちらの絵画を置くとパッと華やかさが出ました。

黒とゴールドの2重になっている額縁や、その間を埋める隙間の黒まで、全てに感性の豊さを感じます。

額縁も作品に合わせてご自身で探しているとおっしゃられていました。

“こだわる”とは、こういうことを言うのだと思います。

 

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趣味も全力で楽しんで取り組めば、それが仕事にも良い影響を与えてくれると思いますし、何より文化的な生活というのは人生を豊かにしてくれます。

YOUTUBEやSNSも手軽で楽しめますが、絵画や本を嗜む人がもっと増えれば、今よりも世界は穏やかになりもっと道徳的な考えができるようになっていくと思っています。

見過ごしてしまいそうな日常の小さな変化や出来事にも、小さな幸せを感じることができるかも知れません。

 

ぜひ当店にご来店の際は、こちらの絵画もお近くでご覧になってみてください!

Posted on 09.25.24

お客様から温かいメッセージの書かれた葉書をいただきました。

 

 

 

メッセージにある通り、こちらのお客様が当店に初めてカットしに来てくださったのは今から9年前。

彼はまだ高校を卒業したばかりのティーンネイジャーでした。

 

当時の彼はスキニースタイルが好きでスキニーパンツを履き続けていたことで、友達からも季節に関係なくいつも同じ格好をしているとからかわれていたそうです。

そんな彼に当時モードなスキニースタイルを打ち出していたエディ・スリマンのことを教えました。

 

 

その後、何回かカットに来てくれた後、次の来店まで1年以上の周期が空いた時がありました。

久々にカットしにきてくれた彼は、アートやファッションの勉強をするために今NYに留学していていると教えてくれました。

エディ・スリマンのもとで仕事がしたくて、その為に頑張って勉強しているのだと僕に伝えてくれました。

その時は彼の行動力に驚くと同時に、それがどんなに難しいことか(ラグジュアリーメゾンで働くことができる日本人なんてほんの一握りしかいない)を本当にわかってるのかな?と少し心配にも思いました。

 

 

それから彼がカットしに来てくれるペースはちょうど1年ごとになり、次の年に来てくれた時にはイギリスのファッションの名門,セントマーチンズに入学していました。

そしてその翌年に戻ってきた時には、セントマーチンズを中退して世界のファッションアカデミーの最高峰であるアントワープ王立芸術アカデミーに入学するのだと教えてくれました。

ファッション専門学生やファッション業界で働いているデザイナーやパタンナーの方なら、この時点でも彼がどれだけ凄いことをしているかが理解できるかと思います。

東大に入ることよりも遥かに狭き門を彼は飛び石のように潜り抜けたのです。

 

そして去年、卒業できる人数が毎年10人前後(入学時は50~60人)という最難関アントワープ王立芸術アカデミーのファッションバチェラー学科を卒業し、今回カットしに来てくれた時にアカデミーのエンブレムの入った葉書で僕に同アカデミーの大学院を無事卒業したことを伝えてくれ、メッセージの書かれた葉書をくれました。

 

メッセージを読んで、感動して泣きそうになりました。

彼は最後に書かれた一行を、直接声に出して僕に伝えてもくれました。

 

美容師を通じて、本来出会う機会のなかったお客様と知り合い、その人生に僅かながらでも影響を与えることができたということは、本当にこの仕事をやってて良かったと思えることですし、日常ではあまり役に立つことの方が少ない知識でも継続して勉強しているとたまにはなにかの役に立つこともあるのだなと嬉しく思いました。

 

これからも美容師として自分ができること、自分だからできることを考えながら精進して参りたいと思います。

 

彼はまたアントワープに戻り、そして来年にはラグジュアリーメゾンのいづれかで働いている筈です。

彼が一緒に働きたいと思っているエディ・スリマンがクリエイティヴ・ディレクターを務めるセリーヌとも連絡を取っているそうですが、今はエディがセリーヌを去る方向だと言われています。

彼は、エディがいないならセリーヌには行きたくないと言いました。

なんて格好いいセリフでしょう…

 

これからも彼の活躍をより一層楽しみにしていますし、また年に1回の帰国に合わせてカットしに来てくれる時には彼から直接ファッション界の話をたくさん聞かせてほしいなと思っています。

彼と出会って9年の歳月が流れた今は、僕なんかより彼の方が圧倒的にファッションに詳しくなりました。

普段は負けず嫌いな僕ですけど、彼の成長が何より嬉しいです!

 

この葉書は、僕の作業用デスクの見えるところに置いて、ずっと大事にしようと思います。

 

デ・キリコ展

2024.09.24.

Posted on 09.24.24

昨日のお休みは久々に神戸の地へ。

神戸市立博物館で開催されている『デ・キリコ展』に行ってきました。

 

 

ジョルジョ・デ・キリコは1888年生まれのイタリア人で、後のシュルレアリスムにも大きな影響を与えた画家です。

 

デ・キリコは、ミュンヘンの美術大学で絵画を学び、ニーチェなどのドイツ哲学から影響を受けます。

そして、のちに“形而上絵画”と名付けられることになる幻想的な雰囲気を纏った絵画様式を確立します。

 

 

 

ダリの作品は今まで何度か観る機会に恵まれていましたが、デ・キリコの作品をちゃんと生で観ることができたのは今回がほぼ初めてだったので、関西でも開催してくれてとても有り難かったです。

 

 

 

今の時代は、インターネットを通じてもアーティストの作品を観ることも容易にできますし、画集もネットで注文したら2~3日後には手元に届く時代ですが、やはり“本物を観る”ということはネットや画集で見るのとは全く違うし、こうして観たいと思ったものは積極的に行動して観にいくことが大切だと思います。

 

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今回は、奥さんと子供も一緒に連れて行きました。

子供は僕よりもだいぶ少ない鑑賞時間でしたが、それでもその日の夜に今日観た絵のことを自分から僕に話してくれました。

(ボルタンスキー展に連れて行った時は、ただただ怖いと言われました… その時は連れていく展覧会を間違えたと反省しました)

子供達がデ・キリコの作品を観たことで人生観に大きな影響を受けることはないと思いますが、それでも成長していく過程の中で今回の体験が潜在的な良い影響を与えてくれるのではないかと思っています。

 

久々に神戸に来たので、中華街に寄ってご飯を食べて帰りましたが、さすがにめちゃくちゃ美味しかったです!

 

ご興味のある方は、ぜひデ・キリコ展にも足を運んでみてください。

図録も買ってきたので、ご来店いただいた際にはぜひご覧くださいませ。

Posted on 09.18.24

先日のお休みは、来月での閉館が決定してしまっているシネマート心斎橋で、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の『エフィ・ブリースト』を観てきました。

 

 

こちらもそうですが、ファスビンダー傑作選のポスターデザインがあまりにもカッコ良すぎて、最近シネフィル(コアな映画好き)以外のファッションやクリエイティヴのアンテナ感度が高い人達の間でもファスビンダーがフックされだしてると聞きます。

これらのポスターにキューブリックとかタランティーノ映画みたいなファッションカルチャー性を感じているのだと思いますが、ファスビンダー映画って決してそんな類の映画ではないんですけどね笑

 

まだ未見の方は、まあ観てみてください。

キューブリック好きが10人観たら9人は振るい落とされる映画です。

特にこの作品とか、最後までちゃんと退屈せずに観れた人にはキトク系の素質(ハンター×ハンターで言うところの特質系)があると思うので、おすすめ映画をたくさんお教えします。

 

でも、カッコイイものはなんでも最初は無理して消化するものです。
それがお酒でもブラックコーヒーでもタバコでも、ニューウェイヴとかポストパンクだって、誰かに影響を受けたりしてカッコイイと思って不味いのに口にしているうちに細かい味の違いまで理解できるようになっていきどんどん依存していくわけです。
だから、カルチャー好きな方は頑張ってニュージャーマンシネマの山にも登りましょう!

 

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本作は、テオドール・フォンダーネの古典小説『エフィ・ブリースト』をニューシネマ世代のファスビンダーが映画化したもの。

ファスビンダーにしては少し異色の作品でした。

 

 

モノクロで表現される厳格な映像美は、ストローブ=ユイレを彷彿とさせます。

ユイレ作品と大きく異なるのは、音声の同時録音にこだわるユイレに対してファスビンダーの本作はアフレコであるということ。

しかも、時折人物の動きとセリフに違和感を覚えるほどのズレがありましたが、これはファスビンダーがあえてそうしているのでしょうか。

だとしたらなんと憎たらしい演出…

 

ファスビンダー自身によるナレーションも、たびたび挿入される小説の一説も、エフィの人生も、どれもが退廃的で切なさがありました。

 

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来週は『自由の暴力』を観に行こうと思っています。

ご興味のある方は、ぜひ今回のファスビンダー傑作選にも足を運んでみてください!